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第五の真相5

「もともと川端にとって三人は邪魔だったんだ。自分が小川を独占するには消えて貰った方が良かった。十勝が早々離脱してくれたので後は二人を排除するだけ。最上から開かずの間のギミックを知らされた彼女は中田殺害計画を思いついた。上手くいけば中田を殺し、日上を犯人として追い落とせる。万一日上が犯人じゃないとなったとしても、十勝を怪しくさせておけば自分に目が向く可能性が低くなる。……といっても、十勝に顔を見られたのは失敗だったみたいだけどな」


 所詮素人のアリバイ作りだ。粗が目立つのは仕方無いだろう。

 ともかく、川端は中田を殺害し、日上を犯人に仕立て上げ自殺させようと画策した。


「だが、ここで予想外のことが起こった。日上を脅して中田を拉致し、自分が十勝を拉致したまでは良かったが、開かずの間に二人を連れて行こうとして日上に裏切られた」


「そこで川端さんは逆に殺され、日上さんは川端さんが使おうとしていたアリバイ作りを自分用に変えた訳ね」


「川端を椅子に座らせたのも憎悪を募らせた中田が刺し殺したように見せかけた。包丁は中田に握らせておけば証拠も彼女の犯人説を指し示す。唯一の失敗は中田が開かずの間への道を知らなかったこと。何故あそこで事件が起こったのか、その疑問が生まれてしまった」


「そして川端さんがもしもの場合に連れ去っていた十勝さんを使ったアリバイも、残念ながら十勝さんが投げ捨てたことを皆に告げていたせいで無意味なモノになってしまっていた。まぁ一部の人を混乱させるには丁度良かったみたいだけど」


 クスリ、笑みを浮かべた木場が小川を見る。

 日上犯人説で突き進む俺達に、小川は混乱しているようだ。

 自分としては日上を信じたいようだが、俺たちの言葉も一理あるような気がして何も言えなくなってしまっている。


「オイ、どうした日上? 沢木の奴に言われっぱなしでいいのかよ? 言い返すこともできないか?」

「つか黙ってるってことはその通りっつーことか?」

「ちょっと坂東、榊、囃したてるな馬鹿者」

「しかし、確かに日上も川端への恨みはある訳か。しかも折角中田を拉致して来たのに、結果は自分を犯人にするためだったと知っちまったら、そりゃ相手を殺しもするか?」

「そうねぇ、私なら躊躇いなく殺すわね」

「美里、おまえなぁ……」

「ふふそうならないよう次郎がしっかり捕まえていてね」

「足立氏、田淵氏そこでイチャラブするのはどうかと思うぞ」

「まったくね」

「貝塚氏達もだと思うが?」

「それで、日上、反論は?」


 賀田に促された日上を皆で見る。


「……証拠は?」


「佳子?」


「証拠はございますの? 私が川端さんを殺し、中田さんを嵌めようとしていたという証拠は」


 証拠と来たか。だがそれはフラグだぞ日上。

 むしろそう告げることこそが自分が犯人だと告げたようなモノだ。

 やるぞ木場。真相をここに暴くっ。


 とはいえ、ここまで辿り着いたはいいが、やはり日上を指し示す証拠がない。

 口論でなんとかできるか?

 そもそも密室で起こった出来事だ。


 俺たちに気付かれず行えたわけで、あの暗い部屋で自由に動けた以上後始末は完璧……暗い、部屋?

 そう言えば開かずの間は暗かった。

 照明が付くこともない訳で、どうやってそんな場所で作業した?


 光を灯す物がある筈だ。

 スマホを使った? いや、別に後で隠せば懐中電灯を使えるか。

 クソ、何か良い暴き方は無いか?

 また俺は真相に近い位置で足踏みするしかないのか?


 こういう時は、そう、発想を逆転させるんだ。

 ゲームでそんな感じのこと言ってた気がする。

 えーっとつまり、川端を殺したのが日上かどうか、ではなく、日上が川端を殺せたかどうか。

 中田を拉致し犯人に仕立て上げられたかどうか。

 そもそも、あの開かずの間への道を知ることが出来たかどうか。


 開かずの間は川端が開けるのを見ていればすぐに分かる。

 ならば知れたと前提してみよう。

 すると、日上はトイレに籠った訳じゃ無くても問題が無くなる。

 つまり、川端共々開かずの間に向かった可能性が高い。


 川端は日上を犯人にしようとしていたはずだ。ならば抵抗した日上に殺された?

 そうなれば……川端の死骸に抵抗跡があってもおかしくない。

 クソ、調べてなかったのが悔やまれるな。今からでも遅くは無いか?


「木場、川端の死体を調べたか?」


「え? ええ。調べたわよ。外傷は他になかったけど?」


「爪はどうだ?」


「爪?」


「ああ。何か変化はなかったか?」


「無かったと思うけど?」


 違うか。抵抗していれば皮膚片でもあるかと思ったんだが。それだったら日上の身体に掻き傷が出来ている筈だったのに。


「ふふ、万策尽きまして? 全く人を犯人扱いしたくせにこの程度とはお笑い草ですこと。そもそもがわたくしではないのですから。川端さんを持っていた包丁で刺し殺したのは中田さん。それがまぎれもない真実ですわ」


「ち、違う、私は殺してないわッ! あ、あんたに拉致されてから記憶がないんだから殺せる訳ないでしょ!」


「わたくしもトイレに籠っていたため殺せる訳がありませんわ。トイレから出たら外で話声が聞こえたから気になって出てみるまでずっとトイレでしたもの、ええ。川端さんが押し入れに入ったのも見てませんわ」


 調子に乗って話す日上、なんかボロ出してくれないだろうか?

 ちょっと期待してみ……押し入れに入ったのも見てないって、入ってるの見てたような言い方だな。

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