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異端の紅赤マギ  作者: みどりのたぬき
第1章:異世界と吸血姫編
26/335

第26話:サキュバス

評価、感想、レビュー、ブクマとか嬉しくてふにゃふにゃします。


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序盤、特に1章辺りはすみません、初投稿でかなり拙文であったりしますので、時間があればその内表現や台詞回し等大幅に変更予定です。

それまでは何卒、生温かい目で見守ってやって下さい。

 アリシエーゼとのやり取りに若干違和感を覚えた為、少し妙な勘ぐりをしている自分に自嘲をして俺は風呂場に向かった。

 リビングを出て左側の階段を通り過ぎると脱衣所と風呂場があり、脱衣所だけで六畳くらいありそうであった。

 脱衣所の風呂場近くにはどデカい姿見があり、その横に言っていた洗濯物カゴが置いてあった。

 流石に洗濯機は無い様だ。

 洗濯は外で一括でやっているんだろうか。

 そんな事を思いつつ、服を脱ぎ、洗濯物カゴに着ていた服を放り込みそのまま風呂場へ向かった。


「おぉ~、広いなぁ」


 風呂場は脱衣所の倍くらいの広さで、洗い場だけで4畳くらいありそうだった。

 風呂自体は大きな岩を削って中をくり抜いた様な形をしております、だからと言って凸凹な仕上がりでは無く、どうやったら機械も無いであろうこの世界でこんなに綺麗に削り出せるのかと言うくらい綺麗な仕上がりであった。


「あ、そうか。魔法ね、魔法」


 魔法の事を考えると真顔になってしまう。


「あれ、それはそうと身体はどうやって洗うんだ?タオルとか忘れてたわ」


 着替えと一緒にタオルの事とか聞けば良かったかな

 あ、バスタオル!

 脱衣所にそんなもの置いてあったか?


 一度脱衣所に戻り確認してみた。

 鏡の丁度真向かいの壁に棚が備え付けられており、ハンドタオルくらいの大きさの布と、バスタオルくらいの厚手の生地の布が複数枚収納されていた。


「良かった。とりあえずこれ使っていいよな」


 ハンドタオルを一枚取り出し風呂場に戻る。

 洗い場の端っこに小さめの木製のイスが置いてあり、壁には石造りの小さい台の様なものが壁にくっ付いていた。

 木製のイスは良く見てみると、表面がツルツルになっております、何らかの表面加工が施されてるのが分かる。


「なんだこれ?ニスか何かかな?」


 触ってみるが、ニスかどうかは判断が付かなかった。


「まあいいか。ん?これ石鹸か?」


 壁にくっ付いている台の上には石鹸の様なものが置いてあった。触って、匂いを嗅いでみるが、地球に存在するソープの様な香りでは無いが、仄かに何かの花の様な香りが漂ってくる。


「石鹸まであるとか、本当に異世界だよなここ・・・」


 ただこの問題は今更考えても仕方が無い。

 ご都合主義なこの状態に何か思わなくは無いが、そんな事言ったら俺の能力はご都合主義の権化だぞという思いが頭を擡げて来る。


「本当に今更だな」


 自嘲してあまり気にしない様にしようと軽く決意し、椅子の近くに置いてあったこれまた木製でツルツルの表面加工がされた小さ目の桶を手に取り、その中にお湯を風呂から汲み取った。

