第100話:対談
出来るだけ、連日投稿出来る様に頑張ります。
無理だったら、優しく微笑んでください。
「今日は色々と時間を取らせてすまなかった。詫びだと思って存分に飲んで食べてくれ。乾杯」
リラの乾杯の音頭に俺達は乾杯!と返して宴会が始まった。
リラが予約をしていてくれた店は稀に軍部の接待等で使う店らしく、リラの名前を出して急遽、個室を俺達の為に用意して貰った。
「・・・此奴ら、有り得ないくらい食うからな。覚悟しておけよ」
俺は主にアリシエーゼとナッズを顎で指しリラにそう言った。
「ふふ、構わんよ。存分に食べてくれ」
リラは俺の言葉に優しく微笑んで答えた。
どうにもやりにくい・・・
出会った当初の感じの方が余っ程やり易いと思いながら俺は頼んだワインを一口含み飲み込む。
「キミはワインを嗜むのか」
「エールは口に合わなくてね」
「そうか、私と同じだな」
そう言ってまた微笑んだリラを俺は直視出来なかった。
クソッ、マジでやりにくい!
そんな俺の態度を見て、モニカが、ぷーくすくす!と笑う。
お前、マジで後で殺すからな!
俺がモニカを殺意が篭った目で睨むと、モニカは素知らぬ顔をして、膝に座るユーリーに話し掛け此方を無視した。
狡いぞ!何でこんな時だけユーリーは俺の所に来てくれないんだ!?
子供をダシに使って困難な局面を乗切る作戦が発動出来ない事に焦りながら、リラと会話を続ける。
「キミも遠慮せずに食べてくれ」
「あぁ、そうさせて貰うよ。アンタも食べてくれよ。主賓が遠慮してたんじゃ俺達も食べ難い」
そう言ったは良いものの、アリシエーゼとナッズは何時もの様に、下品にバクバクと手元にある料理を貪り食っていた。
「・・・一部の人間はだが」
「ふふ、可笑しな集団だな、キミ達は。それと、アンタは止めて貰えないか?出来ればリラと呼んで欲しい」
「・・・こんなガキに呼び捨てにされても気分を害すだけだろ」
「そんな事は無い。私は私が認めた人間にはちゃんと心を開くよ」
そう言ってリラは妖しく笑った。
「・・・そう言うのホント勘弁してくれ。やりにくくて仕方が無い」
俺は若干ウンザリした面持ちでそう言うとリラは直ぐに謝った。
「すまんすまん、少し調子に乗り過ぎたよ。でも―――」
リラは一度言葉を切り、俺の顔を覗き込む様にしてから続けた。
「―――半分は本気なんだがな」
やめてくれ・・・
俺はリラの顔を直視出来ず、カップに残ったワインを一気に煽った。
「おいおい、そんな飲み方をして大丈夫か?酔って宿に辿り着け無いとか困るぞ?まぁ、私は―――」
「はい、そこまで!」
再度俺を誘惑しようとしたリラに待ったを掛けたのは、ドエインだった。
よっしゃ!!
ナイスだぞ、ドエイン!!
離れた所からチッと舌打ちが聞こえて来たので其方を向くと、モニカが舌打ちをしながら此方の様子を窺っていた。
テメッ!マジで、このッ!!
