秋葉原ヲタク白書38 謎の妹と銀河弾道弾
主人公はSF作家を夢見るサラリーマン。
相棒はメイドカフェの美しきメイド長。
この2人が秋葉原で起こる事件を次々と解決するオトナの、オトナによる、オトナの為のラノベ第38話です。
今回は、主人公の妹が出現、さらに宿敵"時間ナチス"も参戦して、謎の"キープロトコル"争奪戦が始まります。
さらに"キープロトコル"には、秋葉原無差別殺傷事件で死亡したとされる、メイド長の兄の影もチラついて…
お楽しみいただければ幸いです。
第1章 妹が(出)来た!
「お兄ちゃん!」
僕を見上げるツブラな瞳w
あどけなく無防備な横顔←
コ、コレが"妹"なのか!
瞬時にして、御屋敷がシンと静まり返って常連が後退りしながら"僕の妹"を取り囲む。
あ、ココは僕の推し(てるメイド)であるミユリさんがメイド長を務める老舗の御屋敷だ。
太陽系の最果てで2つの天体が出会った奇跡に準え"2014MU69バー"とも呼ばれる。
「き、君は…僕の妹なのか?!」
「そうだょ、お兄ちゃんに会いに、わざわざデュッセルドルフから出て来たんだぞ!」
「そ、そう?はじめまして…だょね?」
柔らかでボリュームのある"金髪"の下に彫りの深い顔とメリハリあるプロポーション。
ゲルマン系は高身長だと聞いてたけど"妹"を名乗るだけあって?大和撫子並みの小柄。
この子なら"妹"でも良いな!と逝うか、この子なら"妹"として推したいっ!GO!
「改めまして!やぁ!君は誰?」
「エミリょ。大使館の人にココに逝けばお兄ちゃんに逢えるって言われたの。でも、スゴく探したんだぞ!」
「ちょ、ちょっち待ったぁ!コ、コレって新手の逆ナンですょね?あのぉ、ミユリ姉様が御不在の時にはテリィ様に手を出さないで。私が怒られるから。特に金髪は」←
助かったのか邪魔されたのか、よくわからないけどココでつぼみんがブレイク。
今宵は、メイド組合の打合せで遅番のミユリさんに代わって臨時のメイド長だ。
「えっ?と言うコトは、今宵はミユリ姉様とはお逢い出来ないのかしら。御姉様にも是非ご挨拶をしたいと思って来日したのに」
「メイドのシフトは原則非公開ですが、メイド組合の役員会なら間もなく終わるから、あくまで仮の話だけど、もし姉様が遅番だとすると、間も無く御帰宅されるカモ?」
「では、その前にサッサとカタをつけさせてもらおう…チームA、突入!」
ややっ?黒革ロングコートの一見さんだ。
残暑厳しいのに…すると、エミリが絶叫!
「らめぇ!お兄ちゃん、逃げてぇ!早く!」
「あ、待て!追え!」
「御主人様、ワンオーダー願います!キャッシュオンデリバリーなのっ!」
何も考えズ"妹"に逝われるがママに逃げ出した僕の前に立ち塞がる黒革コートの2人組…の前に敢然として立ち塞がるつぼみんw
僕は、揉み合う男女の合間を縫い脱兎のごとく駆け抜ける!
逃げ足ならアキバの誰にも負けないんだぞ、お兄ちゃんは←
御屋敷は昭和通り沿いの雑居ビル2Fにあり、外階段で出入りするんだけど、途中の踊り場に、別の黒革コートの2人組が倒れているw
「遅かった。チームBが既にやられてる。そっちに行ったぞ。応答せよ、チームC。チームC!」
倒れた黒革コートのポケットでハンドトーキーが叫ぶのを聞きながら昭和通りに飛び出したら黒塗りのマイバッハS650が停まってる。
すげぇアキバで見るのは初めてだw
その威容に圧倒されつつチラッと見たら何と"青ナンバー(外交官車両)"で番号は…2901?
"29"が何処の国かは知らないが、末尾が01ってコトは大使の公用車ってコトだろソレ?