 その湯を身体に掛け、もう一度桶に湯を汲み取り、椅子にも掛けてから座って石鹸を取った。

 そして石鹸をタオルに擦り付けてからそれで身体を洗ってゆく。

 身体を洗ってそれを湯で流してから風呂に入る。


「ア゛ア゛ア゛・・・」


 自然と顔が蕩けてしまう。


「やっぱり風呂はいいなぁ。命の洗濯とはよく言ったものだ」


「そんな事誰が言ったんじゃ?」


「!?」


 突如として独り言に返事を貰うと言う怪奇現象に焦り風呂場の入口を見ると、そこには腰に手を当てて若干ふんぞり返っているアリシエーゼが居た。


「な、なな、何やってんだテメェ!!前隠せ!このバカ!!」


 動揺の余りかなりどもってしまうがそれも仕方無いだろう。

 俺が風呂に入っている事を知っていながらこんな事をするんだ、確信犯だ。


「別に減るもんでも無いし良いでは無いか」


「それは俺が言う台詞だッ」


「おぉ!それもそうじゃのう」


 ワーハッハッハと豪快に笑っているがそんなアリシエーゼを俺は直視出来ない為アリシエーゼを視界に入れない様にしながら必死に苦情を入れる。


「なんじゃ~?お主ちと顔が赤いのう」


「だぁぁッ!何で視界に入って来ようとすんだお前は!」


 アリシエーゼは態とらしく俺の視界に入る様に身を屈めて詰めて来る。


 ふざけんなよッ

 何なんだコイツは


「とりあえず俺は出るからお前こっち見るなッ」


「嫌じゃ」


「何でだよッ」


「お主は妾を残念なメ●ガキと言い放ちおった。神から賜うた美貌を前にしながらじゃ」


「こんな事しておいてメ●ガキじゃないとか無理があるだろッ」


「うっさいわい!そんな事は関係無い。妾はどうじゃ、可愛く無いのか?本当にお前の触手は動かんのか」


 触手って何だよ・・・

 っと言うか、何でそんな事の確認の為にこんな事してんだよッ

 やっぱりコイツ頭可笑しいだろッ

 確かにコイツの外見は可愛いとは一瞬だが思ってしまった事は事実だが、俺は中身も重視するタイプなんだよッ


「・・・た、確かに外見は可愛い、と思う・・・」


「じゃろう?ならあの発言は取り消すのじゃ」


「それは出来ない・・・俺は内面も含めて発言してる」


「な、なんじゃと!?性格ブスと言っているのかッ」


「違う、残念だと言っている。性格や内面が素晴らしければ俺もきっとお前に恋の一つでもしていただろう」


「う、うむ。そうなのか」


「あぁ、だが実際はどうだ。嫌がる男の前で態とらしく裸を見せびらかし、顔が赤いだの童貞だのとのたうち回る」


「い、いや、童貞だとは・・・」


「はぁぁぁ。だから残念なんだよお前は。そんなに可愛いと思われたいのならそこを少しでも治す努力しろよ。とりあえずお前はそこで暫く反省してろ」


「は、はい・・・」


 俺はここまで一気に捲し立て、目を瞑りながらうんうんと一人芝居を打ちサバッと湯船から立ち上がりそのまま風呂場を後にした。


 よし、うまく言いくるめられた


 俺はさっさと身体を拭き、用意されていた誰の物か分からないが、化学繊維で出来た地球産の服には到底及ばない肌触りのラフな部屋着の様な物に着替える。

 途中で「あれ?」とか、「なんで」とか聞こえて来たのでそろそろ気付く頃かと脱衣所を急いで後にした。


「あぁぁぁッ!!やっぱり残念って思っておるでは無いかぁ!!」


 ふんッ

 バカめ!もう遅いわ!


 俺はそんなラッキースケベであってラッキースケベとは認めたくないハプニングを何とか乗り切り、リビングの大きなソファーに身体を預けた。


「ふぅぅ、危なかったぜ。こんなに追い詰められたのはいつぶりだろうか」


 思い起こしてもあれ程焦らされたのはなかなか無い気がする。

 だが、こんなに笑える奴に会った事があっただろうかと考える。


 たぶん初めてだよな


 そりゃ、この能力が発現する前は本当にそこらにいる子供と変わらない普通の子供だったし、友人も居たと思う。

 ただこの能力のお蔭と言うべきか迷いどころだが、他人の考えている事が全て分かったし、その分かった事の中には俺の評価も含まれ、友人、知人、親戚、家族に至るまで俺がどう思われてるかが分かってしまった。