「姉貴、マジでそう言うの辞めろよ」
「何故だ?」
「何故って、旦那が困ってるじゃないか」
「そうなのか?」
ドエインの言葉の真偽を俺に確認するリラだが、ここは確りと言うべき所だと自分を奮い立たせる。
「あぁ、俺はこう言う駆け引きは余り慣れていないんでね。出来れば遠慮願いたいよ。それにそう言う女は苦手だ」
リラの顔を見て話すと心の内が見透かされそうな気がして、俺は顔を逸らしながらそう言った。
「・・・そうか、キミに嫌われるのは困るな。少し自重しよう」
その言葉を聞き、何とか収まったかと俺はドエインと顔を見合わせた。
「・・・はぁ、それで。アンタは何が目的なんだ?」
「リラだ」
「は?」
「リラと呼んでくれと言っただろう?」
「・・・・・・リラ、俺達に何を求めてるんだ」
「・・・その前に言っておく。私は北の関所からある報告を受けてね」
「・・・・・・」
「その報告と言うのは、我が弟が軍を退役したと言う事と、もう一つは―――」
リラは勿体ぶる様に言葉を切って溜めた。
まぁ、大体想像出来るが
「―――ドエインを助けた傭兵の中に不死者と異端の力を使う異端者が居る。とね」
其れは違うと思った。
関所からの報告と言う事は、あの大隊長か、関所の兵士と言う事だが、もしそうなら俺とアリシエーゼが不死者だと、明莉が異端者だとは言い切らない。そんな事を信じさせていないから。
なので、リラが今言った言葉は聞いた情報を敢えて絞っている。
報告はきっと、クソ聖女がそんな事を言っているが、そんな証拠は無いから信じるな。とか、そんな情報はクソ聖女の見間違いであると言う報告を受けているはずだ。
つまり、リラは今俺達にカマをかけている。
「へぇ、そんな馬鹿げた話をリラは信じたのか?」
「・・・ふふ、嫌、私はね、自分の目で見て、耳で聞いて、肌で感じるまでは何も信じないんだよ」
リラは理想主義者で有りながら、超現実主義者でも有り、更にはきっと超合理主義者なのだろうと思った。
「まぁ、そんな感じだよな」
俺は軽く返すと、心外だとでも言わんばかりの顔をしてリラは言った。
「キミは私の事をどう思っていたんだ」
「冷徹で実力至上主義を掲げてる危ない奴かな」
「・・・酷いな。こう見えて私は認めるべき所は認め、褒めるべき所は褒め、妥協するべき所は妥協する度量の持ち主だと思っているんだがね」
そう言ってリラは自嘲気味に笑った。
「・・・嘘臭ぇ」
「何だ?何が言いたい?」
ドエインの呟きにリラは眉を釣り上げて反応した。
「・・・うッ、あ、姉貴が他人を褒めた所なんて見た事ねぇよ。少なくとも俺は褒められた記憶も認められた記憶も無いねッ」
「褒めた事も無いし、認めた事も無いからな」
「酷いなッ!おい!」
リラの言い様にドエインは必死で抗議するが、話が進まなくなりそうなので俺はここで話を戻す。
「んで?俺達の中に不死者は居たかい?」
「・・・ふッ、それは分からない。が、あの娘、アカリと言ったか?アレの力は間違い無く我々の持つ力とは別物であると思ったよ」
リラは敢えて異端の力とは言わなかった。
そこにどんな思惑があるのかは分からないが。
「そうか。じゃあ、俺達を異端者として処理するかい?」
「・・・そんな敵を見る様な目で見ないでくれ。傷付くじゃないか」
そう言ってリラは本当に悲しそうな表情をした。
「・・・俺もリラと同じでそう簡単には人を信じないタイプなんでね」
「・・・成程。唯、正直私はキミ達が異端者で有ろうと無かろうとどちらでも良いと思ってる」
「へぇ、その心は?」
「こう見えて私は、人を見る目には絶対の自身があるのでね」
何だかはぐらかされている気もするが、素直に褒め言葉と受け取っておく事にした。
「それは光栄だが、何故そんな簡単に人を信じる事が出来るんだ?俺達は今日会ったばかりだぞ?」
「逆に聞きたいのだが、何故私にキミの力を使わなかったんだ?」
「・・・」
「キミの力なら全てを無かった事にするのは簡単だろう。でもそうはしなかった。そこには何か理由があるのだと思うんだがね」
「・・・仮に何かしらの力が俺にあるのだとしてだ。ただ単に気まぐれだったのかも知れないだろ」
「いいや、そうでは無い」
リラは即答した。
「・・・何故そう思う?」
「キミが私にその力を振るわなかったのは、私が此奴の、ドエインの姉だからだよ」
ははッ
参ったねこりゃ
一体、どう言う思考をしていればその結論に辿り着くのか分からない。
「それに―――」
俺が降参とばかりに心の中で両手を挙げているとリラは上目遣いで俺を見て続けた。
「―――姉と言う事の他に、ほんの少しだけでも私に、その、き、興味があったからと言う理由が交じっていたら・・・いいなと思った」
参りました!!
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