第64話:地獄
出来るだけ、連日投稿出来る様に頑張ります。
無理だったら、優しく微笑んでください。
あれからモニカに俺専用装備―――と言っても剣帯だけだが―――を作って貰い、完成したそれを装備した時の感動を思い出し俺は言う。
「アリシエーゼ、見て、これ!こんだけ動いても全然ズレないし凄くいいよ」
俺はそう言ってダイニングで椅子に座っているアリシエーゼに尻を向けて、如何に激しく動いても剣帯がズレたり浮いたりしないかを尻を激しく揺らす事で表現する。
「・・・もう分かったと言うておろう」
「何だよ、つまらねぇ」
「先程から何回同じ話をしとるんじゃ!そんなに嬉しいか!」
「嬉しいだろ!分からねぇのか!?」
「分からんわ!唯の剣の鞘では無いか!」
「鞘じゃねぇ!剣帯だ!」
「どっちでも良いわッ」
「よくねぇよッ」
そんな言い合いを、アリシエーゼと共に夜番をしている最中に繰り広げているが、俺達は特に寝ずとも元気一杯なので、若干声も大きかったりする。
そんな夜中の騒々しさからか、二階から誰かが階段を降りてくる音が聞こえた。
小さい足音であったが、俺とアリシエーゼからすれば気付かないと言う事は有り得ない。
アリシエーゼと会話しつつ、二人で階段の方を気にするが途中まで降りてきてはいるが此方に顔を見せる気配は無い。
暫く待ってはみたものの変化は見られなかったので堪らずアリシエーゼが声を掛けた。、
「ユーリー。そんな所に居らずにこっちに来たらどうじゃ」
「・・・」
反応は無いが動く気配も無いので、階段の中段辺りで佇んでいるのだろうか?
「お前、嫌われてんじゃないのか?」
「そっくりそのまま返すぞ・・・お主、化け物とか言われておったじゃろ・・・」
「うッ・・・」
忘れていたが、ユーリーは俺の事を化け物と呼びとても怖がっていた。
どっちかって言うと、アリシエーゼの方が化け物なんじゃ・・・
そう思ってアリシエーゼを見ると、アリシエーゼが既に俺に睨みを効かせていた。
「・・・お主、また変な事考えたじゃろ」
「だから何で分かる―――あッ」
「きぃぃぃ!やはり考えておったでは無いか!」
「クソッ、まさかアリシエーゼなんかに嵌められるとは!」
「なんかとは何じゃ!お主のゲスい考え何ぞお見通しなだけじゃッ」
ユーリーを放ってまた俺とアリシエーゼが騒がしくしていると、いつの間にかユーリーが階段から降りて来て俺達の前に立った。
「お、やっと降りて来たか。どうしたんだ?俺達が煩くて寝られなかったか?」
俺は極力優しく問い掛ける。
だってこれ以上嫌われたくないし・・・
「・・・」
目の前に立って、面と向かい質問を投げ掛けるがユーリーは反応しない。
俺とアリシエーゼは言い合うのを中断し、ユーリーが応えるのを待つ。
「何か言いたい事があるんじゃろ?言わんと分からんぞ」
「・・・」
それでもユーリーは黙ったままだった。
ただ、アリシエーゼが言う様に、きっと何か俺達に言いたい事や伝えたい事があるのだろうと、静かに見守る事にした。
「・・・・・・モ・・・」
ユーリーが何かを言った気がした。
「うん?何か言ったか?」
「・・・・・・バケモノ」
ユーリーは可愛いく凛とした、でも小さい声でそう言って俺を指差した。
「・・・」
「・・・うわぁっはっはっは!!ほーれ見ろ!言われておるではないかッ」
ユーリーの発言を聞いてアリシエーゼは爆笑した。
ぐぬぬ・・・
「・・・」
するとユーリーは俺を差していた指を今度はアリシエーゼへとゆっくり向けた。
「む?何じゃ?」
「・・・・・・ザンネン」
そしてアリシエーゼにまた小さい声でユーリーは言った。
「・・・」
「・・・ギャーッハハハハ!そうだよ!お前は残念な奴だ!だからいつも言ってるだろ!この似非幼女めッ!お前何かが本物のユーリーに勝てる訳ないだろ!」
「ぐぬぬぬぬ・・・」
俺はここぞとばかりにアリシエーゼを罵った。
っと言うか、ユーリーはこんな事を言いに来たんだろうか?
