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これからのこと2

「それじゃあ、とりあえず何から決めましょうか?」


 木場の言葉で考え始める面々。

 とりあえず俺が意見述べとくか。


「そうだな。食事は出来てるらしいから、今からの食事はいいとしても、食事の時間に皆が集まって食事を取るっていうのはどうだ? 時間さえ決めとけば皆が集まれるし、わざわざ誰が食事して誰がしてないを調べる必要もないだろ」


 いちいち誰かが食堂に居て来る人来る人をチェックするよりはいいだろう。


「あと在庫の確認をしてどれだけ食事に使ったかもチェックしといた方がいいかな」


「あぁ? なんでそんなめんどーなことすんだ沢木?」


「後でモメないためだよ。食料が足りなくなれば誰かが取ったことになるし、いつまで持つかも分かる。後の対策も立てやすいだろ」


 本来はあまり目立ちたくないんだが、皆が思考停止に陥っているため俺と木場、そして足立の独壇場だ。

 俺が提案して木場が意見を募り、足立が否定して俺が理由を告げる。

 で、納得した皆が頷き採択されるって循環が始まる。


「じゃあ食事は8:00、12:00、19:00でいいわね。在庫チェックは食事を作る係に立候補した及川さんと井筒さん。やるのはいいけどつまみ食いはしないようにね」


「はーいっ」


 絶対やるだろ。と思える言葉遣いで井筒が応える。この女は全く悪びれた様子が無いのでまたつまみ食いするだろう。及川に期待するしかないのだが、及川は井筒と仲が良いので黙っている可能性は高い。


「次は、とりあえず寝床かしら? どういう分け方にするの?」


「とりあえず男女に分けるなら雑魚寝だよな? 寝る場所はどこでもいいけど布団もベッドもねーぞ?」


「あ、それなんだが、俺と光葉は宿直室貰ってもいいかな?」


「おいおい、マジで言ってんのかよ!?」


 俺の言葉に今まで口を噤んでいた香中がギロリと睨む。


「お前らヤリ部屋欲しいだけだろ」


 ごもっとも。俺としてはそのつもりなだけに何も言えない。だがこいつの言葉を封じる方法はある。


「いや、そう言うつもりなら保健室行くし」


「あ? あー、そうか。保健室にベッドあんじゃねーか。じゃぁ俺と田淵はそこだな。なァ田淵ぃ」


「……」


 憔悴したような田淵。香中に襲われたらしいが、そこで脅されたか何かしたのか反論すらしようとしない。


「なんだよ。お前あそこ一人で使うつもりか!」


「あ? じゃー、俺らの班全員でいーだろ。いいっすよね大門寺さん?」


「好きにしろ。俺らは使わん」


「っし! んじゃー田淵ぃ、さっさと行こうぜー」


 と、言うが早いか立ち上がった香中は田淵を無理矢理ひっぱって去って行く。

 田淵が高坂に視線を向けたが、高坂はその視線を気まずげに逸らし逃げるのだった。

 その行為を見た田淵はこの世の終わりみたいな顔をしながら香中に連れて行かれる。

 誰も、それを止めようと思う者はいなかった。


「あー、それで他のメンバーは?」

「私は剣道場でいい。あそこには寝泊まり用の寝袋がある」

「あ、じゃー私もそこでー」

「私達三人は剣道場ね」

「あ、じゃー同じ班なので俺らも」

「男子禁制よ」


 坂東たちがついでにっしれっと入り込もうとしたが、及川の鉄壁ガードの前に敗れ去った。


「体育館ならマットもあるし寝れるんじゃないかしら?」

「じゃー男子はそこでマットに包まって雑魚寝でいい?」

「え゛?」

「あ、それいいわね」

「オタク共どーよ?」

「拙者、ゲームがあればどこでも良い」

「んじゃ決定ー」


 俺以外の男子は体育館で雑魚寝が確定した。

 危なかった。


「女子どうする?」

「冷たい床はごめんだわ。そうね確か茶道部が使ってる和室があったでしょ。茶室だっけ? あそこを貰おうかしら」

「でも狭くない? 今居ない連中どうすんの?」

「居ないんだし仕方ないような?」

「勝手に寝るんじゃないの。居ない方が悪いわ」

「しかし清音、後でごねるんじゃないか? 流石に放置するわけには行くまい」

「小川と一緒にいれりゃ文句ないだろあの連中。校長室でもくれてやれよ。たしか絨毯敷いてただろ」

「あ、それいいね。そうしましょ。後の話は向こうに任せればいいだろうし」


「……話は、それだけだな?」


 底冷えするような声で告げたのは大門寺。和気藹藹とした話し合いが一瞬で硬直する。


「俺はそこ以外で適当に休む。後決まったことがあったら食事時にでも教えろ」


 そう告げて、大門寺が席を立つ。そのままどこかに行ってしまった。

 慌てて最上が立ち上がり彼の後を追って行く。

 あの子、腰巾着みたいになってるけどいいのかアレ? 

 まぁ、大門寺と一緒なら他の奴には襲われないからいいのか。

 というか、なんかこう、最上って光葉に被って見えるんだよなぁ。背丈も似てるし容姿もそれなりに似てるし。

 まぁ、別人なんだけど、後ろ姿見てるとこう、光葉が別の男に付いてったみたいでもやもやする。ツインテールじゃないんだけど、光葉が髪を降ろしたら見分けつかないし。


 隣を見れば、俺の腕に絡まった光葉がどうしたの? と視線を向けて来る。

 うん。光葉は俺んだ。他の奴には絶対にやらねぇ。なんつって。

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