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これからのこと3

 それから幾つか決めごとを行う。

 といっても生活でどうしても出てくるゴミの捨て場とか、風呂の代わりに入るシャワーについてとか、布団などの調達。

 もちろん、俺と光葉は布団があるのでそこでくんずほぐれつできたらいいなと思う。


 さすがに光葉が嫌がればする気はない。一度レイプしてしまっただけにそこを越えるとおそらく次に殺されるのは俺になるだろう。

 今でもかなりな綱渡りをしているのだ、これ以上誰かに嫌われる行為は避けておきたいところである。

 ただ、所沢からの視線が限りなく恐いところだが。こればかりはこいつが光葉を好きだと思われるから仕方ない。

 ストーカーじゃない事だけを願っておくが一応なにかしらの対策がいるな。一度落ち着いてから考えよう。宿直室なら鍵掛けとけばある程度侵入は回避できるし。


 そして俺たちは解散する。

 皆一気に沢山の事が起こって疲れたのだろう。

 食事を行い、各自寝場所の用意をするとさっさと寝てしまうらしい。

 後々個室とかを作る予定で話は進んでいたが、今日は何もやる気が起こらないというのが共通だった。


「とりあえず夕食はできてるんだし、そっちに行きましょう」


 及川に促され、俺たちは足取りも重く食堂に向かう。

 ゆったり歩いていた筈なのだが、大門寺たちに追い付いてしまった。


「大門寺サン、食事するらしいッス」


「わかった」


 後ろから声を掛けた足立に大門寺はそう答え、ふと考える。


「小川たちにも一応伝えておけ、その方が後腐れは無いだろう」


「香中たちはどうします?」


「放っておけ。どうせ来ない」


 大門寺の言葉に納得する面々。


「それじゃ、日上さんもいるし5班の誰か呼びに行ってくれない?」


「ちょ、篠崎さんなんで僕等!?」


「日上さんはあんたたちん所のでしょ。それに伝えに行くついでに1班にも伝えるだけ。他の誰かが行くより繋がりのある誰かの方が話を伝えやすいでしょ」


 じゃあお先。とばかりにゲームしながら階段を下りて行くオタクチーム。足踏み外すなよ?

 まぁ呼びに行くのはいいんだけど、どこ行ったんだあいつら?


「小川くんが閉じこもりそうな場所なんてどこかしら?」


「とりあえず四階から見回ろうか?」


 で、結果として最後の一階校長室の前に日上たちを発見した。

 校長室が小川に占拠されて廊下で佇んでいるようだ。

 残念ながらここを通ったらしい井筒たちにより既に食事をすることは伝わっているようだった。

 ただし、小川が一緒じゃ無いので食事はいいとのこと。


「んじゃ、日上達はここにいるんだな」


「ええ。あと、校長室が私達の寝床でいいんですわよね?」


「ああ、とりあえずそう決まっただけだ。どうしても入れないようだったら茶室に向かうと良いよ。あそこは女性陣が使うみたいだから」


「わかりましたわ」


 日上と軽い会話を交わして俺たちは食堂へと向かう。

 既にリア充チームと寄せ集めチーム以外は着席済みで、香中、田淵、小川、十勝、川端、中田、日上を除く全員が食堂に集う。

 献立は……ご飯に味噌汁。肉じゃが、サラダ、きんぴらごぼう、ナスの梅肉和え。家庭的だが、一食にしては結構多い気がするぞ? しかもラーメンまであるじゃん。これは作り過ぎだろう。


「おい、さすがに多くないか?」

「御免なさい。思わず作り過ぎたの」

「二人で分担して作ったら余分に作り過ぎちゃって」

「うっひょーぅ。井筒さんの手料理!」

「美味ぇ!? 滅茶苦茶美味ぇっす」

「え? あの……ごめんね。その辺りの料理は清ちゃんが作ったんだよ」

「「「げぶはっ!?」」」

「うわ!? 汚ねぇな。食べ物粗末にすんなよ」

「食べられれば何でもいいでござる」

「うましうまし。おかんよりは上手いぞなもし」


 坂東、榊、三綴が噴いていたが、食事自体は普通に美味しい。

 視界の隅では足立が大門寺に決まったことを説明している姿が見える。

 そうか。としか言わない大門寺の横で、最上が必死にメモを取っているのが印象的だった。

 彼女は大門寺の秘書でもしてるんだろうか?


「あ、そうだ。牧場さんの遺体どうする? 埋めちゃわないとだよね?」


 ふと井筒が告げる。

 皆が食事の手を止めて怨みがましい視線を彼女に向けた。

 皆言いたいのだ。それ、今する話じゃないだろう? と。

 食事時に死体処理の話とかするのは止めてほしい。


 それからしばらくは皆から声が消えてしまった。

 食器同士が擦れる音などしか聞こえなくなり、あれ? 私やらかした? と今更ながら戸惑う井筒が萎れるようにして顔を鬱向かせ食事に専念する。

 和気藹藹の食事になる筈だったんだがな。ちょっと、息苦しい。

 そこから先の食事は味がしなかった気がする。


 味気ない食事が終わると、一人、また一人と食器を返して去って行く。

 自分で洗うなどといった考えは無いらしい。

 まずは井筒がさっさと食事を済ませ、そそくさと去って行く。

 それを皮切りにどんどん居なくなってしまったのだった。

 一応、食器は及川が洗ってくれるらしいので俺と光葉も食器返すだけで洗わないでおいた。

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