24 回想 夏の記憶 15
続けざまに上がる花火に、周りからは、おぉ~と歓声の声が上がる。
花火が上がる度に、どちらかの指先がピクリと動く。
お互いの顔をを見らずとも心の振動を教え合っているようだ。
花火のやんだ時は、繋がった手だけに集中してしまう。
“蓮の手・・・結構大きな・・・”
“海斗の指は、こんなに長かったんだ・・・”
ーーードーーーン・・・パパッパラ ドーーーン パッパパ ドーーーンーーー
夜空の花火は一層美しく、二人の真上で輝いた。
時間はあっという間に流れて、これで最後なのだろう。
今まで以上の大きな花火が、連発で上がるともう圧巻とした言いようが無い。
大きな大きな色とりどりの花火が真上で上がる。
その後、流れる残り火が流星群をつくって美しさに余韻を残している。
その上を覆いかぶせるように何発も同じような花火が舞い上がり、見るもの達の呼吸すら奪いそうな程の一瞬の煌きを力強くその脳裏に焼き付けた。
そしてパラリ・・・という音と共に宴は幕を閉じた。
「また、来年も一緒に見ような。」
「あぁ、また見に来よう。」
二人は、手を繋いだままフフと笑った。
帰り道は、行きよりさらに混雑していた。
人の流れは途切れることが無い。
交通機関も定員オーバーな程、人がぎゅうぎゅうに乗っていた。
「こりゃ、当分バスには乗れないな。」
「待ってても一緒だ。歩いて帰ろうぜ。」
二人は、家までの道のりを歩く事にした。
1時間もあれば着くだろう。
同じ様に考えた人も多く、みんなぞろぞろ歩いていた。
二人は、もう手は繋いでいなかった。
「最後、すごかったな・・・」
「あぁ、迫力があったな。」
かなり歩いた。
会場からは遠く離れ、だんだんと前を歩く人が少なくなってきている。
「ちょっと疲れたな。」
海斗も蓮も、慣れない草履で足が痛かった。
近くに公園があった。
「自販機でジュースでも買って休んでいく?」
「いいね。俺、お茶飲みたい。」
二人は自販機でそれぞれ飲み物を買うと公園へ入りベンチを探した。
「あぁ、あそこにあるな。」
海斗は木のそばのベンチに向かおうとして、蓮に手を取られた。
「!!!」
次の瞬間、海斗は蓮に木に押し付けられ、キスをされていた。
この頃はキスもだんだん濃くなってきている。
「・・・っはう・・・」
海斗は息継ぎをして、口を離すと蓮は海斗の首筋へ舌を這わせた。
「うっ」
一瞬息を止める。そして長く震える息を吐いた。
蓮は、首にちゅと音をたて、浴衣の襟をはだけさせると鎖骨へと舌を移動させた。
「海斗の浴衣を見た時から・・・ずっとここを開いてキスしたかった。」
海斗は、今までにない蓮の動きに先程から背筋をゾクゾクとさせられている。
“な・・・なんか・・・やばい・・・”
ぼんやりし始めた脳が警告を発する。
蓮は、海斗の胸へ手を伸ばすと指先で摘んで弄りだした。
「ああっ!!!」
海斗は思わず、体を走る刺激に体を仰け反らせた。
「感じるの?海斗・・・」
真っ赤な顔で海斗は首を振る。
「素直じゃないね。海斗は・・・」
今度は、さらに襟を開かされると、片方はぺろりと舐められ、反対側は手で弄ばれた。
「あっ・・・うっ!!」
“やばい、やばい、やばい!!!”
蓮は舌や口を使い執拗に攻めてくる。海斗が感じているのを楽しんでいるようだ。
海斗は、声が出ないように歯をくいしばり、目をぎゅっと瞑った。
こんな所で感じていきそうなんて、涙が出そうだ。
「海斗・・・」
蓮の口が胸から離れると、顎を取られて口づけをされた。
海斗は体中が熱く痺れて、頭の中が白くなりそうだ。
蓮は、海斗に舌を絡ませると片方の手を下に降ろし、海斗の裾から中に滑り込ませた。
「!!!!!」
海斗は目を見開いて、思いっきり蓮を押し返す。
「ちょっ、蓮っ、ダメだっ!!!」
慌てて、蓮から離れるとハァハァと大きく息を付いた。理性はまだ活きていたようだ。
浴衣の前ははだけ、裾は乱れていた。海斗は急いで浴衣を整えた。
「海斗・・・」
「こっこっこっこんな、見えるような・・・所・・・なんかで・・・だっ、だっ、だっ出したく・・・ない」
ちらりと、蓮を見ると戸惑った様子だった。
「いや・・・だから・・・」
言葉に詰まった。なんと言えば伝わるのだろう?
「海斗。ごめん。」
「あ。えっと・・・・はぁ・・・。」
海斗は大きく溜息をついた。
謝られるとなんだかな・・・。
二人はお互い、下を向いた。
「もう、襲わないから、家まで一緒に帰ろう。」
蓮が不安げに言う。
「あ・・あぁ。・・・うん。」
海斗は赤い顔で答えた。
家に帰り、ようやくベットに寝ころんだ海斗は天井を見つめていた。
さっきの公園での事が思い出されて、カーッと顔が熱くなった。
「・・・・・・・。」
蓮は、ジリジリと海斗との間合いを詰めてきている。
愛しさと息苦しさが、余計に海斗の色気を高めていく。
好き同士が“愛し合う”って、結局はそうなっていくのかな?
ドキドキする未知の快楽の熱を知りたい気持ちと、本当にそうなってしまうのが怖い自分がいる。
“第一、やり方知らないし。”
一線を超えると戻れなくなる様な、そんな気もするのだ。
ぼんやりと思う。
“俺・・・きっと下だ・・・”
だけど、蓮を好きな気持ちに嘘はない。
「俺たち、どこまで、いくのかな・・・」
今の二人は、真っ暗な中に細い薄板の上に乗っている様な感覚だ。
二人が繋がって、その板すら無くなったら、俺達は堕ちるのだろうか?それとも浮かぶのだろうか?




