第113話:準備万端
出来るだけ、連日投稿出来る様に頑張ります。
無理だったら、優しく微笑んでください。
翌朝、皆で朝食を済ませてから俺達はそれぞれのやる事を済ませる為に別行動を取った。
俺は今日はアリシエーゼ達と一緒に各人の装備を整える為にホルスの街の商店等を回る事になっている。
「さて、どこから回る?何か宛はあるのか?」
俺がアリシエーゼに問うとアリシエーゼは首を傾げた。
「そんなもんありゃせんぞ。この街の事などまったく分からんしな」
まぁ分かっていた事だが、これだけ広い街を何の情報も無しに闇雲に歩いて探索していたら、それこそ時間がいくらあっても足りない。
「昨日の店はどうやって辿り着いたんだ?情報も無しにここから拾番街の店に辿り着けるとは思えないんだが?」
「ん、妾が魔導具すんごいのが欲しいと言ったら、モニカとドエインが聞いて来てくれたのじゃ」
「そうか・・・」
アリシエーゼが聞き込みなんてする筈が無いのは最初から分かっているので、俺はモニカとドエインに話を聞く事にした。
「昨日は姉御が魔導具を探してるって言うからそっち方面でしか聞いてないぞ」
「私も同じです。これだけ広い街です、闇雲に歩き回っても時間が無駄になるだけだと思いますよ」
まぁ、これも予想の範囲内であったが、ドエインは何故アリシエーゼの事を姉御などと呼ぶのだろうか。
俺の事は旦那と呼ぶし、それなら俺は兄貴とかじゃないだろうかと思うが結局はどっちも嫌だと言う結論に達した。
結局俺達は、宛も無く歩いて行き、時々情報を集めて行く作戦を決行した。
途中何度もアリシエーゼが疲れただの何だのと喚くが、俺がトコトン無視を決め込むと、皆もその対応で良いのかとあまりアリシエーゼを構わなくなっていた。
「つーかーれーたーのーじゃッ」
アリシエーゼが今日何度目かの駄々っ子タイムを発動するが、もう皆慣れてしまったのか誰も相手にはしない。
「くーしーやーきッ」
区画の番号が上がって行くにつれて、街並みも雑多なものへと変化して行くこのホルスの街では、屋台が並ぶ通り等も当然存在する。
見えていなくとも、匂いを嗅ぎ付ければアリシエーゼは口癖の様に串焼きと言うが、それも俺達は全てを無視して歩く。
「のう、そろそろ昼時では無いかのう」
アリシエーゼは無視されている事を気にも止めず俺にそう言ってくるが、そう言えばもうそんな時間かと一旦立ち止まり皆に言った。
「確かに昼飯食うにはいい時間だけどどうする?」
俺の問いに皆は顔を見合わせる。
「俺はどっちでもいいぜ。でも目的の店はすぐそこだろ?だったらそこを見てからでもいいんじゃないか?」
「そうですね、私もそれがいいと思います。まだ何も買って無いですしね・・・」
ドエインと明莉はそう言って昼飯より先に用事を済ませようと言う。
まぁ、確かにまだ何も買っていない・・・
朝から数軒回ってみたもののどれも微妙な物であったので購入には至っていない。
「私はどちらでも構いませんよ。ユーリーはお腹空いてる?」
「・・・マダ」
「っと言う事なのでまだ大丈夫です」
ユーリーを抱っこして歩くモニカはまるで母親に見えて仕方無い・・・
「じゃあ、先に次の店だけ見ちゃうか」
「な、何ッ!?妾はもうお腹ペコペコじゃぞ!?」
「少しくらい我慢しろよ・・・」
「無理じゃッ!直ぐそこにご馳走が並んでおるんじゃぞ!?妾の為に皆用意して待ってくれておるんじゃぞ!?アツアツの内に食べてやらねば失礼では無いか!」
別にお前の為じゃねぇし・・・
突っ込むと調子に乗るので俺は敢えてアリシエーゼを無視して話を進めた。
「じゃあ、さっさと見に行ってその後何処か飯屋に入るか」
そう言って俺達はゾロゾロとまた目的の店へと歩き出すが、アリシエーゼが俺の前に躍り出て両手を広げて道を塞ぐ。
「ち、ちょっと待つのじゃ!せめて、串焼きの十や二十くらいは買って食いながら行こうでは無いかッ」
