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真佑(まゆ)と小春


「あの槇小春さん」


槇小春、クラスでは突っ込み担当。

冷静でありいつも毒舌で周りに的確な突っ込みをしている。

物事を見る目はいつも客観的で、思ったことは的確に言う。

小春は、目の前にいるボサボサ頭前髪顔が見えないが、勢いだけは伝わった。


「槇さん「却下」


小春はそう言った。周りには同室の楓、同じ部活の瑠奈と梓がいた。

皆が驚いているが、小春は驚いていない。

4月からずっと小春は彼の事に気が付いていた。

遠くからの視線を感じていたのだ。


「あんたのこそこそしたとこが気に食わないから却下」


ふんと小春は胸を張った。そして、男子の顔を見る。

その男子は怖気づいたように俯いていた。


「どうどうとした態度…わかりました。」


男の子はぱっと明るくそういうと、走って帰っていった。


「あの制服、隣じゃん」


梓がそう言った。学力も高く顔が良い男子が多い。超名門の全寮制の男子校だ。


「え、じゃぁ湊が知ってるかも」


楓は、見上げながらそう言った。湊とは楓が仲良くなった隣の男子校の生徒だ。

モテる男子で気遣いも出来て、とても格好良い。

楓が仲良くなったのは、バスケを通じてだが、毎日電話をしているくらいなのに、

付き合ってはいない。それは楓が興味がないで、湊の片思いがもっぱらの噂である。


「あの奥出くんが、知ってるわけないじゃない。見てくれがよくていわゆる目立つ存在で

タイプが違うでしょ。

だいたい、何年生かもわかんないじゃん」


「いや、あの学年カラーは湊と一緒だよ」


聖和は学ランだが、バッチの色が学年で別れている。

3年通じて同じ色だが、湊は、赤のバッチを付けていて、今去っていった男子も

同じ色をしていた。小春は、ふーんといって、興味がなさそうにしていた。

学校に入ると、小春はいつものようにクラスで授業を受けて部活をする。

今日は、朝のことが頭をよぎっていた。きつく言ったのに、うろたえない男子がいるものだ。

1年間で隣の男子に告白されたことは、数回ある。しかし、その全員を断固として拒否した。

理由はとくに興味もなかったし学校で精一杯だったからだ。

きつく断るつもりはないはずなのに、自分はいいたいことを柔らかく言えない。

それは、小学校からそうだった。小学校、中学校は溶け込めずに一匹狼のように一人でいた。

浮いた存在だったけれど、それでいいと思っていたし当然だと思っていた。

高校は、誰も自分を知らない所に入った。物の言い方は変わらないけれど、

それでも学校で友達は沢山出来た。

同室の楓のおかげだと思っている。楓は明るくて、ガサツだけどいいこである。

自分がいう言葉を笑って返せるし、きつくてもそれが個性だと受け止めてくれる。それがいいところだと言ってくれた。

そうやって、クラスの中に溶け込ませてくれたのも楓だった。

いつも酷いことばかり言ってしまうけれど、それは自分の嬉しさの裏返しだった。

正直なことが出来ない自分は、可愛げのないなと思う。

そんな自分の物の言い方をあぁやって、わかりましたと言った男子は初めてだった。何かあるんだろうか。





今日は部活だ。道着に着替えるために部室に向かう。

練習場に向かい練習を始める。

小春は弓道部で小学校からやっている。

継続した練習をすることが好きでそれで成長できることが好きだった。

中学校では、部活がなかったためずっと道場に通っていた。

そこにいたのが梓だった。梓とは、学校が違うが道場では一番仲が良く、

女子の中でも2人は特に強かった。道場で一緒だった分、同じ学校に入れたことが嬉しかった。


今日は、朝の事で気持ちが乱れているようだった。

小春の狙ったところにはなかなか当たらない。的から外れてしまう。

小春は自分は乱れているとそこで気が付いた。

あんなただの朝のことが気になって、どうしたのだろう。

あの男子は見たことがあるような気がした。

割と背が高くて、眼鏡が便底で顔はみえなかったけれど、

改良すれば絶対によくなるだろう。

そんなことを考えていたからだろうか。


練習が終わると、瑠奈は残ろうとせがんだ。

練習の鬼である瑠奈は、中学校から始めたと思えない。

小学校の低学年から始めた自分よりも上手い。

体が壊れてしまうのではと思うくらい練習をしそうになるから、

いつも無理矢理止めることが多かった。

最近の瑠奈は、さらにその度合いがました。

理由はわかっている。失恋したからだ。

それを練習することで忘れようとしているのだ。

だから、少しスランプに陥っており、的に矢が当たらない。

瑠奈はそれも気にして練習したがっていた。


「小春、梓、あと2時間だけやろ?ねっ?」


瑠奈はそう言って、小春と梓に手を合わせて頼んでいた。


「30分ね。瑠奈は無理しすぎるんだから」


「そうよ。瑠奈、休みも必要だってわかってるでしょ?

