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召喚されし者達  作者: カール・グラッセ
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反乱軍現る



その兵士は走りこんできたものの、その場にレオナルドだけでなくロキ達魔族もいるのを見て報告していいのか決めかねジュリウスの顔を見た。ジュリウスはその兵士の思いをすぐ読み取りレオナルドと視線を交わし頷くと兵士へ向けて頷いた。


「陛下、申し上げます!ボルボット大森林を越えてロキシードから軍が向かってきてます!」


ジャック王子の反乱から数日が経過したものの王都の占領、王として王位に就いて民衆へ自らが新たな王だと宣言し、新たなロキシード軍を興しレオナルドを襲う。

そこまでの流れが実にスムーズすぎることから、事前にどれだけ入念な準備がされていたのかをその場にいる者達は感じ取った。それはレオナルドやジュリウスだけでなく、ロキを始めとした魔族、最初に反乱の話を聞きだした真一達でさえもである。


「…そうか。規模は?」


「万を越えるものと思われますが詳細な数は森を完全に出てないのでわかりません!」


「ふむ… 下がれ。」


「ハッ!」


報告を聞いたレオナルドが兵士を下がらせるとぼやいた。


「…ジュリウスよ。」


「はい…」


「ワシは38代目のロキシードの王じゃ。」


「はい。」


「仲が悪い王と次代の王の話も聞いたことはある。」


「はい。」


「じゃが… 実際に反乱を起こされた王というのを聞いたことがない。お前の知識の中に存在する王はいるか?」


「いらっしゃいません。」


「…そうよな… レディと同じ教育を施し、レディと行動を常としていたにも関わらず娘と息子でこの違いか…」


「…」


「この反乱を鎮めた後、ジャックを前回の騒動と同じように牢へ入れる… それだけでは済まんよのう…?」


「初犯であれば可能ですが、この度は牢から脱獄してからの反乱… 且つ、用意周到な根回しと恐らくですが、事前に多くの者達を説得し煽動したことから罪は深いものになります。それなりの処罰をせねば国民が納得いかないでしょう。」


「……討たねばならぬか…」


そう言いつつ、レオナルドは落涙はさせないものの明らかに肩を落とした。

そんなレオナルドに声を掛けられる者はいない…かと思われたが、真一が声を掛けた。


「レオナルド!」


ガシッと音がしそうなほど勢いよく、そして力強くレオナルドの両肩を両手で上から叩くように掴んだ真一はそのまま正面からレオナルドを見据えて話す。


「ジャック王子のことでショックを受けるのは構わない。だが、既にジャック王子の反乱軍は『軍』として動いているうえにボルボット大森林を越えてきているんだろう?ならば、対応しろ!このままショックを受けて何もしないでいるなら人族の軍は壊滅する。レオナルドが死んだら俺も人族のためにそこまで尽力しない。つまり、魔族との同盟も解消される。全てが後手後手になるんだ。人族の王はあんただろ?」


真一から掛けられた言葉を聞いて、虚ろになっていたレオナルドの目に光が戻り、やがて焦点が定まっていった。


「…そうじゃな。確かにワシはここの兵達の命も、人族の未来も現在預かっている。ショックを受けて全てを投げるには早いか。じゃが、真一殿よ。」


「うん?」


「ようやく、そうやって普通に話してくれるようになったか。義理の息子であり、我が友人という立場になってから初めてそういう話し方をしてくれた気がする。ふふ… そうか。これが『友』というものか。いいものじゃな。」


