表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異端の紅赤マギ  作者: みどりのたぬき
第2章:闇蠢者の襲来編
55/335

第55話:エルフの村?

 昼間から結構な数の魔物を相手取り、不穏な空気を感じ始めた為、俺達は夜も見張りを立て、警戒を怠る事はしなかった。

 結果、その晩だけで三度の魔物襲来があったが、難無く撃退した。


「・・・様子は明らかにおかしいんじゃが、理由は今の所分からん。なので警戒は怠らず進むぞ。先に何かしらの()()があるやも知れん」


 アリシエーゼの言葉に皆力強く頷き、今日も街道を進む。

 俺達は街道をひた走り、馬車が無いので水分は各自が持っている皮袋に入れて、一日一回中身を交換している。

 森の中にある小川で補給する場合もあれば、街道の途中途中に存在する集落や街等が有れば立ち寄り、そこで補給する事もある。

 幸い、森の中の小川は暫くは、森の奥へは続かず、森から少し入った辺りを街道と並行する様に流れていた為、夜営の準備をしている間に数人で次の日の分の全員分の補給をしてしまっていた。

 また、テツヤから三日ほどだが、途中、小さな集落が二つ程存在した為、情報収集の為だけに立ち寄った。

 と言っても、全員で集落の中には入らず、二人程で中に入り情報を集め、他の者達はそれまでとは変わり、ゆっくりとしたペースで先に進むと言った形を取った。


「街道沿いの集落は今の所目立った被害には合って無さそうでしたが、確かに魔物の出現は増えたと言っていました」


「うむ。まぁ、やはりと言うべきかの」


「後、街道警備の兵は一週間程見てないって言ってたな」


「警備自体はしておって、妾達より一週間程はやく同じ方向に進んでおると言う事かの」


「そうだと思われます」


「ううむ・・・」


 アルアレとナッズの報告を聞き、アリシエーゼは難しい顔をして腕を組んで唸った。


「とりあえず、街道警備はしてるみたいだってのは分かったじゃないか」


「そうなんじゃが、それでこの魔物の多さと言うのは少し変じゃな。それに・・・」


「それに?」


「うむ、もし想定より魔物の数が多かったのなら、街道警備の兵達なら援軍を要請したりするはずなんじゃ」


「してるかもだろ?」


「まぁそうなんじゃが・・・」


 アリシエーゼが何を言いたいのか分からなかった。


「姫様は援軍を呼びに行ったとするのなら、何故私達とすれ違わなかったのかと言う事を気にしているのかと」


 アルアレが補足するが、それは―――


「俺達がテツヤへの洞窟でショートカットしている間に兵達は山脈を迂回するルートを通ったんじゃないのか?」


「それも当然考えられるのですが、もしかしたらイシス方面では無く、北の関所の方に援軍を要請したのかも知れません」


 アルアレの言葉は今度は俺にでは無くアリシエーゼに向けられた。


「そうなんじゃがな・・・この辺りは日に日に魔物の数が増えていっておる。どちらにしろ、早くせんとこの辺りの集落に被害が出るやも知れんなと思っての」


 お優しいこって・・・

 正直、俺は周辺の集落に被害が出ようがあまり気にしない


「どっちにしたって俺達で全て対処するのは無理だろ。俺達の進む先に邪魔な奴らがいるなら蹴散らす。そうすれば自ずと周りの被害も少しは軽減されるんじゃないか?」


「・・・そうじゃの」


 アリシエーゼはあまり納得はしていなさそうだが、俺達でどうにか出来る規模では無くなってきている。

 そんな話を走りながらしているがその間もパトリックとソニが前方や進行方向の森の中を注意深く警戒して進んでいる。

 すると、前方の街道から少し離れた森に近い位置に何かがあるのが遠目で確認出来た。

 最初はそれが何かは分からなかった。


「前方、森の付近に何か居ます」


 パトリックが少し大きな声で後方の俺達に言う。


「・・・何だ?馬、か?」


「・・・馬の様じゃの。死んでおる様じゃが」


 俺の囁きにアリシエーゼが反応する。

