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召喚されし者達  作者: カール・グラッセ
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混沌とした最前線(1)

走り出した真一を追いかけ今までハデスとの戦いを見ていた者達も走り出す。

そして、カーネルの声がしている林の方へと到着した真一が見たものは…

混沌とした状況だった。

まず、巨人族同士が戦闘している。

しかも、真一が見たことある巨人族同士なので魔王軍の巨人族同士が戦っている。

そして、見たこと無い魔族と巨人族が戦っている。

ついで、神族と戦っている魔族がいれば、神族と戦う巨人族もいる。

ぶっちゃけどれが敵でどれが味方かもわからない戦場がそこには広がっていた。


「…わけわからん。」


真一に追いついてきたボッシュが横に並び戦場を見て眉を潜めながら言う。


「…戦場ってこんなんでしたか…?」


バット、リッツ、ザークの三人を相手に一人で一進一退を繰り返しているカーネルを見つけた真一が何も言わずに加勢に入る。


「おい、カーネル。この三人はどういう状態なんだ?」


真一が来たことで少し余裕ができたのかカーネルが返事を返した。


「わからねえ。呼びかけても返事ねえし、倒しても痛がりもせずに起きてくる。その割にはあいつら連携ちゃんととってきやがる。」


「じゃあ、こういうのは?」


『疾風迅雷』を使って三人の背後に回った真一が当身を当てた。


「ああ、それはきかねーんだわ。」


カーネルが少し下がり息を整えながら言う。


「や、試したなら教えてくれよ…」


「話す前に大将が突っ込んでいったんだが?」


カーネルが少し呆れ気味に嘆息しながら半眼で真一を見ると、真一は目を逸らした。


「あ、それはそうと… 三人にぞんざいに扱われてたおっさんどこだ?治療くらいするぞ?」


「そこにいるんだが…なっ!」


カーネルも鍔迫り合いから相手を吹き飛ばしながら返事を返してきた。


「しかも、なんだこの混戦?どれが味方でどれが敵かもわからんぞ?」


真一がアインズを治療しながら聞くとカーネルも同意した。


「いやな。俺もこっちきて驚いたんだよ。しかも、人族の軍まで入り乱れ始めてるから3族が全部ここでかちあってるっぽいぜ?」


「ってことは… レオナルド様達もこの付近にいるってことか。」


「ああ、そうだし、武達もこの付近ってことだな。」


真一は少し口角を吊り上げるがすぐ横一文字へと口を結ぶ。


「ボッシュ!いるか!?」


ダガーを手に真一の傍で神族と切り結んでいたボッシュがそのまま返事を返す。


「なんとか生きて傍にいますけど… どうかしましたか?」


「うちの魔王軍をまとめろ。このままだと単なる消耗戦だ。無駄に命散らせるな。」


「最前線たるこの近辺がこういう状況ですから… 全員の頭の上から冷水浴びせて廻らないと難しいかと…」


「…マジかよ。ん?あそこに見えるのは…」


少し遠方で激しい攻防を繰り広げている者達が見える。

誰が戦っているのかまではわからないがかなり激しく、辺りの地形が


「ボッシュ、カーネル。お前らこの辺りで無闇に突っ込まずに前線維持してくれ。俺はあそこに行って来る。」


「え…」「おい、大将!?」


「くれぐれも魔族と人族には手出すなよ?」


「ってか、あんたは今度何をしでかすつもりなんだ?っと、ザーク大人しくしてろ!」


再度撃ちかかって来たザークを蹴り飛ばしながらカーネルが聞くが真一は返事をしなかった。

返事を返さないまま闊歩し、戦場を歩いていく。


(わからないことは山ほどあるし、減るどころかどんどん増える。日々平穏なのんびり生活が気が付いたら波乱万丈なことになってるし、やらなきゃいけないことも減るどころかどんどん増えて時間がいくらあっても足りやしない。考えることもどんどん増えてはっきり言って一人じゃ処理が追いつかねえ。)


「何から手つけていいかもわからないが… 一番大きいドンパチ収めりゃとりあえずこの場は全部収まるんじゃねえか?」


一人ごちながら真一は激闘の地へと歩み続ける。

そんな後姿を見ながらボッシュがぼやいた。


「っ!あ・の・ひ・と・は~~~~~~~!!!毎回毎回突っ走って~~~~~!!!」


そんなボッシュを横目に見ながらカーネルが同情する。


「気持ちはわかるが、正気を失った味方をどうにかしながら大将追っかけるのはきついぞ?」


「あの人、絶対わかってて行きましたからね!」


「しゃーねーな… イース?いるか~?」


「カーネル、どうしたの~?」


「他の奴らは大将の言うようにこの近辺でまとまるようにしとくから、猫又族だけで先行して大将の護衛行って来てくれ。まったく… こいつらもなんとかしたいところなんだが…なっと!おら!お前ら、バットふんじばれ!!」


正気を失った巨人族の者達を次々と行動不能にしながらカーネルは周辺をまとめ始めていた。


「え、私行ってきていいの!?行く!すぐ行って来る!」


ずっと一緒に行動していたのに真一から話し掛けられていなかったイースは嬉々として返事をした。


「…なんのために行くってのを忘れるなよ…?」


「も、もちろん!じゃ、猫又族~!魔王様のところまで突撃~!!」


イースの様子を見て戦闘中にも関わらず毒気を抜かれたカーネルやボッシュは頭が痛くなるのを覚えつつ自分達の相手と向き合った。

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