 そこからはもう負の連鎖だ。

 今思えば、この世の全ての人に好かれてる奴なんて居ないだろうし、親友とお互い思っている奴でもそいつの悪い所や欠点の一つや二つ見えて来るだろう。

 それが当たり前だし普通のはずなのだが、あの頃の俺は能力に振り回されていたんだろうと今更ながらに思う。

 俺がもうアリシエーゼの頭の中を読まないと決めていると言うのもあるが、アイツが俺の事を好きとか嫌いとかそう言うのじゃなくてもどう思ってるのかが分からないからきっと面白いんだと思った。


「お主、妾を弄んでそんなに楽しいか・・・」


「うわぁッ」


 感傷に耽っている俺の耳元で突然声がして変な声が出てしまった。


「何だ、お前か。随分反省が終わるの早かったな」


「何で妾が反省しなければならないんじゃッ」


「そう言う所だぞ、お前」


「な、何!?そうなのか?」


「・・・ップハ!アハハ。はぁぁ、ふぅ、笑わせんなよ」


「むッ!また妾を弄んだな!?」


「いやぁ、アリシエーゼ、お前いいよ。出来ればずっとそのままでいろよ」


「反省しろだの何だのと散々言っておいて変わらずとはどう言う了見じゃッ」


「あははッ辞めて、マジ辞めて、腹が、腹がぁ」


 俺は涙が出る程笑った。

 本当に久しぶりに、地球では考えられない位に笑った。


「うぅぅぅッもう!怒ったぞ、許さんぞ!」


 そう言ってアリシエーゼは俺に掴みかかって来る。

 髪を引っ張られ!頬を抓られ、揉みくちゃにされながらも笑い転げた。

 本当に楽しいと思った。

 お互いをさらけ出して生身でぶつかる事がこんなにも気持ち良い事だとは思ってもみなかった。

 そんな事を思い、初めてのアルコールを身体が体験した事もあるのだろう。

 何だか感情が昂って、どうしても伝えないとと思った。


「アリシエーゼ、お前可愛いよ、本当に。その性格も最高だよ」


「なッ!?何を言い出すんじゃいきなり」


 アリシエーゼはいきなりの事に焦ってそして頬を抓ったりして俺と密着している事に今更ながら気付いたのか、わたわたと慌て出す。

 そんなアリシエーゼを見て俺は何だかよく分からない感情になり、自然とアリシエーゼの頭に自分の手を乗せて撫でた。


「変わらないで居てくれ。そのままがいい」


 俺はそう言ってアリシエーゼに微笑む。


「・・・・・・ず、狡いぞ」


「うん?何がだよ?」


 アリシエーゼは俯き、借りてきた猫状態で俺のなでなでをただ受け入れているが突然ーー


「狡いのじゃ!」


 そう言って俺に抱き付き、そして首に自分の腕を絡ませて顔を近付けて来た。


 これは、その、そう言う事だよな


 段々とお互いの顔が近付き、吐息を感じ、そのままアリシエーゼと口付けを――


「する訳ねぇだろ!」


 寸前でアリシエーゼを突き飛ばして危機を回避した。


「なッ!お、お前ッ」


「そう言うのじゃ無いだろ、それくらい分かって貰わないと困るぜ、メ●ガキ」


「ッッッ!!貴様ァァ!!!!!」


 アリシエーゼはそこから声にならない悲鳴にも近い雄叫びを上げるが俺は気にせずソファーから立ち上がり、ダイニングまで行って、テーブルに残されて居たワインをグラスに注いで暖炉の前のソファーに座り直した。


