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異端の紅赤マギ  作者: みどりのたぬき
第1章:異世界と吸血姫編
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第23話:魔導具

序盤、特に1章辺りはすみません、初投稿でかなり拙文であったりしますので、時間があればその内表現や台詞回し等大幅に変更予定です。

それまでは何卒、生温かい目で見守ってやって下さい。

 翌朝、慣れない馬車での就寝で身体の節々に痛みを覚えて目を覚ます。

 幌の出入口の幕は上がっており、そこから外の様子を窺うと既に朝日が顔を出している様であった。

 外から誰かしらの声が聞こえて来て、皆既に起床していると思われた。

 先ずは外の空気を吸いたくなったので俺は荷馬車から降りて大きく伸びをする。


「やっとお目覚めかの。随分と寝ておったのう」


 そこへアリシエーゼが声を掛けて来た。


「あぁ、おはよう。みんなもう起きてるのか?」


「お主待ちだぞ」


「あ、そうなのか。すまんすまん」


 そう言って辺りを見渡すと、傭兵団の面々は既に全員起きており、出発の準備すら終えている様であった。


「皆、朝早いんだな。今何時か分からないけど8時くらいか?」


「そうじゃの。この世界の者は皆、朝は早いぞ。それよりも荷馬車の横の樽に水が入っておるから顔を洗って来い」


 そう言ってアリシエーゼは荷馬車に顔を向ける。

 俺も釣られて荷馬車を見て、昨日何が入っているんだろうと疑問に思っていた樽の中身が水であったのかと納得する。


「わかった。どこの樽でもいいのか?」


「いや、左の1番後ろの樽を使え」


「あいよ」


 そう返事をして俺は目的の樽まで歩いて行き、蓋が開いている樽の中を覗き込む。


 まぁ、普通の水だな

 態々指定したって事は、飲料水は別の樽なのかな


 とりあえず顔を洗ってもう一度大きく伸びをしてからアリシエーゼの元へと戻った。


「飲水は別の樽に入ってるのか?」


「ん?あぁ、飲料水と分けている。右側の樽は全部飲料水じゃ」


「ふーん、了解」


 軽く返事をしてから思い出した事をアリシエーゼに聞いてみた。


「あ、そう言えばさ、皆は歯磨きはどうしてるんだ?」


「あぁ、そうか。皆個人で歯ブラシは持っておるぞ。ほれ、皆腰にポーチを吊るしておるじゃろ?」


 そう言ってアリシエーゼはその辺をぶらついている傭兵団の腰を顎をクイッと持ち上げて示した。

 確認すると、皆ポーチを腰にぶら下げているのが分かった。


「そうなんだ。歯ブラシって売ってるものなのか?」


「売ってるぞ。ただ地球で使っていた様なものは想像するなよ?」


「もしかしてインドとかその辺で使ってる様な木のブラシか?」


「なんじゃ知っておったのか。つまらんの」


 アリシエーゼはそう言って鼻を鳴らした。

 だがアリシエーゼの顔を見る限りつまらなそうでは無さそうだ。


 このツンデレちゃんが~


「テレビか何かで少し見た事あっただけだよ。とりあえずそれ買うかな」


「妾の家にはストックが何本もあるから分けてやっても良いぞ?」


「お、じゃあお言葉に甘えて――ってお前の家、森の奥深くだろ」


「そうじゃが?」


「やっぱいいや。行くのがめんどくさいし」


「何を言っておるんだお主は。まさかここからどこかの街まで直接行く気だったのか?」


「そうだけど?」


 だって目的だったアリシエーゼにも会えて、俺の能力の確認も出来たし、態々森の奥深くにあるコイツらの村まで行く必要も無い。


「アホか。ここから一番近くの街まで徒歩だと四、五日は掛かるぞ。それに道も分からんじゃろ」


「あ、そんなに掛かるのか。でも道はコイツらが居るから大丈夫だろ」


「ん?コイツら?」


「うん、コイツら」


 そう言って俺は傭兵団の達を見る。

 それを見たアリシエーゼは、驚いた様な顔をした。


「まさか、こ奴らを連れて行く気か・・・?」


「うん、だって俺、自分の傭兵団作りたいし、こいつらは傭兵団の初期メンバーだし」


