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第四の真相1

 さて、第三回の集まりの時だっけか。どういう順番で来たっけな。


「木場、第三回の集まりの時にどういう順番で来たか分かるか?」


「確か足立君……飽戸の方が死んだときね。ええと……」


 少し考え、つっかえつっかえ捻りだして行く。


「日上さんと中田さん、忌引さん、井筒さん、原さんが私達より早く屋上に居たわね」

「ええ。原さんたちが十勝さんに放送を頼んでたから、一足早く屋上に向かったのですわ」

「私達は遺体発見後に十勝さんに放送頼んで、日上さんたちと一緒に屋上に行ったよ」

「そして次にやって来たのが、沢木君、大門寺君、最上さん、そして私、ね」

「そう言えばそうだったな。確か放送前は死体発見現場で木場が調べてる間、俺たちは護衛みたいな感じだったな。放送聞いて屋上に向かったんだっけ?」

「ええ。だから怪しいとすれば放送後よね。その辺りまでは賀田さんが生存してる三綴君を見てたんだもの」

「つまり、ここから先が怪しい人物って訳ね」

「いや、怪しい人物って……」

「次に来たのは所沢、壱岐、榊だっけ」

「二人は返答、できなそうよ?」


 木場に言われて見てみれば、所沢は未だに呟き続けているし、榊は再びトリップしてしまい、俺じゃない俺じゃないと繰り返している。


「壱岐、とりあえず教えてくれないか?」

「面倒だなぁ。はぁ……食堂に居たよ三人とも。食事が作られるの待ってたんだ」

「ずっと三人一緒?」

「ゲームしてたから分からないけど、何度か顔を上げた時は二人とも居たよ」

「ふむ。一応アリバイ成立、なのかしら?」

「まぁ、あの二人じゃなさそうってことで仮定して他の話を聞いて行こう」

「じゃあ、次に来た人物ね。確か十勝さんだったわよね?」

「はい。放送終えたので屋上に向かいました。一人きりでしたけど、放送後にすぐ向ったから時間的には1分くらいでしょうか?」

「その頃なら丁度私と三綴が別れて三綴が屋上に向かった頃だ」

「なら犯行は無理ね。と、なると……」

「次に来た小川と川端からがアリバイ聞くことになるのか」

「と言われても、俺たちは体育館倉庫にずっといたからなぁ」


 この二人は三綴の第一発見者だ。流石に死体を体育倉庫に隠したままそこで男女の営みするとか正気の沙汰じゃない。


「そもそも三綴が向かったのは体育館とは逆方向だ。そっちに向かったのは篠崎だったはずだ」

「ん? どういうこと賀田さん?」

「三綴は私と別れた後食堂側に向かったんだ。そこから回り込んで玄関に行くつもりだったらしい」

「ってことは、小川達と会うとしたら校舎内になるのか?」

「そもそも会ってないけどな」

「次に来たのは貝塚君よね?」

「ああ、僕は寝てたからな、放送聞いて起き上がって、少しぼーっとして、即座に向かったよ。和室からだから一階には降りてないよ」

「アリバイはないのね。でも証言が本当なら犯行は無理ね」

「確かその後は足立と田淵だったっけ? 足立に遅れること1分。篠崎が、そしてさらに少し待って坂東と賀田だったな」

「なぜ足立君たちは遅かったの?」

「あ、そりゃーその……」

「放送後に後始末していたからでしょうね。いろいろと忙しかったのよ。保健室から出たらすぐに屋上に向かったわよ」


 田淵の言葉に皆が押し黙る。

 気のせいだろうか、足立が凄く所在なさげにしている。


「篠崎がその頃に来たってことなら、順当にいけば三綴もその辺りの時間に着いてるはずなんだよな?」

「そうなるかしらね」

「だよな……じゃあやっぱり……」

「沢木君? 何か気付いたの?」

「あ、ああ。まぁ、とりあえず残りのアリバイも聞いとこう」

「そう? じゃあえっと……」

「次に来たのが私と坂東だな」

「俺らはえーっと、話の感じだと三綴の向った方角向ったんっすよね?」

「ああ。しかし三綴と会うことはなかった。てっきり屋上に居ると思ったんだが見当たらんし、どこに消えたのやら……」

「お前らが三綴ぶっ殺したってことはないのか?」

「二人でか?」

「ふざけんな。賀田さんがそんなことする訳ねーだろ!」


 足立の言葉で不機嫌になる賀田と激昂する坂東。

 二人も怪しいが、それよりも怪しい奴が居る。


「それで、会わなかったんだよな、賀田さんも、坂東も。小川も、川端も」


「あ? 沢木、賀田と坂東は分かるが何で小川と川端まで聞くんだよ?」


「そりゃ聞くさ。本当ならば賀田と坂東、あるいは小川と川端。体育館側か食堂側。外を探して道場向かっていた筈の人物に、どちらかが会ってないとおかしいんだからな」


 一呼吸置いて、俺はそいつに視線を向ける。


「なぁ、及川。あんた放送終了後、どこを探しまわってたんだ?」


 俺達と別れ外にでて賀田を捜索していた筈の及川。彼女は賀田を捜索していた上に行き先は賀田のいる道場の筈だった。ならばなぜ、向かっている筈の及川と賀田達が鉢合わせしなかったのか?

 答えはこうだ。俺はそいつを指差し、告げる。


「三綴を殺害した犯人は……及川、あんただろ」

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