「乗って!」
「うーん。でも、誰だかわからない人の車に乗っちゃダメだってミユリさんが…」
「エミリを信じて!お兄ちゃん」
しっかり者の妹に仕切られる王道"妹萌え"パターンだ。
出来たら「ゴハンが出来たょー」とか甘えて欲しいケド←
ベンツSクラスのロングモデルより更に20cm長いホールベースの後部座席に乗り込む。
ベルトをする間も無く急発進…したら何と目の前は戦車運搬トレーラーSd.Ah.116 だ。
ドアの外には黒革コートの男達が殺到。
短機関銃シュマイザーMP40を構える。
結局、僕と"妹"は捕虜になる。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
「あらあら。やっとお目覚めかしら。マイバッハに飛び乗ってくれて、ありがとう。メルセデスの最高級クラスに乗った御感想は如何?」
「うぅ目が霞む…くそぉ予め運転手をすり替えておいたのか?」
「まるでゴキブリホイホイに飛び込むゴキブリみたいだったわょ、貴方達。思わず笑っちゃったわ」
僕達の目の前にいるのは…マタハだ。
やれやれ。今回は"時間ナチス"かw
第2章 "時間ナチス"vs 女忍者部隊
第2次大戦後ナチスは世界各地(月の裏側含む)に逃げ再興を期しているとの噂が絶えない。
陥落直前のベルリンからタイムマシンで未来に逃げた連中は"時間ナチス"と呼ばれる。
彼等の精鋭部隊"ヴリル空挺団"は先日"永遠の命"を求めアキバまで時間旅行を行う。
その指揮官が何処か五反田のデリヘル嬢に似た面影のマタハだが僕は彼女に貸しがある。
「おい、マタハ!2019年のアキバに何の用だ?ってか、お前達、また来たのか?他の時代に用はないのかょ?」
「うっ!相変わらず口数の減らないヲタクだわね。この時代の秋葉原はAMCが開発したタイムトンネルがあって帰り道の心配をしなくていいから色々都合がいいのょ」
「そぉか。前回は中華屋"新秋楼"のオバちゃんがフリーガーファウスト(肩打ち式の対空バズーカ砲)でお前達のUFO型タイムマシンを撃ち落としちまったからな!あれからオバちゃんは金貯めて近くに"新々秋楼"を開店したぞ!ちゃんと挨拶に逝ったか?」
え、ホント?知ってる?とマタハは周りの空挺兵に聞くが誰も知らない。
事前の情報収集が足りないようだ…そのための彼等なのかもしれないが。
「と、とにかく!我がヴリル空挺団は、総統命令を達成したトコロだからいいの!甦った"光のスイングバイ"のキープロトコルを無事に入手出来たわ。ホント、珍しいコトだけど…」
「何?もう達成したのか?ま、まさか、僕がそのキー何チャラだったのか?」
「んなワケないでしょ。ソッチの御嬢様らしいわょ。さぁ参りましょう、総統閣下が1945年でお待ちです…ぎゃ!」
あ、僕は目が覚めたら廃ビルの屋上にいて、四方をヴリル空挺団に囲まれていたんだが、何人かの空挺兵が同時にバタバタと倒れる。
横で倒れた兵の首に十字手裏剣が刺さっているのがチラ見える。
銃で反撃する兵も出て、屋上はたちまち阿鼻叫喚の騒ぎとなる。
忍者の襲撃?!
