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記憶六晶  作者: ほんこん
6/7

山麓

 三日三晩、散々吹き荒れた地吹雪はその日の昼前にようやく収まり、窓に合金のブラインドが降ろされた暗い室内で息を潜め耐えていた痩身の少年は、数日ぶりの静寂にほっと胸を撫で下ろした。

 標高はさほど無いものの、北からの冷たい季節風をまともに受ける山麓の斜面に設置されたこの二十畳ほどしかない小屋は、巨石と雪に囲まれた周囲の景色と同化すべく粗い目のコンクリートを固めただけの簡素な造りであった。元々5年程前までこの土地を治めていた陸軍国境警備隊が用いていた観測小屋であったのだが、軍は一層の気候の悪化を受け山麓を放棄、以降、国境を接する隣国の偵察部隊ですら侵入できないほどの荒天に晒されることとなり、いずれの国家の主権も及ばない空白地帯と化していた。

 少年は、窓のすぐ隣の小さなレバーを下ろし、ブラインドの角度を調節する。強力なモーターの回転と共に、凍りついたブラインドの羽根はバキバキと音を立て、窓枠の氷を砕きつつ僅かに角度を浅くする。その隙間から零れてきた薄暗い日光は、しかし室内を照らすためには充分な明るさを持っていた。

 コーヒーを飲むことにした。部屋の隅に山積みにされた缶詰めやら調味料やらの山の中からインスタントコーヒーの瓶を取りだし、空いたカップに適当な量の粉を出す。丸太を削っただけの簡素な机には瞬間湯沸かし機が設置されていた。彼はポリタンクに溜まった蒸留水をそこに注ぎ込むと沸騰の合図を待たずにそれを停止させ、カップに移す。大量の砂糖を投入し、いざそれを飲まんと窓際まで移動したその時、少年の背後、小屋の入口である分厚い引き戸が、ごりごりと氷を削りながら徐に開いた。

 そこには、白い山岳部隊用の耐寒戦闘装備に身を包んだ人物が立っていた。

「…お帰り。」

少年が呟いた。

「遅かった。」

「ブリザードが酷くて、小屋のすぐ外で穴掘って待避してたんだ、すまん。」

雪にまみれたパンパンのバックパックを床に下ろしつつ、その人物は言った。

「食糧は確保できた。いつも通り保存食だが、こんなもんでも今はありがたい。」

「基地のことは別にいい。それより、遺跡はどうだった?」

「それだよ。」

少年はコーヒーをすすり、尋ねる。雪を払い、帰ってきた男は頭の耐寒ヘルメットを外しつつ、それに答えた。

「今回は本当に凄いものを見つけた。明日すぐに再調査する、お前も来い。」

 かつてこの地は、地中海からの温暖な空気が吹き込んでくる、豊かな土地であった。

 それが今は、標高約500メートル程ながら気温は時に氷点下30度を下回る事も珍しくない、極寒の世界である。彼らの拠点は岩場の影で比較的風雪を回避することができるものの、外出には細心の注意を払うことが余儀なくされた。

 翌日は幸運にも晴天であった。夜のうちに荷物をまとめていた二人は、小屋の外にある小型のソリにそれらを詰め込めるだけ詰め込む。目的地までの距離は15キロほどと近く長居するつもりもないが、この地の雪嵐は一度吹き荒れ始めるといつ収まるか分からない。彼らは3日程度の予定に対し2週間分の食糧を準備した。

「昼までには到着するぞ。」

男はソリの手綱を体に回しつつ、言った。

「向こうの観測機を少しばかり失礼して覗いてみが、夕方から若干天気が荒れるようだ。」

「それって、ちゃんと帰れるの?」

少年は分厚い山羊皮の防寒具から顔だけを出している。

「大丈夫だ、長続きするようなもんじゃない。」

男は心配する少年にそう答え、ゴーグルを下ろした。

 辺り一面銀世界である。この地に慢性的な雪が降り始めて500年、地盤が氷土と化して200年。南に150キロほど下ったところにある首都にこの寒波が及ぶのは時間の問題であった。

