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異端の紅赤マギ  作者: みどりのたぬき
第2章:闇蠢者の襲来編
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第58話:認識阻害

出来るだけ、連日投稿出来る様に頑張ります。

無理だったら、優しく微笑んでください。

 明莉から、ヴァンパイアって?頭が吹き飛ばされて治るってどう言う事?とある意味素朴な疑問を投げ掛けられ、どう返答するべきか迷った。

 アリシエーゼを見ると、どうするんじゃ?みたいな俺に全てを押し付けている顔に若干イラだった事は内緒だ。


「あー・・・なんと言ったらいいか・・・」


「???」


 俺が言い淀んでいると、明莉はキョトンとした顔で俺の次の言葉を待っていた。


「俺達、ヴァンパイアなんだ!」


 そう言って俺はアリシエーゼを引き寄せて引き攣った笑みを浮かべて無意味に明るく打ち明けた。


「・・・え?ヴァンパイアって、吸血鬼ですか?あの?」


「そう、あの吸血鬼。でも普通の吸血鬼では無いと言うか、血は飲まなくても平気だし、日光も全然平気!」


 明らかに無理をした笑みを浮かべながら言う俺を明莉は見つめるが、その表情は不安か疑念か。

 いきなり人間じゃないと言われて明莉はどう思うのだろうか。篤の様に()()()()()()()に初めから耐性があったり、理解があるのなら、そんなに悪感情を抱かないと言うか、接して来た印象や心象で俺と言う存在を評価出来るのだろう。

 だが、明莉の様に日本のアニメや漫画、ゲームという物に触れては来なくて、吸血鬼と言うものが何となく悪だとか悪いイメージしか無かったら?

 そう考えると、明莉がどう思うのか、それを考えるの少し怖かった。


「・・・そ、そうなんですか」


 明莉は俺の告白を聞き、何とも言えない表情で曖昧に返事をした。


「吸血鬼と言っても、悪い吸血鬼じゃ無いよ、なあ?」


 俺はアリシエーゼに話を振るが、アリシエーゼは俺の振りに何故か気分を悪くしたのか、俺が引き寄せていた腕を振り解き、フンッと鼻で荒く息を吐き出して言った。


「悪いとか良いとかどうでもいいじゃろ。そんな下らない物差しで妾を測って言うなッ」


「な、何怒ってんだよ?」


「怒っておらんわッ!」


「いや、怒ってんじゃん・・・」


「うっさいわ!知らん!」


 そう言ってアリシエーゼは何処かへ歩いて行ってしまった。

 アルアレとナッズはアリシエーゼに着いて行き、ソニとパトリックはこの場に残った。

 傭兵団の面々は俺とアリシエーゼに関してやる事成す事、存在に関しては特に疑問を抱かせない様にしている。

 俺とアリシエーゼがヴァンパイアだったからと言ってこれと言って驚きはしないし、忌避もしない。「姫様達ヴァンパイアなんだってさ」「へー、凄いじゃん」くらいのノリだ。


「何なんだよ・・・兎に角さ、ヴァンパイアだからと言って、外見が異形だとか、人を殺したり何だとかは無いんだ。寧ろ、夜目が効く様になったり、傷が直ぐに治ったりっていい事が一杯みたいな?」


 俺は明莉を再び見てそう言い繕う。


「はあ、凄いんですね?でも、吸血鬼って、陽の光に弱かったり、十字架がダメだったりした気がするんですが?」


「普通の吸血鬼はそうなんだけど、俺は普通じゃ無いと言うかなんと言うか・・・」


 この辺りの説明が難しいなと考えていると明莉はそんな俺を見て不思議そうに言った。


  「・・・でも、人間、なんですよね?」


「・・・」


 更に難しい質問だった。

 これは色々、人によって解釈や価値観の違いで変わって来る。


「・・・俺はそうだと思ってるよ」


 厳しいな。単純にそう思った。

 寧ろ嘘を言っていると自覚さえしていた。

 ただ、明莉に変な意識をさせたく無いと言うか、忌避感を持って欲しくは無いと思い、自分をまだ人間だと言う。

 二足歩行の人型と言うだけでそれが人間かどうかと問われればそれは・・・どうなんだろうか。

 そんな事言ったら、ゴブリンやコバルトだってそうじゃなかろうか。

 アイツらが人間かと問われれば否と答えるだろう。

 じゃあ、ドワーフやエルフはどうなんだと問われればそれは人間と言う答えになるんだろう。大多数は。


 だからと言って俺が人間かと言われると・・・


「そうですか・・・うん、そうですよね!暖くんが怪物なんて思えませんしね!」


「そ、そう?」


「そうですよ!それに皆さんはもう知ってるんですよね?それであんな風に・・・凄い楽しそうで。だから暖くんが悪者とは全然思えません」


 悪者って・・・


「そう思ってくれるなら嬉しい、よ?」


「はいッ」


 ま、眩しい!

 明莉のその屈託の無い笑顔が眩しい!