「いや、だしって・・・そんなのいつ決まったんじゃ」


「昨日だよ?」


「わ、妾は聞いておらんぞ!こ奴らは妾のものじゃ!やらんぞ!」


「だってコイツら何だかんだ言って元傭兵団だし、結構強そうじゃん。纏めて団員をゲット出来るチャンスを逃す道理は無いだろ」


「こ奴らが居なくなったら妾はどうするのじゃ!一人になってしまうではないか!」


 アリシエーゼはそう言うとちょっぴり泣きそうになったいた。

 なんか悪い気がしてきたぞ・・・


「いや、お前も一緒に行くんだぞ」


「へ・・・?」


 仲間を全員引き抜いて、吸血鬼だけど成人もしてない様な女の子を森の奥深くに置き去りにするとかどんな鬼畜だよって話だ。

 ただアリシエーゼは一人取り残されると思っていた様で、俺の言葉を聞いて惚けていた。


「んな森の奥深くでひっそりと暮らしていくなんてつまらないだろ。一緒に来いよ」


 アリシエーゼの顔に笑顔が咲いた。

 なんともまぁ分かり易い。

 しかしそんな笑顔は一瞬の事で、すぐに不機嫌そうな顔になり鼻を鳴らす。


「ふんっ!どうしてもって言うなら行ってやっても良いぞ」


「へいへい、どうしてもだよ」


「何でそんな投げやりなんじゃ!」


「言わなくったって分かるだろ」


「ぐぬぬッ」


 姫様傭兵団は連れて行く。

 これは決定事項だ。

 アリシエーゼも能力だけ見れば破格の性能なんだから連れていかない理由は無い。

 ただ、面倒くさそうだ。本当に。


「俺は、俺だけの傭兵団作って、この世界を旅するぜ」


「どうせその方が楽しそうとかそんな理由じゃろ」


 アリシエーゼがジト目で俺を睨む。

 その通りなので俺は肩を竦めて返事をする。


「神や悪魔に魔獣にドラゴン、剣と魔法のファンタジー世界だぜ?楽しまないと損だろう」


「妾には理解出来ん」


「嘘付くなよ。そんななのじゃロリキャラ作っておいてそっち方面に耐性が無いなんて言わせねーぞ」


「キャラ作りとか言うなッ」


「本当の事だろうが・・・」


 またアリシエーゼの癇癪が始まったかとため息を漏らしていると、ポロンが近付いて来た。


「姫様、そろそろ出発しませんと屋敷に到着するのがかなり遅くになってしまいます」


 そうポロンに言われアリシエーゼは我に返った。


「む、そうじゃの。出発するか」


 そう言って俺に向き直りアリシエーゼは続ける。


「街に行くにしても何も準備もしておらんじゃろ。まずは妾の屋敷に一度帰って、準備を整えてからと言う事にした方が良いと思うぞ?」


 確かに、●豆の残りの数も分からないし、歯ブラシも欲しい所だ。


「わかったよ、それでいい」


「うむ。では出発じゃ!」


 アリシエーゼの掛け声と共に傭兵団は姫様屋敷へと向かって歩を進め始めた。

 アリシエーゼはそのまま荷馬車の中へ引っ込もうとしていたが、俺はなんだか無性に身体を動かしたかった為に傭兵団と共に歩きで馬車を追い掛ける事にした。


「なんじゃ入らんのか?」


 荷馬車に入る気配の無い俺を見てアリシエーゼが問いかけてくる。


「うん、ちょっと身体を動かしたい」


「何でじゃ?」


「何でって言われても・・・毎日の日課だからかな」


 通常、この世界の人間は魔力を無意識に循環させている。

 魔力循環が行われると人により強弱はあるが身体に魔力を纏う事になり、身体強化と魔力障壁が発動する。

 パッシブスキルみたいなものだ。

 だからか、移動速度も俺からすればかなり早い。

 普通に小走りでは済まないくらいの速度で歩いて――いや、走っている。

 常日頃から鍛えている俺としては特に付いて行くのがキツいと言う訳では無いが、これで当人達は普通に歩いているくらいの感覚なんだろうと思うとなかなかに恐ろしい。

 そんな駆け足の状態でシャドーを始めてみた。


「ほぅ、なかなか様になってるでは無いか」


 俺はそんな言葉を聞き流しながら、立ち止まってワンツー、そして走り出し、集団に追いついたらまた立ち止まって今度はワンツースリーとパンチを繰り出し、また集団に追いつこうと走り出す。