 全地球規模の寒冷化が問題となったのは、科学文明が全盛を迎えていた2400年代初頭のことであった。突如、全世界の海底火山の実に70パーセントが、活動を停止したのだ。明確な原因は不明であったが、これにより大気中の温室効果ガスの濃度が激減。それに伴い、年間0.1~0.5度というとてつもない速度での地球寒冷化が始まったのだった。

 それから700年の月日が過ぎた。

 究極の情報化により、全人類の理想とされた「地球一体化」を為し遂げ、民族の違いや国境をも消し去っていた科学文明は、寒冷化による物理的環境の変化に対応出来ず、その衰退と共に「理想的」な姿を失っていった。国家や国境の復活、兵器による闘争の再発、そして、肉体の死。技術によって回避してきたあらゆる苦難をその喪失によって再び押し付けられることとなった文明は、しかしそれらに対応する術を知らず、瓦解の道をひたすらに突き進んでいるのであった。

 想定通り、二人は15キロの雪道を午前中の5時間あまりで踏破した。朝日に白んでいた空は時を追うにつれ灰色の雲を抱き、最後の1キロの上り坂を駆け足で通り過ぎる頃には弱い風も吹き出し始めていたのだが、それが本格的な雪嵐となる前に彼らは目的の施設へとたどり着いた。

 山の尾根に隠れるように建つ、金属の屋根を持った巨大なドームであった。

 見えているだけで高さ20メートル、直径100メートルはあるだろうか。半分近くを雪に覆われていて、全容を確認することはできない。鈍く空の色を反射する金属製の壁面は美しい弧を描き、壮大な半円を描いて雪の中へと消えている。滅び行く文明が最後に残した、その工業技術の総決算であった。

「目当ての遺跡はずっと下層にある。」

外壁に空いた、大人一人が十分立って歩ける、排気口と思われる大穴を渡る。背丈を優に越える巨大なスクリューや足元の穴を避けつつ行き着いた先は幅の広い通路だった。天井までは10メートルはある。壁全体が薄く光を湛えていて、辺りをぼんやりと浮かび上がらせていた。

「ここ、前来たのと同じ基地だよね。」

「だから、ここじゃない。」

少年の問いかけに、男は顔面の防寒マスクを外しながら答えた。白い息が上がる。

「ここは歴代の政府が使ってきた、生物系の研究施設の上に建っている。雪に埋まる度に増築して、高さを稼いできたんだ。まあ、今の政府がとうとう放棄したから、これから増築されることは無いだろうがな。」

「つまり、この下で見つけたの?」

「そう言うこと。」

男はがらがらと耳障りな音を立てながらソリを引いた。その音はがらんとした空間に幾度となく反響する。

「下ること42階。400年前、雪に埋もれて閉鎖した、初代研究所の跡地さ。」

「そんなところまで下るの?」

「それがだな。」

男は堀の深い顔に意味あり気な笑みを浮かべ、前方を指差した。痩せた少年は目を凝らす。通路は30メートル程先で突き当たりになっていた。薄く輝く壁の光の中に、一ヶ所だけ大きな枠で区切られた箇所が見受けられた。扉だろうか。少年は尋ねた。

