21 回想 夏の記憶 12
結局ライヴハウスで盛り上がった二人は、帰る頃には素直な気持ちに戻っていた。
「海斗。俺、勝手に怒ったり、拒否ったりしてごめんな。」
星空を見上げながらぽつりぽつりと蓮が話し始める。
今日は七夕。織姫と彦星も出会えたのだろうか?
「俺も・・・悪かったよ。お前の話、いつもちゃんと聞いてなくてさ。」
海斗は、蓮の横顔を見つめて言った。
フッフフと笑った蓮は、まだ空を見上げながら言う。
「俺さ。お前が話し聞かないのとか、そんなのもう長い付き合いでわかってたのにな。
・・・多分、それは言い訳で・・・・本当は海斗の愛を確かめたかったんだと思うんだ。
俺の方が愛が多いとか、いつも俺ばかり言ってるとか・・・さ。
実はお前は“愛情”と“友情”を履き違えてるんじゃないか・・・とか疑ったり。
でも、本当はどれだけ好きなのか、本気なのかが・・・知りたくて・・・。」
海斗は、蓮から目を離さずに言う。
「俺は、本気だよ。」
「うん・・・。そだな。・・うん・・・よく・・わかった。」
そう言って蓮は、海斗の方を向いて、はにかんで笑った。
初めての海斗からのキスは今思い出しても赤面する。
感触が蘇って、背筋をがフルッとなった。
そして、今回の留守電はどれも多分ずっと消さないだろう。
あれほど嬉しいものなど、今は見つからない。
“海斗の・・・気持ち。大事にしたい。”
蓮は、心の中がフワフワとした心地よさでいっぱいになった。
「そういや、どうして場所がわかった・・・・あ~あ~、もういいや。」
「ふっふ。ご名答。やっぱ俺たち、キャプテンには敵わないな。そのキャプテンからの伝言だけど、明日うちは朝練するから7時に体育館へ集合だってさ。」
「ん!」
翌朝。
体育館へ着くと二人の後ろから
「なぁ~!喧嘩するほど仲がいいって、その通りだったろ?」
はっはっは~と笑いながら北山は、海斗と蓮の背中を叩いて中へと入っていく。
「北山!」
「ん?」
「ありがとな!」
北山はにっと笑い、手を上げて答えた。
「さぁ、野郎ども!朝練始めるぞ~!」
北山の大きな声が体育館に響いた。




