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異端の紅赤マギ  作者: みどりのたぬき
第1章:異世界と吸血姫編
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第36話:お買い物

序盤、特に1章辺りはすみません、初投稿でかなり拙文であったりしますので、時間があればその内表現や台詞回し等大幅に変更予定です。

それまでは何卒、生温かい目で見守ってやって下さい。

 明くる日、俺は若干の眠気を含みながらもノソノソと起き出した。

 向かいのベッドを見ると篤は既に起きており、着替えも済ませた状態であった。


「・・・おはよう」


「あぁ、おはよう」


 篤に挨拶をしてベッドから起き上がり、トイレが併設されている洗面所に向かう。

 鏡の着いていない洗面台の様な物と水瓶が置いてあり、その水瓶から水を掬って顔を洗った。

 その後は自分のポーチから歯ブラシを取り出してゆっくりと歯を磨いた。

 磨いている途中でドアをノックする音がきこえる。


「起きとるかー?朝飯じゃぞー」


 アリシエーゼかと思っていると篤がドアを開けて対応していた。

 俺はその間に身支度を素早く整え、ポーチを腰に付けて洗面所を後にする。


「朝飯だそうだ。私達も行こうか」


「はいよ」


 篤が部屋の鍵を持ったのでそのまま部屋を出た。

 ちなみに昨日調()()した金は全てのアルアレに預けた。

 結構な金貨と銀貨であった為、アルアレ含め傭兵団のメンバーはかなり狼狽していた。

 その様子を思い出しながら俺は宿屋の一階にある酒場兼食事処に向かった。


「朝も意外に混んでるんだな」


 酒場兼食事処の様子を見て俺は独り言を言う。

 それに篤が反応した。


「そうだな。結構早い時間だと思うんだが」


 篤はそう言って一階をグルリと見渡す。

 俺も再度辺りを見渡す。

 昨夜は実に様々な人が酒に食事を楽しんでいたが、今朝は宿屋の客であろか、商人なのかなんなのか普通の服を着た人達と数人、傭兵なのか革鎧を着込んだ男達が静かに食事をしていた。

 静かではあるが客席はほぼ埋まっており、その中に丸テーブルを二つくっ付けたアリシエーゼ達が目に入る。


「待ったか?」


 とりあえず空いている椅子に腰掛けてアリシエーゼに聞く。


「いや、まだ注文もしとらんぞ」


「そうか」


 篤も席に着いたのを見計らいソニが店員を呼ぶ。


「注文は決まったかい」


 昨夜は若い女が注文を取りに来たが今朝はおっさんが来た。


 いや、別におっさんでも何でもいいんだけどさ


「普通の朝食メニューを八つ」


「夜程じゃないが他にも作れるぞ」


「何か食べたい物ありますか?」


 ソニは俺達全員に顔を向けるが全員顔を振り応えた。


「大丈夫です」


「そうか。本日の朝食八つだな」


「はい、お願いします」


 ソニと会話した店員の男は直ぐに厨房へ向かい注文を伝える。

 そんな姿をつまらなそうに眺めているとアリシエーゼが声を掛けて来た。


「昨夜は篤と何だか楽しそうな会話を遅くまでしとった様じゃの」


「何で知ってんだよ」


「聴こうと思えば聴けるじゃろ、妾達の耳ならばの」


 そう言ってアリシエーゼは自分の耳を指差す。


「確かに・・・」


「妾も混ざりたかったのー。だが妾は完熟しとらんからのー」


 コイツ・・・朝から何言ってんだよ


 フンッと鼻を鳴らしアリシエーゼは俺と篤から顔を態とらしく背けた。


「むッ!アリシエーゼくん、キミは自信を持っていいと思うぞ?唯、私の理想とするボディでは無かったと言うだけだ」


「そうかそうかー、妾や明莉ではお主のお眼鏡には叶わんかー」


 かなり投げやりにアリシエーゼは返答するが、そんな二人のやり取りを聞いて明莉が俺に聞いて来た。


「一体何の話をしているんです?」


「さあ・・・」


 俺は只々面倒でそれ以上は答えなかった。

 しかし昨日そんな会話に加われなかったアリシエーゼは俺にも突っかかって来た。


「お主はどうなんじゃ」


「どうとは?」


「どんなボディが好みか聞いとるんじゃ」


「えッ!?そんな話なんですか!?」


「明莉くん、キミも自信を持っていい。唯、私の――」


 い、いきなり収集付かなくなりそうだ・・・


「お前ら・・・マジで黙れ」


「何じゃ何じゃ~?照れておるのか?うん?」


 アリシエーゼお得意の二チャリを見て、こいつマジでぶっ飛ばそうかなとか思ってしまった俺は悪く無い。決して。


(はる)、別に経験が有ろうと無かろうと堂々としていればいい」


 そう言って篤は顔だけを俺に向けて頷く。


 いや、何でいきなりそんな馴れ馴れしいのお前?

