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異端の紅赤マギ  作者: みどりのたぬき
第2章:闇蠢者の襲来編
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第60話:生き残り

出来るだけ、連日投稿出来る様に頑張ります。

無理だったら、優しく微笑んでください。

「殺したか?」


 敵に馬乗りになって拳を振り上げている俺の元にアリシエーゼが来てそう言った。


「・・・いや、殺してない」


 俺はそう答えて振り上げていた右腕を下ろして、女のエルフから立ち上がり一歩引いた。


「・・・なんじゃ?殺さなかったのか」


 そう言ってアリシエーゼは気絶している女エルフの元までやって来て顔を覗き込んだ。


「エルフでは無いか!?この集落の生き残りか!?」


「それが分からないからとりあえず生かしておく事にしたんだ」


 俺は頭をガリガリと掻きながらそう答えた。


「そうじゃな、それが良かろう。して、どんな攻撃をしたんじゃ?」


「飛び膝蹴りを喰らわせた。ちょっと余り手加減出来なかったから・・・頭蓋骨陥没してたりしないよな・・・?」


「さあ、どうじゃろうな」


 アリシエーゼはそう言って、倒れている女エルフの頭を触って確認を始めた。


「たぶん、骨に異常はなさそうじゃが、念の為にパトリックに治療する様に言っておくかの」


「そうしてくれ」


「うむ。では妾は先に大樹の前に戻っておるからそ奴を運んで来てくれ」


「あぁ、分かった」


 アリシエーゼは俺にそう言うと走って集落の中に戻って行ったので、俺はデス・・・3(スリー)だったか?に声を掛ける。


「運ぶのちょっと手伝ってくれ」


「いえ、他の者と運びますのでハル様はそのままで」


 デス3(スリー)がそう言うと直ぐにデス1(ワン)が此方に合流した為に女エルフを運ぶのはデス隊に任せる事にした。


「ハル様、ご無事でしたか」


「あぁ、問題無い。お前らもありがとうな」


「・・・はッ」


 その後、デス2(ツー)も合流して女エルフを大樹の前まで運んで貰い、俺はその後ろを着いて行った。

 その間、改めて女エルフの顔を確認すると、感嘆の息を漏らした。


「はぁ、化粧もして無いのに、エグいくらい綺麗な顔してんなぁ」


 女エルフは正に俺の思い描く、ファンタジーのエルフそのもので、顔立ちはこの世のものとは思えない程綺麗であった。

 髪は明るいゴールドで、アリシエーゼの髪も綺麗だとは思ったが、このエルフはそれよりも明るい金髪で、潤いも傍から見てもの凄いものだと分かった。

 目鼻立ちは有り得ない程クッキリしており、気絶して目を瞑っていたが、目を瞑ってこれなら、目を開けた時はどれ程の完成美となるのか、想像しただけで恐ろしかった。

 そして、顔立ちにも増して目が行くのが、デス隊に腕と足を持たれた形で仰向けになっており、外套も装備しているのにも関わらず、これでもかと存在を主張している、お胸の部分だ。

 外套越しでも分かる程のバインバイン具合に加え、その他の部位もなんだか、想像しただけで魅了されそうな程の何かを醸し出しているのが分かった。


「ヤバいだろ、これ・・・」


 俺の呟きは、デス隊に聞こえていると思ったが、デス隊の面々は何も言わずに女エルフを運び続けた。

 暫くして女エルフを大樹の元まで運んで行き、そのまま地面に置くと、パトリックが直ぐに回復魔法を掛けた。


「オンス・エンダ・ホリクタース・アッダイ・ウル・ホル」


 パトリックは目を瞑り、右手を女エルフの頭にそっと添えて魔法詠唱だろうか、言っている意味は分からないが、小さな声で始めた。


「我は僕、加護の力、癒力賜んと願う、我は僕、再戦の力、賜らん」


 今度は意味のある言葉を続けて紡いだ。

 その言葉が終わるとパトリックはそっと目を開けた。


大癒力活性魔(ハイ・ヒール)


