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第三回学級裁判3

 四班男子の動向としては、怪しげな動きを見せているのは三綴だろう。

 坂東についてはシャワー浴びに行ったところが少し気にはなるが、その短時間で二人を殺害出来るかという話しだし、彼らを殺す理由も見当たらない。

 気にはなるけど今回の話とは別のモノだろう。


「えっと、じゃあ次は私から」


 と、一端言葉を切って井筒がすぅっと息を吸い込む。


「えっとね。昨日は三人で道場で寝てたよ。朝起きてからは天ちゃんが素振りを始めたから、私と清りんで食事を作るために食堂に向かうことになって、清りんが顔洗った時にそろそろ歯磨きしたいわね。って言って購買にハブラシ取りに行ったの」

「どんな思い立ちだよ」

「あら、あなただって似たように思い立って購買に来たんでしょ」

「煩いな。ゴリ川と同じ思考回路な自分が許せないだけだっつの」

「お似合いか?」

「ぶっ殺すぞ榊」

「はいはい、実際人死んでんだから物騒なことは言わない」

「わ、悪い」

「でも、私ら普段からぶっ殺すとか言ってるから本気じゃなくてもついつい声に出ちゃうのよねー。本気で言ってる奴との見分けとかつかないかしらね」


 どうでもいい事に反応した篠崎がゲーム画面見ながら告げる。

 木場が溜息吐いて話を脱線させるな、とばかりに井筒に視線を向け直す。


「井筒さん、続きを」

「う、うん。えっとね。清りんが居なくなったら三綴君が来てね、ちょっと話があるからついて来てくれって、スマホを見せて来て、その……天ちゃん、言っちゃった方がいいのかな?」

「玲菜の話だろう、玲菜が話したいと思うのならば止めん」

「う、うん。えっとね。私、その、エッチといいますか、一日一回はしないと気が済まないというか」

「一回!? 一回ってなんっごぶっ!?」

「黙って聞いてろ。話が進まん」

「すいませんでした大門寺サン!」


 茶化そうとした榊だったが大門寺に軽く蹴られてくの字に折れ曲がる。

 腹お押さえてうずくまりながらも、恐怖の対象である大門寺に慌てて謝った。

 隣で同じように茶化そうとしていた坂東が慌てて口を手で塞ぐ。


「だ、だからね、えっと、昨日は天ちゃんに、その、処理して貰ったというか……」


 賀田さんと井筒さんの絡み……ゴクリ。と坂東と榊が喉を鳴らす。


「その行為が、三綴君のスマホに映ってたというか……」

「あ、あの野郎、それで夜中変な笑い洩らしてやがったのか!?」

「くっそ羨ましい、俺にも見せ、いえ、ナンデモアリマセン大門寺サン」

「そ、それで、三綴君に脅されそうになって……」

「はぁ!? あの野郎井筒さんを脅しやがったのか!?」


 大門寺に睨まれ慌てて立ち上がり姿勢を正す榊。

 続く井筒の話に驚いた顔になる。

 坂東が声を出さなかったことに気付いて不思議そうに彼を見た。


「おい坂東、お前井筒さんがレイプされたかもしれないのに何で落ち着いてんだよ!?」

「いや、さっきのアレ、に繋がる話でさ、俺も現場に居たんだ。止める側でさ」

「う、うん。丁度男子トイレに連れ込まれて、それで、その、脅されたんだけど、清りんと沢木君が助けに来てくれて。そこに、忌引さんと坂東君がいたの」

「くっそうらやまっ」

「はいはい、榊君はこれ以上ちゃちゃ入れるようなら物理的に口閉じさせるわよ」

「ひぃっ!?」

「それで、井筒さん、死体が見つかるまでは?」

「う、うん。その、三綴君が逃げたんだけど、天ちゃんを脅しに行くかもしれないってことで、清りんが外、私と沢木君と忌引さんが食堂を見に行こうってことになったの。そしたら悲鳴が聞こえて、急いで食堂見てから悲鳴の場所に向かったんだよ」

「あれ? 坂東どこ行った?」

「俺は三綴にタックルされてトイレに転がったからな、購買で制服の予備手に入れてシャワー浴びに行った」

「ああ、それでシャワー浴びてたのね」

「お、おう。っていうか、美哉さん、やっぱ男子シャワールーム使うのは止めた方がいいっすよ? 襲われても文句言えませんし」


 納得した様子の美哉。

 そして思わず心配して告げる坂東。

 成る程、シャワールームで俺達みたいに篠崎と鉢合わせしたのか。

 っつか篠崎はまたシャワー浴びてたのかよ。


「なによぉ。私の身体見て猿みたいに盛ってたくせに」


「ちょぉ!? 今言うことじゃないですよね!?」


 どうやら童貞男子に刺激が強過ぎるってのは本当らしい。

 坂東の奴、そのせいでシャワー殆ど浴びなかったんじゃないだろうな?


「お、おのれ坂東うらやま……」


「榊君……」


 木場が冷たく告げると、慌てて口にチャックして姿勢を正す榊。

 どうやら主従関係が出来上がってしまったようだ。


「あれ? そういえば三綴まだ来てないよな?」


 ふと、口を噤んだ榊が今気付いたといった様子で告げる。

 皆気付いてたけど指摘していなかったことを指摘され、面倒臭そうな顔をし始める。


「どうせ呼んでも来ないわよ。玲菜と天使を脅してたのよ。どの面下げてここに来れるの?」

「いや、清音。あいつは私に会った後、先にここに行くみたいなことを告げていた。本来であれば私と坂東の前に来ていてもおかしくない筈だ」

「え? じゃあ来たくなくて来なかったって訳じゃないの三綴君」

「探した方がいいのか?」

「とりあえず彼以外はここに集まってるんだし、終わってからでも良いんじゃないかしら?」

「まぁ、そりゃそうなんだが……」


 足立が頬を掻いて大門寺を見る。

 最上が容疑者の一人になっているせいでさっさと真犯人を見つけろと目が言っていた。


「そうね。三綴君については犯人特定後に全員で探しましょう。流石に一日に三人も死んでたなんてことにはならないでしょ」


 結果、木場が大門寺の思いを汲んでそう告げた。

 いや、彼女に大門寺の思いを汲むなんてことが出来るとも思えないから合理的に判断したとか、また移動するのが面倒だったとかそんな理由だろう。

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