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 明日は大晦日である。

海斗は、今年最後のバイトを終え、バス停でバスを待っていた。

「や。お疲れ。」

鷹野がやってきて、海斗に声をかけた。

「お疲れ様です。」

海斗は、寒さで真っ赤にした頬でちょこんと頭を下げた。

本当のところはバスを待っていた訳じゃない。鷹野を待っていた。

もちろん、本人には待っていたなんて言うつもりは無い。

「海斗は、明日、明後日と休みだったな。」

「はい、年明けの2日からの出勤です。」

「・・・そして、6日で終わり、と。」

海斗は、空を見上げた。

「冬休みなんて、あっと言う間ですね。」

そう言い、ふんわりと笑う。

夏の様に心動く事などもう無いと思っていたのに、この冬の寒さとは真逆の心の暖かさが彼の笑顔を柔らかくしていく。

「やっぱり、血の通った親子には適わないなぁ」

鷹野は小さな声で呟いた。

“どれだけ僕が言っても、頑なだったのに”

鷹野は海斗の横顔を見つめていたが、はぁと息を白くさせながら彼も海斗と同じように空を見上げた。

今、見ているのは同じ星だろうか?

「これが終われば、次は大学生の実習が始まる。当分は学生相手の毎日だな。」

海斗達、アルバイトがいなくなっても賑やかな行事はまだまだ続く。

海斗は、その大学生たちが羨ましく思った。

「景さん。俺、景さんがしているような仕事がやりたいんです。」

鷹野は、海斗の言葉に驚いた。

「博物館の学芸員がしたいのか?」

海斗は、少しな斜めに首を傾て、考えながら言った。

「・・・景さんと、一緒に仕事がしたいんです。その為には、どこに進学したらいいんですか?」

「えっ!?」

耳まで真っ赤にしながら海斗は、鷹野を潤んだ瞳で見つめた。

“ちょ、ちょっと待ってくれ。なんか、今、僕は口説かれてる気がしてきた・・・”

若干焦り出す鷹野をさらに煽る様に、海斗は近づいてくる。

「あ~。それなら大学で学芸員の資格を取りなさい。それと古生物学、大学によっては理学とか地質学とかに含まれている事があるからそこは調べて。あとは、恐竜の化石が掘りたいなら、海外の大学で学べばいいと思うよ、うんうん。」

両手でストップの意志を表し、早口でまくしたてた。

「そう・・ですか。」

海斗は、すこし戸惑った顔をした。

“お、落ち着け”

鷹野は深呼吸をして自分を取り戻す。

「だがな、海斗。大学で何を学ぶにしても、興味や熱意が無いと続かないぞ。」

「熱意は、あなたから教えて貰います。」

なんなんだ、今日は。この天然青年は何を考えているんだ。

はっきり言って降参だ。

「ぐっ、・・・この純粋な顔でそんな事を言うなよ。」

呟きを聞き取った海斗は、キョトンとした顔をした。

「えっ?あっ!!!」

海斗もその意味が解ると、恥ずかしくなって慌てて訂正した。

「教えてもらうっているのは、勉強とですね、あと、古生物学の面白さとかで・・・」


あの日から、少しずつ思いが積もり始めている二人だった。


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