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第154話 アクシデント

 第1コース…黒田かなえ

 第2コース…羽柴陽菜

 第3コース…伊達魔冬

 第4コース…長曾我部千夏

 第5コース…春日天音


「えっ、何だ、このメンバーは!?」


 何で黒田先生と春日メイド長が参加しているんだ?


「まさか、春日メイド長まで参加されるとは思いませんでしたよ」


「フフフ……そうね、私も参加するとは思っていなかったわ。でも安心して伊達さん。私はただの数合わせだから。羽柴さんに人数調整で参加してほしいと頼まれたのよ」


 ふぅ、良かった。春日メイド長は陽菜さんに頼まれたんだな?

 まさか春日さんまでと思って少し焦っちまったぞ。


「そ、そうだったんですね。ホッとしました……でも、黒田先生まで参加されるなんて……まさか、黒田先生は教職者なのに颯君の事を……」


「ハハハ、伊達さんって意外とストレートに言うのねぇ? ただ先生が竹中君の事をどう思っているかは内緒にしておくわぁ。でも竹中君に日焼け止めクリームを塗ってもらうのは悪く無い話だと思っているけどねぇ……」


 何が悪く無い話だよ。俺に対してそんな事をさせて悪いなぁとは思わないんですか? それとも俺が喜んでいるとでも思っているんじゃないだろうな?


 まぁ、正直、嫌というか恥ずかしい方が勝っている様な気はするけども……


「ゴメンね、伊達さん。私は人数調整に春日さんと緋色にお願いしようと思っていたのに、急に黒田先生が私も参加するってワガママを言い出して聞かないのよぉ」


「ちょっと羽柴さん? 先生はワガママなんて言った覚えは無いわよぉ」


「フンッ」



「まぁまぁ、陽菜先輩も黒田っちも試合前に揉めないでくださいっつーの!! どうせ、あーしが勝つんだし揉めるだけ無駄だっつーの!!」


「あら、長曾我部さん……いきなり先生の事を黒田っちと呼んだかと思えばえらい自信があるみたいねぇ?」


「ハハハ、そらそうだっつーの!! あーしは小学生の頃から水泳は得意で色々な大会で優勝しているんだっつーの!! まぁ、陽菜先輩も昔から水泳は凄かったけど今は絶対にあーしの方が凄い泳ぎをするに決まっているっつーの!!」


 へぇ、そうなのかぁ。ちょうそ……いや、千夏は昔から水泳が得意なんだな?


 まぁ、あの日焼けした肌とスタイルはこのメンバーの中で一番水泳が似合う感じがするもんなぁ。


「フフフ……千夏ちゃん、私にまで『勝利宣言』をしちゃったわねぇ? 知らない間に成長したんだねぇ? でも、水泳対決や特典内容を決めた言い出しっぺの私が負ける訳にはいかないわぁ。だから久しぶりに私の本気の泳ぎを見せてあげるねぇ?」


 な、なんか陽菜さんの表情がマジになった様な気がするのは俺だけだろうか?


 そんな第三試合も気になるのだが、さっきの第二試合で負けた人達がかなり落ち込んでいるんだが大丈夫なのかな?


 ドヨ~~ン……


「ちょっとあんた達!? 負けたからって落ち込み過ぎじゃないの!?」


「負けて泣いていた太鳳ちゃんだけには言われたくないわ……はぁ……」


「はぁあ!? な、泣いてなんか……」


「私も太鳳が泣いているのを見たわよ。でも今はあんたの気持ちが痛い程よく分かるけどさぁ……はぁ……」


「イヤイヤイヤッ、いつもの知由らしく無いじゃない!? あんたはグループの中で一番ポジティブな性格のはずなのに!!」


「私だって毎回毎回、ポジティブでいられる訳無いじゃない!! あんた達がネガティブだから私はいつも無理して明るく振る舞っているだけよ!! それに私は伊緒奈大好き女子だから、小さい頃、表情の暗かった伊緒奈の笑顔を見たかったっていうのもあったし……」


「えっ、知由って無理に明るく接していたの!?」


「あっ!! そ、それはそのぉ……」


 知由って本当はそういう子だったのか?


 いつも元気で伊緒奈グループの盛り上げ役だと思っていたけど、知由は知由で頑張っていたんだなぁ……


 っていうか、みんな言わないだけで色々とあるんだな。


 そう思うと俺がイジメにあって人生が嫌になり、小五から引きこもり、陽キャから陰キャに無理矢理シフトチェンジして人と接する事から逃げてしまった自分が情けなく感じてしまう。


 そんな皆の努力を目の当たりにしてしまうと俺も変わらないといけない時期が来たのかもしれないとつい思ってしまう…… 


 ガバッ、ムギュウ


「えっ!? い、伊緒奈……急に抱きついてどうしたの!?」


「ち、知由ちゃん……いつも私に元気をくれてありがとね?」


「え? え? え? い、伊緒奈……お礼なんて言わないでよ、恥ずかしいじゃない!! 今、太鳳に言ったことは忘れてくれていいから!! でも伊緒奈に抱きしめられるのはとっても嬉しいわぁ♡ もうこのまま抱きしめられながら死んでもいいくらいよぉ……」


「フフフ……知由ちゃん、大袈裟よ……」


 なんか、良いものを見せてもらった気がするよ……



 ————————————————————————


 第三試合の開始。


「テーク・ユア・マーク!!」


 片倉さんのこの言い方は未だに慣れないな。


 ピーーーッ!!


 ザッボーンッ!!


 おっ、五人共、綺麗な飛び込みだなぁ。


 ほぼ横並びだし、これは良い勝負になりそうだ。



「陽菜~っ!! 頑張れ~っ!!」

「千夏ちゃん、頑張ってくださーい!!」

「春日メイド長、負けないでくださーい!!」

「魔冬、絶対勝ちなさいよーっ!!」


「陽菜ちゃんに勝って欲しいけど、颯に身体中日焼け止めクリームを塗られている姿を想像したら心の底から応援できないぞ……」


 俊哉、心の声がダダ洩れだぞ。


 しかし、さすがに誰も黒田先生の応援はしないな。

 妹のマーサさんはどんな気持ちで見ているんだろう?


「お姉ちゃん……頑張れ……」


 って、口が動いた様な気がしたぞ。



 25メートル地点で陽菜さんが頭一つ抜けてきた!!

 やはり陽菜さんは水泳が得意なんだなぁ?


 あれ?


 頭一つ抜けたと思ったら急に陽菜さんの動きが止ったような気が……


「ん? なんか姉さんの泳ぎ変じゃないか、緋色ちゃん?」

「ほんとだ。他の人達に抜かれていっているわね?」



 あっ、あれはもしかして……


 絶対そうだ。陽菜さんんい何かアクシデントが起こったんだ!!


 これはマズい、急いで助けに行かないと。


 しかしこんな時に俺は監視台の上にいるから助けに行くのに時間がかかってしまうじゃないか!!


 間に合うか!?


「ひ、陽菜ちゃーん!!」


 ザッボーンッ!!


 え? 今、プールに飛び込んだのは俊哉か?


「陽菜ちゃん!! 今、俺が助けるぞーっ!!」

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