第92話:難民大移動
出来るだけ、連日投稿出来る様に頑張ります。
無理だったら、優しく微笑んでください。
「旦那、どう言う事だ・・・」
「い、いやぁ・・・」
「お主、ちょいとやり過ぎではないか・・・?」
「こんな人数、うちの村に入らないだろ・・・」
「なんて言うか、想定外と言うか・・・」
ドエイン、アリシエーゼ、ナッズがそれぞれ呆れ顔でそう言うが、他のメンバーも口には出さないだけで皆呆れていた。
朝一に北門へ行って昨日の勧誘の成果を確認しようと俺は意気揚々と北門を潜り、うちの傭兵団に来る者はいるかと叫んだのだ。
それに仲間の全員が目を剥き、サプライズ成功だぜなんて思ったまではいいが・・・
二十くらい、三十来ればラッキーくらいに思ってたんだが・・・
結果は北門付近で関所を越えられない者ほぼ全員が名乗りを上げた。
その数五百で、老若男女様々だ。
「こんな数入る訳なかろう!?」
「い、いや、だからさ。今から先行してポロンに伝えて、寝泊まり出来る所だけでも作っておいて貰えれば・・・」
「そんなのどうやって伝えるんじゃ・・・」
「大丈夫、それは考えてる」
俺はそう言って何処かで様子を伺っているであろう、デス隊を呼んだ。
直ぐにデス1が現れて俺の前で跪く。
「お呼びでしょうか、ハル様」
そんなデス1の様子を見た難民達が俄に騒めくのを感じた。
「ど、どこから現れたんだあの男は?」
「何であの子供に跪いているんだ?あの子供は何者なんだ・・・」
「きっと何処かの貴族の子息とかじゃないか?あの跪いてる奴は従者か何かだきっと」
一々注目集めてんな・・・
「・・・デス1、とりあえず立ってくれ」
「・・・ハッ」
デス1を立たせて俺は早速状況を伝えようとすると―――
「全て承知しております。アリシエーゼ様の館の在る集落へ赴き、受け入れの準備をさせれば良いのですね」
昨日からの出来事を全て把握しているのか、デス1は俺が説明せずとも、俺の意図を汲んでくれていた。
「流石!話が早くて助かるよ!」
「お褒めに預かり恐悦至極に存じます」
そう言ってデス1は恭しく頭を下げた。
いや、だからそう言うの要らないって・・・
それから俺はデス1に考えうる最良策と言うか、具体的なプランや思いを伝えた。
「委細承知しました。別の部隊が実行しますが、漏れなく伝えます故、全てお任せ下さい」
「うん、任せた」
そう言って、ポロン達に伝えて事前に準備させる事にしたが一つ気になる事があり、アリシエーゼを見て言った。
「デス隊じゃ無いけど、いきなりポロン達の所行って伝えて、それ信じてくれるかな・・・?」
「確かに妾達の誰かが行かんとならん気がするが・・・何か一筆書いておくか?」
「そうしてくれると有難いかな」
「うむ」
アリシエーゼの手紙か何かが有ればスムーズに話は進むだろう・・・
たぶんだけど・・・
「あー、ペン何ぞ持っておらんぞ。ちと兵士にでも言って持って来させよ」
アリシエーゼが俺に偉そうに言うので、仕方無く俺は兵士の一人に言って、強制的に紙とペンをこの場に持って来て貰う事にした。
あれ?そう言えばこの世界って紙とかペンって普通にあるのかな?
そんな事を思いつつ、兵士が紙とペンを持って来る間に難民達へ色々と説明を済ませてしまおうと俺は難民達に向き合うが、その人数を改めて確認して全員に言葉で説明する事に辟易してしまった。
ちょっと面倒臭いから・・・ごめんなさい
これからの流れや、アリシエーゼ村までの案内について、着いてから誰の指示に従えばいいか等を無理矢理刷り込んでしまった。
それが終わる頃に兵士が何かを抱えて帰って来た。
「よし、では一筆書いてやるかの」
兵士の抱えている物を無理矢理剥ぎ取るとアリシエーゼはその兵士に四つん這いにさせ、その背中を使って書き始める。
アリシエーゼの手元を見ると、所謂テンプレ羊皮紙が紙代わりとなっており、手には羽ペンを握っていた。
「羽ペンは書き辛くて仕方無いんじゃがなぁ」
そんな事をボヤきながらアリシエーゼは時折、ソニに持たせたインク入れに羽根ペンを漬けながら、スラスラと羊皮紙に何かを書いていく。
何が書いてあるんだろうと気になり覗いてみると―――
この者の言う事は妾の言葉だと思い、全て受け入れて準備を進めるのじゃ!
アリシエーゼ
え、大丈夫これ?
超絶適当な伝言の様な物を書き終えアリシエーゼは満足そうに言った。
「ふぅ、これで良し。じゃ!」
「え、いやいや、これだけ?大丈夫?」
「大丈夫に決まっておるじゃろ。何言っとんじゃお主は」
あれ?頭大丈夫か?みたいな感じで返されたけど・・・
あれ?俺が変なの?