 それを繰り返し、身体が温まって来たら、次はキックの動作も動きを確認しながら繰り返す。

 傭兵団の面々はそんな俺の動作を横目で見ながら歩を進める。

 暫くして大分汗を流せたのでシャドーを辞めてクールダウンを兼ねながら走ることに切り替えるとアリシエーゼが荷馬車の中から足を外に投げ出し声を掛けて来た。


「あっちで何か習っていたりしたのか?」


「あぁ、総合みたいなものを習ってはいたよ」


「そうなのか。でもお主の能力があれば体術なんて必要無さそうだがのう」


「そんな事無いさ。この能力は人間にしか効果無さそうだからこっちだと魔獣なんか相手取ったらやられそうだぞ」


「獣如き身体強化があれば十分じゃろ」


「その身体強化が使えないから備えてるんだってば」


「えっ?」


「あ、そう言えば言って無かったか。俺、穢人なんだってさ」


 そう言うとアリシエーゼは口をあんぐり開けて放心した。


「う、嘘であろう・・・?」


 苦笑いを浮かべながらアリシエーゼは言うが俺はそれを否定する。


「嘘じゃねぇよ。こっちの人間の脳には魔力生成する機関と言うか部位があったけど、俺には無いから魔力0だ」


「魔力無し・・・」


「あぁ、魔力のまの字も感じられない」


「妾はそんな奴に負けたのか・・・」


 そんな奴呼ばわりとは酷い


「ま、まさか魔力無しで傭兵をやろうとしておるのか!?」


「うん、そうだけど?」


 そう答えるとアリシエーゼは頭を抱えた。


「お主は何も分かっておらん!この世界で魔力が無いと言う事がどれ程危うい存在かッ」


「それはアルアレとトイズから嫌って程聞かされたって」


「そ、そうなのか?だったら傭兵なんて無理って分かるであろう!」


「いや、わからんね」


「何故!?」


 対人戦なら俺は一切負ける気は無い

 誰が相手であろうと絶対に勝てる自信がある


 ただ、魔獣や魔物相手に俺の能力は意味を成さない可能性が高く、神や悪魔なんて存在にも疑問が残る。

 だから、そう言った手前には傭兵団が必要になって来るし、その為に、俺の為だけの傭兵団が必要になる。

 それをありのままアリシエーゼに伝えた。


「成程のう・・・話は分かった」


「そうかい、そりゃ良かった」


「一つ聞きたい」


「なんだ?」


 アリシエーゼはそう言って一呼吸置いてから俺に尋ねた。


「お主はそれで良いのか」


 それは、傭兵になっても自分で魔獣などの相手は出来ない、不甲斐ないままで良いのかって事だろうか

 だったら、否だ


「いや、良くはない。だから考えている事がある」


「なんじゃ?」


 俺は魔導具(マジックアイテム)に関しての考えもアリシエーゼに伝えた。


「そう来たか。確かに国宝級の魔導具には破格の性能を有するものも存在する」


「だろう?」


「・・・・・・・・・」


 アリシエーゼは何か考え込み、少しすると荷馬車から飛び降り、俺の元まで走って来て徐に左手首に付けていた細い装飾が施されたブレスレットを外して掌に乗せて俺に見せる。


「これは?」

「これは魔導具じゃ」

「おぉ!これが魔導具なのか!」


 アリシエーゼはそのブレスレットを手で掴みながら傭兵団に停止の合図を送る。


「これはそんな珍しい物でもない魔導具じゃ」


「どんな効果があるんだ?」


「自動で対物、対魔フィールドを形成する」


「自動バリアって事!?」


「そうじゃの」


「すっげぇ!!」


「そんな目を輝かせんでくれ・・・大したものでは無いんじゃ」


 余程キラキラしてたんだろう、アリシエーゼは多少申し訳なさそうにしながらそう言った。


「いやいや十分凄いだろ、どのくらいの衝撃に耐えられるんだ?」


「そうじゃのう・・・ナッズ、ちょっとこっちに来い」


 そう言ってアリシエーゼはナッズに手招きをしてナッズを呼び寄せる。


「なんすか、姫」


 ナッズは両手を頭の後ろに組みながらこちらに近付いて来た。


「これを私にあの辺から適当に投げ付けてみよ」


 アリシエーゼは地面に落ちている拳程の石を拾い上げてナッズに放り投げる。

 それをナッズは片手で受け取り足取り軽く俺達から離れて行く。

 そうして、十メートル程離れた場所で立ち止まるとクルリとこちらに振り向き、右手に石を持って手を振る。


「この辺でいいっすか~」


「よいぞー」


「そんじゃいきますよ~」


 何とも間延びしたやり取りをしてナッズはその場で振り被り石をアリシエーゼに向けて投げ付けた――ッて!!??