同じくヒップに手裏剣が刺さったママのマタハが見えない敵に対し果敢に反撃を開始。
空挺兵も奇襲のショックから立ち直り、手裏剣しか持たない忍者?と交戦を開始する。
短機関銃の十字砲火に倒れる忍者も出て、よく見ると網掛けのヘルメットに革ジャン姿。
し、しかも女忍者だ!驚く間も無く彼女達は失神してるエリカを奪還し僕に手招きする。
「安心して。助けに来たわ。私達は女忍者部隊…」
「まさか?!"月光"?!」
「いいえ"欠光"よ」←
敵か味方かよくわからないが、ココはヤハリ"欠光"に従おう!何たって女忍者だから←
脱出を先導する女忍者が腰の拳銃を抜くのを見て、隊長?が彼女の背中を突いて制する。
「ダメ。拳銃は最後の武器ょ」
「あ、そうでした。すみません。うっ」
「あ!しっかりして!」
んなコト逝ってる間に先導していた女忍者が敵弾に斃れる。
だから逝わんこっちゃナイw拳銃あるンなら最初から使え←
結局、ビル屋上の裏の一角に追い込まれる。
ま、まさか、ロープで地上へ降りるのかょw
「隊長!後はアタシ達が食い止めます!早く脱出してください!」
「アラごめんなさいね!じゃお先に!」
「え?ホントに先に逃げるの?」
敵弾と手裏剣が飛び交う中、聞こえないフリで隊長が身を翻しフェンスの先へ消える。
驚いて身を乗り出したら、非常災害用の白い避難シューターが口を開けて待っている。
女忍者隊員に促されて、僕も失神したままのエリカを抱いてシューターに飛び込む。
中はウォータースライダーみたいな滑り台wコレで"妹"が水着なら最高ナンだが。
先に降りた隊長の背中を見ながら着地する。
しかし、僕より逃げ足が速い奴がいるとはw
「さぁ、ココから"秘密基地"までは1直線ょ!私達の"秘密基地"に隠れましょう!」
「そんな大声で"秘密基地"って何度も連呼して大丈夫なのか?」
「待って。追っ手をまくわ」
何をするのかと見てたら、隊長は手際よくシューターの途中に大きな結び目をつくる。
後から降りて来た連中はシューターの中で次々団子になって大騒ぎだが外に出れない。
その内の何人かは、間違いなく味方の女忍者だったような気もスルが、まぁいいや←
すると、隊長はエミリを抱いた僕の方を向き覆面から出た目尻だけで不気味に笑う。
僕を…知っているのか?
彼女が黒覆面を落とす。
黒髪がビル風になびく。
カルラだ。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
カルラは…何と逝えばイイのかな?自衛隊の特殊作戦群で訓練中に教官を崖から吊るしたとかで除隊になって、今は傭兵をやってる。
前回は、IAU(国際天文学連合)に雇われて、気鋭の天文学者の誘拐を企てるが失敗する。
で、その学者が11年前の秋葉原無差別殺傷事件で死亡したハズのミユリさんのお兄さん。
その後、逮捕されたカルラは万世警察で銃を乱射し逃走するが何かわからない大きな力が働き、突然全てが「なかったコト」になるw
そして、突然の今回の登場だ。
敵か味方か、よくわからない。
でも、僕達は仲良く地下鉄に乗っている。
闇の中を走る、他には客のいない地下鉄。
銀河鉄道の夜みたい。
何処へ逝くのだろう?
「変だな。僕達は…お別れしなかったっけ?」
「ええ。でも後悔しているの。だって、一緒ならテリィたんを囮にして、ミユリさんを地獄の果てまで追えたのに…嫌だ、冗談よ」
「笑えない。で、今回は何の用?そもそも敵?味方?」
「味方ょ。前回は、テリィたんにはホント悪いコトしちゃったって思ってる」
ココで僕の右隣にいるエミリが口を開く。
あ、カルラは左隣で、他には誰もいない。
世界一不気味な"両手に花"←
「ミユリさんのお兄さんと婚約して、もう1年になるわ」
