第40話:依頼承諾
序盤、特に1章辺りはすみません、初投稿でかなり拙文であったりしますので、時間があればその内表現や台詞回し等大幅に変更予定です。
それまでは何卒、生温かい目で見守ってやって下さい。
傭兵雇うのならそれなりの対価を出せと二チャるアリシエーゼ。
「ほ、報酬として食料をお渡しすると言う事で如何か」
「どの程度じゃ?」
「はい?」
「じゃから食料はどんなものをどの程度報酬として用意するのかと聞いておる」
「こちらも生活が有ります故・・・センビーン一袋に干し肉一袋で如何でしょうか」
「断る」
アリシエーゼは間髪入れずにそれでは足りぬと断ずる。
実際、センビーン一袋とはどれくらいの量なのか俺は知らないが、こんな森の中で長物の武器をブンブンと振り回せない状況でゴブリン五十匹と殺り合うには釣り合いが取れないのだろう。
それに俺達が求めているのはセンビーンや干し肉では無い。
「で、では、もう一袋ずつでは・・・」
「お主傭兵を舐めておるのか?」
ここでも間髪入れずアリシエーゼはピシャリと言い放った。
「い、いえ、決してそう言う訳では・・・」
「ではどう言った了見じゃ。妾達の命は豆と干し肉一晩、二晩くらいの価値しか無いと申すか」
「で、ですから決してその様に考えている訳では御座いません。ですが私共も飢え死にする訳には行かずにですね・・・」
初老の男はタジタジになりながら何とか交渉を纏めようとするが、アリシエーゼは既に興味は失った様でまるで話を聞いていなかった。
「姫様、その辺りでご勘弁頂けないでしょうか」
アルアレが我慢出来ずに割って入る。
「ダメじゃ。水を補給したら直ぐに此処を発つぞ」
そう言ってアリシエーゼは一度俺の目を真っ直ぐにジッと見つめた。それは結構な永い時間であった様に感じられたが、特に何も会話はせずにその後は入ってきた扉を開けそのまま出て行ってしまった。
なんだ今の間は・・・
先程からの会話でちょいちょい何かを伝えようとしている節があったが、これはより直接的だ
アリシエーゼは出て行ってしまったが着いて来いと言っているのであろうか?
そこまで考えて今しがたまで感じる事の無かったある匂いを俺は察知した。
そして悟る。
明莉はオロオロして残った者の顔色を確認している。篤は用は済んだとばかりにアリシエーゼに続いて建物を出ようとしていた。
「篤、ちょっと待って」
「なんだ?」
「ちょっと待ってて。アルアレ、アリシエーゼはあー言ってるがこの依頼受けよう」
そう言ってアルアレと初老の男に近付く。
「え、良いのですか?」
「うん」
「そうですか、受けて下さいますか」
男はそう言って温和そうな笑顔を俺に向けた。
俺も人受けが良さそうな笑顔を貼り付けて男に微笑み言う。
「あぁ、受けるよ。オマエらの討伐依頼を――なッ!」
俺は言葉を言い終わると同時にアルアレの隣に立っていた男に向けて死なない程度に威力を抑えた右掌底を顎目掛けて放つ。
「ッ!!」
男は俺の攻撃をアルアレを盾にする様に後ろに回り込みながら回避した。
そしてそのままリビングの右奥にある階段で二階に掛け上がろうと走る。
チッ!威力の加減がまだ分からねぇ
俺は心の中で悪態を付きながら男を追う。
既に階段まで辿り着いている男を見て、このままだと取り逃しそうだと思い、瞬時に自分の頭を弄り回す。
そして痛みに関する全ての情報をシャットアウトして3割程の力で木の床を踏み締めて一気に前へ駆け出す。
バキバキと床の木が割れる音と共に筋肉が断裂するブチブチと言う不快な音が頭の奥で鳴り響くのを無視して一気に男に詰め寄った。
男は階段に辿り着き、一歩目を踏み出した直後であったが、俺が目前に迫っている事に気付きそして驚愕するかの様に俺を見て目を見開いた。
俺は階段を登りかけていた男の右足首を右手で掴みそのまま引きずり下ろしながら一気に背中から床に叩き付けた。
「ッあ、ヵッ!!」
背中から叩き付けられた男は肺の空気を外に吐き出せず、更には後頭部も同時に強打した事により目の焦点も合わずに一切の動きを止めた。
その隙に右手で掴んでいた足首に左手も添えて一気に180度反対に男の足首を捩じ切る勢いで捻り壊す。
「――ッッッ!!!!!」
バキッとブチッとボキッとグチャが一緒になった様な音が俺の手を伝って聞こえて来て、痛みで意識が覚醒した男の右脚は股関節から在らぬ方向に捻れ壊れた。
もう数瞬前の様な動きは出来ないが俺はそのまま男にとどめを刺すべく仰向けに倒れている男に倒れ掛かる様に右拳でハンマーを作り流れる様な動きで男の顔面に拳を叩き込んだ。
あ、もちろん死なない様に手加減したよ?
