第52話:ゴブリン都市
序盤、特に1章辺りはすみません、初投稿でかなり拙文であったりしますので、時間があればその内表現や台詞回し等大幅に変更予定です。
それまでは何卒、生温かい目で見守ってやって下さい。
「お、おい!喋ったぞ!?」
俺は慌てそう言い、アリシエーゼの肩を掴んで揺らす。
「お、おい、やめッ、何でゴブリンが、あ、ちょッ、やめッ」
「ゴブリンさんは普通は喋ったりしないものなんですか?」
明莉は訳が分からず、周りにねえ、どうなの?と聞いている。
「もっと上位のゴブリンなら可能性はあるとは思うのだが・・・この世界では違うのか?」
「いえ、ハイ・ゴブリンやそれ以上の上位種では流暢に人語を話すと言う事を聞いた事がありますが、普通のゴブリンでは有り得ないのではないでしょうか・・・」
篤とアルアレがそんな話をしていたが、ハイ・ゴブリンだの上位種だの、この辺はテンプレかと思った。
「モリーゼ!どうなってる!?」
俺は即モリーゼを問い詰めた。
「教え込みました。個体差は御座いますが、通常種のゴブリンでも教えれば覚えられる個体も存在します」
モリーゼはさも当然だとでも言う様に涼しい顔をして答えた。
「・・・そんなバカな」
「・・・有り得ないですよそれは」
アリシエーゼとアルアレはモリーゼの答えを聞き絶句した。
どうやらこの世界では通常のゴブリンが人語を理解して話す等と言う事は世界がひっくり返っても有り得ない様な事の様だった。
「お言葉ですが、ゴブリンが人語を話せないと誰が決めたのでしょうか。そう言った研究も私が知る限りではまったく行われていないと思っております」
「た、確かにそうですが、しかし・・・」
誰が悲しくてゴブリンが人語を理解出来るかなんて下らない研究をするのか。研究すらしておらず今まで人類は試してもいないのだが、それはやって来なかったと言うだけで、試しに教えこんだら出来た。それだけだとモリーゼは言った。
「オ、オデタチ、イッパイベンキョシタ」
そう言ってゴブリン一号は俺達に凄いだろアピールをしてくる。
「・・・とりあえず分かった」
「はい」
モリーゼはそう言ってまた一歩下がった。
それを見て、更にゴブリン達も次いでに見ると、何故かゴブリンは俺をジッと見つめ、何かを期待するかの様なキラキラとした目をしていた。
「な、なんだ?」
その視線に何を期待しているのか分からず、若干狼狽する。
するとモリーゼが俺に近付いて耳打ちをしてくる。
「ハル様はここに居る者の頂点で御座います。何かお言葉をいただきたいのだと愚考致します」
なるほど・・・
――って、えぇ!?
なんだよ、頂点って!?
もう一度ゴブリン達を見ると相変わらずキラキラと少年の様な眼差しを俺に向けており、何か言わないといけないプレッシャーをヒシヒシと感じた。
「・・・あー、モリーゼから聞いてると思うけど、もう暫くここで大人しくしててくれ。その間も鍛錬は怠らない様に。呼び出して、使えなかったら捨てるからな?」
俺がそう言うとゴブリン達は息を潜め静かになった。俺の話を聞いている時等は時折、ゴブゴブ言ってたのだがどうしたのだろうか。
「お、おいどうし―――」
「「「「「「「「「グゴォォォォォォアアアッ!!!」」」」」」」」」
突然、ゴブリン達の本気咆哮で俺はつい身体をビクリと震わせてしまったが、俺だけでは無く、アリシエーゼ達も同様だった。
傭兵の面々に至っては武器に手を掛け本気で警戒していた程だ。
「オデタチ!ヒミツヘイキ!キング、ソウイッタ!」
え?
秘密兵器?
キング?