それに、無理しすぎたら、部活出来なくなるわよ」


「うー…了解」


瑠奈は食い下がった。



「小春のフォームって本当に綺麗だよね」


瑠奈は、小春が的を射るところを見ながらそう言った。

ラスト1回ずつ的をいることをする。

小春が、綺麗に弓を引き、すべてを忘れて集中をして的に矢を射ると中心に当たった。


「小春のフォームは、真祐くんに教えてもらったんだよね」


梓はそういうと、小春は頷いた。

真祐は、小学校の時に道場で一緒だった男の子だった。

お手本にしたいと、いつも見ていた。

小学校で転校をしてしまい、今はもう会えずにいる。

しかし、ずっと自分に教えてくれた。小春は真面目にそれを受け止めて

今のフォームになった。美しいという言葉が似合う。


「ほんと、小学生なのかと思うくらい上手かったんだよ」


梓は付けくわえた。小春は懐かしそうに思いだした。

一体今はどうなっているのだろうか。


「転校しちゃって、会えなくなったけどね」


梓は付けくわえた。


「えー?!どんな子なの?会いたいかも」


瑠奈がわくわくしている。


「会いたいかもって、瑠奈は矢を射る姿がみたいんでしょ」


「それはあるよ。あ、あと一回だけ」


「駄目だよ明日も朝練あるんだから我慢しなさい。」


「…わかったよ」


瑠奈は、ポニーテールにしていた髪の毛を下ろした。

これが瑠奈の終わりの合図になっていた。

三人で片づけをし、部室で着替える。

小春は着替えながら思いだした。小学校の時の記憶。

真祐はほんとうに凄い男の子だった。

周りの雰囲気が独特で、でも矢を射ることは誰よりも綺麗。そんな子だった。

くすっと笑ってしまう。今はどうしているのだろうか。



帰り道、玄関前にまた朝いた男子がいた。


「小春、またいるけど…」


瑠奈がそういうと、小春はきっと睨むようにその男子をみた。


「ふたりとも先に帰っていいよ。あたし、2人で話すからさ」


小春は仁王立ちで腕組みをした。男子が近づいてくる。


「俺、寿って言います。槇さんに協力してもらいたいことがあるんです」


「何?」


「俺、この学校に気になる子がいるんです」


「どんな子なの?」


「名前はわからないんですけど、でも可愛いんですよね」


「へー、で、なんであたし?」


「物の言い方です。的確で的を射ているからです

俺、今のままじゃ駄目だってわかってんですけど、

自分じゃどうしたらいいかとかわかんなくて

槇さんに頼みたいんです!」


寿はぼさぼさの前髪から一生懸命な顔をのぞかせていた。

身長は高めだし、改良するのは面白いかもしれない。それに、頼みごとをされるのはいやじゃない。


「あー…そう。いいけどさ」


「えっ?!いいんですか?!」


「いいよ。別に。でもあたし厳しいと思うけどいいの?」


「はい!大丈夫です」


小春は、腕組みをやめて男子に近づいた。とりあえずは素を見なければどうにもならない。

中身は行程でわかっていくので最後としよう。


「前髪あげてみて」


「いいですよ」


小春は眼鏡を取ると、視線があった。

きっとした切れ長の目をしている。


「あぁ、なんだ。やっぱりカッコいいんだ。」


小春は冷静にそういった。


「え?」


「まずは、髪の毛がボサボサなのはなんで?」


「くせっけなんで、上手くいかなくて」


「でも、伸ばしっ放しで顔が見えないのって印象悪いよ

気持ち悪い。近寄るなって思う。一緒に美容院いってあげるから

それでどうにかしよ。なりたい髪型とか、考えよ」


小春は的確にそういった。寿はうれしそうに笑った。


「なによ?」


小春は顔をひそめた。


「いや、段取りがいいなーって」


「そうなの?じゃぁそれは明日ね。部活は?」


「文芸部です。明日はありません」


「あたしもないから、放課後集合ね。詳しくは連絡する」


小春はそういうと、連絡先を交換した。


「ありがとうございます!」


「うん、じゃぁまたね」


寿はお辞儀をして寮に戻っていった。

小春は見送ると、自分も寮に戻っていった。





次の日に小春は放課後に校門の前で待ち合わせと連絡した。

夜、詳細を皆に話すと、皆笑っていた。

改良していくと約束しただけで、変なことは言っていない。

食堂で集まって笑って話している。

小春は足組みをして、ため息をついていた。

まさか笑われるとは思わなかった。


「小春、センスいいもんね―」


「でも、誰なんだろうね。気になる子って」


瑠奈がそういうと、小春はずばり言い放つ。


「ってか、あたしに話しかけるくらい勇気あるなら、

その子にだって話しかけられるんじゃない?」


「そういうもんかー?小春はもう雰囲気が違うじゃん」


楓がひやかした。


「うるさいなー、まぁ改良してく過程で、なんかあったら相談するね。

いいでしょ?みんな素敵男子にしてあげて」


小春はそう言った。楓がクスクス笑っている。


「何よ、楓」


「いや、小春らしいなーって、いつも結局優しいとこが」


楓は笑顔でそういうと、小春は真っ赤になった。




次の日の放課後、小春は校門の前で立っていた。

すると、細身の長身が向かってくるのがわかった。

昨日言われた通り、堂々としている。

素直なやつだと小春は思った。皆の視線は冷たいものだったが、小春は気にしなかった。

こんなものだろう。昨日と変わっていないのだから。

この素材をどう料理するか、自分にかかっているのだ。

昨日見た顔からして、短髪が似合う。


「すみません、待ちました?」


話し方は、敬語だった。同い年のはずなのに、変な感じがする。

小春はきにせずに、言う。


「ううん、じゃ行こうか。眼科」


「そうですね」


小春はすたすた歩いていくと、寿も隣で歩いていく。

繁華街が近くにあり、眼科はその少し奥に入った道だ。

小春は隣をあるく寿を見て、思ったことを言った。


「あんた、友達にもそんな感じなの?」


「まさか、砕けてますよ」


「へー、そうなんだ。実は、わたし、こんな偉そうだけど、高校でやっと友達できたんだよね」


小春は打ち解けるために話し始めた


「そうなんですか?!意外だなー。槇さんていつも囲まれてるじゃないですか」


まさか、自分のイメージがそんなものだとは思わなかった。

高校に入って友達も増えたし、一緒に遊びに行くことも多くなった。


「それは、皆が良い子だからよ。ていうか、寿くん同い年でしょ?」


「あ、はい。高校2年です」


「なんで敬語なの?あたし、偉そうに見えるけど別に偉くないからね?」


小春はそういうと、寿はクスクス笑っていた。


「そうですか?じゃぁ、敬語やめます?」


「うん、やめよ?」


「じゃ、槇さん、なんかデートみたいだね」


「何うぬぼれたこと言ってんの?世間ではそう見えるかもしれないけど、

あたしの気持ちもあんたの気持ちもないんだから、ただの友達でしょ。

ってか、あんた好きな子いるくせにそういうこと言わないの」


小春はそう真面目に言った。寿はクスクス笑う。

繁華街を抜けて、住宅街に入る間の交差点を曲がったところに眼科があり、そこに入っていく。

受付を済ませ、椅子に座っていると寿が話しかけた。


「そういえば、寿くんの好きな子ってどんな特徴があるの?

