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呪われし者

 ーー翌日ーー

 ギルド内にて


「さぁ、決闘の賭けの内容は覚えてるだろ?」


 ギルドマスターに手足を縛られたパブがそこには居た。何度か脱走を試みたのだろうか。初め見た時よりも幾つか傷が増えていた。おそらくギルドマスターがなにかしたのだろう。恐ろしくて何も聞けないけどね。


「ゆ、許してくれぇ!い、命だけはどうかぁ!」


「オイオイ、自分が有利だと思って調子に乗って受けた賭けをお前は無かったことにするのか?」


「そ、それは…」


 何も言う事が出来なくなったのだろう。そのままパブは涙を流した。


「まぁ、俺も鬼じゃないよ。命はとらないさ。」


 そう聞くとパブはほっとしたような顔をした。


「まぁだけどお前の身ぐるみ剥がさせてもらうけどな。短剣だけは置いといてやるよ。こっちだって命を賭けたんだ。その位はしてもらうぞ。」


「あ、ありがとぉ!ありがとぉ!」


「お前のその短剣は大事なものなんだろ?服や革鎧はボロボロなのにも関わらず短剣だけは丁寧に手入れがされていた。何か思い入れのある物なのか?」


「こ、これは俺の死んだ親父がくれた短剣なんだ。死んだ親氏の為に頑張ろうとして必死だったんだよ…」


「だがお前はEランクなんだろ?もっといい依頼があるはずだ。何故この依頼にこだわった?」


「妹が病気でよぉ。少しでも金がいるんだよ。それで手っ取り早く金が入る依頼が欲しかったんだ。」


 なんだ。こいつ実は良い奴じゃないか。


「そういう事か。ならその依頼はくれてやる。それと決闘の報酬も無しだ。俺はこんな良い奴から何か取ることはできないよ。」


「い、いいのか!?俺が嘘ついてるとは思わねぇのかよ!?」


「まぁ嘘ついてたら甘い自分が悪いだけだ。それと妹が病気なんだって?」


「あ、あぁ。何が原因か分からねぇが、なんかの病気でよ。医者に見せてやりてぇが金が無くてな。」


 待てよ、もしや……


「その病気、俺なら治せるかもしれない。」


「嘘だろ!?アンタそんなことも出来るのか!?」


「あぁ、だがもし、もしだぞ。失敗した場合はお前の妹が消し飛ぶ可能性があるんだ。」


「け、消し飛ぶ!?」


「だから決めるのはお前だ。どうするかはお前が決めてくれ。勿論、金はとらない。」


「…頼む!やってくれ!俺は妹がこれ以上苦しむのを見たくねぇ!」


「わかった。お前の妹の所に案内しろ。」


 こうして俺はパブの家に向かった。


 パブの家はその状態からお世辞にも裕福だとは言えない様な家だった。


 俺達はパブの家の2階に行った。


「これいつが俺の妹。エリっていうんだ。本当はもっと可愛いやつなんだけどよぉ。病気のせいで飯も喉に通らずこんなに痩せてしまったんだよ。」


 そうか、それでこんなに痩せているのか。


 とりあえず鑑定だな。


 …………………………

 エリ Lv8 状態異常:病呪


 HP 180→65

 MP 120

 物攻 60

 敏捷 45

 魔攻 60

 魔防 45


 スキル

 家事


 称号

 呪われし者


 …………………………


 HPが減っている。思ってる以上にやばいかもしれないな。


「今から言うことを落ち着いて聞けよ。お前の妹、呪われてるぞ。」


「え、な、何故だ!?」


「それは俺にもわからん。ただ強制的に病気にする呪いだそうだ。何か心当たりは無いか?」


「1週間ほど前に自分のことを魔女だという女が現れたらしく、妹がリンゴを貰ったんだと。そのリンゴを食べてからこの状態だ。」


「魔女はなにか言ってたか?」


「これは全て運命の導きだとかなんとか言ってた気がする。」


 オイオイ、余計に訳が分からない。リンゴを与える相手は誰でも良かったのか?魔女か…調べてみる必要があるな。


「そ、それで妹は治るのか!?」


「安心しろ。必ず治してやる。これからやることは非常に集中力のいることをする。だからお前は部屋から出てくれないか?」


「わかった。それで妹が救われるなら。」


「ああ、任せろ。」


 パブが部屋から出る。よし、ここからは根気との勝負だな。


 静電気を意識しろ、よし、そうだ。薄く、小さく。消滅させる範囲を小さくするんだ。


 バチッ ビリッ


 レイヤは大量の汗をかきながら細かな作業をしていた。


 よし、やるぞ。


 エリの体の中に黒雷を忍ばせて体に蔓延る呪いを消し飛ばしていく。


 気を抜くな。最後まで気を抜くな。俺が使っているこの力(黒雷)はあらゆるものを消滅させる力なんだぞ。


「はぁ、はぁ。」


 15分後


「出来た!」


 勢いよくドアが開かれパブが入ってきた。


「エリッ!エリッ!大丈夫か!」


 エリがゆっくり目を覚ます。


「お、にい、ちゃん?」


「ああ、俺だ。お兄ちゃんだぞ!」


「良かった。私…治ったみたい。ありがとうそこのお兄さん。」


 そう言ってエリ俺に微笑みかけた。


「レイヤァ、ありがどぉ!ありがどぉ!」


 パブが涙と鼻水でぐちゃぐちゃになった顔で俺にお礼を言う。


「とりあえずお前は顔を拭けよ」


「ありがどぉなぁ!これからはレイヤの兄貴と呼ばせてくれっ!」


「呼び方は自由にして構わないよ。ただまぁこれからクエストなど一緒にする機会があればよろしくな。」


「よろしくお願いしますっ!レイヤの兄貴!」


 こうして俺達は固い握手を交わした。

そろそろ更新速度落ちます。すいません。

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