 豪速球!?


 マジかよと思ってる間に石は物凄いスピードでアリシエーゼに向かって行き――


 バキンッ


 と音がして石はアリシエーゼにぶつかる手前で何かに阻まれてその勢いを殺されて地面にポトリと落ちた。


「お、おぉ・・・」


「これが対物障壁じゃ。魔法の場合も対魔障壁が同じ様に展開される」


「思ってた以上に凄いじゃないか。俺もやりたい!」


 そう言ってアリシエーゼに手を出して、ブレスレットを要求する。


「・・・まぁやってみるのが一番か」


 アリシエーゼは小さく呟いて俺にブレスレットを手渡すとそのまま踵を返してナッズの方に歩み寄る。


「アリシエーゼが投げるのかー?」


「そうじゃー、いくぞー」


「いやいや、待てー、石持って無いだろー」


「持っておるぞー、ほれー」


 そう言ってアリシエーゼは右手の人差し指と親指の間に小さな石を挟んで見せる仕草をする。


 小さッ!

 BB弾くらいじゃないか?

 何でそんな小さいんだよ


「ちょっと小さくないかー」

「煩い奴じゃのー!いいから黙って受けんかッ」


 そう言ってアリシエーゼは問答無用で振りかぶる動作を開始した。


「なんだよ、最初だから気を使ってんのか?」


 何だか腑に落ちないがまぁいいか


「じゃあ行くぞー」


 アリシエーゼは明らかに緩慢な動作で振り被り、そのまま緩やかな動作で小石を俺に投げ付けた。


 ヒュンッ―――




 ―――バチッ!


「痛たッ」


 小石は障壁に阻まれる事無く俺の眉間に吸い込まれてこ気味良い音を出して弾ける。


「おぉぉッ、痛ってぇぇ」


 障壁が展開されると思って完全に油断していた。

 まさか、障壁が展開されないとは・・・


「な、なんで障壁が展開されないんだよ」


「それはな、お主に魔力が無いからじゃよ」


 こちらに歩いて来ていたアリシエーゼが答える。


「魔力?何で魔導具なのに魔力なんだよ」


「・・・魔導具は魔力が発動キーになるんじゃよ」


「え・・・・・・」


「・・・・・・」


 アリシエーゼは申し訳無さそうにしながら俺に告げた。

 そんなアリシエーゼの言葉は俺に届かない。


 な、何言ってんだ

 道具を使うのにも魔力が必要?

 え、じゃあ俺には魔導具も使えない・・・?


 かなりの衝撃的な事実だった。


「やはり知らなかったんじゃな・・・」


「あ、あぁ・・・」


 ダメだ

 ちょっとショックがでか過ぎる


「魔導具は、発動時に魔力を意識的に流し込んで使う物と、体内で循環させる魔力を魔導具にも常に流して勝手に発動する物の二種類があるんじゃが、この魔導具は後者じゃ」


「どっちにしろ魔力が無いと使えないって事か・・・」


「・・・そうじゃな」


 それを聞いて俺は膝から崩れ落ちた。


 魔法は使えない

 身体能力強化も使えない

 スキルなんて物はそもそも存在しない

 魔導具も使えない


 マジでこれ何てクソゲーだよ


「終わった・・・」


「ま、まぁ、お主には強力な能力があるではないか」


「俺は自分自身で魔物討伐とかやりたいんだよ・・・」


「う、うむ」


 はぁ・・・

 何だかもうどうでも良くなってしまった


「ちょっと寝る」


「・・・・・・」


 アリシエーゼは何も言わなかった。

 傭兵団の面々も何かを察したのか何も言わずに荷馬車に乗り込む俺を見送った。

評価、ブクマ、レビュー、感想頂けると悶えます。

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