第79話:新たな仲間
出来るだけ、連日投稿出来る様に頑張ります。
無理だったら、優しく微笑んでください。
俺達が仲間の元に戻ると直ぐに聞き慣れない声の主から声を掛けられた。
「お、戻って来たか、旦那」
旦那?
ってか誰だコイツ?
「誰だお前?」
「え、えぇ!?もう忘れたの!?嘘だよな!?」
男は鉄製のハーフプレートメイルと兜を身に付け、腰にロングソードをぶら下げていた。
よく見ると、顎には無精髭を生やしており、何だか軽薄そうな物言いだが、記憶に無い。
「嘘じゃない。誰だお前?聖女一団の傭兵か?」
「いやいやいや!有り得ないよ!?あの戦いの前に話しただろ!?」
「?」
俺が本気で分かって無い事を見て取ると男は絶望の表情を浮かべる。
「・・・ほれ、おったじゃろ。街道警備兵の生き残りで、明莉を聖女とか言っておった奴が」
アリシエーゼのフォローで漸く思い出す。
「あぁ!あの女の脚に縋り付く変態か!」
「おぃぃぃ!違うだろ!いや、違わないか?いやいや、違うよ!ドエイン・ムルラー!北方警備軍街道警備隊第十五番隊のッ」
「そう言えば居たな。何だ?ずっと隠れてたのか?」
あの時は必死だった事もあってか、コイツが居た事に全く気付かなかった。本当に。
「隠れてねぇよ!あの戦いの時はずっと聖女様の傍で聖女様護ってたよ!」
「嘘クセェな。本当に居たのか?」
「酷いなッ、おい!ってか何なんだお前!」
「はいはい。で?何で此処に居んの?聖女達と一緒に行ったんじゃ無かったのか?」
「いや、本物の聖女はこっちだし!ねー?」
ドエインはそう言って明莉に向かってニカッと歯を見せて笑った。
それを見た明莉は後退りしてまるで変態でも見るかの様な目をドエインに向ける。
「せ、聖女じゃないですけど、この人がずっと傍で私達を護ってくれていたのは本当です」
明莉は優しいなぁ
こんな変態もちゃんとフォローしてあげて
「ほら見ろ!」
ドエインは明莉の言葉を受けて得意気に俺に言った。
「ってかアンタ、そんな話し方だったか?」
「覚えてるじゃねぇかッ」
確かこんな話し方じゃ無かったはずだが・・・
「あの時はまだ警備隊隊長として振舞ってたんだよ」
「今は違うのか?」
「俺は警備隊を辞める」
ドエインはいきなり訳の分からない事を言うが意味が分からなかった。
「はぁ?何でだよ?」
「元々俺は隊長なんてガラじゃねぇし、それに―――」
そう言ってドエインは明莉を見る。
はぁ・・・そう言う事か
「俺は聖女様をお護りする事にした!」
「えぇぇッ!?」
俺はこれを予想していたが、明莉にとっては予想外の事だったらしく、目を丸くして驚いていた。
「だから仲間に入れてくれッ」
「・・・」
俺は何も言えなかった。
警備隊の賃金がどれ程の物かは分からないが、農民とかよりは安定して稼ぎも良いんじゃないだろうかと思うが、それを捨てて俺達に付いて来るとはどう言う了見だろうかと考える。
だが、考えるまでも無く、コイツの行動原理はもう聖女ありきになっているんだろうと直ぐに納得した。
「ただ、ここでの出来事は最後に報告だけしたい。犠牲になった部下の事とかもあるしな」
そう言ってドエインは真剣な表情になる。
「それは・・・そうした方がいいと思うが・・・」
「アンタら何処に向かってるんだ?」
「・・・魔界だけど」
「おぉ!じゃあ、北の関所も通るな!俺の隊は彼処の大隊に所属してるんだ。関所通る時にちょっとだけ寄らせてくれ!」
いや、何もう一緒に行動する事確定してんだよ・・・
「・・・どう思う?」
俺は返答に困りアリシエーゼに話を振った。
「別に良いのでは無いかの」
アリシエーゼは特に気にする素振りも見せずにそう答えた。
「えぇ?いいのか?」
「好きにするが良いよ。ただ、今後もあのウネウネの様なのと明莉達を気に掛けつつ戦えるというのであれば断れば良かろう」
「うッ・・・まぁ、そうなんだが」
痛い所を付いて来るなと思ったが核心を付いてるなとも思った。
確かにあの触手はかなりヤバかったので、俺は仕方無いかとドエインに返答する。
「・・・分かったよ、一緒に来ればいい」
「おッ!いいのか!?」
「えぇ!?本気ですか!?」
明莉は嫌がっているが、色々考えると専属の護衛が付くのは決して悪い事では無いであろうと思った。
「但し、明莉だけじゃなく、篤も護衛対象だからな」
「アツシってこの男か?」
ドエインはそう言って篤を見て言った。
「あぁ」
「いや、私には必要無いぞ?」
「必要だよ」
「何故だ?」
「何故って・・・魔力無しと戦うならいいが、同じ身体強化した奴と戦うならお前じゃ無理だよ」
「だが然し、自分の身くらいは自分で護れると思っている―――」
「じゃあ、ここの誰かと実際やってみろよ。勿論、俺とでもいいぜ」
そう言って俺は篤を真っ直ぐに見据えた。
「・・・・・・」
篤も俺の目を真っ直ぐに見詰め、そしてグルリと仲間達を見る。
「・・・そ、そこまで言うのなら私も男だ。やらせてもらおう!」
ほぅ?
明莉とは言わせ無いぞ?
「意外だな。誰とやる?」
「勿論!ユーリーくんだ!」
「・・・・・・」
俺は絶句したが、他の仲間達もきっと同じだっただろう。
え、何コイツ堂々と宣言してる訳?
