第22話:始祖超え
評価、ブクマ、レビュー、感想頂けると悶えます。
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序盤、特に1章辺りはすみません、初投稿でかなり拙文であったりしますので、時間があればその内表現や台詞回し等大幅に変更予定です。
それまでは何卒、生温かい目で見守ってやって下さい。
仕切り直しと言う訳では無いが、俺とアリシエーゼはまた焚き火を囲んで並んで座っている。
「「・・・・・・・・・」」
焚き火がパチンッと弾けて火の粉が舞う。
「・・・なんか言いなさいよ」
「あー、とりあえずもうお前の頭の中は覗かないよ」
「何でよ?」
「んー、そう決めたから?」
「だからなんでよ!」
「なんて言うか、この能力は自分で言うのもなんだけど強過ぎるんだ。だから何に対しても使ってたらつまらない」
「つまらない?」
「そう、つまらない」
「地球ではそうだったって事?」
「そうだな・・・本当に張り合いがない世界だったよ」
「そう・・・」
「ただ、自分の命を守る為には使うし、何て言うか、人生を面白可笑しくする為には使うけどね」
「だから私にはもう使わない?」
「うん。だって生のやり取りの方が新鮮だし楽しいだろ?」
そう言ってアリシエーゼに笑いかける。
それを見てアリシエーゼは驚いた表情をしていたが、直ぐに顔を逸らし焚き火を見つめ直した。
「まぁ信じてあげるわ」
「そりゃどうも」
「でも!やっぱり納得出来ない。アンタのその力、何なの」
「何なのって言われてもなぁ・・・」
「記憶の改竄とかそんなレベルの話じゃないわ。こう見えて私、魔力量は膨大だし精神攻撃に対しての耐性持ちよ?」
「こっちの世界の耐性ってのがどの程度のものかわからないから何とも」
「あのね、アンタはもう知ってるから言うけど、私は吸血鬼の始祖を超えた存在なのよ?」
「えっ!?始祖超え!?」
「そうよ」
「始祖ってあの吸血鬼の大元の?」
「うん」
「吸血鬼の中の吸血鬼の?」
「だからそう言ってるでしょ!」
「いやぁでも始祖を超えって――」
「もう!そんなのはどうだっていいの!」
いやいや、良くねーよ
始祖超えてるって何だよ
もうそれ吸血鬼じゃねーよ
別の何かだよ
「兎に角!そんな存在の私はこの世界じゃ超絶規格外な訳。そんな私をいとも簡単に堕としたのよ?」
「いや、堕とすとか言うなや」
「だってそうじゃない」
「違うし。でも、確かにお前の防壁は地球で見た誰よりも多かったよ」
「多かった?」
「あぁ、そうか。お前は一枚の壁をイメージしてるんだったな」
「そうね。アンタは一枚の壁をイメージして無いの?」
「俺は薄いガラスが何枚も重なってるイメージかな」
「へぇ、人によってその辺のイメージって違うのね」
「俺もお前を相手取って初めてそれに気付いたよ。まぁその頭の中の壁と言うか、心の壁は確かにお前のは多かったよ。だから耐性持ちってのも何となく理解はした」
「そう。で、結局なんなのよアンタ」
「だから知らねぇよ・・・」
俺はため息を吐きながら空を見上げる。
雲一つ無い星空は地球で見たどの星空よりも綺麗で思わず見惚れてしまう程だった。
「すっげえなぁ」
そんな俺の呟きを隣で拾ったアリシエーゼも同じ様に星空を見上げる。
「私も転生して来て、初めて星空を見た時、感動して泣いたわ」
「サイコパスの須藤さんが?」
「アンタね・・・」
アリシエーゼは身震いしそうな程冷たい目で俺を見て怒った。
うん、これは俺が悪いか。
「ごめん」
俺が素直に謝るとアリシエーゼはため息を一つ付き、また星空を見上げた。
「まあいいわ。サイコパスだったのは事実だし、あっちで私がやった事は反省してると言うか、後悔しているわ」
「そうなのか?」
「そうよ。何て言うのかしら、魂がアリシエーゼに引っ張られてるのよ」
「魂が?」
「そう、魂が。考え方もアリシエーゼの年相応の考え方がしっくり来る様になったし、アリシエーゼは家族を愛していたわ。そんな感情を須藤恵梨香も受け入れ始めて、それが当たり前になって行くの。」