「・・・・・・ザンネン」
ユーリーはまたアリシエーゼを指差してそう言った。
「・・・・・・ケド」
しかし今度は続けてアリシエーゼを差していた指を俺に再度向けた。
おい、まさか・・・
「・・・・・・バケモノ・・・ノ・・・ホウガ・・・コワイ」
な、何でそんな事言うんだ!?
「・・・ユーリーよ。それだけを言いに来たのか?」
アリシエーゼもユーリーがただそれだけを言いに来たのか疑問に思っていた様だ。
「・・・」
ユーリーはまた押し黙った。
多分、まだ何か言いたいんだと思うが、今度は何を言われるのかと若干ドキドキしてしまった。
俺達はユーリーの次の言葉を唯待った。
「・・・・・・バケモノノチカラ・・・コワイ・・・ツカウノ・・・ダメ」
化け物の力?
俺だけを化け物と言う事は、アリシエーゼの眷属化とは違うと言う事か?
「・・・それは、俺の、俺だけの力の事を言ってるのか?」
俺の問いにユーリーは言葉を発しなかったが、頷いて答えた。
「・・・何でそれを知ってる?」
「・・・・・・セイレイ」
「精霊が教えてくれたって事か?」
ユーリーはまた無言で頷いた。
俺はもう一つ質問をした。
「・・・何でこの力を使っちゃダメなんだ?」
「・・・」
またユーリーの答えを待つ時間となった。
そして思う。
これって、ユーリーと精霊が会話だか対話だかをしていて、その答えを待ってから俺達に答えてるから反応が遅いのか?
「・・・・・・ヒキヨセル」
引き寄せる?
「・・・何を引き寄せる?」
「・・・」
何だか胸騒ぎがした。
「・・・・・・ジゴクヲ」
「「・・・・・・・・・」」
俺とアリシエーゼはそれに対して何を言ったらいいか分からず押し黙った。
地獄を引き寄せるとはどう言う事だろうか・・・
俺は訳が分からずアリシエーゼを見るが、それに気付いたアリシエーゼは肩を竦めた。
「・・・・・・ツカッチャダメ」
ユーリーはそう言って俺の足元へとトコトコ歩いて来て、俺の腹の辺りをポンポンと叩いた。
!?
これってもしかして、俺を化け物って言ってたのも、この力を使うなって事を伝えたかっただけなんじゃ・・・?
「な、なあ、ユーリー」
「・・・・・・ナニ」
俺が名前を呼ぶとユーリーは俺を見上げ、頭をコテッと横に倒した。
か、可愛い・・・
「お、俺の事は嫌いか・・・?」
「・・・・・・キライジャ・・・ナイヨ」
オォォォォォッ!!??
「そ、そうか、良かった。じゃあこれからは俺と仲良くしてくれるか?」
ユーリーは頷いた。
やったぜ・・・
俺はやった!!
「・・・・・・デモ・・・チカラツカッテホシクナイ」
「・・・それは厳しい。ただ、ユーリー達には絶対使わないと約束する!それじゃあダメか?」
「・・・」
ユーリーはまた押し黙った。
精霊と話しているのだろうか。
「・・・・・・イマハ・・・ソレデイイ」
今は?
後々ダメになったりするんだろうか・・・
ただ、今はそれを考えても仕方が無いかと気持ちを直ぐに切り替えた。
「そうか、ありがとう。じゃあ、これからよろしくな」
そう言って俺はユーリーに微笑んだ。
ユーリーはそんな俺を見て表情を変えずにコクリと頷いた。
地獄ね・・・
元々、俺の行き着く先は地獄だと思っている。
俺はそう言う人間だと思うからだ。
あっちからやって来るってなら迎え撃ってやるよ
掛かって来い!地獄の鬼だろうが何だろうが、纏めてぶっ飛ばしてやるからよ!
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