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第三回学級裁判8

 落ち付け、まずは思考を回転させよう。

 貝塚と篠崎が赤のゲーム。

 御堂と原が青のゲーム。

 足立と山田が緑のゲーム。


 そして御堂は緑のゲームで殺され、足立は青のゲームで殺された。

 双方ゲーム機は衝撃で液晶が壊れていてゲームが出来ない状態だ。


「あれ? 御堂君と足立君のゲーム逆じゃない?」

「うむ。そうみたいだな。どうなってる?」

「賀田さんも井筒さんも気付いたのか。ふっふっふ。ならば聞いてくれ俺の推理を! 御堂と足立が互いの頭を叩きあったんだ。だから二人とも死んでしまい互いの凶器が入れ替わって近くに残ったのさ!」

「馬鹿か榊。それだと二人揃って同じ場所で死んで無いとおかしいだろ。御堂は視聴覚室、足立は家庭科室で死んでたんだぞ」

「だったら、どっちかがどっちかを殺したと仮定してみたらどうかな?」

「小川君、その場合もいろいろ穴があると思うわ。私は別の殺人者が同時に殺した説を提唱してみようかしら」

「ゴリ川、それってつまり二人の殺人者が居るってことか?」

「たとえば、さっきから最上さんが殺人者だと必死に告げてる原さんとか、なぜか視聴覚室に向かった第一発見者とか、ね」


 誰とは言わないが。と原と山田に視線を送る及川。

 ふむ。犯人はともかく……今の会話聞いてたらなんかこう、ピンと来たと言うか……


「あー、話の腰折って悪いんだけど……」

「ん? どうした沢木?」

「ああ、すまないけどもう一度さっきの会話やってくれない?」

「は?」

「今、こう、喉元まで来てるんだけど、なんていうか……」

「さっきの会話で何か気付いたのね? では司会者命令として井筒さんから会話をゆっくりリピートしてくれる?」

「いや、司会者命令って木場さん……」

「まぁ、いいんだけど、えーっとなんて言ったっけ?」

「確か、あれ? 御堂君と足立君のゲーム逆じゃない? じゃなかったかしら」

「おお、さすが清りん。覚えがいいねー」

「それで、次が天使で……」

「うむ。そうみたいだな。どうなってる? だったと思う」

「じゃあ次は俺だよね。えーっと賀田さんも井筒さんも気付いた? ならば聞いてくれ俺の推理。だったかな? 御堂と足立が互いの頭を叩きあったんだ。だから二人とも死んでしまい互いの凶器が入れ替わっ」

「それだっ!」


 思わず叫んでしまった。

 榊の言葉をぶった切って悪いんだが、それなんだ。


「な、なんだよ。俺の言葉がなんかおかしかったか?」

「そもそもが全体的におかしいだろ。矛盾だらけだし、なんで二人が互いに殺し合ってるんだよ」

「い、いいだろ、推理するのは自由じゃんか坂東」

「それで? 沢木は何を気付いたの?」

「どうせ大したことじゃないですよ木場さん」

「はいはい、それは聞いてから判断するから所沢君は黙ってて」

「くっ……」

「で? 何を気付いたの?」


 所沢がウザったかったのか木場が黙らせてくれたので、俺は3班に視線を向ける。


「貝塚、皆のゲーム機を見せてほしい。もしも貝塚の宣言通りなら貝塚と篠崎が赤のカセット、山田がグリーン、原がブルーになってる筈だ」


「そりゃそうだけど、それが何だと言うんだ?」


 俺の言葉に半信半疑ながら自分のゲーム機を皆に見せる貝塚。

 彼のゲーム機は赤。宣言通りである。

 しかし、原と山田はゲーム機を出そうとはしない。


「篠崎は皆に見せるようにゲームしてるから覗き込めばすぐ見えるな、えーっと……え?」


 坂東がゲーム機の裏を下から覗き込んだ瞬間固まる。

 本来であれば篠崎のゲーム機は赤。赤である筈なのだ。


「……緑?」


 しかし、篠崎が行っていたゲーム機のカセットは緑だった。


「ちょっと待て、これはどうなってっ!?」

「まだだ坂東。まだ山田と原がゲーム機を出してない」

「な、何よ、私はブルーよ? 問題は無いわ」

「だったら出せんだろ」

「ちょ、止めてよパンク頭ッ、あっ」

「ったくこんなんで抵抗すんじゃね……うわっ!?」


 嫌がる原からゲーム機を取りあげ裏を見た足立アニキ。なぜか慌てて投げ捨てる。


「きゃぁ!? 何してくれてんのよっ!?」

「す、すまん。っつかなんで、なんで血が付いてんだよ!?」

「そ、それは……」

「あ、止めろ。止めてくださいっ」

「黙って出せ。ふんっ」


 原のゲーム機は青。貝塚の言う通りカセット自体は青だったが、そのカセットには血がべったりと付いていた。

 そして大門寺が取りあげた山田のゲーム機。本来であれば緑のカセットである筈の山田。そのカセットの色は……赤だった。


「えーっと、これは、一体どうなってるの?」


 思わず唖然とした表情で告げる木場。あまりにも珍しい顔だったので思わずスマホで写真に収める。


「ちょっと沢木!?」

「あ、ごめん。あまりにも珍しい顔だったもんでつい」

「止めて、なんか恥ずかしいからっ」

「ぎるてぃ?」

「いやいや、光葉さん、コレ見てよ」

「ぷふっ」

「きゃーっ!? ちょっとバカッ、消しなさいよっ」

「喧しいッ、さっさと教えろ沢木。お前はこれに気付いたから見せろと言ったんだろッ」


 焦れた大門寺に一喝され、俺のスマホを奪おうとした木場が立ち止まる。

 むぅっと俺を睨むがコレについては後で話せると思ったようで俺に話を続けるよう促して来た。

 さて、とりあえずこれでピースは揃ったかな?

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