「魂が引っ張られる・・・か」
「そう。何て言うか段々と馴染んで来ると言うか須藤恵梨香が薄れて行くのよ」
「それは・・・なんと言うか怖いな・・・」
「最初は私も怖いと思った、かな」
自分自身が薄れ行き細くなり、やがて消えて行く。
そんな想像をすると恐ろしくなった。
今のアリシエーゼはそんな心境なんだろうと考えるが、なんて言ったらいいのか分からず黙るしか無かった。
「でも最近なんだ、そう思い始めたのは。アリシエーゼだと自意識が認識し始めると、須藤恵梨香がして来た事、考えていた事が何だか有り得ないものに思えて来て・・・それからは段々と須藤恵梨香はもう死んだんだ、私はアリシエーゼ・エンフェンフォーズなんだって」
「・・・そうか」
「そうよ・・・」
焚き火が再びパチンッと弾けて火の粉が舞う。
「でもさっきも言った様に最近、2、3年前くらいからなのよ。それ以前はもうゴリゴリの須藤恵梨香だったわけ」
「だろうな。そうじゃなきゃ自らヴァンパイアに身売りしたり、善意で助けようとした神様喰らったりしねぇよ・・・」
「そこまで知ってるのね」
そう言ってアリシエーゼは妖艶な笑みを浮かべた。
アリシエーゼは十四で吸血鬼となり、そこから身体の成長は止まっている。
元々成長が遅いのか何なのかどう見ても十四には見えないので色々と残念な感じなのだが、もう少し大人びていたのなら危うく惚れてしまうかと思うくらいには怪しい微笑みだった。
「まぁね。だからさっきはドン引きしてるって言ったんだ」
「そう言えば言ってたわね、そんな事」
そう、アリシエーゼは自分で始祖を超えていると言っていたが絶対に神様喰った影響であろうと思われる・・・
なんだよ神様喰らったって・・・
イカれてるだろ・・・
アリシエーゼが十四の頃、エンフェンフォーズ領内をあるヴァンパイアが荒らし回っていたらしい。
その噂を聞き付けたアリシエーゼは、自力でヴァンパイアを探し出した。
自分も夜の住人となり、限りなく不死に近い肉体を得たかったからだ。
ヴァンパイアを見つけ出しアリシエーゼは自らを売り込みまくった。
如何にヴァンパイアに憧れているか、自分がどれだけ闇属性(性格的な意味で)に適性があるか等ヴァンパイアも引くくらいに売り込んだ様だ。
そのヴァンパイアもこんな頭イカれた奴には初めて出会っただろうし・・・心中お察しします
見事、吸血鬼デビューを果たしたアリシエーゼは歓喜した。半永久的に生きられて、好きな事を好きなだけ出来るのだと。
そんなアリシエーゼの絶頂感とも言うべきはしゃぎタイムはそう長くは続かなかった。
当然ながら日光には極端に弱くなり、日中に出歩く事はまま成らず、食欲は一切湧かず人間の時の食事は味が一切しなくなっており、湧くのは渇きによる吸血衝動だけ。
更に言えば、吸血鬼界の柵と言うべき主従関係にもハッキリ言って辟易していた。
まぁ確かに、日中出歩けないとかダル過ぎるわな・・・
自由になれると思い吸血鬼になったのに、待っていたのは不自由以外感じることの無い日々。
アリシエーゼは後悔した。
そんな時、何の因果であろうか神様に出会う。
その神様はどんな理由で地上へ降りて来たのかアリシエーゼも分からないので、アリシエーゼの記憶を読んだだけの俺には想像する事しか出来ないが、地上に受肉して顕現し、何かを成そうとしていたのだろう。
そんな神様をアリシエーゼ、いや、須藤恵梨香は探し出した。
恐ろしいまでの執念と嗅覚であるが、そもそも完全に闇属性の吸血鬼が、完全聖属性の神様探して出会うってどういう事だよと思ってまう・・・
問答無用で滅せられても文句言えないし、そうなるという恐れは無かったのだろうか・・・
まぁサイコパスだし、常人が躊躇うような事柄も躊躇無しに飛び込んで行けたりするのだろう。
アリシエーゼは願った。
元の人間に戻りたいと。
限りある生を謳歌し、死を受入れ人生を享受したいと。
神様はアリシエーゼを赦した。
闇に堕ちてしまったものを再び昇華させるのは並大抵の事では無い。