「ワインってこんなにも美味いものなんだな」


 まだ喚いているアリシエーゼに聞こえてるか分からないがと心の中で呟きながら言ってみた。


「何勝手に飲んでおるんじゃッ!これは妾のじゃッ」


「うるせぇなぁ、グラスとボトル持ってこっちに来いって」


「何なんじゃお前はッ」


「そんな怒るなよ。可愛い顔が台無したぜ」


 そう言ってアリシエーゼを真似て二チャリ顔をしてみる。


「・・・なんじゃその顔は。気持ち悪いのう」


「偶にやるお前の顔を真似たんだ」


「妾がそんな顔してる訳無かろう」


「いや、してるぞ。本当に」


「う、嘘を付くなッ」


「本当だって。お前あのしたり顔を鏡の前でしてみろって」


「う、嘘だッ」


 そんなくだらない事を言い合いながら二人でワインをガブガブと飲んで行った。気付けばいつの間にかボトルを一本空けてしまい、ふと自分の状態が可笑しい事に気付いた。


 なんだこの感覚・・・

 あぁ、これが酩酊状態ってやつか・・・


「おい、こんな所で寝るな!・・・誰か呼ぶか・・・」


 そんなアリシエーゼの声を聞きながら俺は意識を手放した。



 ◆◆◆◆◆◆



 その夜、俺は夢を見た。

 アリシエーゼによく似たサキュバスに色々と搾り取られる夢だ。

 風呂でアリシエーゼの裸を一瞬でも見てしまった影響だろうか。それとも不意にキスをしそうになってしまったからだろうか。それともその両方があったからだろうか。

 それは兎も角、かなりリアルな夢だった。

 色々と凄かったと思い起こして、また妄想の世界に没入してしまいそうになるのを必死に堪える。


 いかんいかん・・・

 そう言うのじゃ無いと言っておきながらこれは不味いだろ


 これ以上寝ているとまた有り得ない妄想に耽ってしまいそうだと思い身体を起こしてベッドの上で伸びをする。

 いつの間にベッドで寝ていたんだろうかと思い、アリシエーゼか傭兵団の誰かが運んでくれたのだろうとアタリを付けてからベッドから離れる。

 部屋の窓から外を眺めると、傭兵団の面々が畑仕事をしていたり、何だか訓練みたいな事をしているのが伺えた。

 部屋から眺める風景から、ここは二階の一室であると分かり、とりあえず部屋から出て一階へと降りる。


「おはよう」


 一階に降りるとアリシエーゼがリビングで寛いでいるのが分かり声を掛ける。


「おはよう。身体の調子はどうじゃ?」


「うん?二日酔いってのにはなってる気はしないな」


 初めての酒で酔い潰れてしまったがそう言えば噂に聴く二日酔いと言うやつにはならなかったなと思い、少し残念にも思ったし、体調不良にならなくて良かったとも思った。


「そう言う事ではないんじゃがの」


「ん?どう言う事だ?」


「んふふ~」


 朝から二チャっているアリシエーゼを不審に思ったが、コイツは元からこんな奴かと考えるのを辞めた。


「朝飯はどうするんじゃ?」


「うーん、要らないかな」


「そうか。妾も食べる気は無かったから、要るんだったらお主の分だけ作って貰おうと思ったが必要無かったな」


「あぁ、それより歯ブラシをくれ」


「そうじゃったな。脱衣所にあるから一緒に来い」


「わかった」


 そう言ってアリシエーゼはソファーから立ち上がりリビングを抜けて脱衣所の方へ歩いて行くので俺も後を追った。


「これじゃ」


 そう言って差し出されたのは、あちらの世界のテレビ番組か何かで見た事のある木の棒であった。


「想像した通りの形だ」

「そうか、なら使い方は分かるな。ナイフはここにある」


 アリシエーゼは姿見の前に置いてある化粧台みたいな棚の上を指差した。

 そこには小ぶりのナイフが一本置いてあった。


「これってブラシにする部分を真水に浸して一晩置くんじゃなかったっけか?」


「それは昨日の晩から水に浸しておるから大丈夫じゃ」


「お、気が利くな。ありがとう」


 そう言ってナイフを片手に木の棒を持ち、棒の先端から5センチ程のところくらいまでの表皮だけを削ぎ落としていく。

