第83話:北の関所
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無理だったら、優しく微笑んでください。
三日三晩、特に何も起きない退屈な夜番を経て、俺達は北の関所まであと一刻程の所まで来ていた。
「後、二時間くらいはあるんだよな・・・?」
「そうじゃが?」
今は馬の休憩も兼ねて、ゆっくりと進んでいるので、俺は別の馬の首元に跨っているアリシエーゼと会話をしている。
「いやぁ・・・なにあれ?これ関所じゃねぇだろ」
「関所じゃよ」
「いやいや、何あの壁みたいの?横の果てが見えないんだが?」
この街道は多少、ウネって曲がっていたりもするが基本的には一本道でずっと先迄街道が続いている。
途中、森や山脈が街道側にせり出したりはしているものの、見渡する限り森、街道、平野だ。
なのに今見えている光景は、森の部分はどうかは分からないが、街道から右側に横に何か壁の様な物が見える。
一部分だけでは無く、右側は何処まで続いているか分からない。
「東側にも山岳地帯があるんじゃが、その麓の辺りまであの壁は伸びておるぞ」
「・・・その山岳地帯ってここからどれくらいの距離にあるんだ?」
「さぁ?」
「・・・・・・」
聞けば、この街道を進んで壁まで辿り着けば、そこが中央側の北の関所となり、後は東側に南北を分断する様に永遠と高さ五メートル程の木製の頑丈そうな壁が続いているらしい。
また、壁を東に進んで行くとまた関所があるらしいが、ここからはかなり遠い。
つまりはここの関所と東の果ての関所、それとその関所を繋ぐ様に聳える外壁で物理的に北からの侵入者を防いでいると言う事だった。
「その高さで頑丈そうな壁が永遠に続いてるとか・・・」
「阿呆じゃろう?結局、途中の壁をよじ登って侵入されたり、物理的に壁を破壊されて侵入されたりしとる様じゃしの」
「なんだそりゃ・・・なんの為にこんな壁作ってんだよ」
「知らんわ。こんな壁を作る人員と金とそして暇があるんじゃったら、全部の村や街の入口で荷物や身分を改めた方がよっぽと効率的じゃと思うんじゃがな。しかも、街道警備とは別に外壁守護の 警邏部隊が存在しておってその数、数万じゃ」
「はぁ?そりゃ、外壁に隙間無く人員を配置してるって事か?」
「まぁ実際の密度は隙間だらけみたいじゃが、無駄じゃよ。ここら一帯を物理的に隔よう等とはのう」
確かにそりゃ無駄だ・・・
この外壁がどれくらいの距離続いてるか分からないが、全ての不法入国者をこの壁で阻めるかと言われれば不可能であるし、そんなものに金と人員を使うなら、アリシエーゼの言う通り、各村や街の入口で検問所を設置して審査した方が効率的だと思った。
「まぁそう言ってやるなよ。確かに全ての侵入者を防げているかと言われれば、それは疑わざるを得ないが、ハイスタード帝国が多方面から進行してくる脅威は常にある訳だから、その防波堤と言う意味でもあれを維持しておく意味は十分あるだろ」
俺とアリシエーゼの会話に突如、ドエインが割って入って来る。
そう言えばドエインは北の関所の大隊に所属しているんだったか。
「うーん・・・対ハイスタード帝国って意味でも間者とか入り込んじまってるんだからあまり意味無いと思うんだけどなぁ」
「間者?」
「あぁ、そうか。ドエインは知らなかったか。俺達の仲間にハイスタード帝国の元間者の部隊が居るんだけど、他の部隊の情報は持って無いけど、少なくとも其奴らは、かなり大規模な工作をしてたぞ」
「大規模ってどんな事だ?」
「数万のゴブリンをダリス領の街等に嗾け様としてたぞ」
「す、数万!?嘘だろ!?」
俺の言葉にドエインはかなり狼狽する。
「いや、マジだって。俺達もこの目でそのゴブリンの大軍を見たしな」
「うむ、本当じゃぞ」
「そ、そんな・・・」
アリシエーゼが俺の言葉に同意すると、ドエインはそれ以上何も言えずにパカリパカリと馬の蹄の音だけが辺りに響いていた。
「まぁ、その辺の企みは俺達が阻止したから気にしなくていいけど、そんだけ大規模な工作が出来る奴らが入り込んでるんだぜ?ハイスタード帝国のそう言った工作レベルはかなり高いと思えるし、そんなのがどれ程の数がいるかは分からないが、入り込んでいないと考える方が余程不自然だろ」
