第110話:手甲を求めて
出来るだけ、連日投稿出来る様に頑張ります。
無理だったら、優しく微笑んでください。
「・・・とりあえず俺が良いと言うまではお前は買い食い禁止だ」
「そ、そんな・・・」
しょんぼりと萎れるアリシエーゼだが、話を聞くとやはりと言うべきか、商品の値段が高いとアリシエーゼが一方的に因縁を付けて、強引に値引きをさせようと粘っていた様にだったので、お説教をした。
この店の評判はここに来る途中も情報収集をしたから分かるが、かなり良い。
魔界からのドロップ品のみを扱う少し特殊な店だが、店主の目利きで買い取った品をかなり良心的な値段で提供する事で有名で、ぼったくるなどと言う噂は一切聞かなかった。
つまりはアリシエーゼの唯の我儘!
これだから物の価値も分からないガキは
「・・・んで、何でこれが欲しかったんだ?」
俺は無事に店主の元に戻った手甲を指差し、涙目であうあう言っているアリシエーゼに聞いた。
「き、聞いてくれ!凄いんじゃぞ、これ!」
必死で訴えるアリシエーゼ曰く、この手甲は魔導具であるらしく、マナストーンを使ったかなり精巧な作りの魔法回路が組み込まれていて、先ずは魔力を充填出来るらしい。
加えて魔力を充填しておけば、これは微弱な魔力を何もしないでも放出し、手甲の周りを障壁が展開する様で、つまりは魔力が無くとも手甲の周りに障壁が展開する事が出来ると言う物だった。
「つまりは、俺でも扱える魔導具って事か」
俺の言葉にアリシエーゼは何度も無言で頷いた。
魔力さえ充填しておけば手の周りだけだが、衝撃耐性が格段に上がる。
魔力操作が出来れば、充填した魔力の放出量を調整出来て障壁の強度を格段に高めることが出来る様で、つまりは戦闘時以外は魔力放出を切っておき、戦闘が始まったら障壁を展開し、状況に応じて障壁強度の強弱を自在に操作出来ると言う事だった。
俺にはその操作は出来ないが、何もしない時は微弱だが魔力を放出して障壁を展開出来ると言う事に実際かなりの魅力を感じた。
欲しい・・・
アリシエーゼでは無いが、是が非でも欲しいと思った。
微弱だろうが何だろうが、障壁を展開出来ると言う事は、ある程度の力で殴っても手甲が壊れる事も、手が損傷する事が無いと言う事を意味し、それは穢人で魔力を有しない為に障壁が貼れない、戦闘に関しては不便極まり無い制約を負っている俺には持ってこいの代物であった。
「こ、これをお主が使えば少しはお主の戦闘の時のストレスも軽減されるのではと思ってのう・・・」
アリシエーゼが正座をしながらチラチラと俺の顔色を窺いながら言った。
「・・・成程な」
「ほ、欲しいじゃろ?のう、欲しいじゃろ!?」
いや、必死過ぎるだろ・・・
若干引きはしたが、アリシエーゼが俺の為を思ってやった事に対して怒る事は出来なかった。
「・・・はぁ、分かったよ。とりあえず金が足りないんだな?」
「う、うむ!お主今いくらもっておる?」
「俺は―――」
腰にぶら下げている硬貨の入った革袋を手に取り中を確かめる。
ジャラリと音はするが、確認すると小金貨は二枚しか無く、残りは小銀貨と中銀貨のみであった。
「小金貨は二枚だな・・・」
「妾達は小金貨一枚じゃ・・・」
俺はアリシエーゼ以外の面々の顔を順に見るが、誰もが無言で首を振った。
その時に外の様子を確認すると、既に野次馬は居なくなっていたが、店の前にデス隊の面々が目に入った。
デス隊を確認して俺は、ニヤリと口角を引き上げて言った。
「おっちゃん、金は用意するからちょっとの間他に売らないで取っておいてもらえないかな、これ」
突然話を振られた店主は目を丸くするが、直ぐに素面に戻り言った。