「もしかして、エレベーター生きてるの?」

「ご明察。この施設の外壁は、現政府の公的施設の基本方針に則って全面太陽光発電仕様になっていて、電源は半永久的に生き続ける。地下35階まではあれで一直線さ。」


 少年は、かつて「鬼」と呼ばれていた。

 250年程前、この山麓の西部に位置する、深さ300メートルに及ぶ細く切れ込んだ渓谷の最深部で少年は発見された。

 その時の国境警備隊の記録によると、少年は平均気温が零度を下回る中、薄いぼろ布だけを纏い、いつのものかも分からない廃屋に住まい、そこから谷全体を覆い尽くさんばかりに伸びた蔦に成る「青く輝く果実」を食糧としていたという。彼らによって「保護」された少年は南部の研究都市へと移送され、そこで身体検査から知能検査まで様々な試験を受けた。そこから明らかになったことで記録に残っているものが幾つかある。まず、体温が24度~25.1度と非常に低い。次に、肉類、野菜類、穀物を問わず、摂取可能な食物に偏りや好み、アレルギーなどは見られない。さらに、常人の平均的な筋肉量を下回るものの、身体能力はそれを遥かに上回り、ほとんど軍人と遜色ないレベルを示していた。

 そして少年は、旧英語を話した。この時代から現代に至るまで、海を挟んで西方にある大陸で話されている言語の、いわば先祖にあたるものであり、古典の言葉である。世界を滅ぼしかけた大戦末期の2120年頃には既に廃れていたもので、この大陸では用いられてこなかった言語であった。

 政府の研究機関は、少年を無期限で施設内に拘留することにした。血液検査は少年が人間でないことを示し、その正体を断定することは不可能であった。地球上のありとあらゆる生物からかけ離れた存在である。姿こそ人のそれではあったが。

 やがて10年、20年と月日が過ぎるにつれ、姿形何一つ変わらない少年は、周囲に「鬼」のあだ名を付けられるようになるのであった。

「施設は好きだった。」

音もなく滑るように地下へと下って行くエレベータの中で、少年はぽつりと呟いた。

「言葉さえ覚えれば皆と話せた。皆いい人達だった。」

エレベータはほとんどホールに近い広さを持っていた。例に漏れず高い天井を持ち、壁は薄い光を放っている。

「ここの匂いは施設に似ている。」

「そうだな。」

男は服についた雪を払い落とす。

「同じ系統の研究所だったからな。懐かしい、あそこから抜け出してもう8年か。」

「それだけじゃない。」

少年は言った。

「何でだろう、初めて谷を出た時の感じがする。」


「なぜお前を連れてきたか分かる。」

エレベータを降りた後、薄明かりが辺りを包むなかを二人は歩いた。上層階と比べると幾分天井は低く、通路の幅はそれに比例して狭くなっていた。空気は極めて澄んでいる。がらがらとソリが騒々しい音を立て、4,50メートル程進んだところで、男は足を止め、壁に手を当てた。