 最後に魔法名を口にすると、パトリックが頭に添えていた手が花萌葱(はなもえぎ)に輝き、女エルフの頭全体を光が覆う。

 その光景が余りにも綺麗で、女エルフの美貌と相まって、俺はまるで奇跡の行いを目の当たりにしている様に思えた。


 いや、実際この行為自体が奇跡か


 アルアレも神聖魔法は奇跡を体現すると言っていたのを思い出す。

 暫くすると光が収まりパトリックは大きく息を吐いた。


「ふぅ・・・これで一応大丈夫だと思います」


「うむ、ご苦労」


 アリシエーゼはパトリックにそう答えると、地ベタに寝かされているエルフの傍まで歩いて行き、そして屈み込む。


「おーおー、何て綺麗な顔しとるんじゃ。妾の次に美しい顔をしとる様じゃ」


 アリシエーゼの言に俺達は一切何も発しない。

 自分の言葉に同意が無く怪訝な顔をしてアリシエーゼはこちらを振り返った。


「・・・なんじゃ」


「・・・何も言ってねぇだろ」


「・・・ふんッ、デレデレしおって」


「俺がいつデレたんだよ!?」


「どうじゃかな!どうせこのけしからん()()にでも目を奪われておったのじゃろ!」


 アリシエーゼはそう言って寝ている女エルフのバインバインを小さい手でこれでもかと揉みしだいた。


「お、おい、何やってんだお前!」


「五月蝿いッ、減るもんじゃ無いし良いでは無いか!」


「だから、それはお前の言葉じゃねぇよ!」


 何言ってんだコイツ

 寝ている女の胸を勝手に揉みしだいておいて言う台詞じゃねぇよ


「なんじゃ?妾達を殺そうとした奴じゃぞ?いつものお主なら容赦無く殺すであろうに。このけしからん身体に魅了されたかッ」


「んなッ!?お前何言ってんだ!?そんな訳無いだろ!お前だってこの集落の生き残りかもしれないからって殺さない事には同意しただろうが!」


「ふんッ!!」


 アリシエーゼは不機嫌に俺から顔を背け、またエルフのバインバインを揉み始めた。


 だから辞めろって・・・


「それにしても凄い綺麗な人ですね・・・」


 明莉は少し光悦した様な表情でそう言った。

 確かに、有り得ないくらいの美貌を持っている。

 もしもエルフが皆、こんな美貌を持っていたとしたら、世の男共は絶対に放っておかないだろうなと思った。


「・・・う、うーん」


 パトリックの回復魔法のお陰か、それともアリシエーゼがバインバインを揉みしだいていたからかは分からないが、女エルフが目を覚ました。


「お目覚めかの」


 アリシエーゼは屈み込んだ姿勢のまま、目を覚ましたエルフの顔を覗き込んでそう言った。


「ッ!!」


 エルフは驚き、そして今の状況を瞬時に判断して、飛び起き様と身体を動かす。


「ッう!」


 そこにパトリックが右足をエルフに落とし、身動きを阻止した。


 ちなみに足は丁度バインバインの辺りだ・・・

 ってか、パトリック容赦無いな・・・


「焦るな。妾達は敵では無いかもしれんぞ?」


 パトリックに足蹴にされ身動きが取れないでいるエルフの顔を再度覗き込みアリシエーゼは言った。


「お前達!何者だ!何故この村に―――」


「質問するのはこっちじゃ。お主自分の立場が分かっておるのかのう?うん?」


 そう言ってアリシエーゼは女エルフの頬を小さな手で鷲掴みにする。

 エルフの綺麗な顔なひょっとこみたいになるが、それでも美しい・・・


「・・・ぁ、ゥア」


 女エルフはそんなアリシエーゼの言動と行動に顔面を蒼白にして震えた。

 アリシエーゼは丁度俺達に背を向ける形であった為、表情までは伺えなかったが、何かヤバい雰囲気をヒシヒシと感じた。

 パトリックに目をやると、パトリックは俺達とは違いアリシエーゼとは向かい合っている。なのでアリシエーゼの表情を窺い知る事が出来るのだが、こちらも顔面蒼白で今にも白目を剥きそうであった。


 パトリックまで怯えさせてどうすんだ・・・

 って言うか、どんな表情してんだよ・・・


「自分の立場は理解したかの?」


 アリシエーゼが改めて問うと女エルフは無言で何度も頷いた。


「お主は何者じゃ?この村の住人か?」


「・・・は、はい。この村に住むモニカです」


「そうか。妾達はこの村に物資の補給を兼ねて立ち寄ったんじゃがな、着いた頃には既に村はこの様な状態にあった訳じゃ。村に生き残りは居らぬかと捜索しているところでお主が妾達を襲ったんじゃがな」


「・・・ご、ごめんなさい。私はてっきり、その」


 モニカはそこまで言って言い淀んだ。


 魔物の仲間だとでも思ったか?