「二十は多過ぎるだろッ!!」
あ、しまった
思わず突っ込んでしまった・・・
「良いでは無いか、良いでは無いかぁ・・・後生じゃ、頼む、せめて串焼きをぅ・・・」
「・・・はぁ、いいよ。行って来いよ」
「何ッ!?いいのか!?」
今までシクシクと泣いたふりをしていたアリシエーゼだが、俺の言葉を聞いた瞬間ガバリと顔を上げて目をキラキラと輝かせた。
「別にいいぞ。但し、俺達は先に店に向かってるから一人で行って来い」
「分かったのじゃ!やはりお主は優しいのう!」
子供の様に無邪気にそう言って走り出したアリシエーゼだが、直ぐにピタリと動きを止め、そして振り向き言った。
「・・・金はどうするのじゃ?」
「・・・知らねぇよ」
昨日、やはりアリシエーゼに金を持たせるのは危険と言う話になり、ドエインにそちらのグループの金は全て渡してある。
ちなみに俺は別で小金貨を十枚程所持している。
「・・・ドエイン」
アリシエーゼがドエインの名を呼ぶ。
暗に金をくれと無言で無心していた。
「ドエイン、金は渡すな」
その見えない無心と言う線を断ち切る様に俺はドエインを制する。
「な、何故そんな意地悪するんじゃ!?」
意地悪とか言うなし・・・
「お前忘れたとは言わせねぇぞ。収納魔法を開発するまでは買い食い禁止だ」
「・・・うぎぃッ」
「ってか、そんなに食いたいなら自分で稼げっていっただろ」
「・・・うぅッ、一人で稼ぐなんて妾には無理じゃ。家で毎日ゴロゴロしながら食いたい物を食って寝たい時に寝る。それが妾のライフサイクルと言うか、それ以外に生きる意義が見い出せん」
え、なにこのクソニート
「はぁ・・・兎に角、買い食いはオレがヨシと言う時以外は禁止だ」
「わ、妾は犬か何かか・・・?うぅ、こうなったら―――」
「言っておくが、もし食い逃げなんてしてみろ。俺がお前を野盗として討伐してやるから覚悟しておけよ」
「・・・・・・はい」
やっとこさアリシエーゼを説得して俺達は目的の店へと向かった。
そこで数点買い物をして、その後は近くの昼食を提供している酒場に入って昼食を済ませてからまた買い物を続けた。
結局、その日は日が暮れるまで歩き回る事になったが苦労した甲斐があり、全員分の必要な装備が手に入ったので、まぁ良かったと言えるのだろう。
「しかし今日は疲れたぞ」
今は皆で夕食を済ませて俺達の部屋に戻って来た所だが、戻るなり早々に篤は自分のベッドに腰を掛けてボヤいた。
「まぁ、女が一緒の買い物は何かと時間掛かるわな」
篤のボヤきを聞き、ドエインは笑いながらそういうが、こっちの世界でもそう言う物なのかと妙に納得した。
「それにしても、俺まで装備買って貰って良かったのか?」
ドエインは腰に下げたロングソードの柄に手を掛けて俺に言った。
「いや、仲間の装備を整えただけだろ。お前だって俺達の仲間なんだから気にする事無いだろ」
「ん、いやまぁそうなんだがかなりの金額だったぞ、この剣と鎧は・・・」
そう言ってドエインは自分の胸を護るハーフプレートを撫でて言うが、元々ドエインが装備していた物は、警備隊時代のハーフプレートメイルをそのまま退役した時にパクって来て、下に着る服だけ変えただけの装備だった。
パクって来て大丈夫なのか?と思ったが、まぁ、大丈夫なんだろうと無理矢理自分を納得させた。
警備隊のハーフプレートメイルは所謂量産品のあまり質が良いとは言えない物であった為、タイミング良く良さげな物を見付けたから買ったと言うだけだ。
元々、警備隊が装備していたハーフプレートメイルはプレートメイルと名が付いた、唯の鉄製の胸当てで、身体の前後をプレートで挟み、両肩と両脇を革のベルトで止めているだけの物であったが、今装備してる物は魔銅と鋼を部位毎に使い分けた物で、両肩には肩当も付いていて、勿論脇腹もプレートで覆われている。