「ここは230年前に閉鎖された施設だ。丁度お前が谷から出た頃は現役だった。」

男は壁を押した。すると、弱く輝く壁は一瞬間を空けた後音もなく左右に割れはじめ、そこに人一人やっと通れるほどの暗い隙間を出現させた。

「すげえだろ、隠し階段だ。最下層までずっと続いている。苦労して探したんだ、こいつのお陰でわざわざ正規の階段を使わなくて済む。」

「どうやって見つけたの?」

少年は問うた。

「これだけ広い中から、どうやって?」

「資料だよ。」

男は止めてあるソリから大量の荷物が入った鞄を取り出し、担ぐ。

「別の階を調査していたときに、これに関して図解された資料を見つけたのさ。」

そして中から、何かの図面と文字が記された薄い紙の束を取り出した。男は少年にそれを渡す。食い入るようにそれを見た後、少年は言った。

「英語だ。」

「そうだ、旧英語だ。俺は西大陸とは縁もゆかりもない、一文字たりとも解読できない。」

少年はまた視線を紙に戻す。斜め読みしつつ数枚めくり、しかし彼はすぐに困惑した様子で向き直る。

「これ、難しい単語ばかりだ。」

「分かる物だけでいい、教えてくれ。」

男に言われた少年はまた紙に向かうと、眉間に皺を寄せながら少しずつ、それを読み上げはじめた。

「筋繊維……再生……強化の理論実証……強化された兵士達の技術を応用……高濃度?高密度?……酸素……外的要因による目覚め……」

「いいぞ。」

男は呟き、少年に続けるよう促した。

「時限装置の起動設定……低温保存……目覚める確率……次世代……予想周期……防衛機構……次のページも続ける?久しぶりで気分が悪いや。」

「追々聞こう、今は上出来だ。」

男は興奮を押さえ込むのに必死の様子で資料を受け取り鞄に納めると、担ぎ直して暗い階段に足を踏み入れた。

「ソリは置いていく。行こう。」

「待って。」

少年は男を引き止め、言った。

「聞いたことがあるんだ、その資料のタイトル。」

「言ってみろ。」

少年は言った。

「コード『サイバー・バード』。電子の鳥って意味だよ。」


 地下に下る階段は螺旋状に折れ曲がっていた。

 壁面の灯りは下るにつれて急速に薄くなって行き、ものの2,3分下ったところで遂に途絶えた。男は鞄からカンテラを取り出す。それを起動し、白い光が周囲を包んだ瞬間、一瞬誰かが息を飲むような音が聞こえた。

「お前か?」

男は振り返り尋ねたが、少年は首を横に振った。

「壁から聞こえた。」

「そんなわけあるかよ。」

男は笑ったが、少年は至って真剣だった。

「確かに聞こえたんだ、すぐ横の壁から。」

「それじゃあ、壁の向こう側に便所でもあるんだろうよ。」

「冗談じゃない。」

少年は顔をしかめる。男は苦笑し、それ以上言及することは無かった。

 さらに数分かけて階段を抜けると、そこに何やら広大な空間が現れた。

 上層階にあった壁面の照明は無く、ただただ暗黒が広がっている。相変わらず空気は極めて澄んでいるが、その冷たさは先程までの比にならないほど鋭く、二人の肌を刺した。男はカンテラを掲げる。浮かび上がった空間は奥行き、高さ共に光が届かぬほど広い。

「さあ相棒、ここが目的地だ。」

「暗い、嫌な感じ。」

「電源喪失しているか、照明の故障か、またはそもそも照明が存在しないか。ただ、空気清浄システムは生きてるから電源喪失は無いな。」

「何か光ってる。」

少年は、部屋の中央を凝視する。何か柱のような、微かに青い光を纏った円柱が高く、天井に向かって伸びている。男は全て知っている様子でそれに向かい、少年も続く。

「ねえ、凄く寒気がする。」

「氷河の下に埋もれているんだ、寒気くらいするだろう。」

カンテラで正面を照らす男は素っ気なく答えたが、少年は真剣だった。

「そんなんじゃない、待ってていい?」

「そいつは駄目だ、解いてもらわなならん問題がある。」

「駄目なんだよ!」

少年はほとんど叫んでいた。

「来ては駄目なんだ、ここには神が眠っている。文明を滅ぼした災厄だと言われているけれど、彼女は人類の希望そのものだ。」

そして、自らが口走った言葉に驚き、口を閉ざす。少年はしばらくの沈黙の後、口を開いた。

「今、何て言ってた?」

男はじっと少年を見つめた。

「本性を現したな、予想は間違っていなかった。学者冥利に尽きるってもんだ。」

そして、カンテラで行先を照らし、そこにあるものを見るよう促す。

「これが何だか分かるか。」

少年は怯えていたが、恐る恐る歩き出し、光の柱を覗く。そして同時に絶句した。

それは、中を透明な液体に満たされたガラスの円柱であった。

光の出処は、その根元にある青のダイオードにあった。ぼんやりと青く照らされた水中に幾本かのケーブルが浮かび、上へ上へと続いている。少年はそれを追って視線を昇らせる。すると、ほんの2メートルほど頭上に何かが浮かんでいるのが目に入った。