 もう少し近付くとそれがやはり馬であった事が分かった。

 警戒してパトリックとソニが先に近付き、付近も少し調べるが特に脅威は存在しなさそなので、身振りで俺達に合図を出した。


「やはり馬じゃったの」


「・・・あぁ、でも普通の馬じゃないのか?軍馬か?」


 倒れている馬は、黒●号より一回り程スリムにした様な馬で、それでも日本で見た馬より数倍デカいのだが、兎に角鞍だとかそう言った物が普通では無さそうであった。


「そのみたいだね。この辺りの警備兵のかは分からないけど」


 パトリックは馬を詳しく調べて居て、死亡判断と同時にそんな言葉を言った。

 この辺りの警備隊がどの様な紋章等を付けているのか、装備品等もここに居る者は詳しくは無いので断定は出来ない。


「・・・お主の主人は何処へ行った」


 アリシエーゼは死んで横たわる馬に近付いて膝を付き、鼻を一つ啜鳴らした。


「・・・この辺りには居らん様じゃの」


「どうしますか、進みますか?」


「・・・まだ日は高い。もう少し進むぞ」


 アルアレの問いにアリシエーゼは少し考えてから答えを出した。

 そうして俺達は軍馬の死体をそのままにして先に進んだ。

 夕方近くになりそろそろ野営地を見付けるかと思っていると、街道に立て看板が有ったのでそれをアリシエーゼが読む。


「なになに・・・この先エルフ工芸品取扱い店有り。宿屋も御座います。じゃと」


「この先って言うのは森の中か?」


「そうじゃろう。馬車一台くらいなら通れそうな道も整備しておるしの」


 そう言ってアリシエーゼは森の先を見据える。

 アリシエーゼの視線の先を追うと、確かに森の奥へと続く道が見えた。


「この先にエルフの村でもあるのかね」


「さての。とりあえず水の補給と情報収集も兼ねて行ってみるかのう」


 そんな話をしていると、森の入口付近を探っていたパトリックから声が掛かった。


「姫様、ちょっとこれを見て下さい」


「む、なんじゃ?」


 パトリックに呼ばれてアリシエーゼは森の方に向かったので、俺もそれに着いて行く。

 パトリックは森の奥へ続く道の前で膝を付いており、アリシエーゼもその辺りにしゃがみ込んだので、俺も二人の上から覗き込む。


「ここを見て下さい」


「これは・・・数も多いのう」


「はい、これってもしかして・・・」


「・・・かも知れんが、何とも言えんのう」


 パトリックとアリシエーゼのやり取りを聞きながらパトリックが指さした箇所を見ると、そこには明らかに馬が通ったであろう、蹄の跡が多数、土にクッキリと残っていた。


 結構な数だな・・・


 見た感じ馬車の轍は無さそうだし、多数の馬がこの道を使って森の中に入って行った様だった。


 これはあれか


 「パトリックは街道の警備兵がこの先に居ると?」


 「分からない。けど、結構な数だし、馬車じゃなくて馬だけだし有り得るかなって」


 「そうじゃな。とりあえず行ってみるかの」


 そう言ってアリシエーゼは立ち上がり、他の面々に森の奥のに進む事を告げる。


 「もうじき暗くなりますし、明日にしても良いのでは?」


 アルアレか懸念を示すがアリシエーゼは却下した。


 「流石にこの集落も森の深部にある訳ではあるまいよ。チャチャット行って、何も無ければ今日はそこに泊まるとするぞ」


 「・・・分かりました」


 そこから俺達は森の奥へと足を踏み入れ、ナッズを先頭にその後にパトリックが続き少し慎重に行動した。


 「何かあったらどうするんだ?」


 移動の最中俺はアリシエーゼに近寄り聞いてみた。


 「その時はその時じゃろ」


 そう言ったアリシエーゼの顔は気持ちわ――少し意地の悪い顔をしていた。


 警備兵達がこの先の集落に向かったとして理由は何だ?

 援軍を呼びに行くのなら、それは早いに越した事は無いだろうし・・・


 もしかしたら、援軍を呼びに行く者とこの先に向かう者で部隊を分けた可能性もあるかと思ったが、そもそもこの先に警備兵達が向かったのかも分からないし今は考えても無駄だと思考を切り替えた。