「本当に買うのか?待ってやらん事も無いが・・・そうだな、今日の日没までは待ってやる」
「ッ!?せこい事を言うで無い!」
店主の言葉を聞きアリシエーゼが声を上げるが、俺はそれを手で制した。
「分かった、ありがとう」
そう言って俺は入口に踵を返した。
他の面々もそれに倣って店を出て行くが、アリシエーゼだけは最後に店主に何か言ってやろうと敵意を剥き出しにしていた為、俺はドエインに目配せをした。
ドエインはそれだけで真意を汲み取り、はぁと短く息を吐いてからアリシエーゼを抱えあげて強制的に店の外へと連れ出した。
「んあッ!?おい!何をする!?離せ!」
暴れるアリシエーゼに目を向けつつ店主を見ると心底疲れた表情をしていたので、心の中で謝る。
ちゃんと躾ますから勘弁して下さい・・・
店の外に出て俺はアリシエーゼ達に言った。
「とりあえず、直ぐに金を用意してアレ買っておくからアリシエーゼ達は戻ってていいぞ」
「嫌じゃ!待っておる!」
何故かアリシエーゼはプンスカしていたが、俺はそれには敢えて触れずに続けた。
「いやいや、直ぐに用意するって言ってもそれなりに時間は―――」
「い・や・じゃ!!」
頑ななアリシエーゼに何を言っても無駄かと直ぐに諦める事にした。
「はぁ・・・分かったよ。戻って来るまでその辺ぶらつくなり好きにしててくれ」
俺は明莉とドエイン、それにモニカにアリシエーゼを任せて、デス隊へと振り向いた。
「お待たせ。先ずはちょっと此処を離れようか」
店先で大人数が立ち止まっていても店の迷惑かと思い、アリシエーゼ達に手を振って離れて歩き出す。
それに続く様にデス隊の面々は俺の後に続いた。
「んで、先ずは首尾の方はどう?ターゲットは定まったかな?」
顔だけ後ろの方を向き、デス隊を見ると三人とも首を縦に振った。
優秀だこと
俺はそう思って口角を上げながら続けた。
「そう、じゃあ先ずは何番街の奴なのかを聞こうかな」
「・・・では、私から内弐番街です」
デス1がそう切り出し、デス2、デス3と続けた。
「外伍番街です」
「内玖番街です」
「よし、デス3のターゲットからにしよう」
「はッ、有り難き幸せ!早速ご案内致します」
「「・・・・・・」」
デス3は勝ち誇った様な顔をデス1とデス2に向けながらそう言って少し歩速を早めて俺の前に進み、そのままデス3が見付けたターゲットの元へと案内してくれた。
道中色々と話しながら歩を進めるが、現在地が内拾番街の為、同じ内側の玖番街へは小走りで向かえばそう時間は掛からなかった。
到着するなり、軽く辺りを確認してから俺はあまり警戒もせずに建物に近付く。
「行くぞ」
俺は一言デス隊へそう言って建物の前に立ち入口で建物全体を仰ぎ見た。
建物はそこまで大きく無いが、石造りの三階建ての建物で、外の玄関の前に見張りが立っている事は無かった。
入口のドアをノックもせずに俺は開けた。
そして―――
「思ったより多いな・・・」
俺は積み重ねられている革袋の山を見ての最初の一言である。
ターゲットは奴隷等を使い魔界のマッピングを強制的に行わせ、それで出来た地図を売り捌いて利益を得る外道達のグループであった。
このグループは、マッピングしたデータを回収する為の人員を用意し、奴隷が死のうがどうしようがちゃんとデータを回収出来る様にしている辺り、かなりの外道っぷりで、奴隷がどうなろうと知ったこっちゃないと言うテンプレ外道だった為、俺は情報をデス3から聞き、アジトに到着すると問答無用でアジトにいる全員の意識を能力を使って刈り取った。
「一、二、三・・・これ、三人で持ち運べる?」