「えっ?エミリはお兄さんの許嫁なのか?と逝うコトは、別に僕の妹でも何でもナイじゃないか!」
「あら?だって、私はユウキと結婚するし、テリィたんはミユリさんのTOなんでしょ?だから、私はテリィたんの妹も同然」←
「何でだ?とにかく!ミユリさんからは何も聞いてナイけど」
「機密事項だから。"光のスイングバイ"に関わると、たくさんの敵ができる。愛情は弱点になる。だから、人にはあまり言えない」
「ロマンチックだな」
「まぁね。会えない時間が愛を育てる、とは限らないけど、その分、逢った時は萌える。もう9ヶ月会っていない。キスのお預けで唇が干からびたわ」
「いい話だね。エミリは…GSG-9(ドイツの特殊部隊)か何か?」
「まさか。アルファベット3文字だけどもっとスゴい組織。あ、テリィたんの好きなスパイ系じゃないの。どちらかと言うと秘密結社かな」←
「え?秘密結社なら大好物だょ?でも、君は…そもそもホントに愛してるのかな?ミユリさんのお兄さんのコト」
「貴方達を助けてあげたのょ?あの屋上で。気絶したフリして"時間ナチス"を2人。間違えて女忍者も1人、撃っちゃったけど」
「どうして、僕達があの屋上にいるとわかったのかな?」
「それも機密事項。でも、もう裏では何人も人が死んでる。これ以上、犠牲者を出したくなかったら私には全てを話して。事態は貴方が思っているよりもはるかに深刻なの」
窓の外の闇に"白金台"と逝う駅名が浮かび流れるように消えた辺りで、地下鉄は減速。
ゴトンと逝う音がして、引込線に入線した気配と共に地下鉄は停車、片方のドアが開く。
ドアの外は漆黒の闇で、目が慣れるとホームらしきモノが見えるが、ヤタラ古い年代物。
白金台の次だから目黒?違うなw引込線の先にあったのは地下に眠る遺構のような駅だ。
ソコへ闇の中からコツコツとヒールの音。
姿が見える直前の闇の中で靴音は止まる。
ん?何者かが深々と御辞儀する気配。
そして僕は聞き覚えのある声を聞く。
「おかえりなさいませ、御主人様」
顔を上げたら…ミユリさんだw
第3章 最終兵器"ヒ式高射砲"
ミユリさんが…なぜココに?
ってか、ココは何処なんだ?
驚きながらもホーム?に降りると、やっぱりミユリさんだ。
いつも御屋敷で着ている見慣れたメイド服だし間違いナイ。
「お嬢さん、早く作戦室へ」
「はい。お連れしてください」
「さ、みなさん。コチラへ」
メイド姿のミユリさんの背後に影法師がいてソイツが僕達に色々と指図して来る。
やや?またまた網掛けヘルメットだけど軍服がカーキ色で…ソレに今度は男だょ←
この軍服は旧日本軍の陸軍落下傘兵か?
ホーム端の鉄扉の前で落下傘兵が叫ぶ。
「アルファ!」
「ケンタウルス!」
おおっ!この合言葉は!鉄扉が開くと巨大秘密工場が広がり中ではメカゴジラが…
とか期待したケド、中は殺風景なコンクリート打ちっ放しの小部屋で裸電球1つ。
ソコにまた、ヤタラ背の高い影法師だ。
「許嫁をお連れしたわょ、お兄ちゃん」
「ユウキ!ユウキ!私達、やっと会えたのね!」
「まさか、君がココまでたどり着くとはな、エミリ」
エミリが許嫁?この影法師はミユリさんのお兄さんなのか?こんな地下で何やってんの?
ソレに…コレは恋人同士の感激の再会なのかな?もしかしてお熱いシーン?と思ったら…
「大方、もう私は死んでるとでも思ったんでしょ?ふふふ」
「何の話をしてるんだ、エミリ。さっぱりわからない」
「5人も蒸発したのね?心当たりは?」
「ないね」
「でも貴方は"太陽の裏側を見た"のでしょう?」
「うっ。何故ソレを知っている?」
「そんなコトより、そろそろ"光のスイングバイ"のキープロトコルが何かを教えてょ。なぜ"時間ナチス"まで使って私をさらおうとするの?」
