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~現在 冬~
「おはよぅ」
眠い目を擦りながら部室を開けた海斗は、ただならぬ異変を感じた。
「やぁ、おはよう、海斗!いい朝だね!」
キラッキラオーラを纏った真田が言う。
白々しいその挨拶が何よりの異変の証拠だ。
「なんか、いつもと違う・・・」
手を顎におくと、首を傾げた。
「今日、何かあったっけ?」
「愚問だな!海斗」
東が“知らないのか??”とばかりにこちらを向いた。
「今日は俺達バスケ部の後に、女子バドミントン部が使う日だっ!!!」
言いながら北山は、拳を上げて気合を入れている。
真田や一年はともかく、アイドル一筋の北山や東まで浮かれている。
「あー」
“女子バドミントン部か・・・”
女子バドミントン部は、部員数52名という大所帯で、可愛い子が多数在籍していると評判である。
全国のインターハイでは、ベスト4まで残る実績も残し、実力も兼ね備えていた。
公認ファンから隠れファンまで多くの方々の支持がある。
その人気は校内に留まらず校外まで轟いており、公式試合や練習試合があると多くのギャラリーが集まってくる。
巷で販売されるガイドブックは同志による手作り冊子で、単価三千円するにも関わらず即完売になるほどである。
その女子バドミントン部の頂点に君臨するのが、森野可憐という2年生のキャプテンだ。
可愛らしい風貌から付いたあだ名が“ピクシー”。
「あぁ~、早く交代の時間、来ねぇかなぁ。」
海斗は呆れながら思った。“まだ、こっちは練習すらしてないっつーの”
「俺も~。今から何も手につかねぇ。」
皆のはしゃぎっぷりを見ながら、一人冷静な海斗だった。
走り込みを先にこなし、筋トレを行う。その後、パスやディフェンスの練習をした。
「ピクシー軍団がもうすぐ来ます!」
「よーし、分かったァ!今からは、かっこよくシュートを決める練習だぁ!」
北山が大きな声で言った。
「ウス!」
大きな返事が体育館に響き渡る。
「いいか?かっこよくだぞ!」
もう一度、念をおした。
ゴゴゴゴと重そうな響きを立てて、体育館の扉が開き、ぞろぞろとバドミントン部が入ってきた。
「やっぱ、可愛いなぁ~」
「ほらぁ、止まってるぞ、次~」
彼等は、次々とシュートを打っていく。
彼女達は、そんなバスケ部に目もくれず、軽くストレッチ等をしている。
ちなみに、彼女達はステージ上では筋トレ等はしない。
52名という大人数では無理があるのだ。
どこで筋トレをしているのかは秘密となっている。
交代の時間がやってくると、彼女達はネットを建て始め、それが終わると素振りを始めた。
バスケ部は、今日は最後にストレッチをステージ上でしている。
「よく、見えますね~」
一年の宮部が感心したように言う。
「あぁ、最後にストレッチをここでするのは、体育館使用表を見た時に決めていたんだ!」
「北山キャプテン、ナイスです!」
バドミントン部の女子たちは視線が気になってやりにくそうだ。
「ちょっと。」
声の主は、ステージの前に現れたキャプテンの森野可憐、通称ピクシーである。
“ピクシー登場!!”
“ピクシー、キター!!”
一斉にピクシーに視線が集まる。
腕組みをし、少し斜に構えたピクシーは、フンッ、と顎をシャクった。
「!!!」
意味を悟った北山は
「野郎ども、ストレッチは反対を向いてやれ~」
バドミントン部の練習は見れなくなったが、ピクシー直々に声を掛けられたことに、胸をときめかせるバスケ部員なのであった。
ようやく、ピクシー登場できたっ