 って言うか何で童貞扱い!?

 失礼にも程があるだろッ

 俺の事何も知らないくせに童貞扱いなんてッ


 いや・・・童貞なんだけどさ・・・

 でも篤だって童貞じゃねーか!

 同じ童貞にそんな事諭されたくねーよッ


 あ、れ・・・?

 篤、キミ童貞・・・だよね・・・?


「えッ!?お主童貞じゃったのか!?」

「おい!」


 アリシエーゼは本気で驚いた表情をしていた。


「何でお前がそんな驚いてんだよ!?」


「ひ、否定せぬと言う事はあの夜までは童貞じゃったのかッ!?」


「いや、何なのお前マジで―――ん?」


 あの夜?童貞じゃったのか?過去形?

 あれ?過去形だよな?


「お前、何か変だな。何を隠してる?それにあの夜って何だよ」


「な、何がじゃ!?何も隠してなどおらぬぞ!」


 そう言ってアリシエーゼは俺から目を逸らす。


「いや、怪しいだろ・・・何だ?言えよ」


「じゃ、じゃから何も隠してなどおらぬッ」


 そう言いながらもアリシエーゼは俺と目を合わせようとしなかった。


「それにしても料理はまだか、遅いのう」


「そんなあからさまな話の逸らし方ってある!?」


「明莉よ、お主の好きな食べ物はなんじゃ」


「え?好きな食べ物ですか・・・」


 それまで話についていけずに置物の様になっていた明莉にいきなり話を振り俺との会話を強制終了させようと試みるアリシエーゼであったが、見逃す訳は無い。

 アリシエーゼの頭を右手で鷲掴みし、無理矢理俺に顔を向けさせる。


「おい、正直に話せ」


「は、離せッ!離さぬかッ!」


 アリシエーゼは俺の手を退かそうと藻掻くが俺は離さない。


 しかし何を隠してる?

 何かあったか・・・?


 考えると一つだけ思い当たると言うか何となく頭の隅に引っ掛かっていた事が有った。

 そう、それは此奴の屋敷でワインを飲んだ夜の事だ。

 調子に乗ってワインを飲んでかなりいい気分になってそれから・・・


「・・・なあ、俺に能力分け与えた時ってどう言う方法で―――」


「お、思い出すなぁぁぁああッ!!」


「――ぉぶッ!!」


 俺が言いかけた言葉を最後まで言わさずアリシエーゼは俺の左テンプルに渾身の右フックをかまして俺を店の壁まで吹き飛ばした。


「ぃッ、痛ってぇなッ!何すん―――!!」


 壁まで吹き飛ばされた俺は頭を押さえてアリシエーゼを見ると、既に俺の目の前まで移動していたアリシエーゼの片足が大きく映し出されていた。


 片足・・・?