「あ…」


「いや、本心から嬉しい。じゃから、今更話し方を元に戻さんでくれ。友として頼む。武殿、公彦殿もそうじゃ。ロキ殿もな?」


「…うわ…」「……わかりました……」「おう。いいぜ。俺も堅苦しいのは苦手だから同じように話してくれ。」


そう話をしているレオナルドの肩の高さがいつもの高さに戻ったのをジュリウスは確認し静かに瞠目した。


「ロキシードから向かってきている軍はこれから反乱軍と呼ぶ。以降、人族の軍はワシの軍を指し、反乱軍はジャックの軍とする。」


「わかりました。我が王よ、その反乱軍ですがどうなさいますか?」


「どうするもない。これはバカ息子が起こした軍じゃ。ロキ殿や真一殿ではなくワシの軍で潰す。」


「いえ、そこではなく… どう対処なさいますか?」


「…ふむ、全体数がわからない以上突撃させるわけにもいかんし、万を越すとなるとのう…」


レオナルドとジュリウスが対策を話しこんでいると横から真一が口を出した。


「あ、これからの反乱軍と戦闘するなら推薦したい人がいるんだけど…」


すると、その場にいる全員が真一の次の言葉を待った。

そして、一呼吸吸った真一が出した言葉は…


「おい、武。お前やれよ。」


「そこで俺かよ!」


「お前なぁ、こういう時くらい恩返しのつもりで動けよ。」


「…いつか言おうと思ってたけどさ。お前、絶対俺のこと買い被ってんだろ?」


「俺はお前のことを昔からできる奴だと思ってるぜ?お前、頭はバカでも感覚的なもんが天才の部類だと思ってるし。第一、戦略や戦術は上手いだろ。」


「それはゲームでの話だろうが!実際に戦闘なんてこっち来てからしかしてねえよ!」


「ジュリウスさん、人族の軍はどのくらいいますか?」


「俺は無視かよ!!」


「現時点で総勢3万人。会議開始以前はもっと多かったのですが、さきほどの神族との戦闘で負傷した者や死んだ者、逃げ出した者が数多すぎてわかるだけだとそれくらいです。」


「その中から、1万人をこいつに指揮させてやってもらってもいいですか?」


「ちょ、真一!」


「お前は黙ってろ。で… どうです?」


真一に聞かれたジュリウスはレオナルドと顔を合わせ、真一の顔を見返すと頷いた。


「じゃあ、大将・武、副将・公彦でよろしくお願いします。」


「え!真一君、僕もなの!?」


「お前も武と同じく恩返ししろよ。それに…お前には別に役割あるはずだからそっち頼みたい。」


「何?」


「今回の反乱、俺達と同じく召喚された者達もいるはずだ…」


「「高橋か!!」」


武と公彦が思い浮かんだ人物の名前を叫ぶと真一は苦虫を潰したような顔で頷いた。


「恐らくだけどな… でも、前回はジャック王子と高橋と二人掛かりで俺を殺そうとしてきた。で、二人共仲良く牢屋行き… つるんでてもおかしくないだろ?」


「確かに…」


そこまで話をしているとロキが質問してきた。


「え、真一?真一達と一緒に召喚された奴らって味方じゃないの?」


「一緒に召喚されたからって仲間っていうわけじゃないぞ?ロキだって魔族の中に嫌いな奴もいれば、馬が合わない奴だっているだろ?それと同じだよ。」


「なるほどな~ 召喚された奴らって古代勇者達みたいにほとんど一緒なのかと思ってたよ。」


「古代勇者はどうだったか知らんが俺達は違うってこった。…ジュリウスさん、ちなみに藤井さん達は安全なんですか?」


「彼女達には本当のことを話してこの軍に動向していただいています。真一様にお会いしたいと申しておりましたよ。」


「あ、いえ。安全ならいいです。ありがとうございます。」


いくつかの視線に貫かれるようなものを感じてなぜか真一は自然と丁寧語になった。


「とりあえず、ボルボット大森林から出てくる反乱軍はみんなでお茶しながら武のお手並みを拝見しましょう。」


その場にいる全員に対して真一は声を掛けつつ、武と公彦の顔を見ると満面の笑みを浮かべた。

本日は山口県周南市であるのBRABRAFFコンサートに行ってきます。

行く前に原稿が間に合いホッと一息の筆者です。

以前はこのようなコンサートなど行ってなかったのですが行ってみるといいものです。

コンサート会場まで車で3時間ほどかかるのがネックですが、そこは頑張ってきます。

ではではノノ

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