あたし調べておいてあげるよ。好きなこととかさ」


「うーん、完璧な感じに見えて、意外と騙されやすい素直さがある…かな」


小春は知ってる限りのメンバーを頭の中で巡らせたが、わからなかった。

これは優衣や楓に聞いてもわからないだろう。

騙されやすい素直さ?どういうことだ。しばらく考えていると、寿が呼ばれていた。


コンタクトが出来ると、練習をするために待たされる。

寿は、ごめんなさいと言いながら、一生懸命だった。

小春は気にしなくていいよと言って、バックの中に入っている本を読んでいた。

しばらくすると、寿が現れた。

ぼさぼさの髪から覗く顔は、少し濃い顔をしていた。。

小春はこんなもんかと思った。


「やっぱ、いいね。でも大変だったでしょ。最初のコンタクトって」


「うん、目が痛くなったかも」


「大丈夫、あたしもそうだったよ。でも慣れるし、結構楽だよ」


小春は笑ってそういった。



「ほー、やっぱりかっこいい。髪の毛がうざいのがもったいない。

今日はこれだけなんだよね。良い時間だし、かえろっか」


「うん、じゃぁなんかおごるよ」


立ち上がる姿は少し自信があった。小春は、少しのことだが、いいことだと思った。

そうやって自信を持てること増えることはいいことだ。

行き過ぎはいけないが、寿はそんな感じはしない。


「いいよ。なんもしてないじゃん」


小春はそういうが、寿は引かなかった。


「付き合ってくれたお礼だよ」


会計を済ませると、2人は歩いていく。

夕焼けが真っ赤に染まっていて、綺麗だった。

小春は眩しそうに目を細めている。色素が薄い小春は、太陽の光に弱い。

寿が前を歩いてくれた。小春は、寿の背中を見ていた。


「ねぇ、何センチあるの?大きいよね」


「175㎝とかかな」


「へー、それも大事!身長あるの女の子は好きだと思うよ」


「そうなんだ。あ、カフェある」


そういうと、寿は入る。2人でカウンター席に座り、ドリンクを頼んだ。

まだ夕焼けが赤く染まっていて、外の景色が綺麗だった。


「今日はありがとう」


「いいよ。あとは髪型と服装でしょ。いつにしようか。」


「ありがとう。槇さんは優しいね。」


「最初断ったじゃん」


「でも、理由言ってくれたじゃん。二回目断らなかったし、

なんだかんだ優しいよね。ちょっと思ったことストレートに伝えすぎてるんだね」


小春は顔を赤くした。そんなこと言われたことがなかった。

寿の顔をみると、なんだか胸がドキドキしてきた。


「違うわよ。暇だっただけだし。それにあんたの顔必死だったし」


小春は、ドキドキを隠すために、そっぽをむいてそう冷たくいった。

真っ赤な顔をしそうで、すぐに顔を抑えた。


「でも嬉しいんです。ありがとうございます」


寿は、丁寧にお辞儀をした。


「普通に考えて、一生懸命な人の応援するのは普通でしょ?

世の中、中身が大事とかいいながら、結局みてくれを良くないといけない世知辛い世の中だし

あたしだって、あんたが改良されたほうが格好いいと思うし、あー、もうとにかく、応援するって決めたらするの!

