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校内探険3

 隣の教室にやってくる。

 教卓を探せばまた紙が。今度は視聴覚室か? 一体誰がこんなモノ作ったんだ? やっぱり大河内なのか?

 宝探しとかやりたくもないのだが。


 木場たちはむしろ楽しげで、折角だしその部屋を全て探した後で次の教室は宝のありかが示された教室にしよう。と視聴覚室へ向うことが決定した。

 ちなみにここの教室から変なモノが見付かることは無かった。


 視聴覚室は最初の日に三班が居座っていた場所だ。

 ゲームばっかりしてたはずだからちゃんと捜索したりはしてないのだろうが、ええと、×印があるのは……映写機っていうんだっけ、これ?

 この辺りのはずなんだが。


 俺たちは皆でスクリーンに画像を投影する機械を囲む。

 機械の間に何か挟まっているのが見えた。

 木場が代表して紙を取り、開く。


「理科室、みたいね」


「この位置、多分人体模型だね悪趣味な」


 ×印の場所を推理した壱岐が嫌そうに告げる。

 そしてなぜ俺に身体を寄せて来る?

 ちょ、当ってる。なんか下半身が当ってる。やめて、それは全然嬉しくないからっ。


「にしても、なんなんだろーね、それ?」


「誰が作ったにしても何かしらの理由があると思うけど」


「ん、ぎるてぃ」


「そして光葉はなんでもぎるてぃにしすぎ。ちょっと自制しなさい」


「むーっ」


 不満そうにぷくっと膨れる光葉。可愛らしかったのだが、あざといですっと十勝が両側から指先で突いて光葉の頬をへこませていた。


「まぁ、どうせ暇ですから付き合ってあげましょうこの紙切れ作った犯人さんに」


「それもそうか」


「天ちゃんもお昼からは瞑想しないでいいよね?」


「別に絶対にやらなければならない訳ではないからいいが。仕方無いな」


 折角なので全員で宝探しに参加だ。

 理科室にやってくると早速人体模型を調べる。


「うわぁ、改めて見るとホルマリン怖っ」


「骸骨あるよ骨格標本」


「知ってますか? 学校の七不思議でこの骨格標本、実は本当の骨を使ってるそうですよ」


「ひぃ!?」


「ほら、背丈的に私達と同じくらいでしょう? 昔の女子学生を殺した理科教師が……」


「いやー。天ちゃんたっけてぇ」


 井筒が賀田に縋りつく。しかし賀田は硬直して動けない。

 どうやら幽霊とかの類は苦手らしい。

 青い顔で脂汗を流し始めている賀田、それを見た十勝がふふんと意地の悪い笑みを浮かべてさらに話を続ける。


 ちなみに、この骨格標本は男性の骨を模して造られてるんだと前の理科で先生が得意げに話していたんだが、いつの間に女性の骨格になったんだろうか?


「……ない?」


「どうした光葉?」


「前に見た妖精さんのホルマリン漬け、なくなってるなぁって」


 ……前っていつのことだよ。俺は何度か理科室来てるけど一度も見たことないぞ。

 田淵たちと話したことが脳裏にちらつく。

 本当に、二十年前、ここに居たのか光葉?

 というか、妖精のホルマリンってなんだよ、それこそ七不思議の一つになってても不思議じゃないと思うんだけど。


「冗談だよ?」


「マジか!?」


 俺が怪しんでるのを察したのか冗談だと言って来る光葉。

 それが本当なら別にいいんだが、本当かよ?


「あ、あったわ」


「きゃぁぁ!? 人体模型の棒が取れちゃった!?」


「な、何を持ってるんですか井筒さん!?」


「だって、ちょっと突いたら取れちゃったんだよぉ!?」


「というか触るのがどうかと思う。それで、木場さんは見つけたの?」


「ええ。心臓の中に折りたたまれてたわ」


 また凄いところに隠したな。


「ど、どうしようどうしよう!? これどうしたらいい!?」

「こっち向けないでくださいっ、キモい!?」

「わわっ!? ちょ、なんでそんなもの持ってるの井筒さん!?」

「やめろ壱岐っ、私を盾にするなっ!? 玲菜、待て、来るな、そんな汚物を近づけるなっ」

「どうしよう天ちゃん!? これどうしたいい、ねぇ、どうしたらいい!?」

「ワザとか玲菜!? ひぃぃっ」

「ん、楽しそう」

「いえ、楽しそうというか……何をやってるのかしらね」


 木場が俺と一緒に紙を見ながら呟く。

 追いかけ回す井筒と逃げまどう十勝、壱岐、賀田。皆楽しそうで何よりである。

 とりあえず、俺たちは巻き込むなよ?


「次は、裏庭ね」


「菜園の辺りか。畑耕す道具が置かれた場所かな? 納屋でいいんだろうか?」


「どうでもいいわ。次の目的地が分かれば。行きましょうか?」


 と、井筒が持っていたモノを奪い取った木場は元あった場所へと嵌め直すと、さっさと教室をあとにする。

 追いかけっこは一瞬で終わり、井筒が勇者だ。とか呟いていた。

 お前はトラブルメイカーなところをとりあえず直してくれ。


 木場を追い掛けるように俺は理科室を後にする。他のメンバーも戸惑いながらも俺たちに付いて来るのだった。

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