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朝食時間2

 俺は固まった。

 男達は固まった。

 光葉は良く分かっておらず、付きだしたフォークを俺の口へと入れて来る。

 とりあえず突き刺さっていた野菜は食べておく。美味い。


「ぎゃぁぁ!? イチャラブあーんフィールド展開中ぞなもし!?」

「バカな!? あの沢木が忌引とそんな仲だと!?」

「オノレ沢木、朝っぱらから見せつけおってぇぇぇ!!」

「ゆるせん、許せんぞ貴様ァッ!!」

「おーし沢木、ちょっと校舎裏行こうかァ」


 やってきた御堂、坂東、榊、三綴、モヒカンが口々に叫ぶ。

 貝塚とデスゾ、山田、所沢はあまりにも衝撃的だったのか口をパクパクしたまま呆然としていた。

 一人壱岐だけが自分の持っている携帯ゲームに視線を落としてゲーム中である。


「男子、入り口で止まってないでさっさと着席して」

「いや、でも賀田さん……」

「ふふーん。今日は天ちゃんも作るの手伝ってくれたのだよー」

「「「よし、着席しました、早く食事を!」」」


 坂東、榊、三綴が速攻座席に座って食事を待つ。

 理由が分かりやすいだけに今度からこの三人は纏めて三バカトリオとでも心の中で呼んでおこう。


「おー。すでに食事出来てる」


「おはよー」


 少し遅れ、十勝、中田、日上、篠崎、原の女性陣がやってくる。


「わぁ、いい匂い。あ、お、おはようございます」


 さらに大門寺と最上がやってきた。

 最上は食堂から香る匂いに顔をほころばせ、慌てて皆にお辞儀する。

 相変わらず動きが小動物みたいで可愛い。

 ひぃ!? 大門寺さん睨まないで!?


「お、皆集合してるじゃない。オハヨー」


「皆、昨日は迷惑掛けた。おはよう」


 そして昨日引き籠っていた小川とその腕に巻き付き自分の男だ。と主張するように胸を押しつけながらやってきた川端が現れる。

 母性的な彼女だが、本日はニタニタ笑顔が止まらない。勝ち誇った視線に十勝、中田、日上が思わず着いた座席から立ち上がる。


「美海、あんたまさか!?」


「ああ、皆には言って無かったな。俺、美海と付き合うことになったんだ。これからは美海が居てくれる。俺はもう、大丈夫だ」


 爆弾発言が小川から齎され、取り巻き三人が絶望的な顔でへたり込む。

 先越された。とかあの女やりやがった。など恨み辛みを吐きながら四つん這いになる。

 気持ちは分かる。川端も勝利者のイヤラシイ笑み浮かべてるし、絶対策謀が働いて小川が落とされたとみた方がいいだろう。

 親友二人を失い喪失感に暮れる彼を優しく介抱することで新しい彼女に立候補で来たんだろう。上手くやりやがったものだ。


「入り口前で突っ立ってると邪魔よ小川」


「うわっ!? え? 田淵さん!?」


 最後に、田淵が一人やってくる。

 まぁ自由の身になってたのは分かってたけどさ。

 何かしらの状況で香中を拘束して自由を取り戻したのだ。


 今は髪が濡れて、身体から湯気が立ち上っているのを見るに、先程までシャワーを浴びていたんだろう。

 醒めた瞳を宿した彼女は誰も近づいてくるなというオーラを出しながら一番端の座席に座る。


「美里、無事だったのね」


「……無事?」


 思わず高坂が駆けよって声を駆ける。

 無事で嬉しい。そんな感情だったが、田淵にとっては感情を逆撫でする行為でしかなかった。


「助ける気も無いくせに無事か聞くの?」


 抑揚の無い声を聞き、今までの田淵とは何かが違うと気付いたのだろう、一歩後退りする高坂。


「あ、あはは。ね、ねぇ、とりあえずさ、これからどうするか食事しながら決めよう、ね? ね!」


 空気が淀む。それに気付いた井筒が必死に重い空気を払拭しようと声を掛ける。


「つったってよぉ、現状何するっつーんだ? 学校全体見回るのか? それともあの虹の先でも見に行くか?」


 足立の言葉にうぐぅと声を失う井筒。


「それはそうだけど……そ、そうだ。じゃあこれからしたいこととか疑問に思ってることとか、今のうちに皆で相談しよう、ね? 気になること皆で考えていったら何か答えが出るかもだよ?」


 なんとか皆を協調路線へと軌道修正したい井筒。しかし、その思いに賛同するように疑問を口にしたのは、空気を重いモノにした田淵であった。


「丁度良いわ。ねぇ、拘束解いたらレイプしてくるクソ野郎を殺すことなく復讐するには、どうしたらいいと思う?」


 空気がさらに重くなりました。


「去勢すればいいんじゃない」

「ちょぉぃ!? 真面目に答えんな及川!?」

「つか重すぎるわ!」

「お前、男の尊厳取る気かよ!? 女の子宮破壊するのと変わらねェンだぞ!? お前そんなことされたらどうするつもりだよ」

「この容姿よ。元から子作りなんて諦めてるわ」

「うおい、こいつ自覚してたのか!?」

「ひでぇよ。ゴリ川が悪魔過ぎる。たっけて玲えもーん」

「ええ、私!? えっと、や、やっぱり酷過ぎるから、えっと、他の人のをお尻に突っ込んで無理矢理は駄目だぞって教える、とか?」

「ぎゃぁぁ!? 井筒さんもひでぇ!? 天使様、なんとか、なんとかお慈悲を!?」


 三バカトリオが煩過ぎる。

 でも、御蔭で多少空気の重さは緩和出来た気はする。

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