準備
競争が始まり、勇者希望者達は王様に許可をもらって少々と武器や防具を支給してもらって街へ出発した。
とはいえ異世界に来て初めて街へ出るのでアンナさんを始めとして、何人かコートを着た人達について来て貰って案内をしてもらうことかららしい。俺も誘われたがこの王城ですることがあるので残らせてもらった。
「王様、まず便宜を図っていただきたいことが何点かあるんですが。」
「ふむ、どのくらいあるかわからんが言ってみてくれ。可能であるものは許可する。ジュリウス、記録せよ。」
「わかりました。」
ジュリウスさんが記録準備できたのを見て俺は言い出した。
「まず…、勇者を目指さない者達の一時的な食事を含めた住む場所の保護。これは期間を設けましょう。あと、これも期間付きですが私にこの異世界を勉強させてください。最後に…王様、これ換金してもらえないですか?」
王様の傍で話を聞いていた王子様や王女様は驚いている。
「自分達とは関係のない人達の保護だと?」
話の途中で王子様が思わず口から疑問が出ているがそれに答える。
王様と王女様もどうやら気になるようで王子様の質問を止めない。
「そんなに驚くようなことではないでしょう?勇者を目指す気にもならない人達が異世界で生きていくのは大変ですし、誰かの手を借りないと最初は辛いものです。」
「自分達に協力的でない者達でも、か?」
「邪魔をするならさっきの高橋のように組み伏せますが…。勇者候補じゃなければ生きてる資格無しというわけではないですからね。かと言って制限無しに保護してもらうのは王国にとって無駄飯食らいを住まわせるようなので言えないです。なので一時的ということですね。」
「その期間を過ぎたら?」
「その期間を過ぎそうな頃にもう一度知らせてもらいたいです。保護してくれる人が他にいない人は私が保護します。」
「なぜそこまで面倒を見ようとする?」
「う~~~~~ん、それが一番自分が安心するからでしょうね。」
「安心?」
「そうです。後になってもっと何かしてあげていたら~などと後悔せずに済みます。」
「弱い奴から死んでいく。お前の考えは惰弱すぎる。」
と、王子様は鼻で笑ったが俺はそれに反論した。
「おや、王子様、その考え方は間違ってますね。」
「何!?我が間違っているだと!?」
「そこで激昂するのはお門違いですが…。いいでしょう。あなたは誰ですか?」
「我はジャック・メイソン。時期国王じゃ!」
「ならば…。ジャック・メイソン!あなたは一国を預かる身になるはずであるのに弱者は死すべし、と言ったが国民全員にそれを言うのか!その言葉や心情は政治に対しても働き弱者は死ぬ政治へと変わる。現国王であるレオナルド様の統治がしっかりしていればしばらくは非道でももつかも知れないがいずれは崩壊する!今のあなたの発言と心情は部下を伝わり、部下から市民へと伝わる。伝わったが最後いつかは市民から剣を向けられるようになる。あなたは現王国の崩壊やご家族が市民に殺されることを望むのか!」
「なっ…。貴様、王族の我へ向かってなんて口を…!」
「王子よ、貴様の方が間違っておるわ!!」
王子様が怒りで真っ赤になり怒鳴り散らそうとしてるところで、王様が怒り殴った。
「ち、父上…?」
「バカ者が!真一殿が申されたのは統治する者の考え方の基本じゃ!お前のような考えかは国を傾け崩壊へ導くということもわからんのか!情けない…。忙しさにかまけてお前のこういった基本的な考え方も知ることも教えることもできていなかった自分も情けないがお前も情けない…」
「そんな…。我は王族として誇りを忘れず…」
「先にも言ったはずじゃ。王族のご先祖様たる勇者も元々は一般民。誇りも何もない。国のため、市民のために動くのが王族じゃ。それがなんと…。真一殿、突然失礼した。ご教示ありがとうございます。最初の勇者を目指さない方々の一時的な保護はわかりました。他の2点は勉強と換金でしたか?」
「はい。しかし、王様、お願いです。敬語はやめてください。私が困ります。」
「いえ、ワシ自身、王としている間に親としてしなければならぬことをしていただいたような身。感謝に堪えません。」
「…失礼ですが王様の年齢はおいくつですか?」
「今年42です。」
「では、私より1つ下なだけなのでこれからは友人として接してもらえないですか?」
「おぉ!それは嬉しい!ワシとしてもありがたい!」
「じゃあ、その友人としてお願いしたい。私はこの世界に慣れていないのでその為に一般常識から法も含め、植物や動物の名前を勉強したり歴史なども知りたいのです。その為に教師を紹介してもらうなり、勉強をするために必要なものを揃えたりなど手伝ってはもらえないですか?あと、レオナルド様のご先祖様が私達の世界でいつ頃の方か知りませんが私達の世界でも年代が違えば通貨の形が変わっていたりします。『2回目の勇者が元の世界で使っていた通貨』というのはお金になりませんか?こちらの世界のお金という物が私としては欲しいのです。」
「ふむふむ、どちらも納得しました。どちらも可とします。ジュリウス、記録したらすぐその準備じゃ!」
「わかりました。さっそく用意致します。」
「ところで真一殿。そのお願いを3つ許可するので代わりと言ってはなんですがこちらからもお願いを聞いてもらえないか?」
「内容によりますけど、何でしょう?」
そう聞くと王様が突然その場で土下座してきた。
「あなた方、真一殿、武殿、公彦殿、3人で得意な分野だけで構わないので愚息の師となってはいただけないだろうか!」




