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第159話 詩音のお姉さま達

 【合同合宿四日目の朝】


 遂に合宿四日目……今夜全員が泊まり明日の朝に解散するので実質、今日が合宿最終日となる。


 未だに今回の合同合宿がどんな目的で行われたのかは謎のままだけど、合宿前に比べるとグループ同士の交流が増え、仲良くなっている人も見受けられるので合宿をやって良かったんじゃないかと俺は思っている。


 昨日、突然やってきた乃恵瑠さん、静香さん、茂香さん、そして詩音達も加わったのは驚いたけど……


「詩音、おはよう。昨夜は伊緒奈とゆっくり話ができたのかい?」


「お兄ちゃん、おはよう。うん、伊緒奈お姉さまと色々なお話ができたよ。伊緒奈お姉さまの小さい頃のお話とかお兄ちゃんの小さい頃のお話とかでとても盛り上がったわ」


「そ、そうか。それは良かったな……」


 別に俺の小さい頃の話までしなくてもいいとは思うけど……


「ただね、昨日の夕飯くらいから織田先輩があまり元気無い気がするんだよねぇ……何かあったのかなぁ?」


「え、そうなのか?」


 昨日、俺は乃恵瑠さんと話をしてから仕事が忙しくてほとんど接触していなかったので乃恵瑠さんの様子は知らない。


 そういえば俺と話したあと伊緒奈と陽菜さんが部屋に来て乃恵瑠さんと三人で話をするって言っていたけど、そこで何かあったのだろうか?


 それに乃恵瑠さんが昨日言っていた『森蘭子の言う事は話半分で』ってのも少し気になるんだよなぁ……


 いずれにしても今日は合宿最終日だし、みんな楽しい気分で合宿を終えてもらえるように仕事を頑張らなくちゃいけないよな。



「は、颯君おはよう!! うっ、イテテテ……」


「静香さん、おはようございます。ってか、どうされたんですか? なんか手首を痛そうにされていますけど」


「うん、少し手首を痛めちゃってねぇ……」


「静香お姉さま、おはようございます! もしかして昨夜はずっとケイトお姉さまと『腕相撲対決』をされていたのですか!?」


 えっ、マジかよ!?

 それと詩音は一晩でケイトさんの事もお姉さまって呼ぶようになったのか?


「そうなよのよぉ、詩音ちゃん……ケイトがしつこく何度も勝負を挑んでくるからさぁ、仕方無しに相手をしてあげたんだけどさぁ……お陰で手首がとても痛いわぁ……」


「私も一度だけお二人と腕相撲をしましたけど、全然敵わなかったというか、全然お二人の腕を動かす事もできなくて驚きました。凄くお強いですよねぇ?」


「し、詩音ちゃん……あまり颯君の前で私が強いというのは言わないでね? 一応、女子だし颯君の前ではか弱い女子でいたいから……」


 いや、今更でしょ!!


「ちょっと待って、静香!! 颯君の前だからといって嘘を言うんじゃないわよ!! 腕相撲をしつこく挑んできたのはアンタじゃない!?」


 ん? ケイトさん……


「あーっ、ケイトお姉さま、おはようございます!」


「ウフ、詩音ちゃん、おはよう。昨夜はよく眠れたかなぁ?」


「はい、伊緒奈お姉さまと同じベッドでとても気持ち良く眠れました」


「それは良かったわぁ。でも本当は私も詩音ちゃんと一緒に寝たかったんだけどなぁ……あっ、そうだわ。今夜は私と一緒に寝ない? そして寝る前にたくさんお話をしましょうよ?」


「良いんですか? 私としても色々な方と仲良くしたいと思っているからとても嬉しいです」


 しかし詩音は一日で人気者になっちまったなよな。

 さすが陽キャでコミュニケーション能力が高いだけの事はあるなぁ……


「ちょっと待ってよ、ケイト!! その前に私から腕相撲を挑んできたってどういう事よ!? 颯君の前だからって嘘を言うんじゃないわよ!! それにシレっと詩音ちゃんと一緒に寝る約束までしちゃってさ……私だって詩音ちゃんと一緒に寝たいわよ!!」


 あちゃぁ、詩音のせいで新たな火種が出来てしまったかも……


「静香お姉さま、すみません。今夜はケイトお姉さまと一緒に寝させてもらっていいですか? 静香お姉さまとは織田先輩のお家でのミニ合宿で一緒のお布団で寝ましたし、たくさんお話もさせていただきましたし……私、お兄ちゃんに好意を持たれている人達の事を色々と知りたいんですが、ダメですかぁ……?」


 し、詩音……


「ダ、ダ、ダメじゃないわよぉ!! 詩音ちゃんの気持ちはよく分かるわ!! そうだね、私は織田さんのお家で詩音ちゃんと一緒に寝ているし、たくさんお話もしているものね。うん、分かったわ、今日はケイトに譲ってあげる……」


 ガバッ ギュッ


「わぁあ、さすが大好きな静香お姉さまですぅ!! ありがとうございます!!」


「ハハハ、詩音ちゃん、凄い勢いで抱き着いてくるからビックリするじゃない……でも嬉しいけど……」


「お願い詩音ちゃん!! 私にも抱き着いて!?」


「はぁあ!? 今は私の癒し時間なの。ケイトはここから消えなさいよ!!」


「何ですって!?」


 はぁ……この二人はきっと一生こういう関係なんだろうな。



「フフフ……皆さん、朝早くから盛り上がっていますねぇ? 今日が合宿最後だと思うと少し寂しくなっちゃいますねぇ……」


「颯っち、妹ちゃん、おはよーっす!!」

「詩音ちゃん、颯君、両先輩方、おはようございます」 

「詩音ちゃーん、颯せんぱーい、武田先輩、上杉先輩、おはようございます!!」


 陽菜さん達も朝から元気に登場だな。


「あっ、陽菜お姉さま、千夏お姉さま、佳乃お姉さま、そして美月ちゃんおはようございます!!」


 美月は同い年だからアレだけど、詩音は他の先輩達の事もたった一日で『お姉さま』って呼んでいるのか!? どれだけコミュ力高いんだよ!!


 ん、でも待てよ?


 そんな詩音が乃恵瑠さんの事だけは『乃恵瑠お姉さま』ではなく『織田先輩』って呼んでいるのは何故なんだろう?


 乃恵瑠さんは詩音にとって何か特別な存在なのか?


 でも『先輩呼び』よりも『お姉さま呼び』の方が特別感はあると思うのだが……


 ……後で詩音に聞いてみるか。

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