 それともこの状況に便乗した盗賊か何かだとでも思ったのだろうか?


「お主は先程まで気を失っておっての。こちらで回復魔法は掛けてやったんじゃが。どうじゃ?どこか可笑しなところは無いかの?」


「・・・そうか、私は気を失って―――!!??回復魔法魔法!?そうだ!お、お願いです!!」


 モニカは突然何かを思い出し慌て出す。

 それを見てアリシエーゼはパトリックに目を向けた。

 パトリックはそれに気付き、モニカのバインバインに下ろしていた足を退けた。


「あ、ありがとうございます。あ、あの!怪我人が居るんです!どうか助けてはもらえないでしょうか!?」


 モニカの話では、この村を襲った魔物を追い掛けて街道警備兵達と森の奥へ向かったが返り討ちに会い、撤退を余儀なくされたらしい。

 街道警備兵はほぼ全滅で、隊長であった男一人が辛うじて生きていたので怪我を負っているが一緒に村まで逃げ帰って来たらしかった。


「その男はどこに居る?傷はどの態度じゃ?」


「場所は村の外壁辺り、丁度あの辺りです」


 モニカが示した方は、一番最初に矢が飛んで来た辺りだった。


「村の外に居ると言う事か。とりあえず向かうぞ」


 そう言ってアリシエーゼは負傷した男が居るであろう方へと一人で歩き出した。

 傭兵の面々もそれに続き、モニカも後を追う。


「俺達も行こう」


 篤と明莉にそう言って俺達も三人もアリシエーゼの後を追った。


「負傷の具合ですが、その・・・かなり悪いです」


 モニカは歩きながらアリシエーゼに向かい話しかける。


「ふむ・・・とりあえず見て見ないと何とも言えんな」


 そんなやり取りを続ける二人を見ながら俺も歩くが、どうしてもモニカのバインバインが気になってしまった。

 負傷している男の事や。この村の惨状の事もあり、不謹慎と分かってはいるが、どうしても目が行ってしまう。

 ふと篤を見ると、俺よりも露骨であった。

 モニカの主に身体を凝視し、一時も目を離さない。


 露骨過ぎるだろ・・・

 もしかしたら、篤の()()()()()()()()()が反応してる・・・のか・・・?


 少し早足で向かっていたので程なくして目的の場所に到達する。

 村の外側だった為、もしかしたら、コボルト等がやって来てる可能性もあったが、そこは問題無い様であった。


「こちらです」


 そう言って、モニカは外壁にもたれかかって座る一人の男を指した。


「これは厳しいのう・・・」


「酷いですね・・・」


「ひ、酷い・・・」


 アリシエーゼとパトリックは男の状態を見て顰めっ面をした。明莉は手で口を覆い、それ以外の言葉が出て来ないと言った面持ちで男を見て直ぐに顔を逸らした。

 崩れ落ちている男は、他のこの村にある遺体となんら変わる事が無い程損傷しており、今もカヒュカヒュと短い息を何とかしているが、生きているのが不思議な程であった。


「一番大きな傷は・・・もぎ取られたのか噛み切られたのかは分かりませんが、右の肩口から腕が無くなっているのと・・・右の横腹が抉り取られてますね・・・脚も折れているか・・・」