あたしはそれだけよ」


小春は自分で何が言いたいのか分からなくなっていた。

素直に言われると、やっぱり自分は弱いみたいだ。


「ありがと」


寿はくしゃっと笑ってみた。小春はふんと視線をそらした。

自分の胸が高鳴っている。この笑顔は反則だ。

カフェを出て、一緒に帰ると、寿は小春を寮まで送った。


「今日はありがとう。じゃぁまた」


「うん、日曜日の午後ね。午前中は練習だから」


「弓道部だよね」


「うん」


「そっか、じゃぁ練習終わったら連絡して」


そういうと、寿は帰っていった。大広間の窓からそれを優衣と楓が見ていた。

優衣の部屋に楓がきていたのだ。2人で、宿題をやっており、

空気の入れ替えのために窓を開けると、丁度小春と寿がいるのがわかった。

2人のやりとりはわからなかったが、寿の眼鏡がなくなっているのに気が付く。

しかし、ボサボサで、顔が見えない。


「あれ、小春ちゃんが改良するっていった人だよね?」


「うん、同い年だよ。隣なんだけど、わかんないんだよね。

寿だっけな。優衣知ってる?」


「寿くん?わかんない。小春ちゃんが男の子に普通に接してるの初めて見たかも」


「そうね」



寿は、視線をそらす小春をみて、くすっと笑っていた。



それから、改良の日々は続いた。寿はどんどん改良されて格好いい男の子に変わってきた。


「槇さん、これ寿くんに渡してくれる?」


小春は学校でお昼を食堂で食べていると、他のクラスの生徒がそうやって来る。

箸を置いて、小春はため息をついた。


「いいけど」


小春はそういうと、紙を受け取る。一緒に食べていた優衣がちまちまと食べながら

言った。


「最近そういうの多いね。確かに格好良くなったもんね。寿くん」


小春は受け取った可愛らしい便せんを見ていた。

必死な顔をしていたけれど、残念ながら寿には好きな女の子がいる。

この学校であること意外に自分は知らないし、興味はないけれど

まだその人が誰だかもわかっていない。


「寿くんは、まだまだよくなる」


小春は、食べていた定食のコロッケを食べていた。

嬉しそうにしている様子はないが、優衣はにこにことしていた。

その笑顔は、可愛らしい。しかし、何か言いたげだった。


「なに?」


「だって、小春ちゃん嬉しそうだから、私も嬉しい!」


「なんで、嬉しいと思わなくちゃいけないのよ。付き合ってあげてんのに」


「小春ちゃん素直じゃないなぁ」


小春はそう言われて、首をかしげた。自分にとって寿は協力するべき人であるから、

皆に協力してもらうために、いろいろと話してはいるけれど、

そんなになにか自分は違うだろうか。




寮の前で待ち合わせをしていた寿と、服を買うためにデパートに出ていた。

服装を考えながら、小春は先を歩いている。ぼーっとして、服を見ている様子がなく、

寿は小春に話しかけた。


「槇さん、どうしたの?」


「ん?!あー、良い服ないね」


小春は、隠すようにそういった。考えていたのだ。

寿の隣にいて、楽しいとかそんな感情は自分にはない。

ただ、応援しようと思ってやっているだけだった。

当たり前になっているこの生活は、寿の目標が達成されたらなくなる。その先を自分が考えたら、どうなるんだろう。

それを考えることが出来なかった。寿と服屋を見ていると、そこに他校の男子がいた。

見たことがあると思い、隠れドキンと胸が高鳴りながらも、冷静に服を見ていた。


「あれ…槇じゃない?」


「あ、ほんとだ」


「男連れてるけど、あんな奴選ぶなんて、目が狂ってるな」


「ほんとだな」


彼らは、小春の中学の同級生だった。

気にしたくないが、寿に聞かれていることが、一番恥ずかしかった。

小春は、俯いて震えを抑えていたが、寿が言いがかりをつけていた。