アジトには武装した傭兵四人とこの組織の者だろうか、普通の格好の者が五人居たが何れも意識を刈り取り、情報だけ抜き取り、金を溜め込んでいる部屋を割り出した。
部屋は、六畳程の広さの小部屋で、入口から見て一番奥に木製の大きな棚が有り、何やら装飾品やその他の物品が置かれており、硬貨の入った革袋は三箇所に分けて無造作に床に置かれていた。
「さ、流石にこの量は一度に運び出すのは不可能かと・・・何回かに分けませんと」
デス1がそう言って革袋を見た。
確かにかなりの量が有りそうだが、三箇所に分けてる事にピンと来て俺は徐に中央に集まる革袋の一つの中身を確認する。
「おぉ、すげぇ」
革袋の中には小金貨がギッシリと詰め込まれており、この袋だけで一体幾らの価値があるのだろうかと思案したが、直ぐに意識を切り替える。
次に俺は右側に集まっている革袋の一つをまた開けてみる。
「こっちは銀貨か・・・」
中には中銀貨がこれまたギッシリと詰まっていた。
更にもう一袋開けてみるとこっちには大銀貨が詰まっており、どうやら銀貨も大きさ毎にちゃんと分けているようで、律儀だなと嗤った。
左に集められている革袋を見ると一番袋の量が少ないので、もしかしたら大金貨とか白銀貨か?と思そちらの袋を開けて見ると、銅貨が入っていて、予想を裏切られる形となった事に本の少し驚いた。
「あれ?こっちは銅貨だな・・・一番量とか多くなりそうなものなのに何でだ?」
「・・・もしかしたら両替をしたばかりなのかも知れません」
「あぁ、成程ね」
確かに両替した後であるなら説明が付くなと思い、同時にこの後どうするかを軽く考えた。
「・・・よし、金貨だけを頂いて行こう。この棚の装飾品とかは・・・換金する手間が面倒だし、対象外にしよう」
「「「はっ!」」」
俺の言葉にデス隊の面々はすぐ様行動に出るが、それを俺は止める。
「ちょっと待って。銀貨とかもかなりの量だし、このまま放置しておくと、アイツらまた直ぐに再起しそうだから、残りの銀貨とかは・・・バラ撒こう」
「「「えッ!?」」」
俺の言葉にデス隊は全員目を丸くして何言ってんの?みたいな顔になるが、アイツらに金を残しておく義理は無い。
「アイツらに金は残しておきたく無いからさ。とりあえず運び出す前に銀貨と銅貨と・・・装飾品の類いとかも全部適当にバラ撒いて来てよ」
とりあえず適当な所で適当な建物の上からバラ撒いて来いと命令を下す。
勿論、顔は見られない様にと注意した。
「あと、デス3」
「はッ」
「ご苦労様。これはお前の取り分な」
俺はそう言って金貨の詰まった革袋を一つポンと手渡した。
「ッ!!!!」
普段何があっても冷静そうなデス3が自分の手の上に乗った金貨の詰まった袋を見てこれでもかと目を見開いた。
なんなら、目が飛び出るんじゃないかと心配したくらいだ。
「・・・こ、これは」
「まぁ、給料みたいなもんだ。好きに使っていいよ」
「・・・あ、有難う御座います!!!」
デス3は何時ものお決まりの跪きを行うが、直ぐに止めさせて立たせる。
それにしても感動し過ぎだろうと思った。
そ、そんな泣く程か・・・?
温度差に若干戸惑うが、それでも何だか心の奥で嬉しさを感じ、それが見透かされるのが恥ずかしくて俺は顔を少し背けながら言った。
「ま、まぁ、今後も宜しく頼むよ」
「ッ!?畏まりました!!」
そしてまたデス3は俺の前に跪くのだった。
だからそれ止めろって・・・
実はですね、下の方に☆☆☆☆☆ってところがあるんですよ。
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