因みに魔銅とは、製鉄や製鋼の過程で魔力を含ませて出来た金属の一種で、魔銅、魔鉄、魔鋼などが存在し、ミスリル等の魔法金属とはまた違った物の様だ。
武器も今まで数打ちの鉄製のロングソードであったが、魔銅で出来た通常のロングソードよりも少し細身のロングソードだ。
何でも、リラ自身が盾を使用しない片手で武器を操る剣術を好んで使っていたので、リラに鍛えられたドエインもまた、両手でロングソードを操るよりは片手で扱える獲物の方が得意らしい。
あのゴリラに相当鍛えられましたよと笑顔でドエインは言っていたが・・・
ゴリラとか怖い事言うなッ
何処で聞いてるか分からんだろッ
「魔銅とは普通の銅よりも強度は上なのか?」
ドエインの装備を見て篤が疑問をぶつける。
「銅よりもって言うより、鋼より数段上だな。魔鉄や魔鋼もそうだが、魔法金属には劣るが、普通の金属よりは数段って感じだ」
「なるほど・・・あまり数が無いと言う事は、魔力を混ぜると言う過程が難しいとかそう言う事か?」
「んー、詳しくは分からないんだが、魔力を混ぜると生成出来る量が極端に変わるらしいぞ。それに単純に銅や鉄の種類で魔力の配合比率が違うらしくってな。そんな訳でその辺は鍛冶屋とかで代々口伝で伝わったりするものだから、出来る奴も限られるって話だ」
「なるほど、納得だ。つまり私の持つこの伝説の魔鉄製の槍は相当なレア度と言う事だな!」
「レ、レア度・・・?」
ドエインの話を聞き、自分勝手な鑑定結果を口にする篤が手に持つのは、これもドエインの装備を買った店で見付けた物で、穂先は笹穂型で、穂と柄が一体となった作りでつまりは一個の金属の塊から作った物となっている。
重量が結構凄い事になるんじゃないかとも思ったが、身体強化を常時発動しておける異世界人が使う事を考えると普通なのかも知れない。
「突いて良し!斬って良し!殴って良しの三拍子が揃っているとなると、益々伝説の槍と言う可能性が―――」
「店売りしてる伝説の武器何て無いだろッ」
「・・・ぐッ」
我慢出来ずに突っ込んでしまったが、まぁ、自分専用の武器を手に入れてはしゃぐ気持ちは分かってしまったりする。
何で篤が使った事も無い槍を選んだのか分からないが、戦いの素人が敵と相対した時に少しでも間合いを空けたいと言う心理は分からなくは無いし、いきなり接近戦をされるよりは見守る側としても少し安心出来るだろう。
ただ、無闇矢鱈にこんなものを振り回された日には溜まったもんじゃ無いので、その辺はしっかり言い聞かせようと思った。
「この外套も結構良い物なんだろ?」
篤の装備している外套を見て俺はドエインに語り掛ける。
「良いってもんじゃねぇよ。魔力を纏わせておきゃ、物理も魔法もある程度ダメージカット出来る何て、俺だったら聖遺物認定するね」
何でも最近、何処ぞの大手傭兵団が魔界から大量の魔導具ら何やらを持ち帰って来て大騒ぎになった様で、結構な量が市場に出回っていたらしく、その恩恵を受ける事が出来た形だ。
篤とユーリー、そして本来なら明莉に装備させたかったが、明莉自体は魔力が無く起動出来ない為、モニカが装備する為に残っていた三つの外套を鼠小僧が手に入れた金にものを言わせて購入した。
でも、明莉は魔力無くても身体強化は発動出来たけど、魔導具は起動出来ないって・・・
よく分からなかったが、そもそも明莉の能力もよく分からないので、今更考えても無駄かと考えるのを止めた。
その他にも色々と手に入れたが、俺自体はブーツを一つ手に入れただけなので、何だか盛り上がりに欠ける・・・
それもこれもアリシエーゼがあの手甲を壊したからだと。また沸々と怒りが湧き上がって来たので、一旦思考を切り替える。
他の奴らも大体準備は整った
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