 はッと目線だけ上に上げた時には既にアリシエーゼの右足が俺の頭脳天目掛けて振り下ろされるところであった。


 かかと落としか


 そう思った瞬間物凄い衝撃が脳を襲い、そしてそのまま意識が途切れた。









「・・・・・・・・・」


 目を覚ますと俺は横たわっており、冷たく絞ったタオルが額に乗せられていた。

 俺はとりあえず目だけ動かし辺りを確認する。

 どうやらアリシエーゼのかかと落としで意識を失ってそのまま店の床に寝かされていた様だ。

 アリシエーゼと明莉の後ろにそのまま床に寝かされており、二人の生脚が目に付くが全く欲情しない。

 寧ろアリシエーゼに対して怒りが込み上げてきて来て思わず目に力が入ってしまう。


「む、暖が目を覚ましたが、アリシエーゼくんと明莉くんの生脚を見て発情しているぞ」


「――なッ!?」


 声のした方へ目を向けると、俺の足元に立って顔を軽く覗き込む様な形の篤が居た。


「おー、おー、起きて早々に妾に欲望に染まった目を向けるか。この変態めが」


「だ、誰がテメェなんかに発情するかッ!」


「ほー?妾では無いとしたら明莉に対して発情しておったのか?」


「んな訳ある―――」


 そんな事あるか。そう言いかけて明莉にふと目を向けると明莉は俯き顔を真っ赤に染めていた。


 や、やめてッ

 そんな反応やめてッ


「あー痛てぇ、おー痛てぇ」


 今の一連の話の流れは無かった事にしようと俺は頭を抑えながら起き上がりそのままテーブルに着く。


「あれ?まだ飯来ないのか?」


 テーブルの上には俺が気を失った時と同じく何も乗っていなかった。


「もう全員食べ終わったぞ」


「ん?俺のは?」


「ナッズが食べおったぞ」


「なにぃ!?」


 それを聞いた俺は勢い良くナッズに顔を向ける。


「いやいやいや!姫が食っていいって言ったんだろ!」


「そうじゃったか?」


「そうだよッ!」


 そしてまたわーわーぎゃーぎゃーと始まった。


「はいはい、もうどっちでもいいよ」


 そう言って俺は席を立つ。


「なんじゃ食わんのか?」


「いや、食うもんがそもそも無いだろ」


「また頼めば良かろう」


「いいよ。普段朝飯はあんまり食べないし」


「お主がそう言うなら良いが」


「本当に食べないんですか?」


 立ち上がった俺に倣って明莉も立ち上がりながら俺に聞いてくる。


「うん、いいよ。それより今日は明莉と篤の外套とか買ったりしてから出発だからさっさと出る準備しちゃおうよ」


「ちゃんと朝ご飯は食べないとダメですよ?」


 そう言った明莉は複雑そうな表情を浮かべた。

 それを見て俺も何だか複雑な気持ちになった。


「屋台とかあったらそこで何か買うよ」


 俺がそう言うと明莉は少し納得したのか複雑そうな表情を緩めて笑った。


「絶対ですからね」


 お母さんかッ


 明莉とそんなやり取りをしている内に全員立ち上がっていた。


「準備出来次第外に出ておれ。ソニは店主に声掛けておいておくのじゃぞ」


 アリシエーゼが全員にそう言いソニが返事をするとそのまま解散となり各自部屋へと戻っていった。

 俺と篤も部屋に戻ったが、篤もそうであるが俺も特に荷物など無いのですぐに部屋を出て一階に向かった。

 一階に降りるとソニ、アルアレ、ナッズは既にカウンター前に居り、雑談をしていた。


「早いね」


 俺は三人に声を掛ける。


「はい、店主にも今挨拶しておきましたのでとりあえず外に出ましょうか」


 ソニの一声で全員宿屋を後にした。

 外に出ると大通りは既に色々な人々が行き交っていた。


「みんな早いなあ」


「何がですか?」


 俺の独り言にアルアレが反応する。


「ん?いや、まだ朝早い時間だと思うんだけどみんな行動が早いなと思ってさ」


「早い、ですか?」


「うん。あれ?早く無い?」


「たぶん普通では無いでしょうか。大体の人は朝日が登ってくれば行動を開始しますし」


「マジか」


 そう言えば時計ってアリシエーゼの屋敷にはあったけど他では全然見ないな


「みんな時間ってどうやって把握してるの?」


「把握とは?」


「いや、普通に今何時だとかさ」


「時間はあまり細かくは気にしないのでは無いでしょうか。気にしないと言うよりも確認出来ないですし。王都などのかなり大きい街などに行けば大広場に時計台があったりしますが、普通はそういったものもありませんからね」