「"時間ナチス"は、私達とは関係がない。君のお仲間じゃないのか?しかし、エミリが押し掛けて来たせいで私の命まで危うくなった。トンだ押し掛け女房…じゃなかった押し掛け許嫁だ。今すぐ自殺した方が楽かもしれない。君は、君自身の手に負えないコトに首を突っ込んでルンだょ。まだ君達が生きているのが不思議な位だ」
「なぜ私を責めるの?私は…私は貴方の許嫁なのょ!」
「芝居は止せ。あの朝、唐突に通知が来た。政権の極秘データベースの検索結果だ。保留になってた検索の結果で、検索をかけたのは11年前の私。そして、11年前のあの日から、僕の日常に、唐突に金髪の美少女が割り込んで来た」
「金髪の美少女?うーんソレ、私のコトかしら?ウレシいわ、ユウキ」
「当時の話だ」←
「まぁwとにかく!その11年後に現れた検索結果が"光のスイングバイ"のキープロトコルだったのね?さぁ、ソレが何だったのか、サッサと教えて頂戴」
「出て来たのは、電子化されたメモが1枚だけだ。最近になって機密解除されたメモ。大部分が黒塗りされているが、恐らく国と国、或いは"国をも超える何か"と何かの議事録と思われる」
「"国をも超える何か"って何ょ?」
「ソレは、エミリ。君の方が詳しいハズだ。君をココに送り込んだ古の秘密結社のコトじゃないのか?だが、当時の私は何も知らず、政府で働き始めたのを機に迂闊にも検索エンジンを回した。モチロン、当時は何も出ない。ソレが11年も経ってから出て…たちまち5人が蒸発だ」
「人生には、忘れられないモノってあるの。ソレが自分に長い間にわたり影響を与え続けるから、人は強くなれる。お兄ちゃんと生き別れた朝のコト、私は今でも思い出す。だから、御屋敷にお迎えが来た時、迷わずメイド服のまま地下鉄に飛び乗った。お願い。自分を責めないで、お兄ちゃん」
「メモは、ほとんど塗りつぶされていたが、余白に書き込まれていた文字は、ソレを見た者なら容易に"ミユリ"と読める。その通知が出て半日後、ミユリも消えた。僕は、ヒタスラ身を隠し、政権に助けを求めた。多分機密が解除されたのは偶然だろう。だが"国をも超える何か"は、ソレを見逃さず、関係者を抹殺しながら、今もなお"キープロトコル"に迫ろうとしている」
「ねぇ。私は自衛隊崩れのタダの傭兵だけど1つだけ教えて。その"国をも超える何か"が追ってる"光のスイングバイ"って、結局何なの?美味しいの?」←
暗い小部屋には、ミユリ兄妹、エミリ、カルラ、そして僕の5人。
いつの間にか落下傘兵は姿を消し、気づけば全員立ったままだw
「"光のスイングバイ"は、一般相対性理論から導かれる現象だ。よく"光さえ曲がる宇宙"とか言うけど、アレはウソで、光自体は曲がらない。重い天体が歪めた時空を進むために曲がるんだ。この現象を"重力レンズ"と呼ぶが、その際、重い天体の固有運動と万有引力の影響で光の運動ベクトルも変化する。すなわち、重い天体と光の相互の間で、重力を介して運動量と運動エネルギーがやりとりされ、それぞれの運動ベクトルが変化するんだ。つまり!宇宙を進む光は、巨大な天体や小さいけどブラックホールとか、更には銀河が集まった銀河団など、色んな重力源の影響を受けるけど、そのために1つの光源から出た光でも複数の経路を通ってバラバラに地球に到達するコトがある。つまり、1つの星が2つ以上に見えたり、アーク状に見えたり、例え1つに見えても、異なる時に出た光が重なり合ったモノだったりする。こうした"重力レンズ"に伴う光のタイムラグを一般相対性理論の世界から理論体系化したものが"光のスイングバイ"だ」
「ちょ、ちょ、ちょっち待って!よくわからない言葉が1つだけあるんだけど、その"銀河団"って何?秘密結社?私の商売敵なの?」