「そう・・・まぁいいか」
まぁ俺の忍者部隊がどうにかしてくれるだろうと考える事を放棄して、アリシエーゼから羊皮紙を受け取り、それをそのままデス1に渡した。
「じゃあ、宜しく」
「ハッ!承りました!」
デス1は背筋をピンと伸ばして俺から羊皮紙を受け取り、そのまま南門の方へ歩いて行った。
ん?あれ?
デス1が居なくなっちゃったらこの難民達はどうすればいいの?
俺は大いに混乱した。
デス1に渡した羊皮紙を別部隊に渡して貰い、俺の計画を伝えてもらい、その部隊の奴がゴブリンの都市とかを使いショートカットして超ダッシュでアリシエーゼ村に向かってもらう。
そして難民達は普通に街道を進んでもらいアリシエーゼ村まで向かってもらう。
そんな計画だったんだが、デス1は行ってしまった・・・
え、いや、マジどうすんの?
「何やっとるんじゃ?次はどうするんじゃ?」
「あ、うん・・・その・・・」
結局その後、誰が難民達を連れて行くのかと言う事を詰めて無かったと正直に白状して、デス隊を呼び出し引き継ぎを行い、昼頃には無事に難民達を出発させる事が出来た。
「兄ちゃん!ありがと!」
「本当に大丈夫なんだろうな!?」
「本当に私達にも仕事あるのよね!?」
基本的には不安の方が多いが、それは仕方無いと思った。
ただ、前向きな反応もあったし、何よりこれから仲間になる予定の人達なのでなるべくなら俺の能力を使わずに信頼関係を築いて行きたいと言う思いがあり、その辺りはこれからの俺達の頑張り次第だろうと改めて気を引き締めた。
難民達には俺達の話に乗ってくれる人達とそうでない人達を分けて貰っていたが、ここに留まる選択をした者もそれなりに居た。
ただ、いざ難民達が出発と言う段階になり、俺が言った通りに関所を何の問題も無く超えていく事を確認すると、数名が出て行く難民達に混じり関所を越えようとしているのが確認出来た。
「えッ、な、なんだ!?」
「は、離せ!俺もこいつら傭兵団に入るんだぞ!?」
俺はそいつらがそう言った行動に出たのを確認した段階で、兵士に命じて取り押さえさせた。
「嘘付くなよ。お前ら行かないって言ってただろ」
「嘘じゃない!アンタらの傭兵団に入る!」
「そ、そうだ!何故俺達はダメなんだ!?」
「そう言う嘘は俺には通じない。自分の意思で悩んで決めてくれた人達は俺は最大限支援するが、そうじゃない奴、特にお前らの様な奴は俺は信用しない」
俺が強い口調で言うと男達は更に焦り、俺に必死に語り掛けた。
「ま、待ってくれ!頼む、行かせてくれないか!?ちゃんとアンタらの傭兵団に入るって約束する!」
「お、俺もだ!頼むよ!」
兵士に取り押さえられ身動きが取れない男達の必死の懇願を俺はキッパリと拒む。
「ダメだ。信用出来ない奴を傍に置いておく気は一切無い。ただ、どうしてもと言うなら、俺達は今から魔界に入る。それに着いて来てもいいぜ」
「ま、魔界!?反対方向じゃ無いか!?」
「思いっきり魔物共と戦ってもらうが、ちゃんと動けて働いてくれるなら俺はそれに報いるぞ?」
「お前みたいなガキが魔界だと!?死ぬに決まってんだろ!?」
「なんだ?俺の強さに疑問があるなら、試してみるか?」
「・・・・・・」
俺がそう言うと男は黙ってしまった。
これ以上は話しても無駄なので、強制的に話を切り上げた。
難民達を確認すると大半がもう南門を潜り終わっており、無事に関所を抜けられていた。
「とりあえず関所は問題無いっぽいな」
「いつの間にこんな仕込みしとったんじゃ・・・」
「いつって、昨日に決まってるだろ」
「それで帰りが遅かったのか?」
「うん」
「何やっとるんじゃ・・・」
アリシエーゼは呆れた表情でそう言った。
「でもこれで結構人数確保出来たんじゃないか?」
「そんな訳が無かろう・・・訓練にどれだけの期間を注ぎ込まないといかんと思っておるんじゃ・・・」
「まぁそこはポロンの腕の痛み見せ所ってやつじゃないか?」
「はぁ・・・」
アリシエーゼは大きな溜息を吐いて頭を横に振った。
「凄いね、仲間が一気に増えちゃったよ」
「でも大して強くもねぇんだろ?使えねぇだろ」
「帰ったらあそこはきっと様変わりしているんでしょうね」
「このまま国でも興すか・・・?いや、でも・・・」
アリシエーゼ・・・心の声が漏れてますよー
「旦那・・・アンタ一体何なんだ・・・」
「・・・マタツカッタ」
まぁ、皆概ね納得してくれている・・・だろう
たぶん・・・
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