「じゃあ昼飯とかお腹空いたからそろそろ飯にするかみたいな曖昧な感じなの?」


「各宗派の教会があれば大体が教会で担当日を決めて朝、昼、夕で鐘を鳴らして住民に時刻を知られますね」


「そっち系ね。なるほど」


「そっち・・・?」


「いや、何でも無い。それよりも今日は色々買い込むんだろ?楽しみだ」


「保存食を少々とアツシさんとアカリさんの装備品を買うだけではないんですか?」


「俺の装備品も欲しい!」


「そ、そうですか・・・でも何買うんですか?外套とベルトは貰ってますよね」


「服とか武器は見たい!後はブーツ!」


 そう言うとアルアレは俺の足元に視線を落とす。


「初めて見る作りですがそれではダメなのですか?」


「ダメでは無いけど、あまり頑丈な作りでは無いからすぐダメになっちゃうと思うんだよね」


 アルアレは俺の履いているスニーカーを凝視ながら問い掛けてくるが、転移時に履いていたこれはハイカットのスニーカーだ。

 動き易いし、足首も少し固定されるから激しい動きもある程度出来るが、ファンタジー世界での戦闘や生活等は当然ながら想定されていない。

 なので俺としては早々に自身にあったブーツなり靴なりを用意しておきたかった。


「そうなのですか?」


「うん。だから買っておきたいかな」


「そうなのですね」


 そんな話をしているとアリシエーゼと明莉が宿から出て来た。


「待たせたの。早速買い出しに行くとするかの」


「もう店は決まってるのか?」


 アリシエーゼに聞くと案の定の答えが返って来た。


「知らんッ」


 うん、そうだと思ったよ


「この大通り沿いに大概の店はあると思うので北門へ向かいながら見て回ればいいと思いますよ」


 アリシエーゼの残念回答にアルアレがすかさずフォローする。


 出来るオトコやなぁ


「馬車はどうするんだ?」


「流石に馬車で店を回る事は出来ないので私とパトリックは馬車で先に北門の広場まで向かって待機してますので買い出しの後そちらで合流しましょう」


「何だか悪い気がするな」


「ソニに必要な物は伝えていますのでお気になさらず」


 そう言ってアルアレは微笑んだ。


 なんちゅーイケメンや


 とりあえずアルアレが言った通りで誰も問題無いのでアルアレとパトリックと一旦別れて大通りを北へ向かう事にした。

 少し歩くとソニが声を掛けて来た。


「姫様、食材など売っている店を見付けましたので私はそちらで買い出しを済ませて来てしまいます」


「うむ、食材の他に何か買う物はあるのか?」


「はい、アツシさんとアカリさんの毛布を追加で買う予定です」


「ふむ、ならソニは食材を買ったらアルアレ達とそのまま合流するがよい。毛布は妾達か買って行く」


「はい、では宜しくお願いします」


「迷子になるでないぞ」


 お前が言うな、お前が


 そう言われたソニは苦笑いを浮かべ一度会釈をして大通りを挟んで向かいの食材を扱っている店へと歩いて行った。

 それを見送り俺達はまた北へと歩を進める。

 大通りは結構デカいし、その道沿いには店舗がいくつもあるが、例えば先程のソニが向かった様な食材を扱っている同じ様な店も何店舗も存在しており、何処で買うのが良いのか、初めてこの宿場町を訪れた者では判断が付かない様に思えた。


 ソニは大丈夫なんだろうか

 ボッタクられたりしないよね・・・?