「そうやって陰でこそこそ言う奴と、槇さんは仲良くしたくなかったんじゃない?」


怒気のある大きな声が響く。いつもの優しさのある寿ではなかった。


「なんだよ…」


「槇さんは、感情を表すのがちょっと苦手なだけで、優しくていい人だ。お前らがみなかっただけだろ?

突き放したから、突き放すしかなかったんだそ。そんなこともわかんないのか?ばーか」


寿は、馬鹿にしたような顔をしていた。小春は驚いた。ここまで雰囲気が変わるなんて思わなかった。

どうしよう、涙が出そうだ。男子が逃げていくと寿は小春の方に振り返って、優しく微笑んだ。


「気にすることないよ。まぁ、槇さんなら…」


「…ごめん…」


小春は涙をいっぱいためていた。いつもの小春らしさがなく、寿も動揺していた。


「とりあえず、お店からでようか」


寿に連れられて、小春は外に出た。

人のいない路地に入り、立ち止まった。


「気にする必要ないよ」


「大丈夫だよ。中学の時はいつもあぁだったし」


「でも、小春さんはいい人だし、あんな風に言われる筋合いはないよ。

もったいないよ。小春さんはちょっと不器用なだけで、口が悪いだけでしょ」


そう言われて、小春はこつんと軽く腕を叩いた。


「煩い」


小春は小さくそう言うと、寿は笑っていた。


「帰ろ。今日はおしまい」


小春はそういって、先に駆け出して行った。


胸の高鳴りが止まらない。どうしよう。

これが好きということなのか、でも、さんざんけなすようなこと言って

恥ずかしくなってきた。寿があんなにかばってくれたからなのか

笑顔が懐かしいからなのかわからないけれど、とりあえず考えずに一生懸命走って帰った。

寮の部屋に戻ると、小春はその瞬間に足が崩れた。

楓はおらず一人だった。皆に挨拶をしながら歩いたが、その記憶もなかった。

まずは着替えておかないと、そう思った。

寿にときめくなんて、自分はどうしたのだろう。

楓が戻ってくるまで、小春は机に向かって本を読んでいた。

寿の事が頭にちらつくことが嫌だった。

他に好きな人がいること、承知しているからこそ認めたくなかった。

気づけば、この感情はゆっくり育っていた。


「小春、ただいまー」


楓はバスケ部の練習から帰ってきた。すぐに着替える。

部屋を散らかすことを小春は極力嫌がる。服を脱ぎ散らかすと

いつもは怒る小春が、今日は何も反応を示さず、楓は調子がつかなかった。

小春は本に集中している。


「あの…小春?」


「楓、お帰り。食堂行く?」


「え…?うん」


小春はそういうと、素早く立ち上がり、一緒に歩き始めた。

楓は首をかしげていた。小春の様子がおかしい。脱いだ服をきちんと片付けて一緒にごはんにむかう 

食事をしながらぼーっとしている小春に、楓は覗き込んで声をかけた。


「おい、小春!」


「うわ、何よ」


小春は、驚いた。箸でつかんだ魚の切り身が落ちそうになる。

しかし、瞬時に掴みなおし、一口いれた。


「変だよ。小春、どうしたの?」


「なんもないわよ。なんも…」


小春はそういいながら、一口食べる。いつものはきはきした小春ではない。

一緒に食べていた瑠奈が声をかける。


「なにかあったでしょ?」


「…………ないわよ」


小春は、わかりやすい反応を見せた。隠すのは上手じゃない。それが小春の可愛らしいところだ。

瑠奈は困った顔をする。


「絶対なにかあったじゃん」


「……違うっていってるでしょ?!」


小春は勢いよくそういってしまった。はっとする。本当に可愛くない。

瑠奈はしょぼんとした。楓はその光景をみて、いままで黙っていたが、口を開いた。


「あのさ、小春。今のはどうかと思う。あんたのこと心配してんのに

そうやってつんけんして返すから、友達いなくなるんだよ。

小春は、自分が傷つくのが嫌なだけでしょ。それでなんで友達をまきこむの?