 白い繊維の塊が出たところでナイフを置き、その繊維を噛みながらよく解していく。

 暫くもきゅもきゅと只管繊維を歯で解していい感じになった所で指で更にバラバラに解していく。


「こんなもんか?」


 そう言って解した部分をアリシエーゼに見せて確認を取る。


「うむ、そんなもんで大丈夫じゃろ。後は使いながら自分に合う様に慣らしていけば良い」


「そうか、これは何も付けずにそのままシャコシャコすればいいのか?」


「うむ、この木から出る成分には元々、消臭、殺菌効果が有り、更には美白効果もあるらしいぞ」


「へぇ、そりゃいいや」


 そう言って俺は早速木で出来た歯ブラシを口に入れて歯に擦り付ける様にして磨いていく。

 いつも使っている歯ブラシとは勝手が違う為、最初は少し戸惑ったが慣れてくれば特に不便は無い。

 ただまだちょっと繊維部分が硬い気がするから後でもう少し解すかと思った。


「おぉ、ちゃんと磨かれてる気がする」


 暫く無心で歯を磨いていたがもういいだろうと、脱衣所にある、洗面台の様なところへ向かい、そこにあった水瓶から水を掬って口に含んで濯ぐ。


「思った以上に綺麗になる気がするなこれ」


「そうか、気に入ってくれたのなら良かった。あ、そうそう、そのブラシは通常皆、腰に付けたポーチの中に閉まって持ち歩いておるんじゃが、ポーチお主持っておらぬであろう?」


「うん、持って無い」


「ではポーチも用意しておこう」


「それは助かる。何から何まで世話になっちまって済まないな」


「別に良い。お主は妾の半身になったんじゃしな」


「半身・・・?何言ってんだ?」


 アリシエーゼがまた訳が分からん事を言ってるが、何なんだろうか。

 言ってる事が分からない様子の俺を見て、アリシエーゼはとりあえず歯ブラシを化粧台に置いておけと促す。

 俺はそれに従い歯ブラシを置きながらアリシエーゼの様子を確認するが特に変わった様子は無い。

 寧ろ少し上機嫌な気がするくらいだ。


「なあ、さっきの話は何の事だ?」


「お主まだ気付かんのか」


「だからなんだよ?」


 俺はそう言って自分の身体や顔をペタペタと触ってみるが特に変化は感じられない。


「まあ体感した方が理解出来るじゃろ」


 そう言ってアリシエーゼは姿見の前に立つ様に俺に言うので俺は納得がいかなかったが渋々それに従い姿見の前に立った。


「上半身裸になるんじゃ」


「何でだよッ」


「いいか早ようせい」


 アリシエーゼは面倒くさそうにしながらそんな事を言うが、やはり俺は納得出来ない。

 昨日の事もあるし、そう言った面ではコイツを信用出来ないと思っている。


「何かお前の前で裸になるのは嫌だ」


「面倒臭いのう。別に取って食ったりせんわッ」


 そう言ってアリシエーゼは無理矢理に俺の上着を捲し上げ様としてきた為、諦めて従う事にした。


「分かったよ、これでいいか」


 そう言って俺は腹を見せる形で上着を両手で持ち上げる。


「うむ、ちょっとそのままでおれ」


 そう言ってアリシエーゼは化粧台の上から何かを手に取りそのまま俺に向き直った。


「では行くぞー」


「???」


「えいッ」


 アリシエーゼは可愛い掛け声と共に化粧台にあった()()()で俺の腹を横薙ぎする形で思い切りカッ捌いた。


「ぁ、え?」


 突然の事に反応が出来ず俺は熱くなり始めた自身の腹を見た。


「お、おぉぉ、あ、え?お、お前・・・」


 俺は自身の腸が飛び出て来るのを目にして急いでそれを取りこぼさない様にと手を腹に持って来るが訳が分からずアリシエーゼを見る。


「な、何して、お前、何を」


「落ち着け、もう治ってるではないか」


 コイツは何を言ってるんだ

 いきなり腹をカッ捌かれて腸が飛び出て裏切られて何でだ何でだと訳が分からない兎に角分からず怒りが何故か浮かばす分からない分からないどうすれば先ずはこの飛び出たやつを何とかしないと


