表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
30/57

30  回想  夏の記憶 16

 夏休みが始まった。

今日もバスケ部の朝練が始まる。

だが、早朝なのはラッキーだ。

昼の時間帯だと、少し動くだけで汗が出て止まらない。

「今日も暑くなりそうだなぁ。」

海斗は青い空を見上げた。

うるさく鳴く蝉の声に、頭までやられそうだ。

「野郎ども、始めるぞ。」

北山の大きな声が体育館に響いた。

ストレッチの後、フットワークやコートを使用したダッシュで汗をかく。

体が動くようになると、次はパス練習だ。

海斗と蓮はいつものように、二人で組んで練習を始める。

中学から始めて、もう、どのくらい二人でパスを出し合ったか分からない程だ。

ボールは何度も何度も二人の間を行き来した。それが当たり前であるように。

ツーメンランニングやフォーメンランニングの練習を終えると北山は休憩を取った。

「15分の休憩だ。水分補給、忘れんなよ。」

「ウス」

皆、びっしょりと汗をかいていた。

「あちぃ~。」

東と真田は着ていたシャツを脱いで、タオルで拭いている。

「海斗、顔を洗いに行こうぜ。」

「そうだな。」

海斗と蓮は、外にある水道へ向かった。

6つ蛇口が備えられた水道の水は、最初は生ぬるかったが、徐々に冷たくなっていった。

二人して、バシャバシャと洗う。

校庭では野球部が朝練を始めていて、カキーンとバットで球を打つ音が等間隔で聞こえてきた。

「頑張ってるねぇ。」

「あぁ、うん。明日、試合があるらしいよ。立花が言ってた。」

蓮が、ん?という顔をした。

「立花?」

「あぁ、同じクラスのやつだよ。」

海斗は、フーと言いながらタオルで顔を拭いている。

「・・・」

蓮は蛇口を海斗へ向けると、手を当てて思っいきり水栓を回した。

勢いよく海斗に水がかかる。

「なっ、何すんだよ!」

海斗は蓮を睨みつけた。

「他の男の話、するからだよ。」

蓮は、当然とばかりの顔をする。

「おまっ、どんだけ嫉妬深いだよ!」

海斗は、怒るのを通り越して呆れてしまう。

「ほんっと、シャツもタオルもびしょびしょじゃねぇか。」

ぶつぶつ言いながらシャツの裾を握って絞っていると、蓮の手が伸びてきた。

「な、なに・・・」

手は海斗の濡れたシャツの上から胸をなぞる。海斗はフルっと背筋がなった。

「なんか・・・透けててエロイ・・・」

蓮の目は、色気を含ませて海斗を見つめている。

ー!!!!!ー

「誰がしたんだっ、バカヤロー!!!」

海斗は濡れたタオルを蓮に思いっきりぶつけると、ドカドカとその場を去った。

「おっと・・・」

ぶつけられたタオルを拾い上げる。

“怒った顔もまたいいんだけど。”

蓮は、その後ろ姿を愛しげに見つめながら思った。

“信じらんねぇ、信じらんねぇ、信じらんねぇぇぇ”

海斗は恥ずかしくなって顔を真っ赤にしながら、着替えのシャツを取りに部室へ行った。


 朝練が終わり、メンバーはぐったりとなりながら、それぞれ学校を後にする。

「海斗、今日もうち来る?」

最近は、朝練が終わり昼をどこかで食べた後は、蓮の家に行くことが多くなった。

蓮の家は、数人のお手伝いさんがいる程、立派な家だが蓮の両親にあった事は今までに一度もない。

仕事が忙しいのだそうだ。

「うん、宿題持って行く。一緒にやろうぜ。」

海斗の家も両親は共働きだが、父親は技術者で今は海外出張をして家にはいない。

二人共、親の不在に慣れっ子だった。

「じゃぁ、ばぁちゃんに、昼飯作ってもらおうか?」

「いいねぇ、吉川さんの料理、俺好きだ。」

蓮の言う“ばぁちゃん”とは、吉川さんというお手伝いさんで血の繋がりはない。

だが多分、蓮は家族よりもこの人に一番心を許している。

携帯を出すと、しばらくして繋がった様だ。

「あぁ、ばぁちゃん?俺。今日さ、海斗も来るから昼飯2人分頼むわ。うん。うん、わかった。じゃね。」

通話を切ると、

「焼き飯でいいかってよ?」

「おぉ!俺の好物じゃん!」

「ばぁちゃん、海斗の好みもリサーチ済かよ。」

海斗と蓮は、フフフと笑い合いながら昼食を楽しみに帰り道を歩いて行った。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