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第三回学級裁判5

「んじゃ、五班行こうぜ」

「五班はなんか関係ってあんの?」

「無いわね。そもそも私は夜は日上さんや十勝さんと一緒に居たでしょう」

「木場さんはまず事件に巻き込まれる心配はなさそうだなぁ」

「いやいや、木場氏は事件に顔を突っ込み過ぎて口封じされる探偵役の可能性が残っているからな坂東氏」

「そんな役は要らないわ。司会と探偵役だけで充分よ。さて、次は、壱岐君と所沢君はどう?」


 貝塚の言葉に溜息吐いて、木場が壱岐に視線を向ける。


「僕は……いたよ、ずっと。体育館に」


 ゲーム画面に視線の落として告げる。


「僕もだ。ずっと体育館に居たよ。朝からは壱岐と食堂に行ったけど」


 所沢も無関係を主張。二人揃っていたのなら一応アリバイはあるのか。


「日上さんは? 一応聞いておくわ」


「私は木場さん達と一緒でしたわ。夜も朝も宿直室にずっと居たましたわよ」


 でしょうね。と簡潔に告げて、木場が俺と光葉を見る。


「さて、関係あるかどうかはともかく、宿直室から昨夜出て行って何処に居たのか、教えて貰いましょうか、沢木君、忌引さん」


 え? なんか俺らが容疑者みたいな扱いになってるの気のせいか?


「あー、そうだな。木場だけじゃ無く十勝たちに宿直室を乗っ取られて……」

「ちょ、沢木さん、私達が乗っ取ったなんて人聞きの悪いこと言わないでっ。才人様、違いますからね! 私達そんな侵略なんてしてませんっ」

「え? あ、ああ……?」

「ちょっと眞果、才人に訳の分からない主張しないで」

「美海、あんた才人さんの彼女になれたからって調子乗り過ぎじゃない?」

「何ですって?」

「とりあえずそっちは勝手にやっていなさい。沢木君、続きを」


 川端と十勝、中田の三人が激突を始めたので木場がため息吐いて続きを促す。


「まぁ、それで追い出された俺と光葉は、とりあえず音楽室にでもと向かったんだ。音楽準備室で山田が一人小刻みに揺れてたから音楽室は諦めて、下の階にある図書室で寝ることにしたんだ。光葉と二人だけだったし、あそこもカギ掛ければ安全だしな」


「図書室……そう言えばそこがあったわね」


 なぜそこでしまったそこだったか。みたいな顔をするんだ木場。

 なんか俺達が路頭に迷ってくれた方が良かったみたいな様子だな。


「で、朝目が覚めた後は水場で口濯いでたんだ。歯磨きの代わりに手で歯を磨こうとしてたんだが、隣で大門寺と最上がハブラシ使っててさ、購買にあるって言うから光葉と取りに向かったんだ」


 そこで俺達と合流したんだな。と納得する坂東。

 及川も理解出来たようでウッホウッホと頷いて……げふん。まぁ、普通に頷いていた。


「その後はトイレに入る井筒を見かけて及川たちと協力して井筒を確保。取り逃がした三綴はそのまま行方不明だ」

「確か、その後賀田さんが会ったのよね」

「ああ。脅されたが運良く放送があったからな。下手な事をして怪しまれるよりも向った後で襲った方がいいと考えたのだろう。奴は私より先にこっちへ向うと言って去って行った」

「で、その直後くらいに賀田さんと俺がばったり出会ったってことか。もう少しだけ早くシャワー室からでてれば……」

「あー、とにかく、井筒を保護した後は、坂東がシャワーに向かい、及川が三綴を見付けるために外へと向かい、残った俺と光葉、井筒は食堂に向かうことにした。が、そこで原の悲鳴が上がった」

「なぜ原さんだと?」

「その時点じゃ分からなかったが、家庭科室に行った際に彼女がいたからな」


 木場の質問に普通に答える。

 誘導尋問のつもりか?


「で、家庭科室で何があったの?」


「ああ、それは……」


 言葉を濁して大門寺を見る。

 大丈夫そうだ。告げてしまおう。


「背中向けて立っている最上が居た。手にバールみたいな道具を持って」


 ざわつく。

 そりゃあそうか、言ってみれば犯人と思しき最上だ。最有力の容疑者だろう。

 殺人未遂ではあるけれど。


「それって、やっぱ、最上が俺じゃない足立殺したってことなんじゃ……」

「ほぅ、言ったな足立」

「いやいやいやっ、ただ見たままの事実だとそうなるなっていうだけですよっ、沢木、どうなんだっ! 無実だよな!?」

「わ、私は見たわッ。最上さんの手に持ってたバールっぽい奴、血が付いてて床に滴落ちてたものっ!」

「死因は確か後頭部への打撃だったわよね」


 大門寺に睨まれた足立が慌てて俺に間違いだよなっと告げて来る。

 しかし原が見たままの事実を叫び、木場が悪ノリするように事実を告げる。

 人差し指を顎に当て、少し考え事をしながらも、クスリと俺に挑発的な笑みを向けて来た。

 さて、どうするの? と言われたような気がした。


「いや、最上の話を聞いた限り、足立が殺されたのは最上のせいじゃないらしい。彼女が来た時には既に頭蓋陥没で死亡直前。足立が死にたくないと告げたことでトドメを差すのを躊躇ったらしい。その間に足立が死んだと聞いてる」


「ってことは、最上は犯人じゃないってことか?」


「証拠はっ、証拠はあるのッ!? 私見たのよッ、最上さんが笑顔で私を見たのを。狂ってたわあの眼ッ!!」


 原は何でそんな必死に最上を犯人にしたいんだ? いや、衝撃的なのを見たのは分かるけどさ。

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