表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

夢のまた夢、外の世界

作者:

この小説は、東方プロジェクトの二次創作物です!

東方紺珠伝のキャラも、少しだけ出てます。

私は霧雨 魔理沙。ある地域のある高校に通っている、一年生だ。

友達は……いない。なんだか言葉遣いが変とか、髪の色が変とかで、昔からいじめられている。でも、勉強はそこそこ出来るし、最近はそのいじめもやんわりしてきたから、別に何も考えずに毎日を過ごしていた。


ある朝目が覚めると、曇り空だった。

「あーあ、今日も無色な一日が始まるんだなあ…」

小さく呟いて、自分の心を写したような空を見上げる。しばらくして我にかえると、私は急いで制服に着替えて一階に降りていった。


キッチンに行くと、トーストのいい匂いがした。お母さんが挨拶をする。

「あら、魔理沙。おはよう。今日も無理しないでね」

「うん」

私がいじめられていることを知っているお母さんは、いつも「無理しないでね」と言う。私は大丈夫なのに… いつか必ず、あいつらを見返してやるから。

そのまま黙々と朝ごはんを食べて、学校に行く時間になった。

「じゃあ、行ってくる」

「…頑張ってね」

短いやりとりだ。


通学路を一人で歩いていると、同じクラスの人の声が耳に入ってきた。どうやら後ろに二人ほどでいるようだ。

「ねえ、知ってる?今日、うちらのクラスに転校生が来るんだってー」

「え、ホント?どんな名前なの?」

「職員室で先生たちの話を盗み聞きしたの。名前は……博麗 霊夢だって」


みんなに目もくれず教室に入った私は、さっきの人たちの会話が本当だったことを知った。なぜなら、黒板の前に先生と二人でいたその人は、全くと言っていいほど面識のない人だったから。

赤いリボンを頭に飾った彼女は、面倒くさそうに先生の説明を聞いていた。

………………どこかで、見たことがある。この人は。


朝のHR(ホームルーム)の時間になりみんなが席に着くと、先生が転校生の説明を始めた。

「今日は、このクラスに転校生が来ることになりました。博麗 霊夢さんです。みんな、仲良くしてあげt」

すると驚いたことに、その言葉を遮って霊夢が勝手に話し始めた。

「私は別に仲良くしてくれなくてもいいの。こっちの人たちには興味ないし、すぐに元の場所に戻るから。ただ、人探しに来ただけよ。それで、その人を連れて行く。それだけ」

彼女はあっけにとられている全員をぐるっと見渡し、私のところで視線を止めた。

「……必ず連れ戻してあげるわよ。魔理沙」


放課後。

教えていないのに名前を当てた霊夢は、一人で本を読んでいる私のところに歩いてきた。

「あんた、こっちでも本が好きなの?」

びっくりした私が素早く振り向くと、霊夢はにやにやしながら答えを待っている。

「こっちでも…って、どういうことだ?」

彼女は鼻で笑うと、顔をぐっと近づけた。

「本当に覚えてないのね。……幻想郷のことを」

「幻想…郷…?」

「そうよ。聞いたことがある単語…そうでしょう?」

「ああ。どこかで…」

「何度も言うけれどね。あんたは絶対に連れ戻す。その幻想郷に」

意味のわからないうちに、放課後は終わってしまった。


数日後。

放課後、特にすることの無かった私は、次の授業の準備をしていた。

「次は国語……ん?」

机の中に、教科書が見当たらない。忘れ物をしたら、授業が始まったときに先生に言わなければいけない。

「うー… 恥ずかしいから嫌なんだよなぁ…」

でも、無いものはしょうがない。私は黙ってチャイムを待つしかなかった。


「それで、忘れ物をした人ー」

授業が始まり、先生がチェックをした。手を挙げたのは、私一人だ。

「…教科書を忘れました」

すると、クラスの何人かがクスクス笑っているのが目に入った。そうか。今朝確認をしたときは教科書があったのに、今無いのはそういうことか。いつものいじめだ。どこに隠したのかな…

でも、今は何も出来ない。私がうつむいた、その時。

「ほんっと、生徒も教師も体たらくなものねえ。これだったらハクタクの方が優秀よ」

霊夢がわざとらしい大声で言った。先生を指差しながら席を立つ。

「生徒のいじめに気がつかないなんて、あんたそれでも教師なの?呆れたぁ」

「なっ?博麗さん?」

戸惑う先生を尻目に、霊夢は私の方へ歩いてきた。

「魔理沙。思い出しなさい。あんたは、こんな卑劣な人たちの中にいるべき者じゃない。あんたがもともと住んでいた場所も、そこで今もあんたを待っている人たちも全部思い出して。紫も、咲夜も、アリスも、早苗も、みんな魔理沙が戻ってくるのを待っているの。人間代表の魔法使いである…魔理沙をね」

「あ…」

一瞬、頭の中に何かが浮かんだ。ぼやけてたけれど、なんとなくわかる。傘をさした金髪の人。メイド服を着た人。赤いカチューシャを着けている人。緑色の髪の人。その他にも大勢の人が、手を振っていた。霊夢が少し微笑む。

「軽く思い出したわね。いい?魔理沙。これは夢の中なの。あんたは外の世界の夢を見ている。私は、その夢に入ってあんたを連れ戻そうとしたんだけど…」

彼女は言いながらロッカーの方に歩いていき、六角形の箱を持って戻ってきた。

「あんたの幻想は、あんたが壊さないとダメみたい。どうすればいいか…わかるわよね?」

その箱を私に渡すと、霊夢は促すように私を見た。私の方はというと、何かが口を突いて飛び出そうとしていた。何か、言いたい。言うべきことがある。私は、頭に浮かんだ言葉をそのまま口に出した。

「恋符……」

「いい調子よ、魔理沙。その次に言うことは?」

「恋符…マスタースパーク‼︎」

箱から黄色い光が勢いよく飛び出したかと思うと、教室やクラスメイトたちが次々と砕け散っていった。揺れる世界の中で、霊夢が私の手をつかんで叫んだ。

「紫!今帰るわ‼︎スキマを開けて‼︎」


「…ん…?」

魔理沙が目を覚ました。もう大丈夫だろう。

「ふふ、目が覚めたわね」

「霊…夢?」

外の世界の夢を見て、何日も眠っていた魔理沙。永遠亭の医者は放っておけば大丈夫と言っていたけれど、信用しなかった紫が私を夢の中に送り込んだのだ。成功したみたいで何よりだ。

「あのさ…」

魔理沙が私に何かを聞こうとしたが、その時にはもう、私は魔理沙宅から出てきていた。扉の前に立っている人に話しかける。

「ホント、迷惑なことをしてくれるわね… もうこんなイタズラやめてよね。



…ドレミー・スイート」


閲覧ありがとうございました!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] えっと、返信への返し方が分からないのでこちらに書きます。 ヘカーティア ラピスラズリって変なTシャツ野郎ですよね?(早苗が言っていた それにしても最後の霊夢の一言聞いた時、ぞくぞくしま…
[良い点] 見ましたよ! ドレミーって、バク……ですよね? 紺珠伝知ってるんですか? 私は、クラウンピース好きですよ!
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