寧ろ有り得ない事で、それこそ奇跡を起こさない限り無理であったであろうが、その神様はアリシエーゼを元の人間に戻すと約束した。
しかしその神様は受肉して地上に顕現してしまった為に天界に居た時の様な奇跡を起こせなくなってしまっていたが、時間を掛けて大規模な儀式をすれば奇跡は起こせると言った。
アリシエーゼは泣きながら懇願した。
どうかお救い下さいと。
神様は直ぐに大規模儀式を開始した。
アリシエーゼは祈りながら待ち続けた。
どのくらいの時間が経過したであろうか。ただ祈って待つばかりのアリシエーゼはふと思った。
神様の血を吸ったらどうなるんだろうか、と。
いやいや・・・無いだろう
無いよ、マジでイカれてるよ
普通、そんな事思わないって
でもアリシエーゼは思ってしまった。
そして何の躊躇も無く、儀式に集中している神様を・・・・・・喰い殺した・・・
本来なら、バリバリ聖属性の受肉して地上に顕現しているとは言え神の血だ。そんなものをバリバリ闇属性のアリシエーゼが飲んだらどうなるのか。
聖水をがぶ飲みする様なものなんじゃなかろうか・・・
普通ならその場で存在自体が消滅したであろうが、儀式の途中実は既に奇跡は起こり始めていたのだ。闇属性から聖属性への転換の最中に神の血肉を喰らい、なんと耐えきってしまったのだ。
当然、何事も無かった訳では無い。
それこそ死ぬ程苦しく、耐え難い苦痛の連続で精神崩壊しても可笑しく無かったのだが、もともと精神崩壊している様な須藤恵梨香だから耐えきれたのだろう。
夜に始めた儀式であったが、気付くと既に朝日が登っていた。
陽の光を身体中に浴びてもなんて事は無くなっている自身の身体、それに吸血鬼だった頃の能力もそのままであり、更には聖属性すら獲得していた。
デイ・ウォーカーと成り、神の血肉を喰らった事により、全ての能力が数段どころか限界突破をして、この世の理から片足抜け出して、別の理にその片足を突っ込んだ様な存在となっており、弱点と言う弱点が無くなり、正に限り無く不死の存在となったアリシエーゼは吸血鬼を超えた吸血鬼となったのだった。
そりゃ始祖超えてるわな・・・
ただ何回も言うけど、頭可笑しいって
恐ろしいよマジで
須藤恵梨香は薄くなり始めたと言っていたが、本当だろうか・・・
もしあの会話が演技だったとしたら・・・
アリシエーゼには制約を課しているが、そんなものじゃ止められないんじゃないかと思ってしまう。
ただ、コイツが居れば大抵の事はどうにかなってしまいそうだなとも思った。
「まぁ始祖超えてるってのは本当みたいだな」
「でしょ。恐れ入ったか」
「はいはい。おっと、大分話し込んじゃったな」
「そうね。明日も早いしそろそろ寝たら?」
「あぁ、今日は色々あって疲れたからぐっすりと眠れそうだ」
「そう、それは良かった」
「アリシエーゼは寝ないのか?」
「私は夜の住人でもあるのよ?寝る必要なんてないわよ」
「そうか。でも寝ようと思えば寝れるんだろう?」
「えぇ、寝れるわ。何?添い寝して欲しいの?」
「冗談」
アリシエーゼの冗談に鼻を鳴らしながら俺は荷馬車へと歩き出し、ふと気になってアリシエーゼへ振り返る。
「なあ、今のお前は須藤恵梨香か?」
「・・・・・・そうね、そうだと思うわ。何故?」
「いや、話し方や雰囲気が大人びているし、なんだろう、何となくそう思った」
「そう言えばそうね。こんな話し方この世界に来てからした事あったかしら」
そう言ってアリシエーゼは右手を顎に添えながら首を傾げる。
「お主はこっちの喋り方の方がいい様じゃのう」
「それは無い、お前幼女じゃねーだろ。そう言うのは外見幼女がやるからいいんだぞ」
「う、うるさいわい!アリシエーゼはこの喋り方でいいんじゃ!」
「はいはい、おやすみ」
俺はそう言ってアリシエーゼに背を向け今度こそ荷馬車の中で眠る事にした。
後ろからは「覚えておれー」とか聞こえるが無視無視。
暖「成りきるならもっとクオリティあげろよなぁ」
ア「ぐぬぬ・・・」