「いや。私達が属する天の川銀河みたいな銀河が数百から1万コ集まり形成する銀河の集団のコトだ。宇宙的視野から見た場合は、重力レンズを引き起こす1重力源として扱われる。君達が有史以来、互いに血で血を洗って来た古の宗教結社の類とは全く関係がない。ん?もしかして、似た名前の結社でもあるのか?」
「ナ、ナ、ナイわょ!まぁ何となくわかったンだけど、ところで、そんな"地球に光が届く理屈を体系化したモノ"が、いったい何の役に立つのかを、みなさんに教えてあげたら?」
「他の銀河から飛来するモノを狙い撃つ時に役に立つ。いや、役に立つと言うより、コレがないと狙い撃てない。光年単位で的を外してしまう。カスリもせズに」
「他の銀河から飛来するモノ?何か飛んで来るのか?何が?何処から?」
「ソレは…我が許嫁のエミリの方が詳しいかな。いいかな?エミリ」
「巨大隕石の激突、全球凍結、ガンマ線バースト、大酸化事変…地球上では、過去12回、環境が破綻して、その度に"大量絶滅"が起きてる。でも、ソレは"意思ある宇宙"が決めたコト。我ら幼き人類種には"意思ある宇宙"がお決めになった"次なる大量絶滅"を甘んじて受け入れる義務がある。今こそ"滅びの雷"を受け入れるべき時なのょ」
「"滅びの雷"?」
「ソレは、この星に"大量絶滅をもたらす何か"。地球温暖化を一気に加速させる何か、かもしれないし、逆に地球を氷河期に追い込む何か、かもしれない。いずれにせよ、我ら幼き人類種には思いもつかない破局をもたらす何か、なの」
「ソレが今、地球に迫っている、と逝うのか?」
「YES。パンドラ銀河団方向からダークマターストリームに乗って超スピードで地球に向け直進中だ。過去に12回飛来し、その度に地球環境を破綻させ"大量絶滅"を招いた"滅びの雷"の第13弾だ。"光のスイングバイ"理論を応用した光学システムにより、接近する光点を捉え、初めて撮影に成功したのが11年前。以来、我々は、その光点を"銀河間弾道弾"と呼んでいる。この13発目の弾道弾は、我々の太陽の背後から飛来するため、我々は重力レンズで光をスイングバイさせて、太陽の裏側を見なければならない。11年前、ソレに成功した私は、機密保持のため、時の政権の命により、前日までの人生を捨て、公的には秋葉原無差別殺傷事件により死亡したコトになって地上から完全に姿を消した。あの検索結果の公開さえなければ、私の存在は完全に秘匿されるハズだった。因みに、あの時、地下に潜るコトを拒み地上に残った5人が、今回、全員蒸発したのは君達も知っての通りだ」
「まさにパンドラだな。弾道弾が地球に命中しないと、どんな絶滅を引き起こすのかもわからない、と逝うワケか。我々は座して絶滅を待つのか?人類に打つ手はナイと逝うのか?」
「1つだけある。ココは、そのための秘密基地だ。"意思ある宇宙"が我ら幼き人類種に放った"銀河間弾道弾"を撃ち落とす、神をも恐れぬ最終兵器がココにある」
「おおっ。その最終兵器の名は?」
「"ヒ式高射砲"。人類最後の希望だ」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
ココでボタンを押すと、突然、壁が透明化し広大な地下工場が現れメカゴジラが整備中…
と逝きたいトコロだが、何とお兄さんは小部屋の壁に手をかけてヨッコラセと手で引く。
その様子は雨戸を開けるお兄ちゃんだ笑
ホントに雨戸か?と目を疑うが、とにかくソレを引くと大きな窓が現れるが外は真っ暗。
真夜中だし?と思っているとお兄ちゃんが壁のスイッチをオン!すると外の街灯が点く。
ん?緑色に濁ってる?
ココは…湖底なのか?
街灯?が点き外の様子がボンヤリ見えて来るとホントにココは水中らしい。
街灯と思ったのは小型のサーチライトでソレが四方から照らし出すモノは…
ピラミッドだ!