 パトリックはとりあえず状態を把握しようと男の傍によりあまり触れない様に観察をして俺達にも情報を共有する。

 そこで男は俺達に気付き、何とか顔を上げた。


「・・・ぇ、援軍、か・・・」


「・・・そうです。余り喋らない方がいいですよ」


 パトリックは半ば諦めた様に男に言った。


「・・・ぉ、お、れは、もう・・・ダメ・・・だ」


 男は最後の力を振り絞る様にパトリックの忠告を無視して続ける。


「た、たの、む・・・この、事を、知らせ、て・・・・・・コ、ボル、ト・・・ジ、ジェ、ジェネラ、ルが・・・」


 男の言葉に全員に緊張が走る。

 コボルト・ジェネラルと言った男は、もう殆ど死にかけの状態だったが、最後まで続けようとするが、それ以上言葉が出てこなかった。

 まだ息はしている様だが、言葉を発する力はもう残されていない様だ。


「姫様、僕ではこの傷は治せません・・・」


 そう言ってパトリックは立ち上がった。


「うむ、分かっておる・・・」


 アリシエーゼはそう言って、チラリと明莉を見た。明莉はその視線に気付き、直ぐに意を決した様に力強く頷いた。


 「やってみますッ」


 そう言って明莉はゆっくりと男に近付き、膝を付いて男と向かい合った。


 「・・・・・・・・・」


 明莉は深呼吸を繰り返し、そして首から下げているマナストーンを右手で握り、左手を男の前に翳す。


 「・・・治ってッ、お願い!」


 明莉の声にその奇跡は応える。

 前の時とは違い、男の身体がハッキリとした翠色(すいしょく)の光に包まれ輝いた。

 光が全身を包むと、奇跡が発現する。

 男の失った腕が肩口からメキメキと再生され、数秒で元に戻ったのだ。

 腕だけでは無い、抉り取られていた横腹の肉も再生し元に戻り、他の傷も瞬時に癒えていた。


 「・・・す、凄い」


 モニカは初めて見る明莉の奇跡にその綺麗な目を大きく見開き、唖然とする。

 俺達も既に見ていて知っているとは言え、この奇跡を見て再度驚いていた。


 「これはやはり凄まじいですね・・・」


 アルアレは呟く。そして、その奇跡に震える。

 他の面々も驚きを口にしているが、俺達とアリシエーゼ、篤は浮かない顔をしていた。


 こんな力、本当に代償無しに使えるのか・・・?


 分からないが、明莉は例え代償があるとしても自分の力を知って、出来る事を認識してしまった以上、ここで力を使う事は必然だと言うであろう事も分かった。

 なので、俺達には何も言えず、ただ眺める事しか出来なかった。


 「ふぅ・・・治りましたかね?」


 明莉はそう言って、大きく息を吐いてパトリックに顔を向ける。

 パトリックは慌てて男に近寄り、傷を確認する。


 「外傷はまったく残っていません。脚の骨折も恐らく治っています」


 パトリックはそう言って立ち上がる。


 「良かった・・・でも、こんなに血が流れていて大丈夫でしょうか・・・」


 明莉も立ち上がり辺りを見るが、確かに地面にはこの男から流れた血であろう、血溜まりがあった。


 「そうじゃな、かなり危険な状態なのは変わらんじゃろ。モニカ、どこかでこの男を寝かせたいが、無事な家屋でこの男を寝かせてやっても良いかの?」


 「も、勿論です!で、でも無事な家があるかどうか・・・」


 「それはもうこちらで確認しておる。とりあえずあの家に運ぶぞ」


 アリシエーゼは傭兵の面々にそう言って、一番最初に安全を確認した建物へと向かった。

 男は意識が無いのか自分では動けそうに無かったので、ナッズとソニが肩を貸す形で運んだ。

 建物に着き、男を二階のベッドがある部屋で寝かせると俺達は一階に集まり、まずはモニカから情報を聞き出す事にした。


 「あの、まずはお礼を言わせて下さい。ありがとうございます」


 モニカはそう言って俺達に深々と頭を下げた。


 「良い。まだあの男も助かるか分からんしな」


 出血多量で助からない事もあるだろうとアリシエーゼは言った。


 「はい、分かっています。それでもありがとうございます」


 モニカはもう一度頭を下げた。

 そして、顔を上げて俺達に言った。


 「お話をする前に、もう一ついいですか?」


 「なんじゃ?」


 「色々あって後回しにしていたんですが、私の家族を迎えに行きたいんです」


 「何処にじゃ?」


 「あの大樹の中に匿っています」


 「成程のう。何人隠れておる?」


 「一人です・・・私とその子しか残って居ません」


 「そうか、では直ぐに迎えに行くとしよう」


 「あ、いえッ、その、あの子本当に人見知りが激しくて・・・私一人で迎えに行ってここに連れて来ます」


 「う、うん?そうか、なら妾達はここで待つとしよう」


 「ありがとうございますッ!直ぐに連れて来ますね!」


 モニカは花が咲いた様な笑顔を浮かべて直ぐに建物を出て行った。バインバインと音を響かせながら・・・


 あの子と言ってたから、弟か妹だろうな

 もう一人のエルフ・・・

 楽しみだぜ


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