完全に沈黙した男を端目に立ち上がり、辺りを確認する。別に俺は人の気配を察知する能力などは有していないので、聴力でそれをカバーする。
大丈夫そうかな
外も終わったっぽいし
「いやぁ、一瞬逃げられちゃうかと思ったよ」
俺は笑いながらアルアレに近付く。
アルアレは俺に声を掛けられるまで何が起こったのか理解出来ずにいたが、俺が声を掛けた事により事態を飲み込もうと倒れている男と俺を交互に見遣り、忙しそうに目を動かした。
「い、一体どういう事ですか・・・?」
結局自体が飲み込めず俺に聞いて来るアルアレだが、ここで思い出す。
「あ、姫様ッ!」
そう言ってアルアレは外へと飛び出して行った。
残された俺と篤と明莉だが、こちらも二人は事態が飲み込めずに呆然としていたので一旦外へ出ようと声を掛けた。
「「・・・・・・・・・」」
だが二人は俺の声が聞こえていないのか返事は無く、ただ倒れている男を見つめていた。
「おーい?聞いてるかー?」
俺が少し大きめの声で再度声を掛けると、篤が覚醒し俺を見た。
「どう言う事か説明してもらいたい・・・」
「うん、まあ説明はするからとりあえず外に出ようか。アリシエーゼの方も終わってると思うし」
そう言って篤を外へと誘導し、俺は倒れている男の胸ぐらを掴んでそのまま引き摺る様に外へと運び出す。篤は外へと出たが、明莉はまだ動けずにいた為、もう一度声を掛けた。
「大丈夫か?なんなら、とりあえずこのままここに居てもいいからね」
そのまま明莉を置いて外に出ようと明莉の横を通り過ぎた際、後ろから声を掛けられた。
「その人は・・・死んだんですか」
「いや、死んではいないよ」
「でも足が・・・」
「そうだね。もう使い物にならないんじゃないかな」
「そ、そんなッ」
「あ、でもこの世界は魔法があるんだった。もしかしたら欠損した人体なんかも魔法だったら治せるかも知れないからコイツの足も治せるかもね」
そうか、俺が使えないからって魔法の存在をすっかり忘れてた
魔法があると考えるとこの程度だと無力化した事にならないかも知れないな
もし魔法で人体の欠損まで治せるのだとしたら、それはどれくらいの時間で修復が可能なんだろうか。
修復が時間を掛けてジクジク治すのだとしたら、骨折やこの男の様な状態からも多少回復まで時間が掛かると想定出来るが、一瞬でそれこそ俺やアリシエーゼの様に修復が可能だった場合、この男がもしも回復魔法を使えた場合、無力化した事にはならない。
今は意識が無いから良いが、意識が回復したら回復魔法さえ発動させればまた動ける様になるからだ。
まあいいか
結局、この程度ならどうにでもなりそうだし
「こ、ここまでやらないとダメだったんですか・・・」
「うん、だってコイツら俺達を殺そうとしてたし」
「な、何でそんな事分かるんですか!?」
「だからそれを説明する為にも一旦外に出ようよって言ってるんだよね」
「・・・・・・分かりました」
明莉は泣きそうになりながらそう言うとトボトボと外へと出て行った。
まあ刺激が強過ぎるわな
ただ俺もあの一瞬でその辺りまで配慮した動きは出来ない。そんな事を思いながら男を引き摺り外に出た。
外に出るとアリシエーゼの周りにたぶん数人が倒れており、全員が事切れている事が一目で分かった。
だってみんなバラバラなんだもの
汚ねぇ殺し方だなぁ
バラバラなのでたぶん数人だ。原型を留めているものもあれば頭や腕、下半身が吹っ飛ばされているものもあり、アリシエーゼ大暴れって感じである。
「お前、マジで汚ねぇな。もっと綺麗に殺したらどうだ」
「なにを!?素早く殺すを心掛けたらたまたまこうなっただけじゃッ」
「あ、そう」
そんなやり取りをして俺は男をアリシエーゼの前に放り投げた。
「おぉ、ちゃんと殺さずに無力化出来たか!」
「ったく、めちゃくちゃ面倒くさ―――」
「す、すみせ、ちょっと・・・」
突然会話をぶった切った明莉を見ると顔が真っ青になっており、今にも倒れそうだった。
「お、おい、大丈夫か・・・?」
「む、無理で、す・・・」
そう言って明莉は集落の端の方に走って行き、蹲って吐瀉物を吐き出した。
あー、そうか・・・
全然気が付かなかった・・・
この辺りはバラバラ死体がそこらに転がっているのだ。普通の感性の持ち主ならこんなところは耐えられるはずが無い。
あれ?篤は平然としてるんだけども・・・
まあ篤に理由を聞いたところで、「何故だ?只の肉だろう」とか言いそうだと思い特に聞かない事にした。
篤は絶対、闇属性だろうなぁ
っと、そんな事より明莉だ
「ソニ、悪いんだけど明莉を頼めるかな?」
俺がそう言うとソニは無言で頷いて、明莉の方へと歩いて行った。
明莉は蹲って泣いて吐いてと忙しそうだ・・・
考えてみればこの光景はトラウマ級じゃなかろうかと今更になって心配になって来てしまった。
どうしましょ・・・
評価、感想、レビュー、ブクマ等頂けると涙出ます。たぶん。




