表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
34/57

34  回想  夏の記憶 20

「ほう。」

蓮の父親は、机の上で組んでいた手を解き、椅子の肘掛へと移した後、その身を椅子の背凭れへと委ねた。

「蓮は、私と駆引きをするのかね?」

父親は、先ほどから余裕の顔だ。

「駆引きだなんて、僕はただ、僕自身が自由になる理解と了承を乞いているだけです。」

蓮は、まだ父親を見据えたままだ。

手持ちのカードは全部切った。

後は、もう押し通すか、それとも・・・。

父親は、ふうんと言ったっきり、何やら暫く考えていた。

静まり返った部屋には、僅かに動く空調が聞こえるだけだ。

蓮は、その時間が、とても長く感じた。

ようやく父親が大きなため息をしながら、組んだ足を組み替えて言った。

「ふむ。お前の揺らぎ無い気持ちはよく分かった。」

その言葉を聞いて、蓮が身を乗り出した。

「では!!」

もしかしたら、叶うかも知れない!

「まぁ、待て。」

蓮は嫌な予感がして、額に手を当てた。

「なんだと言うのです?」

蓮は、ものすごくイライラした。

「財産と引き換えに自由をくれとお前は言うが、まぁ、悟の件に関しては、私がお前たちに迷惑を掛けたのだ。済まないと思っている。

だから、という訳ではないが今回はお前にチャンスをやろうと思う。」

「チャンス?」

「そうだ。ビジネスに置いては、交渉が大事な場面も多い。

お前も鍛え上げれば、何とかなりそうじゃないか。」

“なんだか怪しい雲行きだ。このオヤジは、俺に何をさせようって言うんだ?”

「お前・・・アメリカへ行って勉強して来い。」

「はっ???」

“何の事を言ってるんだ?この色ボケおやじ!”

心の中で、散々悪態をつく。

「何故、アメリカなのです?」

「ヨーロッパでも良いが、お前はアメリカの方が向いている気がするな。」

どこにも向いていない。第一、日本語以外喋れない。

「そうではなく、何故海外へ行かねばならないのです?」

父親は、ふっと笑い言った。

「そのうち、分かる。」

むっとした蓮の顔を見て、父親は付け足して言った。

「お前が25歳までに、何とか一人前になればお前の恋愛には、一切口出しはしない。

それに、今あるもの、すべてもお前に譲る事にしよう。」

ー!!!!ー

「な・・・なんで・・・」

「簡単な事だ。経営者という職業は、世襲制だけで乗り越えられるほど、この世は甘くないという事だ。

だが、逆に才能があって、その才が開花すれば自ずと道も開かれる。

冬の寒さに耐えた花ほど美しいのは、桜を見れば充分だろう?」

俺は、ビジネスの話をしに来たんじゃない。

「じゃぁ・・・海斗との事は、認めてくれるんですか?」

「それは、お前が25歳にならないと、どうにも。今は返事は出来ないな。」

「・・・」

上手く逃げられた感がある。

「なに。25歳までに一人前になれば問題ないさ。まぁ、簡単じゃないがな。」

「はぁぁぁぁ。」

蓮は、大きな溜息をついて、ソファにうずくまった。

さて、どうしたものか・・・

海斗は・・・海斗ならどうするんだろう・・・。

蓮は、無性に海斗に会いたかった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