少女であった。一糸纏わぬ姿の、長い黒髪を持った少女が、膝を抱えた格好で浮かんでいる。黒髪の中に消えているケーブル群は、その体に繋がっているように見えた。

「科学文明黄金期の遺産だ。」

カンテラで辺りを照らす男は言った。

「または、過ぎ去りし時代の忘れ形見か。現代の技術だけでは最早解明することが不可能な、人類の叡智の総決算。目的は、さしずめその力や知識の伝承にあるのだろうな。我々がまさにそれらを失いつつある今、彼女は覚醒して然るべきだとは思わないか?」

男はカンテラを床に置くと、鞄の中から布に包まれた棒状の物を取り出した。さらに布を解いた中から、長さ1メートル程ある斧が現れる。

「何するの?」

少年が問うた。

「決まっているだろう、眠り姫にお目覚め願うのさ。古典に出てくる王子様のキスにしては、少々荒っぽいが。」

「やめて!」

少年は叫んだ。

「本当に駄目なんだよ、彼女を目覚めさせてはいけない。」

「いいねえ、お前の素顔も割れてきた。」

男は笑う。

「いやはや、施設を抜け出す時、お前を連れてきた事は間違いではなかった。僅かな食料を分け与え、空腹に苦しんだ甲斐があったってもんだ。まさかこんな世紀の大発見に、解説付きで立ち会えるとは。お前の正体を教えてやろう。お前は、400年以上前に生成されたバイオロイドなんだよ。と言っても、その魂は人間のそれそのものだ。遠の昔に禁じられたゴーストパック・システムと呼ばれる魂の電子化技術によって、お前はその体に閉じ込められたのさ。」

「僕は何も覚えていない、僕の故郷はあの谷だ!」

「いや違うね。」

男は尚も畳み掛ける。少年の体はぶるぶると小刻みに震えている。

「最初期の身体検査の時点で、お前の体が人工物だとの結論は出ていた。なぜ施設に監禁されたのだと思う?お前の体そのものが最高の技術の塊で、他国に身柄が移ること自体が国に危機を招きかねないと判断されたからだ。お前と俺の出会いは必然だった。お前は俺をここに導くべく造られた、水先案内人だったのだよ。」


突然、誰かの囁きが聞こえた。それは男の知らない言語で意味は読み取れなかったが、それが女の声であることと、男に向けられて発された言葉ではない事は理解することが出来た。

「誰だ?」

男は語気を強めて言った。

「どこから見ている?」

すると再び、別の方向から同じ声が聞こえた。男はカンテラを手に取り、声がした方向に向ける。しかし、そこにあるのは黒い壁面と、遥か上方へと続く深い闇のみ。

「分かってる、君はまだ眠っていたいんだね。」

ふと、少年が呟いた。男はぎょっとして思わず向き直る。

「不幸にも、想定通りの事態が起こってしまった。君は不可能だと言っていたけど、人間の探究心は馬鹿にならないだろう?」

「...何と喋っている?」

少年は男の問に答えなかった。しかし、男に言う。

「こうなってしまった事は残念に思う。警告はしたし、私を悪く思わないでほしい。」

「何が言いたい?」

男は、ふと少年の身体能力についての調査結果を思い出した。四肢を人工筋肉に換装された軍人の身体能力とほぼ同等か、それ以上。

「貴方は私を連れ出した時、もっと熟慮すべきだった。以前から追っていた『電子の鳥』を目覚めさせるという事、ここに保存されている情報が持つ意味、とりわけなぜ彼女が眠っているのか、という事。つまり、目覚めるには早すぎるのだよ。」

男は口を噤んだ。

「おっと、死に行く相手に話しすぎたか。元医師として誰かを手にかけることは気が進まないがね、私には守護者として、防衛機構としての果たすべき義務がある。ただ貴方は、なぜここで命果てなければならないのか、軽く説明を受ける権利はもちろん有している。」

「...お前は誰だ?」

「私か?」

少年の形をした何者かは、少し微笑んで言った。



「言ったろう、元医師だ。」

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