「キング、オデタチニキタイ、シテル!オデタチ、モット、ツヨクナル!」
「お、おう・・・って言うかキングって―――」
「キング!キタイ、シテイル、イイ!モットモット、ツヨク、ナッテ、ニンゲン、ホロボス!」
「え?あ、いや、人間は滅ぼさなくても・・・いや、れより、キングって―――」
「キング!キング!!キング!!!」
俺の言葉を尽くゴブリン達には届かず、ゴブリン達はゴブリン達で段々とまた盛り上がって行き、キングコールはどんどんと周りのゴブリンに伝播した。
「「「「「「「「キング!キング!!キング!!!」」」」」」」」
そのキングコールはやがて都市部にも伝播して、そこからは最早、人語では無く、ゴブリン語で何を言っているのか分からなくなってしまったが、相当ヒートアップしており、都市全体が揺らぐ程であった。
「う、五月蝿いぞ!どうにかせいッ」
アリシエーゼは耳を抑えながら叫ぶ。
他の皆も耳を抑え顔を歪ませる。
「モ、モリーゼ!ちょっと黙らせろ!」
俺は咄嗟にモリーゼに命じる。
するとモリーゼは左手をそっと上げてゴブリン達をそれだけで制した。
「・・・一体何なんじゃ」
「・・・知らねぇよ」
いきなり静まり返った辺りを皆キョロキョロと見回し、落ち着かない。
「・・・モリーゼ、とりあえずここは任せるけど、キングは辞めさせてくれ」
「何故ですか?ハル様は我々、そしてこのゴブリン達の唯一仕えるべき頂点に立つ者です」
「・・・ゴブリンにキングとか言われると、俺がまるでゴブリンキングみたいじゃないか」
「違うのですか?」
「違うのか?」
「・・・違います」
モリーゼとアリシエーゼがさも不思議そうに言うが、俺は断じてゴブリンでは無い。
「・・・今日はここで一泊したいんだが、俺達が泊まれる所はあるか?」
「私達がここに滞在する際に寝泊りをする施設は作らせていますので、本日は其方をお使い下さい」
「・・・そう」
そこから、数匹のゴブリンが案内を務めて、都市内を案内しつつ今夜の寝床へ連れて行ってくれた。
道中、案内のゴブリンからは質問責めを受け、都市内のゴブリンには取り囲まれ、揉みくちゃにはされないがなかなか歩が進まず苦労した。
「・・・やはりお主、ゴブリンキングじゃろ」
「・・・言うな」
こら以上、その話題はシャットアウトしてゴブリン達の対応をしながら暫く歩くと、石作りの頑丈そうな建物が見えてきた。
大きさはまあまあの大きさで、傭兵達や、俺達全員寝泊り出来るだけのベッドも用意されていると言う事であった。
「ココ、デス」
「ありがとう。ここまででいいよ」
「ハイ。ア、イイワスレ、テマシタ。コノ、トシニハ、フロガアル。マスノデ、スキニー、ツカッテ、クダサイ」
「えッ!?風呂あるの!?」
「ハイ」
マジかよ・・・
人間の庶民よりここのゴブリンの方が生活水準いいんじゃないだろうか・・・
「お風呂あるんですかッ!?」
ゴブリンの話を聞いていた明莉が身を乗り出して俺達の会話にくい込んで来た。
「ハイ。チュウオウノヒロバノ、ニシガワ二、デカイ、ミンナデ、ツカウ、フロアル」
公衆浴場みたいな物だろうか?
