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異端の紅赤マギ  作者: みどりのたぬき
第3章:雷速姫と迷宮街編
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第85話:宿屋を探して

出来るだけ、連日投稿出来る様に頑張ります。

無理だったら、優しく微笑んでください。

 俺達はまるで客引きの様な傭兵団の勧誘や、商店の正に客引きを相手にせずに関所の門まで進んで行き、検問待ちの列の最後尾に並んだ。


「ドエインは先に行って報告しててもいいんじゃないか?」


 ドエインはこの関所に駐留する大隊にコボルトの件を報告する事になっていたので俺はそう言った。


「そうなんだが、俺が居た方がここもすんなり通れるだろうからこのまま門を抜けるまでは帯同しようと思う。どうせそんな時間掛からんだらうし、俺だけ今抜けようがそんな時間は変わらんしな」


 そう言ってドエインは検問待ちの別の最前列をチラリと覗き見た。


「そうか、分かった」


 俺はそれ以上は何も言わずに列が掃けて行くのを待っていたがここでふと思う。


「そう言えばドエインは結構酷い格好だな」


 そう言って俺はドエインの全身をまるて値踏みするかの様に見た。

 最初に会った時は腹に穴が空いて瀕死の状態だったが、その時から服にも穴が空いており、装備しているハーフプレートメイルもかなりボロボロだった。


「そうだな。だが、これくらいの方がこれから報告する事の真実味が増すだろ」


「確かに」


 ドエインの言葉に俺達は笑った。


「そう言えば、今日はここで泊まっていくだろ?」


 そう言えばもう夕方近くかと空を見て、俺はアリシエーゼに聞いた。


「それで問題ないよな?」


「うむ、そのつもりじゃ」


「了解。今から中に入って宿が取れるか微妙な所だが、もし宿取れなかったら俺が軍の宿舎使える様にしてやるよ」


「お、いいのか?ってか、そんな権限あんのか?」


「これでも小隊長だぞ。それに宿舎なんていつも空いてるしな」


 そう言ってドエインは苦笑いを浮かべた。


「そうなんだな。やっぱり街道警備とか外壁警備で出払ってるからか?」


「そうだな。半数くらいはいつも関所には居ないな」


「へぇ。まぁ、考えてみればそりゃそうだよな」


「あぁ、だからとりあえず俺は報告終わったら中の宿屋でお前ら探すわ。どうせ五件くらいしか宿屋なんて無いしな」


「了解。宿屋取れなかったら何処かで食事でもしてるよ」


「そうしてくれ。何かあったら、門入って右側が街道警備隊の施設だから、施設入口の警備兵にでも伝言頼んでくれれば俺に伝わると思う」


「あいよ」


 こう言う時にスマホ等が無いと不便だなと思いつつも俺はドエインに返事をすると、丁度検問待ちの列が全て掃けて俺達の順番となった。


「止まってくれ。お前らは傭兵か?一応、身分を―――」


「此奴らの身分は俺が保証する」


 門で検問の様なものを実施していた兵士が言っている途中でドエインが割って入る。


「―――うん?あ、ドエインじゃないか!」


「よう、ハリー。今日はこっちの担当か?」


 ドエインはハリーと呼んだ門兵に右手を挙げて軽く応える。


「あぁ、そうなんだーーって、何だその格好は!?ボロボロじゃないか!?」


「・・・まぁ、色々あってな。俺の隊が全滅した。此奴らは俺を救ってくれた恩人だ。だから通してやってくれ。俺は今から大隊長に報告に行く」


「なッ!?全滅だと!?」


「馬鹿野郎!声が大きいぞ!」


 ドエインの言葉にハリーは顔を強ばらせて声をあげたが、それをドエインが直ぐに制す。


「あ、あぁ、すまない。その話はマジなのか・・・?」


「冗談でこんな事言うかよ」


「まぁそうだな・・・分かった。とりあえず通ってくれ。ドエイン、直ぐに隊長に報告しろよ」


「あぁ、そのつもりだよ」


 そう言ってドエインは再度右手を挙げて応え、そのまま先に進んだ。


「お前達も通ってくれ――その、ドエインを助けてくれてありがとう」


 門兵の言葉に俺はドエインと同じ様に右手を挙げて応えた。

 門を潜るとドエインは直ぐに右側の街道警備隊の施設がある方へと歩を進めた。


「じゃあ、とりあえず宿屋で休んでてくれ」


「はいよ」


 俺はそう言って残った他の面々と共に先ずは空いている宿屋を探す事にした。


「では、お主らちょいと空いてる宿屋を探して来てくれ」


「分かりました」


 アリシエーゼがそう言うと、傭兵の四人は二人ずつに別れて関所内の宿屋に向かって行った。


「俺達も探した方が良かったんじゃないか?」


「それにしても全然屋台などが無いのう―――うん?ドエインが五軒しかないと言っておったでは無いか。ぞろぞろと大人数で行っても面倒なだけじゃ。彼奴らでパパッと探してくれば良かろう」