「ココは、港区白金にある国立自然教育園ひょうたん池の底だ。ソコには….人類が生まれる有史以前に超古代の文明がつくったピラミッドがある。超古代文明は、あのピラミッドで宇宙から飛来する何かを迎え撃ち、壮絶な宇宙戦争を繰り広げたらしい」
「は、はい?ピラミッド?宇宙戦争?で、人類の超ご先祖はその戦争に勝ったの?」
「恐らく敗北し"大量絶滅"の憂き目に遭ったのではないか。超古代文明が勝利していれば、今頃は繁栄の極みにあり、我ら人類の出番などナイ。いずれにせよ、このピラミッドは超古代文明が"大量絶滅"した後も数10億年に渡り、この湖底で深い眠りについていたというワケだ」
「その眠りを覚ましたのが…お兄ちゃんなの?」
「いや。太平洋戦争当時の旧日本軍だ。ココは、戦前、宮内庁帝室林野局から陸軍が委譲され、火薬庫として使用していたが、戦後、白金御料地となり、払い下げられて今日に至る。ピラミッドは陸軍時代に発見され、地下には、深さが測定不能で、恐らくマントルと直結していると思われる井戸がある。あのピラミッドは、井戸から汲み上げる"地球力"の波動を光線に変えて発射するコトが出来る。このシステムは陸軍により"ヒ式高射砲"と命名され本土決戦兵器として秘匿された。何度か試射も行われ、その度B29を梯団規模で壊滅させ、驚愕した米戦略爆撃団は、ひょうたん池上空の飛行を禁止し、実は…東京への原爆投下をも断念するに至った経緯がある」
「B29が久我山の新型15cm高射砲を避けて空襲したのは有名な話だけど…まさか、東京空襲後にサイパンに帰るB29が不思議な火の玉に追尾された"フーファイター"の逸話なんかも…」
「全て"ヒ式高射砲"に撃たれたヤンキーが話に尾鰭をつけたデマだ。ところで、目視照準なら抜群の威力を発揮する"ヒ式高射砲"だが、遠い銀河から飛来する弾道弾を狙撃するとなると重力場の影響を補正した正確な照準システムとの連携が必要だ。古の超古代文明が"大量絶滅"の憂き目に逢ったトコロを見ると、彼等は兵器としてのピラミッドは完成したが、精密照準のシステム開発には失敗したのではないか」
「しかし、我がホモ・サピエンスには"光のスイングバイ"理論アリ、と逝うコトか」
「で、その"光のスイングバイ"を"ヒ式高射砲"にインストールする際に必要な"キープロトコル"は、ミユリが持っているのね?何処に隠したの?彼女自身も気がつかない内に彼女の潜在意識か、妄想や夢の中とかに埋め込んであるとか?」
「いや。単純にフラッシュメモリにして渡しておいた笑。いかんせん、記憶媒体としては時代物になってしまったんで、再生するのにエラい苦労したけど。でも、インストールが上手く行ったから、もうとっくに塩酸をかけメモリ自体は処分してしまった」
「ええっ?と逝うコトは…」
「"ヒ式高射砲"は完成した。いつでも発射出来る。人類は救われた」
その時、エミリがカッと目を見開く。
「そうは、させないわ」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
鈍い爆発音がして、裸電球が揺れて小部屋の壁がビリビリと震える。
同時に、僕達が入って来た鉄扉が開き、落下傘兵が飛び込んで来る。
ユウキさん(ミユリさんのお兄さん)に耳打ちしTVのリモコンのような装置を僕達に向けて1人1人チェックするとエミリの前で鳴動w
悪びれもせズにエミリはポケットからランプが点滅してる発振器?を出し僕達に見せる。
「"滅びの雷"を撃ち落とするコトは"意思ある宇宙"への冒涜だわ!我ら幼き人類種は滅びる定めにあるの!だから、この場所を"時間ナチス"に教えたわ」
次の瞬間、開け放しの鉄扉から缶詰に木製の棒をつけたようなモノが投げ込まれる!
ポテトマッシャー(ジャガイモ潰し)?ドイツ軍のM24型柄付き手榴弾じゃないかっ!
落下傘兵が、叫び声を上げ手榴弾の上に覆い被さり、僕はミユリさんを押し倒す!
カルラもユウキさんを押し倒し、その横でエミリが狂気に満ちた笑い声をあげる!
だが、爆発はなく代わりに目に見えないガスが噴き出たらしく、僕は、目の前が、全て霞んで、だんだん、気が、遠くなって逝く…
第4章 はじまりの終わり
目を覚ますと…僕は地下鉄に揺られている。
フト気がつくと肩に心地よい重みを感じる。
大好きなメイド姿のミユリさん。
目を軽く閉じ微笑むような寝顔。
思わずウットリとその無防備な表情に見惚れていると、ん?他にも見惚れる人が…
って逝うか、その車両中の人が見惚れてる!あれ?超満員の地下鉄か?ココ何処?