頼れない友達がいるなんて、あんた友達いないようなもんだよ。

あんたのそういうところムカつく。瑠奈の気持ち考えな」


楓はそういった。小春は反論出来なかった。

ただ涙が流れてきた。楓はそれをみてほっとした。

小春が泣くことなんてない。追い詰められても何も言わずにため込むのが癖になっている。

それを直してあげたかった。小春はらしくなく泣いていた。落ち着くまでみんなで待っている。


「……ごめん。瑠奈」


「いいよ。ほら私もいま同じような状況だからさ」


「ほら、瑠奈優しいんだから」


楓も優しくそういった。小春はこういう面では楓に頭が上がらない。

楓は包容力がある。本当に男子なら惚れてしまいそうだろう。


「違うの、頭がごちゃごちゃして、楓の言うとおりだ。

だって、信じたくないんだもん。この気持ちが本物だって思いたくない。

つらくなるのわかってて…そういうのやだなって」


「悪いことじゃないよ。私だって苦しいよ。同じだよ

寿くんが好きなら、それでいいじゃない」


「……うん」


「えらい!小春のくせに素直じゃん」


楓は笑っていた。小春は、自分の気持ちに正直になろうとそう思った。

楓の能天気な声で、小春はもとの小春にもどる。


「煩い、たまにはいいこというと思ったのに」


楓はにっと笑って見せていた。そういうところに人が寄ってくるのだろう。

小春は、気持ちには正直になろうと思った。

悪いことじゃない。この気持ちに嘘をつくことはないのだ。

そう思うと、心が軽くなった。最初から認めてしまえばいいのに、

素直じゃないからこういうことになる。

だが、どうすれば良いのかわからなかった。

ただ、素直に気持ちを認めると、もやもやした気持ちが少しだけすっきりした。

前に進むことは出来ないけれど、でもこの気持ちを大切にいていこうと思った。




1ヶ月たち、小春は気持ちを隠して、寿にあっていた。。

近づくたびに、素直に出来ないことを小春はいつも悩楽しいんでいた。

この恋は実らない。そんなわかりきった恋を何で続けてしまうのだろう。

好きな人なんて小学校以来出来たことない。この気持ちにどう折り合いをつけるのか、それを考えていた。



その日は日曜日、予行練習のために午後に会うことを約束していた。

その日は午前中が練習のため、午後に待ち合わせをしているはずだった。

小春は、練習に集中をしていた。瑠奈の気持ちがわかる気がした。

いま、弓道だけに集中できるこれが嬉しかった。

寿のことが心にちらついた。

頑張っていく過程で、いつも見せてくれる笑顔、その笑顔はいつか違う子に向けられる。

それでも応援しようと決めたのだから、最後まで応援する。そう決めたのだ。

そんなことを考えると、的から外れたところに矢がいってしまった。

練習が終わると、瑠奈はまだ残って練習をするようで、帰っていく部員の中で、少し片づけをして、

残っていた。


「小春、楽しんできなよ」


「楽しむも何も、いつものように予行練習よ」


「知ってるよー、でも小春、嬉しそうだもん。

私みたいに言えないまま終わっちゃだめだよ。」


「瑠奈は違うよ。瑠奈は素直とかの問題じゃないじゃん」


「そうかな?」


瑠奈は苦笑いを浮かべた。

まだ瑠奈は妹の彼氏を好きになってしまったが、いまだに復活出来ていない。

それよりも、その彼に妹の情報を教えてあげるくらい

お人よしなのだ。小春には、その男が許せなかった。1回殴りたいくらいには腹が立っている。

小春は、笑っていた。


「じゃ、行ってきます」



小春はそういうと、部室にいき、着替えて待ち合わせの寮の前までいった。

寿は、待っていた。寿は、すっと綺麗な立ち姿勢で待っていた。

彼は最初から本当に背筋が伸びていて綺麗だった。


「おまたせ、いこっか」


「うん、じゃ行こう」


寿は小春のペースに合わせて歩いてくれていた。街ゆく人の視線が寿に集中する。

小春は、合格と小さい声でいった。100点ばかりだった。

自分が寿のことが好きだから、補正がかかってしまっている部分もあるのだろうか。

小春は、寿の横顔をちらっと見つめる。これが最後の練習と小春は決めていた。。

これで自分が胸を痛めることもなくなる。

目的地もなく、適当に歩いていたが、休憩のためにカフェに入った。

視線が合うと、寿が話しかけてきた。まっすぐ見る彼は、堀が深くて濃い顔をしている。

眉毛は濃いのに整っていて、ぱっちり二重である。


「そう言えば、槇さんて好きなやついるの?」


何気ない質問だった。


「なんで?」


小春は、驚いた顔をしていた。いつもらしくない。

いつもなら、平然とした顔で答えるのだ。

寿は首をかしげていた。


「いや、ただ気になっただけ」


「わたしは弓道があればいいのよ」


そういうと、小春は肘をついて、外を見ていた。少し不機嫌になりそうな自分を抑えた。

しかし、胸が痛くなった。この胸にじわじわとくる感情はなんだろう。

今日で最後なんだから、楽しく終わりたかったのに、自分の感情がコントロールできそうにない。


「そうなの?もったいない。」


小春はそれを聞くと、はーっとため息をついた。気持ちを抑えて笑顔になる。


「あのね、寿くん、これで最後にしよう

あたしはあんたをプロデュースしたよ。

完璧だね。スタイルも性格ももともとよかったし、ちょっとだけみため変えただけで

もう女の子に人気者になっちゃって、もう言うことないよ。」


じゃぁねと行ったときに、ふと涙が流れていた。

それをふきとって走りさる。

頼んだものが運ばれてきてしまい、追いかけることが出来なかった。

小春は走りながら、泣いていた。もう最後まで素直じゃない自分が嫌だった。

冷静でいられない。だって、もう寿の事が好きだから。皆が良いって言う前に、自分はわかっていた。

一生懸命に頑張れる姿、ひたむきで、優しくて、好きになってしまって、

どうしよう。こんな別れ方をしようと思ったわけじゃないのに、本当は笑って頑張れって言ってさよならするはずだったのに

自分の感情はコントロール出来なかった。

どうして、自分はいつも素直になれないんだろう。こんな可愛くない女の子にどうしてなっちゃったの?

涙をぬぐって俯いて寮に帰ると、楓が部屋にいた。

雑誌を読みながら、ベッドに横になっていた。


「おかえりー。あれ早くない?」


「…うん、ちょっとね」


小春の様子をみて、楓は立ち上がって頭を撫でた。


「えらいじゃん。頑張ってきたんだ?」


そんな優しい言葉をかけられて、思い切り涙があふれた。


「…一緒にいるのが滑稽だったんだもん!