 陽の光を克服したヴァンパイアを超越せし俺でもその輝く笑顔にやられてしまいそうだった。


「アリシエーゼちゃんもああ見えて凄い強いんですよね・・・?」


「そうだね、俺よりもきっと強いよ」


 ああ見えてってどう見えていたんだろうか・・・

 いや、考えなくても分かる・・・


「・・・それよりアリシエーゼは何処に行ったんだ?」


 何だか気恥ずかしくなり俺はこの話題を切り上げようと居なくなったアリシエーゼを探す様に辺りをキョロキョロと見回した。

 俺に吊られてこの場に居る面々も辺りを見回すが、アリシエーゼは見える範囲には居そうに無かった。


「早速、ヴァンパイアになって良かったメリットの出番では無いか?」


 篤がそう言って来て俺はすぐに言いたい事を理解した。


「メリット?」


 明莉はそんな篤の言葉の真意に気付いた様子を見せずに俺に聞き直す。


「匂い・・・と言うか嗅覚で感じてる訳では本当は無いと思うんだけど、匂いみたいな物で個人を識別出来る様になったんだよ」


「匂い、ですか?」


「うん。個人個人でそれは全然違ってさ。結構離れててもそれを嗅ぎ分ける事も出来るから、人探しには非常に役立つ」


「へぇ、便利ですね!」


「でしょ!ここに居るメンツは全員もう覚えたから探せるよ!アリシエーゼ以外・・・」


「え!?何でアリシエーゼちゃんだけ・・・?」


「臭い」


「え?臭い??」


「そう、アリシエーゼの臭いは・・・臭い」


「そ。そんな・・・可哀想ですよ・・・」


 俺の物言いに明莉は困った様な表情をして返した。


「いやいや、本当に・・・只只、臭いんだ・・・本当に・・・」


 俺はそう言いながら、あの宿場町で初めてアリシエーゼの臭いを嗅いだ時の事を思い出し気分が沈んだ。


「以前、大きな宿場町で暖がいきなり広場で叫びながら転げ回った事があっただろう?」


「・・・あぁ!いきなりだったんで物凄くビックリしました!」


「そう、あの時に初めてアリシエーゼくんの匂いを嗅いで、あまりの臭さにのたうち回ったあれだ」


 篤が明莉に宿場町でのゴロゴロ騒動の話を持ち出して説明をし出す。


「あの時はビックリしたなぁ・・・ふふ。何だか思い出したら可笑しくなってきました」


「そうだな。人間、本当にのたうち回る事があるんだと実感したよ、ははは」


 おい・・・


「そうだよ、あの時が初めてだよ。んで、あまりの臭さに今までその能力は封印してたんだけどさっきやってみたら、アリシエーゼ以外はみんな大丈夫だった」


「え・・・」


「うん?どした?」


「あ、いえ・・・何でも、無いです」


「???」


 先程まで篤と笑っていたのにどうした訳か明莉は急に暗い表情を浮かべた。

 何だか良く分からないが、何か失言してしまっただろうかと考えるが特に何も思い浮かばなかったのでそのままアリシエーゼーーでは無く、アルアレの匂いのする方向に向かって歩き出した。

 匂いは集落の北東方向からな気がするのでそちらに向かって暫く歩いた。

 すると、奥の方にアリシエーゼと他二人の姿が見えたので其方に向かうが、先には結構壊れた建物の跡と、そしてその建物の奥に大きな大樹が見えた。

 アリシエーゼ達の元に辿り着くが、アリシエーゼは腕を組んで頭を左右に倒しながら何か考え事をしている様であった。


「どうした?」


「・・・うん?あぁ、お主達か。いや何、なんじゃかこの辺り変な感じがせんか?」


「変な感じ?」


 俺はアリシエーゼの言葉の意味が分からずとりあえずこの辺りの雰囲気を感じ取る様に意識を集中してみるが、特に何か感じる事は無かった。


「・・・いや、特に何も感じないが」


「そうか・・・じゃが、この辺りに来ると精霊達も何故か騒がしくての」


 そう言ってアリシエーゼは何も見えない中空に向かって、手をまるで虫でも追い払うかの様に振った。


「それにしてもこの木でかいなぁ」


 俺は改めて大樹を見上げそう呟く。


「・・・?何を言っておる?この辺りは森に囲まれておるんじゃから木などそこかしこに生えておろう」


「いや、そうなんだけど、この木はこの辺りだと一番でかいんじゃないか?」


 アリシエーゼのさも当然の様な返しに若干違和感を感じつつ俺は木を見続ける。

 この木、大人が十人で手を繋いでも幹の部分は足りないくらいでかい。

 これが世界樹ですと言われると、こんな小さいのが?と思うサイズだが、それでも周りの木々に比べるとかなりの大きさだ。


「これだけ大きいと何かしら神聖なものを感じるな」


「???」


 アリシエーゼは俺の言葉に頭に疑問符を浮かべながらこちらを見上げる。


「本当に大きいですね。日本でこんなに大きな木は実際には見た事無いです」


 明莉も俺の言葉に同意して木を見上げる。

 木の枝部分は手前の今は壊れてしまっている建物に覆い被さる様な形で伸びており、建物に日陰を作っている形だ。


「・・・お主達、先程から何を言っておるんじゃ?」


「何って?この目の前にある大樹の大きさに感動してるんだが?」


「・・・大樹?」


 アリシエーゼは怪訝な顔をして、俺達が見つめる先を見る。

 その言葉と態度に違和感を覚えて、他の面々を見るとアリシエーゼと同じ様にまるで俺達が何を言っているのか分からないと言った様な面持ちだった。


「・・・お前ら、本気で言ってる?」


「お主こそ何を言っておるんじゃさっきから」


 アリシエーゼが巫山戯ている感じしない。

 ならば俺達が本当に変な事を言っているのだろうか。


 違うな、これは・・・


「お前ら、魔法か何か掛けられて無いか?」


「・・・魔法じゃと?」


「あぁ、俺とアリシエーゼには目の前に結構でかい木がそびえ立っているのが見えてる。でも見えてないんだろ?」


 俺の言葉にアリシエーゼはもう一度俺達が見る方向を確認して、むむむと唸った。


「・・・もしや、認識阻害か?」


 アリシエーゼからまた新たな異世界ワードが飛び出した。


 ほう、認識阻害とな・・・

 なかなかカッコよろしい


評価、感想、レビュー、ブクマ等頂けると小躍りします。

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