「・・・それは大隊に報告していいか?」
「ダメだ」
「・・・」
ドエインの問いに俺は即答した。
「ゴブリンの大軍の話はもう片が付いたって言っただろ。俺達を引き合いに出すのならお断りだ、面倒臭い」
この話は終わりと言わんばかりの俺の言い方にドエインはそれ以上は何も言わなかった。
それから暫くアリシエーゼと話をしてから俺達は再び馬で駆けた。
関所に近付くに連れてその全容が明らかになって行った。
関所から続く外壁は話に聞いた通りの大きさで、外壁と言うよりは大きく頑丈な柵と言う感じだった。
先端は尖っており、侵入の妨げを目的とした作りで、内側には弓兵を配置出来る様に足場が設けられており、その足場に登る為の階段や梯子も所々に設置されていた。
五メートル程と聞いていたが、それ以上有りそうに思える。
しかも唯、木材を打ち込んでいるだけじゃ無い
しっかりと防壁となる様に分厚さと頑丈さを兼ね備えた造りになってるし・・・
本当にどれ程の労力を費やしてんだ・・・
そんな防壁も然る事乍ら、更に目を引くのが関所の周りをグルりと囲む様に出来た街だった。
「関所なのか街なのかどっちだよ・・・」
「こっちに広がってるのは、準公認の施設とかが主だぜ。けど、正式じゃないから名前なんて物も無いからこれらを含めて北の関所って言っている」
ドエインが言うには、関所の此方側、つまりはダリス方面のこの街としか言えない建物の数々や其れらが形作るこの街並みとも言える光景は、大手、中小含めた傭兵団の団員募集事務局を兼ねた出張所の様な事をしている小屋やテントが無数に有り、そこに詰めている人員と、関所を通過する人達をターゲットにしている商人の臨時の店舗兼寝床となっているテントが無数に存在していた。
小屋やテントは不規則に並んでおり、街と言うよりも難民キャンプと言った方がしっくり来る。
「何でこんな所にキャンプ張ってんだ?」
「関所の中は国が正式に公認の商店だとか宿屋で埋まってるからな。他は入り切らないからこっちってこった」
「そうなのか・・・」
目の前に広がる、難民キャンプの様相を呈した光景も圧巻だが、その傭兵団等の集まりの奥に目をやると外壁と同じ高さで、横は十メートル以上ありそうな巨大な門が見えていた。
「大きいですねぇ・・・」
声の方に目をやると、明莉が門の大きさに目を丸くしていた。
他の面々も見ると、ドエイン以外は皆、門や外壁、その周りに広がる光景に圧倒されていた。
「ちょっと待て、関所の中ってらどんだけ広いんだ?さっき、外壁の警備部隊で数万居るって言ってたよな?」
門は開け放たれているので、そこから見える限りは関所の中は其れこそ街の様な作りになっているのが伺える。
門と同程度の幅の石畳の道が真っ直ぐに伸び、かなり先に見える北側の門まで続いている。
その目抜き通りの様な道の左右に多数の店舗等が建ち並び、この店舗は通常の街の中にある店舗と同様に木材や石材で確りと作られている様に見えた。
思ってた以上の数の店舗があるな・・・
関所の中にはこの見えている目抜き通りの様な道がメインで店舗は全てこの通りにしか存在していないとの事であった。
「この通りの右に街道警備隊、左に外壁警備隊の施設があるんだ」
ドエインの言葉に俺は耳を疑った。
「・・・つまり、この通りの左右に軍の施設がかなりの面積で広がっていると?」
「そう言う事だ」
そんなバカな・・・
警備隊併せて数万だろ?
そんな数の人間を収容出来る施設とかが、ここからでは見えないところに広がってるのか・・・?
だが、ここでふと思った。
でも、外壁の警備兵とかはかなりの数常に警備で出払ってるから、別に全員が寝泊まり出来る施設とかを作る必要は無いのか?
そう考えると、街道警備の方も出払っている人数の方が多いんだろか
とりあえず直接見ない事には何とも言えない為ら俺達は関所のもんの方へ歩を進めた。
ここからは色々ごちゃついている為、馬から降りて歩いて行く事にした。
先ずはドエインの報告を済ませて・・・
それからちょっと関所内の店でも周りますかね!
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