好きだって思っちゃったんだもん。でも、普通に考えてさ、応援するっていっただけで

あたしはそれだけの存在じゃん?なんかバカみたい。逃げちゃってもうおしまいだよ」


「とりあえず泣いとけ、私もいなくなるからさ」


楓はそういうと、部屋ガラ出て行った。これが楓の優しさなのだろう。

楓の優しい行動に、小春はもっと泣いた。

もっと素直になれたらよかった。最後まで頑張ってしまった自分はほんとにばかみたい。

小春は部屋の中で落ち着くまで泣いていた。



それから、寿からの連絡を拒否しなるべく外出しないようにした。

大会を控えていたのもあるが、いまはあってはいけない気がしていた。

なるべくなるべく彼がいないか確認しながら時間帯をずらしたり、帰りも友達と一緒に歩いた。

姿をみなくなれば、自然と自分の気持ちも落ち着くということがわかった。

1ヶ月前に戻っただけだ。この状態だった。

みんなと楽しく学校で過ごして、部活に行って、平和な女子高生活だ。

大会前で小春は瑠奈と残って練習をしていた。

瑠奈の練習しすぎを止めるのが、小春の役目で最低でも20時には上がるようにしていた。

その日は大会の直前日で、早めに上がっていた。


「明日、大会だから今日は残っちゃ駄目だからね。それで最後にしなよ」


「わかってるよー。もうやめるよ」


瑠奈は、しょぼんとなりながらも、片づけをはじめていた。

片づけをして部員たちと帰っていった。


夜、瑠奈と梓と夕食を食べていると、梓が話しをふる。


「そういえば、真祐くんが隣の学校にいるらしいよ」


自分に弓道を教えてくれた真祐は、転校して以来会っていない。

うっすらと覚えている笑顔は、どこか寿に似ていて、あまり思いだしたくなかった。


「見てみたくない?」


「いたとしたらあそこの弓道部は強いんじゃないの?」


聖和にも弓道部はあるが、強い印象はなかった。


「転校してきたばっかりなんだってさ」


梓はそういうと、ご飯を一口運ぶ。

小春はそれよりも明日の自分の試合が一番だった。

団体戦と個人戦両方でる。


「真祐くんて人だけが強いんじゃない?個人戦とかでみたことないけど」


瑠奈がそういった。


「まぁいいよ。結果あうかもなんでしょ?それより明日は頑張ろう」


小春は冷静にそう言った。


「変なの、小春が一番会いたがってたじゃない」


梓は不思議がっていた。



次の日の大会は近くの弓道場で行われる。

みんなでいき会場で着替える。場所の確認をして、個人戦と団体戦のトーナメントのチェックをしていた。

まだ試合開始まで時間があり、梓とドリンクを買いに行った。


「団体戦とか緊張するわ」


「大丈夫でしょ。梓の協調性なら」


小春と梓は、そういいながら自動販売機を離れた。

男子の試合がすでに始まっているからだろう。

人だかりが見えたが、2人は気にせずに通り抜けた。

女子もいたし、弓道部ではない見学の子もいた。

弓道は静けさがあるため、的に中る綺麗な音が聞こえる。

なかでも、とりわけ綺麗な音が聞こえた。

小春は少し気になったが人込みで見えず、そのまま梓と別れて練習場の裏に一人で行き集中していた。

イメージトレーニングのために、一人で射法八節を弓を持たずにやる。

この形を教えてくれた男の子を思い出す。あの頃は始めたばかりで必死だった。

寿もあの子と同じように優しさがあり直向きさがあった。

それを思い出しそうになり、かきけした。

真祐がいるという梓の話に本当はちょっとだけ興味があった。

小春は目を瞑ってから深呼吸をした。

何回か練習し終わると、団体戦のメンバーと合流した。



団体戦の予選が終わり小春はお昼を食べると一人で外に出ていた。

誰もいない所で 射法八節を始める


「まだ癖が残ってるね」


この声に驚いて、小春はぱっと腕を下ろした。

振り返ると、寿がいた。


「なんでいるの?!」


