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第117話 小学生時代の颯と乃恵瑠

「えっ!? な、何で乃恵瑠さんが御影の名前を知っているんですか!?」


 ど、どういう事だ!?

 何で乃恵瑠さんが御影の事を知っているんだ!?


「だって私は小四の頃に颯君に助けてもらってから毎日、颯君の教室に通っていたから……ただ、とても恥ずかしくて声をかけれずに外から眺めていただけだったけど……でも小五になって直ぐに転校する事になってしまった私は思い切って颯君に告白しようとしたの」


「で、でも俺は乃恵瑠さんを助けてから一度も会っていませんが……」


「そうね。結局、私は『ある理由』で颯君に告白できなかったの……」


 ある理由? どんな理由なんだろう?


「私が颯君のクラスに行った時にね……そう、颯君は転校してきたばかりの明智さんと、とっても仲良くしていたから……その様子を見て私は告白できなかったの……」


「そうだったんですね……でも、どうして明智の名前を知っているんですか?」


「ああ、それは颯君と同じクラスに『森蘭子もりらんこ』っていう子がいたでしょ? 蘭子は私と幼馴染でお互いに一人っ子だったから姉妹みたいに仲良しだったの。だから後で蘭子に明智さんの事を聞いたのよ」


 も、森蘭子……森蘭子だとーっ!?


 森蘭子は俺が小四の時、クラスの中でリーダー的存在だった女子だ。


 そして明智をイジメていた中心人物の一人で忘れたくても忘れられない女子の一人だ……


 そんな森蘭子と乃恵瑠さんが姉妹の様に仲良しだっただなんて、何か複雑な気持ちになってしまう。


「蘭子から聞いたけど、明智さんって凄く勉強ができる子だったのよね? それもとんでもないレベルだって……それで颯君がよく勉強を教えてもらっているっていう事も聞いたわ」


「そ、そうだったんですね? そこまで知っているとは驚きです……」


「あの頃は明智さんにとても嫉妬したわ……何で勉強ができるだけの『瓶底メガネ陰キャ女子』と颯君が仲良しなのよ!? ってね……」


 小学生でもそんな嫉妬するんだな?

 まぁ、小学生は女子の方がマセているから普通なのかな?


「私、転校する日が近づいていたから凄く悔しかったし悲しかったなぁ……だって明智さんを越える努力をする時間が私には無かったから……だから蘭子にはよく女子トイレで泣きながらぼやいていたわ……」


 もしかして、乃恵瑠さんのぼやきを聞かされていた森蘭子がお姉ちゃんと慕っていた乃恵瑠さんの代わりに明智をイジメていたんじゃないだろうな?


 その可能性は大いにあるぞ。


「あ、あのぉ……乃恵瑠さん? その森蘭子とは今も……」


「蘭子といえばね、驚く事があるのよ!!」


「えっ?」今、話をさえぎられた様な……


「実は蘭子も颯君の事を前から好きだったのよ。これには私も驚いたわ」


 な、な、何だって!? マジかっ!?


「まぁ、私には颯君を振り向かせることは出来ないから蘭子には私の分も頑張りなさいって言ったけどね……でも、まさかこうして颯君と再会する事ができて……更にこうして一緒に登校できるだなんて夢の様だわ!!」


 俺としては、できれば夢であって欲しいけども……


「でもアレね? 颯君がしているその『瓶底メガネ』は、きっと明智さんの影響なんでしょうね? 今も彼女との思い出がいっぱい残っているでしょう? だから今朝も明智さんの事を思い出したんでしょうし……明智さん、いいなぁ……私も負けずにこれから颯君とたくさん、思い出を作っていきたいわ!!」


「は、はぁ……」


 いずれにしても乃恵瑠さんは神影の事を知っていて、当時、神影に嫉妬していたのは間違いないようだな。


 ただ、今の話が全て本当なのかどうかは分からないよな。


 だって、俺と近所じゃ無いのに近所のフリをして一緒に登校していたくらいだからな。


 完全に信じろっていう方が無理があるぞ。


「あっ、そういえば一度だけ、明智さんとお話したことがあるのよ」


「えっ? そうなんですか?」


「うん、私が転校する前日だったわ。蘭子と一緒にトイレで最後のお別れをしていたの」


 何で最後のお別れをトイレでするんだよ!?


「でね、その時に明智さんがトイレに入って来たのよ。それで私、思わず彼女に話しかけたんだけど……」


 神影も用を足しに来たのに声をかけられてしまって迷惑だっただろうなぁ?


「どんな話をしたんですか?」


「えっと、たしかメガネを外して欲しいって言ったわ」


「え? メガネをですか!?」


「うん、だって明智さんの素顔を見た事って無かったし、颯君と仲良しの子がどんな顔なのか知りたかったし……」


「それで、明智はメガネを外したんですか?」


 お、俺でも神影の素顔を見た事無いんだよ。


「ええ、外してくれたわよ……」


 どんな顔でしたかって聞くのはなんか神影に対して失礼な気がするよな。


「あれ、颯君? 明智さんはどんな顔だったのか聞かないの?」


「い、いえ、別にいいです……」


 本当は知りたいけどな……


「ふーん、そっかぁ……まぁ、『普通の顔』だったから心配しなくても大丈夫だよ」


「し、心配なんてしていませんよ」


 普通の顔なのかぁ……


 って、俺は何か期待していたのか?



「竹中君、おはよう……」


「えっ? ああ、服部さんじゃないか。お、おはよう……」


「毎日、織田会長との通学、とても楽しそうねぇ?」


「えっ!?」


「あら? あなたは徳川さんのお友達の方よね? たしか、お名前は……」


「服部といいます。織田会長もおはようございます」


「おはよう、服部さん。あなたも毎日、電車通学なの?」


「いえ、いつもは自転車通学なんですが、朝、自転車を見るとパンクしていたので、仕方なく電車で通学する事になりまして……」


「そうなんだぁ……それは可哀そうに……」


「いえ、今日はラッキーでした。織田会長と同じ車両に乗る事ができたなんて光栄です」


「フフフ……徳川さんのお友達にそう言っていただけるなんて私も光栄だわぁ……」


 なんだ、この二人の会話は!?


 全然、感情が無いじゃねぇか!!


 そんな事よりも服部さんの自転車がパンクしたのは本当なのか?


 実は俺と乃恵瑠さんの会話を聞く為に同じ車両に乗っていたんじゃないだろうな?


 そして、会話の内容を伊緒奈に知らせて今後の対策に活かそうとしているとか……



 ピコンッ


 ん? 朝からライン……一体、誰だろう?


 あっ、伊緒奈からだぞ。 ええ、なになに……


『本日、昼休み&放課後に『投票前日緊急ちつてと会議』を開催するので参加してね? それと、織田会長の話は半分真実、半分嘘だと思う方がいいわよ』


「えっ!?」


「颯君、どうかしたの?」


「い、いえ、何でもありません……」


 伊緒奈は何か知っているのか……?


小学生時代を語る乃恵瑠

その話を聞いて颯は驚きっぱなしだが、全ての話をなんとなく信じる事ができないでいた。そんな中、服部に遭遇し驚く颯。

そしてすぐさま伊緒奈から意味深なラインが……

投票前日もまだまだ落ち着く事はできそうにない颯であった。


どうぞ次回もお楽しみに(^_-)-☆

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