銀座線溜池山王駅と虎ノ門駅の朝の通勤ラッシュ時に最後尾車両に乗ったコトあるか?
ソコは戦場!蜘蛛の糸にすがる亡者の群れの如く狭きドアをくぐれば中は蒸風呂だっ!
僕は"第3新東京電力"でサラリーマンをやってルンで次の新橋で降りなきゃ!
絶対誰かに見られてる!君、メイドと出社してたね?とか会社で逝われそうだw
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
次の週末、僕はミユリさんを誘い、白金の自然教育園へ逝き、ひょうたん池の畔に立つ。
ミユリさんは久しぶりのデートに勝負服の白ブラウスで僕の肩に頭を載せて来る。重い←
「ミユリさんのお兄さんは、まだ"ヒ式高射砲"と一緒に、このひょうたん池の底にいるのかな?結局、銀河弾道弾は撃ち落とせたのかな?」
「さぁ。どうでしょう?何だか、私には昨夜起こったコトは、全て夢の中の出来事だったような気がするのです」
「あの落下傘兵、2Ri(挺進第2連隊)だったょね。パレンバンの生き残りなんだ。精鋭だょね」
見たトコロ"ヒ式高射砲"の守備には、陸軍落下傘部隊が当たっていたようだ。
恐らく AMC のタイムトンネルを使い、1945年辺りから連れて来たに違いない。
「結局、カルラも姿を消したね。今回の仕事は割に合わないから、もう忍者部隊はヤメルとか逝ってたな。あの女忍者、似合ってたんだけどな」←
「次の仕事が決まるまで、今頃、何処かでルームサービスを食べながら下らないリアリティショーでも見てルンでしょうね。次に現れる時は、また思いもつかないトラブルを持ち込んで来そうw」
「エミリもね。大方"時間ナチス"のマタハとツルんで1945年のベルリン辺りに戻ったんじゃないかな。彼女の属する古の秘密結社、ホントに"銀河団"って逝うらしいょ。超古代文明が遺したDNAの正統な継承者を僭称してるらしい。今回は総統に"ヒ式高射砲"を盗んで来いと命じられて途方に暮れてたマタハと利害が完全に一致して、共同戦線を張るコトにしたみたいだ」
ミユリさんは、おちょぼ口をして、フランス人みたいに肩をスボめてみせる。カワイイ☆
実は、僕はこの畔で誰かは忘れたがプロポーズをした黒歴史があるけどソレはナイショw
「私は"兄"にはなりません。愛情が弱点になり、敵に知られて利用されるような恋はしたくない。でも、たった1枚のコピーのせいで5人が蒸発した。いつも何かに巻き込まれてるテリィ様のコトを想うと、私は、心配です。だって私は、テリィ様をいつも危ない目に遭わせてばかり…」
「実は、今回は人類の"大量絶滅"を語りながら、ミユリはお前のメイドに収まるガラじゃない、と説教を垂れた奴がいた。でも、ソイツが、僕よりミユリさんのコトがわかってる、とは到底思えない。僕達は、SF作家とメイド長のコンビだろ?だから何でも2人で考えようょ?2人なら何とかなるょ。きっとどんなコトでも」
「はい。ソレはこの先、どんな社会病質者や金髪女や"妹"が現れようと、ですね?あ、実はテリィ様には黙っていましたが、エミリはスパンキングカフェ"O嬢の物語"のNo.1だったんですょ?」
えっ?ソレって後出しジャンケンw
うーん。で、でも、まぁ、いいや←
とにかくよろしくね。
これからもずっとね。
おしまい
今回は海外SFドラマなどで定番の"終末モノ"をネタに、お馴染み"時間ナチス"や超古代文明を継承する秘密結社、湖底の秘密兵器、女忍者部隊、旧日本軍の兵士などが登場しました。
超古代ミステリーや終末・破滅系SFの世界観を秋葉原に当てはめる描き方の模索です。
秋葉原を訪れる全ての人類が幸せになりますように。




