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どうでもいい推理2

「ずっと不思議だったんだ。つい先日までずっと小川のオッカケだっただろ。急に何で俺の側に来たのかって」


 俺の言葉に木場はなんだそれ。と呆れた顔をする。


「な、何言ってるんですか。わ、私が、寝取り属性?」


「小川のオッカケに疲れたのはいつからだ? おそらくだが、牧場が殺された後からじゃないか?」


「それは……」


 本人も自覚してなかったようで顎に手を当て考え始める。

 そして彼女も確かにと納得していた。


「確かに、才人様と川端さんがくっついてからは意地とノリでした。あまり才人様に魅力を感じなくなったのは確かです」


「じゃあ、今はどうだ? 誰が魅力的?」


「そ、それは……」


 かぁっと赤面して動揺する十勝。その視線はちらちらと俺を見ている気がする。


「ちょっと、自意識過剰じゃない?」


「そうも思ったけどな、そもそも、俺に関しても、だ。光葉と両想いになってなければ十勝が俺に擦り寄って来ようとすら思わなかったんじゃないか? 小川に関しても、今の状態は恋愛ではなく川端への依存だ。だから小川への恋心は下火になった。なぜならば他の女性を好きになってない男だからだ。自分の方を振り向かせようにも寝取るべき女性への愛情が無ければ燃えない。そういう性癖なんじゃないか」


 いくらなんでもデリカシーの無い指摘かもしれない。

 だが、彼女が迫ってくる理由を光葉に聞かせることで彼女と俺がくっついているのは俺のせいじゃないと主張出来る訳で、ここは言うしかないんだ。


「確かに、言われてみれば十勝さんの行動は小川君が恋人だった牧場さんと死に別れることで急激に冷め、忌引さんと沢木君がくっついてることで沢木君に擦り寄ってきたと言えなくは無いけど……」

「もしも普通の感性であればレイプ犯相手に寄ってくることはないはずだ。及川や賀田を見たらわかるだろ。あの後から俺に極力近づかないようにしてる」

「それはそうね。でも、その辺りは人それぞれだから。で、十勝さんとしてはどうなの?」

「それが……そんなこと言われても自覚できてなかったというか、言われてみればそうなのかも、と思わなくないけど……」

「詐欺師」

「ああ、確かにそうね。沢木君詐欺師だから言いくるめられてる可能性はあるわね」

「はっ!? ちょ、ちょっと沢木さん、私を寝取り好きのアブノーマルな人にしようとしましたか今!?」

「濡れ衣だ!?」


 流石に推理に無理があったか? でも、そうだと思ったんだが。


「そんなどうでもいい推理してないで、ほら、こういうのを探してくれない?」


 木場が話を潰すように本を投げて来た。

 結構な重量物だったので取り落としそうになる。


「なんだこれ?」


「卒業文集ね。こっちは学校新聞纏め」


「よし、頑張って探しましょう」


 ああ、これはもう推理するような状態じゃ無いな。

 本を探した俺たちは、その場に適当に座り本を開く。

 左に光葉が来て右に十勝、そして対面に木場。


 30分程経った頃だろうか? ふと気付けば右肩に触れる十勝の肩。

 気付いた十勝を視線が合う。

 ちょっと、そこで顔を赤くするのは止めてくれ。本当に寝取り属性じゃないだろうな。


「ぎるてぃ……」


 むっとした顔で幅寄せして来る光葉。

 なんだこれ?

 おかしいな。少し前は俺全員から爪弾きにされて監禁されかけてたんだぞ。なんだこのハーレム展開……


 痛っ?

 こつんっと頭に何かが当った。

 顔を上げると木場の頭があった。

 おかしいな。こいつは少し離れた場所で本読んでたはず……


「痛いわね……」


「そりゃこっちの台詞だ。木場。お前、なんでこんなに近寄ってんだ?」


「なんのことかしら? 初めから私はここに……」


「「ぎるてぃ」」


 ……ん? なんでそこでぎるてぃ。しかも十勝も同時に?


「今、私確信しました」


「私も」


「え? 何を? 俺は別に何も……」


「木場さん。あなたも沢木さん狙いですね」


 俺の言葉を無視し、十勝が告げる。

 コクリ、頷き敵意を露わにする光葉。

 ……はい? え? どういうこと?


「そもそも変だなとは思ったんですよね」


「変って、何が、かしら?」


 あれ? なんだこれ?

 なんか十勝が木場を追い詰め始めたぞ。


「沢木さんがレイプ犯だと告げるのは、本人と忌引さんだけに告げればいい筈だったのでは? なのに皆の前で発表しましたよね」


「ええ。その方が皆理解出来るでしょ。彼がレイプ犯だって」


「そうです。なのに貴女はわざわざ自分が監視すると言いましたよね。何でもない風を装ってますが、貴女の行動も、少し変ですよね」


「……何が、かしら」


 気のせいか、空気が変わった気がするぞ。

 木場、何か身構えるようなこと言われたか?


「私が何も言わなければ、修君監禁されてた」


「そうですね。その場合彼の食事を運ぶ係は貴女ですよね。他の誰かをレイプしないよう、隔離して、様子を見に行くとかいいながら、自分だけが会えるようにするつもりだったんじゃないですか?」


「そんな仮定の話をされても困るわね」


 冷静そうに見えるが気のせいか? 眉毛がピク付いてるぞ木場。

 ……ん? つまり、どういうこと?

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