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Chronus Φ Rave(仮)~クロノス・レ―ヴ~  作者: ニノユメ
第1部 
2/3

プロローグ 謎の早朝にて

※ 矢野 大輝 ※


大輝は重いまぶたを開いた。


……ここはどこだろう。


机に立ててあるライトの光で微かに部屋の様子が見える。部屋は狭く正方形に広がっている。なにやら意味不明な器具が部屋の片隅に並べられていて、机の上には色々書き記されているノートとペンがある。昨夜に何か書いたのだろうが記憶にない。そっとノートを閉じる。ついさっき起きたばかりで細かく綴られた文字は読む気にもならなかった。

ひとまず椅子から立ち上がる。ライトの明かりで机の右手におそらくドアと見られるものがある。いや、よく見るとドアノブが取り付けられているので間違いないだろう。ライトを消すと部屋が真っ暗になるのでそのままにしてドアを開く、と螺旋状に階段が上に伸びている。


大輝は不思議でならなかった。さっきの部屋といい、ここはどこだろう。こんな場所など来たこともない。

歩くたびにギシギシと音がなる階段を登ると再びドアが見えた。そのドアを開くと眩しくて目を細める。そこは、洗面台や食器棚、調理台などいかにも料理をするような場所に出た。ここなら覚えている。大輝が営んでいる喫茶店 カモマイルの厨房だ。

そのまま細長く続く厨房を歩く。細長くといっても大柄な体型の大輝の大股で3、4歩あれば出口に行けるほどの狭さ。地下にあった部屋とさして変わらない広さだが、大輝自身が知っている場所となると安心感がある。

すると、


ガタン


先程のドアが勢いよく閉まった。

大輝はライトを消したまま上がっているので再びドアを開こうとした。ところが、開かない。

何度もドアノブを上下にカタカタ動かして押したり引いたりしているが、一向に開かない。なぜ開かないのか。その理由はすぐにわかった。ドアの右壁に数字を入力する装置が取り付けられていた。

おそらく暗証番号が必要なのだろうが、大輝はそんなものは知らない。そもそも自分が経営している店に突如謎の部屋ができたこと自体が不思議なのだから、ドアを開く暗証番号など知るはずがない。


諦めて厨房から出ようとした時、ふと視界に調理台の上に置かれている四角い箱に目がいった。


「これはなんだ?」


もしかしたら、爆弾か。謎の部屋に暗証番号。しまいには謎の箱。もしかしたら何かやばいテロリストに捕まってしまったのか?普通ありえない考えだが、奇妙な事の連続でそう考えたくもなるものだ、そんな不安が脳裏をよぎって箱を台に置こうとしたが、手が滑って床に落とした。


「……いっ!!」


思わず声が出た。

床に落ちた勢いで箱から半分に折りたたんである紙切れと薬のようなカプセルが4つ出てくる。


一応爆弾ではないようだ。大輝は落ちたカプセルを箱に戻した後、紙切れを手に取り読み始めた。


ーーーーーーーーーー


記憶を忘れし 矢野 大輝へ。

訳もわからずこの紙を取っているという事は何もかも忘れているという事だね。この紙切れには一緒に付属していたカプセルについて説明する。

このカプセルは過去に行けるタイムリープをすることが出来るクォンタム・カプセルβ(べータ)だ。

タイムリープをする方法は、下記の通り

1、戻りたい過去の記憶を鮮明に思い出す。

2、記憶を維持したままカプセルを飲むと、瞬時に眠りにつく。

3、睡眠前に思い出していた記憶の明晰夢を見る。

4、時間が経てばだんだん過去にいた自分の身体を明晰夢で見ていた自分が憑依して乗取ることができる。

5、気がつけば夢の世界では無く現実の世界……つまり記憶を巡らせていた過去の世界に戻っている。・



そのほか詳しい点は、ノートに示してある。


矢野 大輝より


ーーーーーーーーーー


全て読み終えると頭を抱え込む。

過去に戻る? タイムリープ? 明晰夢?

文末に 錦野 大輝と書かれているということは自分が自分に向けて書いた手紙。

何度考えても理解し難い事だ。

もう一度文章を読むと、


『そのほか詳しい点は、ノートに示してある。』


という言葉が引っかかった。

ノート。1つ心当たりがあるとすれば、地下の部屋にあったノートだ。しかし、鍵がかった為に部屋に戻る事はできなくなってしまった。

結局分からずじまいで、大輝の頭にはクエスチョンマークが残ったままに終わる。

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