 「コボルトがいっぱいお出迎えしてくれると思ってたけど、全然居ないな」


 「・・・何を言っておる。その辺にウジャウジャ居るじゃろ」


 「なに!?」


 アリシエーゼはそう言ってつまらなそうに鼻を一つ鳴らした。

 俺はそれを聞き、耳を澄ませてみたが、自分達の移動の際に出る音などが混じってよく分からなかった。


 「・・・そんなにウジャウジャ居るのか?」


 「あぁ、居るぞ」


 等と話していると早速動きがあった。


 「左から来ますッ」


 パトリックが叫ぶ。

 それと同時に俺達の進行方向向かって左側から、コボルトが数匹飛び出して来た。

 それを視認した瞬間、列の後方に居た俺は飛び出して左翼を遊撃する形で展開した。


 「こっちは俺!右はアリシエーゼ!後は待機!」


 俺はそう言って飛び出して来たコボルトの先頭の一匹に強襲を掛けた。


 「ひっさびさ~」


 俺は鼻歌を交えていると他者が見れば誤解しそうなくらい軽いノリで先ずは先頭のコボルトに飛び掛って前蹴りを喰らわす。


 「ッギキャ!!」


 コボルトは突然飛び出して来た俺に反応が出来ず、モロに前蹴りを腹に喰らい甲高い悲鳴を上げ、凄まじい勢いで身体をくの字に曲げながら後方に吹き飛んで行った。

 それを見て他の他のコボルトが一瞬、ギクリと身体を震わせる。


 後、三匹


 コボルトが動きを止めている間に数と位置だけ確認し、そのまま一番近くの奴へと距離を詰める。


 「ッ!グッァ・・・」


 俺がいきなり真正面に躍り出た事で、威嚇でもしようとしたのか、コボルトが何かを叫ぼうとするが構わず顔面を殴り付けて潰す―――と言うか、吹き飛ばす。


 後、二匹


 顔面を吹き飛ばしたコボルトに脇目を降らず俺は次のコボルトへ一足跳びに距離を詰めて、横を通り過ぎ様に首と胴体を一気に切り離した。

 左手で切り離したコボルトの生首を持ってそれを通り過ぎる勢いそのままに、最後のコボルトへ向けて投げ付けた。


 「ッッ!?」


 グシャリと鈍い音と共に、生首を投げ付けられたコボルトは自身の顔面を半分程潰してそのまま絶命して倒れた。


 終わりっと


 振り返り仲間達を確認すると、アリシエーゼ以外はその場で周囲を警戒しており、俺の方をナッズとパトリックが見ていた。

 それに気付き俺はニヤリと笑みを浮かべてた。


 アリシエーゼは・・・奥の方の殲滅に掛かってるな


 アリシエーゼも楽しんでいるのだろうと思い、俺は森の奥を睨み付ける。

 その時、不意に今殺したコボルトの獣臭と血の臭いが気になった。

 スンと一つ鼻を鳴らすと、どう言う事だろうか、その臭いの情報とは別に他の情報が頭の中に入り込む感覚に襲われた。


 ん?なんだこれ?


 一瞬その情報が何か分からず身体が強ばるが、直ぐに直感的に理解する。


 あぁ、これがアリシエーゼが言っていたやつか


 アリシエーゼの言う、第二の嗅覚で嗅ぎ取った臭いの情報だと理解して、それを活用する。

 コボルトの臭いがまだ森の少し先でするので、そちらへ向かって走り出した。

 先程の位置からほんの少しだけ森の中を進むと、コボルトが十匹程度固まって此方の方へ進んでいるのが分かったので、そのまま強襲した。

 何も考えず、身体が赴くままに唯、コボルトを殴って蹴って殺した。

 ものの数秒で十匹程居たコボルトは無惨な姿を晒して地面に転がっていた。


 「とりあえずこの辺りにはもう居ないかな」


 俺は鼻を一つ鳴らしてからそう独りごちた。

 それから仲間達の元へ戻ると、アリシエーゼが既に戻ってきており、そちらも周辺のコボルトは駆逐したとの事であった。


 「案外早かったのう。もう力の使い方は慣れたのか?」


 「うん、大分分かって来たよ。あと、アリシエーゼの言っていた臭いの嗅ぎ分けが出来る様になった」


 「ほう・・・して、臭かったか?」


 「いや、なんと言うか、臭いの情報とは何か別な感じがした」


 「じゃろう?妾を臭いとか言いおってからにッ」


 また以前の事を思い出してアリシエーゼはプンスカ怒り出したが、面倒臭くなったのでシカトして他の面々に話し掛ける。


 「この辺りはもうコボルトは居ないから先に進もう」


 「う、うん・・・」


 パトリックは俺の先程の動きにまだ面食らった様子で頷く。


 「ハル、お前強ぇな!」


 ナッズは嬉々としてそう言った。


 「だろう?穢人だってやる時はやるんだよ!」


 「だな!」


 アハハと二人で笑ったが、アルアレは何だか複雑な表情を浮かべていた。

 その後直ぐに集落へ向けて俺達は出発したが、数分歩いた所で集落の入口だろうか、木で出来た外壁の様な物が見えて来た。


 「・・・アリシエーゼ」


 「・・・うむ」


 俺とアリシエーゼは直ぐに感じ取った。


 「こ、これは・・・」


 「・・・酷い」


 「きゃあッ!」


 アルアレとパトリックがその状況を見て絶句し、明莉は短く悲鳴を上げた。


 「こういう展開なのね」


 俺は小さく呟く。

 集落の入口には鉄製の鎧を来た兵士の様な()が数体横たわっており、それらが生前乗っていたであろう、馬も無惨な姿で打ち捨てられていた。

 その遺体はどれも損傷が激しく、手足がモゲていたり、頭が潰されていたりした。

 馬も同様に腸が飛びてていたりと酷い状態だった。


 明莉、大丈夫かな・・・


評価、感想、レビュー、ブクマ等頂けると小躍りします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