「とりあえず分かった。後で見に行ってみるよ」
ゴブリンから有用な情報を手に入れ、明莉は上機嫌となり、鼻歌を歌いながら建物に入って行った。
「・・・のう、その風呂は男女別になっておったりするのかの?」
「・・・さあ」
意気揚々と風呂に入りに行ったら、牡牝入り乱れていて、明莉が固まっている姿が想像出来たがそこは今は考えないでおこうと思った。
その後俺達は明日からの予定を軽く確認してから夕飯にしようと思っていたら、ゴブリン達から歓迎の宴を開くと言う事でそちらにお呼ばれした。
都市の中央にらある広場の様な所でゴブリンが用意した料理に酒が振る舞われた。
センビーンの他にも、ゴブリン達は独自で狩りを行って居るらしく、ボアを丸々香草に包んで焼いた物がメインであったが、センビーンだけだと思っていた俺達にとってはとても有難かった。
味も何と塩で味付けをしており、それだけでも思っていたよりも全然美味かった。
そんな肉に驚いていたが、ゴブリン達は酒も独自で醸造していて、ワインと、にごり酒の様なものもあった。
どちらも俺はそれ程美味いとは感じなかったが、ナッズは喜んでガバガバと飲んでいた。
宴は結局、そこそこ盛り上がり、遅くまで催されていたが、ゴブリン達はめちゃくちゃフレンドリーで、センビーンよりも美味い飯に、これも味は兎も角として酒まであって、それまで硬かった傭兵達の態度も幾分柔らかくなった様に感じた。
ゴブリンに接待されるとは・・・
宴が終わり、そろそろ風呂に入りたいと明莉が言っていたので、一応、モリーゼに確認をした。
「モリーゼ、ここの風呂って男女別れてたりするのか?」
「いえ、ゴブリン達が好きな時に入れる様にかなり大きな浴場ですが、男女で分けてはおりません」
「・・・だよね」
この話を明莉にすると、物凄く沈んでいたので仕方無く、モリーゼに相談して今夜は俺達の貸切りにしてもらう事にした。
「―――っと言う訳で今日は俺達だけで風呂貸切りに出来る事にしたから、明莉とアリシエーゼは今から入っちゃいなよ」
結局、その後は何事も無く、女性を先に風呂に入らせ、終わったら男性組が一緒に風呂に入った。
ここで特筆するべきイベントは特に起き無かったのだが、驚いたのは公衆浴場はなんと言うか、ゴブリンが使う公衆浴場と聞いただけだと、汚らしいイメージがあったのだが、もの凄く綺麗だった。
聞けば、毎日の様にゴブリンは風呂に入っているので、野生のゴブリンと違いとても綺麗なのだそうだ。
ここのゴブリンって俺達より清潔なんじゃ・・・
きっとそう思ったのは俺だけでは無かったはずだ。その後俺達は色々あった事の疲れと、酒が入った事によりすぐに眠りについた。
翌朝、前日に久々に風呂に入って汚れを洗い落としたからか、もの凄く良い目覚めを迎えられた気がした。
朝食は昨日の残り物だが、態々ゴブリンが温めてくれて用意を済ませていてのでそちらを有難く頂戴し、出発の準備を整えた俺達はゴブリン達に見送られて、ゴブリンの都市を後にした。
「キング!コンドアウトキ、ハ、オデタチ、モットツヨクナッテル!」
「キング!オデタチ、キングニツイテ、イク!」
「キング!キング!!」
「キング!オデタチ、オデタチ!」
「・・・・・・」
見送りの際、ゴブリンは感極まって、またキング、キングと連呼していた。
「・・・手でも降ってやれば良かろう」
「・・・うるせぇ」
キングはやめろって言っただろう・・・
「ツギアウトキ、オデタチ、モットキングノヤクニ、タツ!」
「キング!」
「キング!!」
「・・・・う、うるせぇ!分かったからキングはやめろッ」
俺は耐えられずに振り向いてそう叫んだ。
振り向くと、都市への出入口付近にゴブリン達が沢山居て、皆手を振ったり、ジャンプしたり、思い思いに俺達を見送る姿が見えた。
それは純粋に本気で俺達を見送る、仲間、同志の様に見えた。
それを見て、不意に口角が上がる感覚を覚えたが、何だか気恥ずかしくなり、ゴブリン達は見ずに右手だけを上げて応えた。
「・・・やはり、お主はゴブリンキングじゃよ」
「・・・うるせぇやい」
・・・キングだけは断固拒否だ
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