期待してもいいかな。
突然だが、僕は今オーストラリアにいる。
眼前に広がるどこまでも青い海。
雲ひとつ見当たらないほど青く透き通った空。
だだっ広い芝の上に転がる。
大きく深呼吸をし、目を閉じる。
大自然に囲まれ、ただ生きていることを実感する。
すごく気持ちが良い。
僕がオーストラリアでいるのには訳がある。
原因となったのは12月22日。
つまり、世間がクリスマスムード一色に染まりつつあるなか、僕は彼女にフラれた。
突然の別れだった。
期間は1ヶ月とすこし。たったそれだけの間だったけど僕はすごく楽しかった。
きっと僕の生涯で一番だ。って言えるくらい。
それくらい毎日が輝いていた。
なのに、なのに。なんで。
楽しかったのは僕だけだったのかな。
そんなはずはない、あんなに楽しそうにしてたのに。
そんな風に自分に言って聞かせては
何がいけなかったのか悩む日々。
そんな悲惨な現実から逃れるために
年が明けてから1週間が経った頃。
30リットルのバックパックを背負って
僕はオーストラリアへと旅立った。
そんな次第である。
正直、1週間もすれば帰ろう。と思っていたのだが
今日でかれこれ2ヶ月が経とうとしていた。
世間からは頭のおかしい人にしか見えないだろう。
「この人頭おかしいんじゃない?」
そんな悲しい声がどこからか聞こえてきそうである。
だが、僕にも言い分がある。
傷が癒えてない。そんな気持ちももちろんあるのだが何よりも、ここが居心地いいのだ。
帰りたくなくなってしまうのだ。
帰ったらまた辛い現実に直面してしまうから。
だから、いつまでもここでのんびりとしているのである。帰りたくない。のだ。
ヴーヴー。ヴーヴー。
!?
突然携帯が震えて目を覚ます。
珍しいな誰だろう。
友達が少ない。と自負する僕の携帯が鳴るなんて。
どうせ、くだらないセールスメールだろ、、う!?
『ほのか』
彼女の名前が表示されている。
正確には元カノの。名前が。
急いでメールを開く。
『ねぇ、今どこにいる?少し声聞きたいな。』
明日、日本へ帰ることにする。