こんな子供を指名する?
「・・・本気で言ってんのか?」
「わ、私は身体強化を発動出来る様になったばかりだ。これくらいのハンデがあって然るべきだろう」
そう言っている篤は明らかに目が泳いでいた。
「流石にユーリーは無いだ―――ろ?」
言っている途中で服の裾を引かれる感覚があり振り返るとユーリーが立っていた。
「・・・イイヨ」
「え?やるの?」
ユーリーは俺の問いにコクリと首を縦に動かした。
「えぇ?本当に?」
そう言って俺は保護者であるモニカを見る。
モニカは俺の視線に気付いてそしてニコリと笑った。
「大丈夫ですよ。ユーリーはきっと私よりも強いですから」
自信満々でそう言うモニカの顔は別に家族贔屓している風では無く、本気で言っている様に思えた。
「・・・そう言うなら」
「よしッ!では早速掛かって来るが良い!」
話が纏まったと見るや否や篤は元気良くそう言ってユーリーから離れて行く。
それを見て仲間達はゾロゾロと離れた。
俺も離れるがその際にユーリーに問い掛ける。
「本当にいいのか?」
「・・・イイヨ」
「・・・ちょっと心配なんだが」
「・・・ダイジョブ。アノヘンタイハ、オネエチャンヲイツモ、ヘンナメデミテルカラコラシメル」
「そ、そうか・・・」
何だか急に饒舌になった気がしたが気にしない事にし、ユーリーも何だかやる気なので俺は諦めて下がった。
「ふはははは!ユーリーくん!見るがいい!この華麗なるアクスボンバーを!」
そう言って篤はその場でまるでリング上でプロレスの如くロープを使ったラリアットの練習をしている。
所謂、エアプロレスだ。
腕を直角に曲げて、ロープの跳ね返りからのラリアットを練習している篤を見て、アリシエーゼは呆れながら言った。
「彼奴は何をしておるんじゃ・・・」
「知らん・・・プロレスの練習でもしてるんじゃないか」
俺もシラケた目で篤を見て、何だかどうでも良くなってしまったので適当に答えた。
「よーし、じゃあ、ここからは俺が仕切るぞー」
そう言ってナッズが一歩前に出た。
ナッズはこう言うの好きそうだなと思いながら、そこからは全て任せる事にした。
「・・・篤が暴走したらヤバいから何時でも止めに行ける様にしておくか」
俺はそう一人言うと、それを聞いていたアリシエーゼが少し笑いながら言った。
「心配せずとも直ぐに終わる。見ておけ」
堂々と腕を組んでふんぞり返るアリシエーゼに本当かよと疑いの目を向けるが、見守る事にした。
「じゃあ、準備はいいかー?」
「何時でも掛かって来るが良い」
「・・・ウン」
篤は何処かで見た事ある様な、中国武術の真似事の構えを取り、ユーリーは大きな杖を右手に持ち、何時もの眠たげな目で篤を見据える。
さっきはラリアットの練習して無かったか・・・?
「じゃあいくぞ―――はじめッ!」
ナッズの掛け声と共にまず動いたのは篤だった。
「私が長い間掛けて生み出したこの究極殺法、見切れるかな!?」
そう言って篤は腰を落とし、両手首を曲げて腕自体をまるで鎌の様にして構えた。
と、蟷螂拳!?
いやいや、だからさっきまでプロレス練習してたよね!?
篤は正しく蟷螂拳の様な構えを見せ時折、相手を威嚇する様に、「シャアッ」とか言いつつ、腕で作った鎌を前後させる。
それを見て周りは、「なんだあれは!?」だとか、「まるで昆虫の様だ!」とか様々な反応が上がるが、俺とアリシエーゼは白い目で篤を見ていた。
バカだ、コイツ・・・
そして篤は突如、蟷螂拳の様な構えを解き、ユーリーに向けて走り出した。
えぇ!?蟷螂拳は!?
ねぇ、蟷螂拳はどうした!?
篤が開始位置から中程に差し掛かった時、それまで微動だにしなかったユーリーが動きを見せた。
「終いじゃ」
アリシエーゼがそう言った途端、直後にバチンッと何かが弾ける大きな音が響き、そして篤がその場で倒れた。
雷系の精霊魔法か?
そんな事を思っていると、動かなくなった篤に近付き様子を見たナッズが声を上げる。
「勝者、ユーリー!」
周りから、おぉっと小さく歓声が上がりユーリーほゆっくりと俺達の方へ帰って来た。
「・・・ドウ?」
「うん、凄かったよ」
ユーリーは上目遣いで俺を見上げて言うので、何だか俺は無性にユーリーを可愛く思い――いやいや、変な意味じゃないよ?―――ユーリーの頭に手を起き、ワシャワシャと頭を撫でた。
頭を撫でられたユーリーは気持ち良さそうに目を細めて俺の手を受け入れていた。
何か視線を感じ、モニカをチラリと見るとあから様に羨ましそうな顔で此方を見ていた。
このブラコンがッ
「今のは精霊魔法か?」
「・・・ウン、ヨワクシタ」
「そ、そうか」
俺自身、静電気の突然バチリと来るあれが非常に苦手な為、ちょっとビク付くが、とりあえず死なない程度に威力を弱めてくれた事に少しだけ感謝しつつ、ユーリーの頭から手を離し、篤が転がされている所に歩いて行った。
うつ伏せで倒れた篤は既に誰かに仰向けにされているが、白目を剥いて辺りには少し焦げ臭い臭いが漂っていた。
うわぁ・・・
中々に派手にやられたなと思いつつ、ユーリーも余り怒らせない様にしようと心に誓った。
バチリとされたらたまったもんじゃ無い・・・
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