「・・・あれ?」


 腸を必死に元に戻そうともう一度自身の腹に目をやるとそこには飛び出ていた腸も腹の傷も何も無く、ただ出血した跡だけが残されていただけであった。


「どう言う事だ」


 訳が分からない。

 混乱する頭を何とか諌めようと必死に藻掻くが、なかなか脳は落ち着いてくれない。


 さっきのは幻?

 いや、めちゃくちゃ痛かったし

 でもアリシエーゼの幻覚魔法みたいなものとか?でも今も出血跡はあるし・・・


「ちゃんと成功したようじゃのう。失敗してたらどうしようかと思ったぞ」


「・・・は?え?」


「なんじゃそんな顔をして。お主昨日言ってたでは無いか。強くなりたいと。不老不死になったら喜んで小躍りすると」


 いや、小躍りするとは・・・そんな事はどうでもいい

 どう言う事だ?

 不老不死?え?いや、まさか・・・


「お、おまッ」


「どうじゃ、人外になった気分は」


「・・・・・・・・・」


「なんじゃ?嬉し過ぎて言葉が出ないか?うん?」


 コイツは俺を勝手に何の許可も取らずに吸血鬼に、人外ちゃんにしたって事か?

 何を考えてるんだ

 いや、マジで何なんだコイツ


 怒りが湧いて来るしアリシエーゼの事が理解出来ずに混乱するし何が何だか分からなく、自分の状態がちゃんと把握出来ないでいた。


「ちなみに普通の眷属にした訳では無いぞ?妾と同じ特性と能力を受け継ぎ、主従の関係も無い、対等なパートナーとしたのじゃ!」


 アリシエーゼはドヤーと無い胸を貼り、鼻から荒い息を吐いている。

 そんなアリシエーゼを俺は呆然と見つめる事しか出来ずにいた。


「なんじゃ、反応が薄いのう」


 一度整理しよう

 ちょっと色々と考えたい事が出来た


 俺はアリシエーゼに答える事無く脱衣所を後にする。


「あ、おいッ何処に行くのじゃ!?」


 アリシエーゼは慌てて俺の後を追い掛けて来るがとりあえずコイツが居ると邪魔だ。


「五月蝿い。俺がいいと言うまで俺に近付くな」


「ひぇッ」


 そう言って俺は玄関を開け放ち、アリシエーゼを置いて外へと出て行った。

 村の入口付近に大きな木があるのでそこまで行こうと歩を進める。途中、傭兵団の面々と軽く挨拶を交わしつつ屋敷に顔だけ向けると入口にアリシエーゼは居た。

 近付くなと言ったからであろうか、アリシエーゼは玄関でアワアワしているのが分かった。

 俺はそのまま大きな木の下まで来ると地面に腰を下ろし、胡座をかいて座った。

 距離は遠く、表情までは確認出来ないくらいだが、アリシエーゼと向かい合う形だ。

 アリシエーゼも俺が腰を下ろしたのを確認したからか、玄関の階段に腰を下ろしてこちらを見ていた。


 さて、状況を整理してみよう

 先ずはこれに尽きるだろう






 ワタシ、ジンガイニナリマシター

あれ・・・サキュバスってまさか・・・


実はですね、下の方に☆☆☆☆☆ってところがあるんですよ。

これ秘密なんですが、一番右の☆を押すとなんと!

一瞬で★★★★★に変化するんですって!

そんな訳で、評価、ブクマ等頂けるとやる気がムクムク湧きあがります。

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