表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
31/180

第31話 武田一派と徳川一派

 た、た、武田さんが俺のことを好きになっただとーーーっ!?


 そ、それは無いだろう?

 武田さんが俺を好きになる理由が分からない。


 それに今朝、初めて校門の前であんな形で出会っただけなのに……


 どこに俺を好きになる要素があるんだ!?


「あ、あのね……竹中君……私、こんな気持ちになったのは生まれて初めてなの」


「い、いや……そんな事を言われましても……」


「竹中君? あなたは静香の気持ちを踏みにじる気かしら?」


「えっ? さっき武田さんに俺を嫌われせようとした人のセリフですか?」


 この山本さんはほんとよく分からない人だな。


「状況は刻一刻と変化しているのよ、竹中君」


「はぁ……」


 言っている意味が分からねぇ……


「私は静香と幼稚園の頃からの幼馴染だけど、静香のあんな顔なんて初めて見たわ。今まで静香に言い寄って来る男子はたくさんいたけど、いつも冷たくあしらっていた静香が……あなたを見ている時だけとても『女』の顔をしているの。いくらあなたの見た目が『そんな』であっても私は応援するしかないと今、決めたのよ……」


 そ、『そんな』で悪かったな!?

 俺だって好き好んで……いや、瓶底メガネは好き好んでだけども……


「カ、カンナ有難う……あなたなら私の気持ちを分かってくれると思ったわ」


「か、勘違いしないで静香、私は応援するとは言ったけど竹中君のことはよく知らないから、これからの彼の学園での態度を見て彼があなたに相応しくない男だと判断したらあらゆる手段を使ってあなた達二人を引き離しちゃうんだからね」


 いや、待て山本!!

 ここはあえて心の中だけでも呼び捨てにさせてもらうぞ!!


 さっきから何を勝手に俺と武田さんが付き合うみたいな話をしているんだ!?

 俺は絶対に誰とも付き合う気は無いんだよ!!


 それに『これからの俺の学園での態度を見る』だと!?

 ふざけるんじゃねぇよ!!


 いくら俺の態度を見ても仕方無いんだよ。

 俺はいつまでも口数が少ない『瓶底メガネ陰キャオタク』なんだからな!!

 どう考えても今の時点で武田さんに俺なんて相応しく無いだろ!?


 だから今直ぐ反対しろ!!


「ほら、カンナだってそう言っていることだし、野々花も麻美子もとりあえず二人を見守ってあげたらどうかな?」


「そうよ、真優の言う通りだわ。親友の私達が静かの恋の邪魔をするなんて……そんなの親友じゃないと思うわ」


「真優、真樹……ありがとね……グスン……」


 オイオイオイッ、勝手に『友情ドラマ』みたいな会話をするんじゃねぇよ。

 あんた達がそんなクサいセリフ言うもんだから、遂に武田さんが泣き出してしまったじゃないか。



【徳川達サイド】


「い、伊緒奈さん!! あの人達の話、聞きましたか!?」


「うん、しっかり聞こえていたわよ……」


「ハハハハ!! 颯の奴、ああいうタイプにモテるんだな!?」


「前田君、笑い事じゃないわよ!! このままじゃ颯さん、武田さんと付き合う事になるかもしれないのよ!!」


「別にいいじゃん。颯が誰と付き合おうが自由じゃん」


「そ、それは少し困るわねぇ……モテるのと付き合うのとでは違うから……」


「ん? 伊緒奈ちゃん、それってどういう意味なんだ?」


「い、いえ……こっちの話よ……」



「いずれにしても颯さんが武田さんと付き合う事になってしまったら颯さんは『武田一派』になってしまう恐れがありますよ!!」


「ハハハハ、『武田一派』って何だよ? 別に武田さん達は三年生だし、今年の『生徒会長』に立候補する権利も無いんだしさ……何も問題は無いじゃん」


「前田君……? 実は私達、あなたが『羽柴さん推し』っていうか羽柴さんのことが好きってことは調査済みなのよ」


「えーっ!? まっ、マジかよぉおお!?」


「うん、マジよ……」


「俺、そのことは颯にしか言っていないのに……も、もしかして颯が!?」


「違うわよ。颯君から聞いた訳じゃないわ」


「そうそう、颯さんがそんな口の軽い人だと思う? 前田君、あなた失礼よ!!」


「で、でもさ……」


「私の友達の一人にね、先祖が『忍び』って子がいるのよ。それでその子もやっぱり忍びの子孫だけあって『諜報力』にかけては天下一品なの。それに彼女のお父様はアメリカの『CIA』でお仕事をされているしね……」


「まっ、マジかっ!? ぎゃ、逆に俺は『徳川一派』が恐ろしく感じてしまうけど……でも何で俺の事を調べる必要が……まぁそれはいっか。それよりも俺の『陽菜ちゃん推し』と颯が『武田一派』になることとは全然、関係無いと思うんだけど……」


「そうねぇ……細かい説明は後にするとして、結論だけ言うわね? もし颯君が武田さんと付き合う事になれば……いえ、付き合わなくても『武田さんにまで』告白されたことを知れば羽柴さんの中で抑えていた気持ちが一気に爆発するかもしれないわね……」


「へ? 意味がよく分からないけど……」


「だから、羽柴さんも本当は颯君のことが好きってこと。そして颯君に告白するかもしれないってことよ」


「え―――――っ!? なっ、何だって――――――――――っ!?」





 【颯・静香サイド】


「た、竹中君……改めて言わせてもらうわね。私はあなたの事が好きになってしまいました。どうか私と付き合ってください……」


 ゴクリ……


 お、俺はどうすればいいんだ……


お読みいただきありがとうございました。


静香に告白をされ困惑する颯。

そしていつのまにか周りも二人が付き合う方向で話が進んでしまい……


そんな中、こっそり中庭をうかがっている伊緒奈達だったが、三人の会話の中で伊緒奈の友人に先祖が忍びでその子も情報取集に長けていていることが判明した。

そしてその情報力で前田俊哉は颯と静香が付き合うと陽菜までが颯に告白してしまうと聞かされて驚愕するのだった。


ということで次回もお楽しみに(^_-)-☆


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