 アリシエーゼは関所内の目抜き通りの様な一本道を見渡して屋台を探しながら言った。

 たしかにアリシエーゼの言う通り、この通りには以前の宿場町の様の様な屋台等は殆ど無く、何だか少し寂しく思ったが、それでも寂れていたり活気が無い訳では無い。

 この通りには宿屋が五軒、他にも飲食店やら商店等かなりの数が並んでおり、飲食店はどこも賑わっている様で外に居ても店内からの喧騒が聞こえて来る。

 商店も一通り揃っている様で、武器屋に防具屋、道具屋に食材等を取り扱っている商店等が散見出来た。

 俺達はそんな商店等が立ち並ぶ通りをゆっくりと歩いて、時折店内の様子を扱っている物に構わず伺ったりした。


「後で武器屋にも寄りたいなぁ」


 俺は武器屋の前で店の様子を伺いながらそう呟いた。


「・・・あぁ、先の戦いであの短剣無くしおったのか」


「色々あったから、吹き飛んで回収し忘れちゃったんだよ」


 アリシエーゼの言葉に俺は抗議の意味も込めて頬を軽く膨らませて言った。


「でもこの鞘に丁度良い短剣が売ってるかなぁ」


 俺はそう言いながら腰の剣帯を擦る。


「あん短剣は通常の物より若干細めなので、もしかしたら合う物はなかなか置いていないかも知れませんね」


 そこまで静かだったモニカが話に入って来て言った。


「・・・そうかぁ、どうしようかなぁ」


「諦めて短剣と鞘がセットの物を買うのが良いと思います。またベルトに鞘を取り付けて剣帯を作るのでしたら私がやりますし」


「そう?じゃあお願い―――」


「ハル様」


「―――うわッ!?」


 会話の途中で突如後ろから声を掛けられ、俺は驚きで声を上げてしまった。

 振り向くとそこにはデス1(ワン)が涼しい顔で立っていた。


「・・・デス1か。どうした?って言うか、どうやって入って来た?」


「見付からない様に入って来たまでです。特に問題は御座いません」


「そ、そう・・・」


 どうやったんだろう?と思ったが、考えて見ると色々と方法は有りそうだった。


 認識阻害かな・・・?


 ここで詳しく聞くのもあれだったので俺はそれ以上は突っ込まずに話を続けた。


「で、どうしたんだ?」


「はい、ハル様の短剣ですが回収しております」


 そう言ってデス1は革で出来た背嚢の様な物から短剣を二本取り出し、恭しく頭を下げて俺に差し出した。


「おぉッ!?回収してくれてたのか!助かる!」


 デス1から短剣を受け取り、俺は状態を確認する。

 特に傷や曲がり等も確認出来ず綺麗な状態だった。

 あの衝撃波を咄嗟に防御した際に腕と一緒に吹き飛ばされたが、特にダメージは無さそうで安心した。


「良かったですね!」


「忍者共に感謝するんじゃなッ」


 モニカは凄まじい破壊力の笑顔でそう言い、アリシエーゼは何故かデス1が自分の配下である様に憎たらしい顔でそう言った。


 いや、ってか忍者じゃねぇし・・・


「とりあえず、ありがとう。助かったよ!」


「はッ!また何か御座いましたら何なりとお申し付け下さい。何時でもハル様のお側におります故に」


「う、うん」


 若干、ちょっと、少し・・・いや、かなり役に入り過ぎてる気がしてならないが、きっと俺の想いが反映された結果だろうととりあえず気にない事にした。

 俺は受け取った短剣を腰に刺し、軽く状態を確認する。

 その間にデス1は何処かへと消えて行った。


 忍者じゃん・・・


 そんなやり取りを大通りの真ん中でやっていた為か、周りの人間から奇異の目で見られ、かなり注目を集めている事に気付いた。


「おっと・・・とりあえず歩こうか」


 俺は皆を促して、宛は無くどとりあえず通りを北門に向けて再び歩き出した。

 歩き出すと直ぐに俺の外套の裾が引っ張られたのでそちらに目を向ける。


「・・・・・・・・・」


 見るとユーリーが外套を引っ張っていたが、俺を見上げては居たが無言であった。


「・・・・・・テ」


「うん?て?」


 ユーリーはそう言って外套を掴んでいた手を離してそのまま俺に差し出した。


「手を繋ごうって事か?」


 俺がそう言うとユーリーは無言でコクリと首を縦に振った。


「・・・ユーリーは可愛いなぁ」


 俺は顔をデレデレにしている事を自覚しつつユーリーの手を握り歩き出した。


「ぐぬぬッ」


「ユ、ユーちゃん・・・お姉ちゃんとさっきまで手を繋いでいたのにッ」


 アリシエーゼは謎の対抗心を剥き出しにし、モニカは悲痛な面持ちでらそう言っていたが俺は全てを見なかった事にして、ユーリーと歩き出す。


 残念娘にブラコンか・・・

 はぁ・・・


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