 暫く歩いていると武器や防具を扱っている店を発見したのでとりあえず入ってみる事にした。

 店はそこまで大きい作りでは無く、店先に大きな樽が置いてあり、その中に乱雑に抜き身の剣が入れられていた。

 樽の腹に値札が貼り付けてあり、この中の物は銀貨1枚となっている様だった。


「数打ちの剣で小銀貨三枚って安いのか?」


 俺は誰に言うでも無く呟くとそれにナッズが反応した。


「んー、まあ普通じゃねーかな。刃こぼれしたりしてたら高いと思うが見る限りそんな事は無さそうだしな」


「ふーん」


 そんな会話をしながら店内に入る。

 店内は壁に剣だの短剣だのが飾られており、外の数打ちの物とは値段が大分違っていた。

 店奥のカウンターには痩せ気味の無精髭を生やした中年の男性か立っており、店に入ってきた俺達を見てやる気の無さそうな挨拶をしていた。


「いらっしゃい。何か目当ての物でもあるのかい」


 あちらから話し掛けて来てくれたのでその流れで聞いてみる事にした。


「ナイフ二本欲しいんだけど、そのナイフ、こう腰に挿して持ち歩きたいんだけど、そんな鞘って売ってる?二本挿せるやつ」


 そう言いながら俺は腰の辺りに手を当てたり身振り手振りを交えて聞いてみた。


「そうなると、剣帯を使うってよりベルトに直接鞘を取り付ける感じか」


「そうそう、イメージとしてはそんな感じ」


「んー、今うちでは扱ってねーな」


「そっか残念。じゃあ、ナックルガードって売ってる?」


「篭手でいいのか?」


「防具って言うよりそれで殴りたいから、鉄板か何か入ってて拳の衝撃を和らげる様な素材使われてたら最高かな」


「攻撃用途のものは・・・うちじゃ扱っていねーや」


「そうかー、残念!ありがと」


 そう言って踵を返そうとして思い出す。


 篤と明莉の外套とかも買うんだった


「あ、そうそう。外套とかは売ってる?」


「あぁ、数は少ないが扱っているぞ。あっちの方に置いてある」


 そう言って店主はカウンターの右の方を指さした。


「ありがと、ちょっと見て見る」


「おう」


 一通りのやり取りをした後俺は店主が指さした方に向かった。


「お主、何でそんな慣れとるんじゃ?」


 アリシエーゼは俺に付いて来ながら俺に聞いて来る。明莉も同じ様な疑問を感じたのかこの会話に入って来ようとしていた。


「何でって、聞いた方が早いだろ」


「でもこの世界で買い物って初めてなんですよね?」


「そうだけど?」


 明莉が何を言いたいのかが分からなかった。

 事前にネットで情報を調べられる訳でも無いし、店に来たのも初めてだから何処に何があるかも分からない。だったら店員なりに聞いてしまった方が早いと思うのは俺だけだろうか。


「それにしては随分と慣れてる様じゃったがな」


「そんな事無いだろ。元の世界とまったく同じだよ」


「そうなんですか。凄いです。私なんか店員さんに話しかけられると何故か緊張しちゃって」


「分かるぞ。妾も話しかけられたくないから存在感を常に消しておったわ」


 いやいや、存在感消せるって忍者か何かですか


「だから普通だって。どんなコミュ障だよ」


「暖の話し方はなんと言うか、赤提灯系の飲み屋の大将に話し掛ける様な感じだな」


 えッ!?そんな呑兵衛みたいな感じ!?


「う、嘘だろ?そんなじゃないわ・・・」


「確かに言われてみるとそんな感じじゃッ」


 篤の言葉にアリシエーゼは喜々として反応を示し、明莉はちょっと分からないと言う様に小首を傾げた。


「うるせぇな・・・早く外套でも見ようぜ」


「なんじゃ?指摘されて恥ずかしくなったか?」


 アリシエーゼがまた絡んで来るがシカトする。


「おッ、これかな。明莉と篤は何色がいいとかあるか?」


「こ、こら、シカトするでない!」


「私は何色でも大丈夫だ。ただこのスーツに合わせるとなると・・・」


「私も何色でも大丈夫です。丈が長い方がいいかなとは思いますが」


「篤と明莉は服もこの後買うから気にしなくていいよ。明莉の丈長希望は了解。そうすると・・・」


「皆して妾をシカトするで無いッ!こら!聞いておるのか!」


 全員に反応されずお怒りのアリシエーゼだが、煩いのでナッズに全て押し付ける事にした。


「ナッズ、こいつ外に連れ出しておいてくれ」


 俺はそう言ってアリシエーゼを指さす。


「えッ、俺が!?」


「うん、首根っこ捕まえて引きずり出せ」


「お主!妾を何だと思っておる!」


「何だも何も無い。見ろよ、店の人も困ってるじゃないか」


 そう言って俺は店主を見ると、ここで俺にふるか?と言う様な微妙な表情をしていた。


 絶妙な表情だぜ、おっさん


「ぐぬ・・・」


 店主の表情を見て言い返せなくなるアリシエーゼに畳み掛ける。


「店の迷惑になるからちょっと外に出てろよ。買い物すぐ済ますからさ」


 ナッズを目で促すとおずおずと言った感じでナッズはアリシエーゼを店外に連れ出した。


 さて、これでゆっくり物色出来るぜッ


「私これに決めました」


「私もこれでいい」


 あれ・・・

 もう決めちゃったの・・・


「あ、そう・・・じゃあ買おうか・・・」


 アルアレから預かっていた昨日の()()の一部で支払いを済ませて直ぐに店を出た。


 もう少し色々見たかったかな・・・

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