第81話:今後の憂い
出来るだけ、連日投稿出来る様に頑張ります。
無理だったら、優しく微笑んでください。
翌朝、俺達は手早く準備を済ませて、モニカとユーリーの村を出た。
ちなみに、村はサウロ村と言うらしい事を村を出る直前に知った。
もうその名前も何の意味も無いんですけどねと寂しそうに笑ったモニカがとても印象的だった。
村にはまだ色々と物資等が残っていたが、武具等は納品した後であまり無く、荷物になるからとモニカが言っていた為、俺達は特に何も言わずに村を出た。
ただ、犠牲となった聖女一団の騎士と傭兵の馬が五頭残っていたので其方は有難く徴収する事にして、村にあった鞍で二人乗り用の物などは頂いたが。
「ケツは思った程痛くないなぁ」
俺は安定の乗馬技術を傭兵達から拝借して自分で馬を操りそう言った。
「・・・ケツハダメ、キタナイ。オシリ」
「はいはい」
俺に前で抱えられる様に一緒に乗馬しているユーリーの言葉に笑いながら答えた。
馬は五頭しかいない為、一頭に二人で乗馬する形にする事にしたが、何故かユーリーは俺とのペアを希望した。
アリシエーゼとモニカは猛反対していたがユーリーが譲らなかった為、俺とユーリー、モニカと明莉、ソニとアルアレ、パトリックとドエイン、そしてナッズと篤だ。
アリシエーゼはと言うと―――
「な、何故妾だけこんな扱いなんじゃッ」
ナッズと篤が乗る馬の首の部分にしがみつきながら憤るアリシエーゼだが、もう一頭馬が残っていれば良かったが、仕方無い。
「わははッ、お似合いじゃねーか!」
俺は笑いながらナッズの操る馬の横に並ぶ。
「ぬぬぬッ!ユーリー!変わるんじゃ!」
「・・・」
ユーリーはまるで聞こえていない様に、アリシエーゼの言葉に一切の反応を示さなかった。
「きぃぃッ!聞いておるのか!?」
「お、おいッ、暴れんなよ!」
馬上で暴れ出すアリシエーゼにナッズが釘を刺すがアリシエーゼの怒りは収まりそうも無いので俺は少し離れる事にした。
「あぁッ!?待つのじゃ!こらぁ!」
「・・・ったく、五月蝿ぇなぁ」
「・・・ウン」
「聞こえとるぞぉ!こらぁ!!」
「「・・・・・・」」
俺とユーリーはそれ以上は何も言わず、サウロ村から街道へ続く道を只管馬で戻った。
昼前には街道に戻って来れたが、街道には当然ながら聖女一団が待ち受けている訳でも無かったのでそこからは北の関所を目指して街道をひた進んだ。
この世界の馬は地球で見た事のあるどの馬よりもデカく、有り得ないくらいの筋力があり、スタミナも果てしない。
なので航続距離は地球のそれとは一線を画すが、それでも休憩は必要だ。
強行軍ならば、馬にもスタミナ増強や回復魔法を掛けながら走り続ける様だが、俺達はそこまで急いではいないので、適度に休憩を挟みながら進む事にした。
「全然、魔物が出なくなったな・・・」
休憩中、俺は左に深い森、右に平原が続く街道を見てそう言った。
「やはりあのコボルト共が原因じゃった様じゃのう」
平原の野っ原にだらしなく寝そべりながらアリシエーゼが返して来る。
スーパーコボルト隼人に身体を真っ二つにされたアリシエーゼは予備で持って来ていた服に着替えており、その服は前とあまり変わりは無いが、撫子色のワンピースに真っ白いフード付き外套を羽織っている。
おかしいな・・・
此奴、闇属性のはずなのに何でこんな鮮やかな色を好むんだ・・・?
「・・・そうみたいだな。そう言えば気になってたんだが―――」
俺は隼人との戦闘の時に疑問に思った事をアリシエーゼに聞いてみる事にした。
「なんじゃ?」
「ユーリーに精霊の制御を寄越せとか叫んでただろ。あれなんだ?」
「何だと言われてものう。そのままじゃよ」
「周りの精霊がユーリーの制御下にあったから、アリシエーゼは上手く精霊魔法を使えなかったって事か?」
「うむ。低位の精霊をその制御下に置いている事は想像出来たが、まさか中位の精霊もとは思わなんだ」
それはつまり、アリシエーゼよりもユーリーの方が精霊との親和性と言う物が高くて、アリシエーゼが何を言っても全然言う事を聞いてくれなかったって事なのだろうか。
「大規模なあのメ●オみたいなのをぶっ放したから、精霊の制御がユーリーから離れたって事か?」
「そうじゃ。ちなみにユーリーのあの魔法はの、アルアレは低位の精霊魔法を無詠唱で連続発動させていると思っておる様じゃが、あれ一発一発が中位の魔法じゃぞ」
「マジかよ!?」
「一発の威力は流石に抑えておったがの。じゃがそれでも中位精霊の力を借りた魔法をあれだけ連発するとは、妾も腰を抜かしそうになったわい」
「・・・そうなのか」
一発の威力も間近に落ちた物を見たが、確かに小規模なクレーターの様な物も出来ていたし、直撃したら木端微塵になりそうな雰囲気はあったなと思い出す。
「まぁ、あれを見たお陰で、最後に妾が放った魔法もイけると踏んだんじゃがな」
「あぁ、無限核熱封界とか言う奴か」
「うむ、あれはの、まだ開発途中の、この世界では禁呪指定されとる魔法じゃ」
「き、禁呪!?」
そんな危険な代物だったのかと俺は戦慄する。
「まぁ、そんなもの人間が勝手に言ってるだけじゃからの。ただ、なかなか研究が進まんでのう」
「ユーリーに力貸せって言ってたのはそれでか」
「うむ。対象の外側に超高密度の結界を十六重ねせにゃならんし、大精霊の力も四必要じゃからのう。ちと妾一人ではキツいんじゃよ」
そう言ってアリシエーゼは難しい顔をした。
ダメだ、想像を絶していて、俺には何が何だか分からない。
分からないが、この半分出鱈目の様なアリシエーゼでも制御不可能な魔法が存在するし、それをユーリーの力を借りる事で何とか発動出来たと言う事だけは分かった。
「そんだけヤバい魔法でも倒せなかったあの触手ってヤバくね・・・?」
「・・・うむ」
そこから俺とアリシエーゼは黙ってしまった。
暫くそうしていると、アルアレから声が掛かる。
「姫様、そろそろ」
「うむ」
アリシエーゼはそう返事をしてその場から飛ぶ様に跳ね起き、服に付いた草を払った。
「・・・妾の予想じゃがの」
アリシエーゼは仲間の元に戻る途中に俺にそう言って一旦言葉を区切る。
「うん?」
「あんなウネウネの様な物が、魔界にはゴロゴロしとると思うんじゃよな」
「・・・・・・・・・」
そう言ってアリシエーゼは仲間の元に小走りで向かった。俺はアリシエーゼのその言葉の重みや深みを考える。
今のままじゃ魔界に行ったら全滅、かもな・・・
ちょっとマジでどうしよう・・・
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