「探してたんだよ。槇さんのこと、無理矢理だと絶対会ってくれないと思ったからさ

 こうやって、公式の場で再会しようと思って、我慢してたんだよ。

 着信は拒否されてかなりショックだったけど」


小春は部が悪そうにしていた。

いつか会わなければならなかったのだし、でもいま試合をしているさなか

一番会いたくなかった人物だった。


「でも癖って、寿くんがなんであたしの癖を知ってるのよ?」


「教えてあげたのは俺だからさ」


「は?」


小春は混乱した。ということは、寿が真祐くんと言うことになる。

いや、苗字は寿ではなかった気がした。


「え?真祐くんて、豊橋でしょ」


「それは、俺の母親の苗字、再婚して、寿になったんだよ」


片親というのは知らなかった。しかし、まだ頭が混乱している。

真祐は、優しかったけれど、たくましさもあって、でも寿はあったときの

あのダメダメな印象はなんだったのか。


「え?じゃぁ何であんな風に…?」


小春は動揺と混乱で上手く言葉に表せていなかった。道着を着ている寿は、クスっと笑っていた。


「あんな風って、俺は最初からあんな感じだったんだけど…

小春ちゃんが変えてくれたんでしょ?こうやって、コンタクトはまだ怖いけど

眼鏡のときより的を見るのが楽になったのは事実だよ。

それより、小春ちゃん変わってなかったね。興味も持ってくれなさそうで

しかも、男子に興味ないって感じで、でも、やっぱり気になる人には直接どうしたらいいか聞いたほうがいいかなって

で、種明かしもするはずだったんだけど、小春ちゃんが離れちゃうから

公式の場で見てもらおうと思って」


「え?まって追いついてない。いつから私の事知ってたの?」


小春は驚きを隠せずにいた。驚くことが多すぎてわからない。

とりあえずわかるのは目の前にいるのは真祐ということだ。


「転校してすぐ気づいたよ。初恋の女の子の顔忘れるはずないでしょ。」


「意味わかんないんだけど」


「確かに、小学校までは眼鏡はかけてなかった。でも髪型は変えてない。

小春ちゃんに話しかけようとしたけど、いきなり好きっていうよりも

ワンクッションあったほうがいいかなと思って、俺なりに考えた結果が

二転三転してこじれちゃった形で今にいたるんだよ。

小春ちゃんが不器用で頑固なの忘れてたよ」


小春は涙を流しそうになっていた。まだよくわからないけれど、混乱してよくわからないけど

寿が真佑で、真佑が寿で?


「…でも、あの時初めから言ってくれてよかったじゃない!」


「いきなり俺が現れて、小学校の時に道場で一緒だった

豊橋真祐ですって言って、君は信じてくれなかったでしょ?

実際そうするつもりだったのに、君は俺の事わかってなかったじゃん

俺はすぐわかったよ。思っているよりもずっと綺麗になっててびっくりしたけど。

だから、強硬手段ていうか、苦肉の策をとったんだよ」



小春は涙をためていた。真佑は小春を抱き寄せた。


「ごめん。気になってたのは、告白したかったのは君だよ」


小春は、真佑の胸を小突いていた。


「何言ってんのよ」


小春は涙が止まり、笑顔をみせた。

すると、真由は小春に顔を近づけてキスをした。

一瞬で離れると、小春は真っ赤になった。


「何してんの?!」


「え、だって可愛いなって思ったから…。初恋、かなえてくれますか?」


「…あたしこそ…」


小春はそういうと、軽く会釈をした。

真祐の笑顔は、いつも自分に向けてくれた爽やかで優しい笑顔だった。


「もー、この涙どうしてくれるのよ」


「ごめんごめん。てか、試合大丈夫?」


小春は時間を見て慌てていた。もう時間が来ている。

急いでみんなのもとに戻っていった。また後ろを向くと、真佑がばいばいと手を振っていた。

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