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人間に振り回される怪異ちゃんの愚痴

作者: 白瀬 いお
掲載日:2026/01/05

「人間ってさ……人間ってさあ!! 自由すぎない!? ちゃんと言ったじゃん! 入るなって言ったじゃん! 多分親子孫三代くらい言った! ここダメよって! 怪異のお家だからねって! なのに! なーのーにー! 入る! すぐ入る! まだ鶏の方がマシ! うるさいの朝だけだもん!!」


「そうだなあ」


「こっちだってさー、生活習慣ってのがあるの! 夜だけ活動するわけじゃないの! 分かるでしょ!? ルーティンって今どきは言うんでしょ!? 朝これやって、お昼寝て、夜はこれやってってさー! こっちにも都合ってもんがあるのに! 人間は! 考えない! 寝てるとこ急に入ってくる! 忘年会で披露する芸の予行練習中に来る! 夜中! 親しき仲にも礼儀ありでしょ!? 人間と怪異は親しくないんだからもっと礼儀弁えて!」


「うんうん、人間と怪異が親しかったら色々問題だしなあ」


「でしょ!? 第一さあ、他人の家に勝手に入ること、人間は不法侵入って呼ぶんでしょ!? 同じ! ていうか人間より先に生まれて住んでたのこっち! なのに! 「ここは自分たちの場所ですけど?」って顔してる!」


「まあなあ、人間には怪異は見えないし声も聞こえないからなあ」


「そうだけどさー! でもでも、こいつ見えるな!? 聞こえてるな!! って思って、なら主張できる! うちから出てけー! って怒ったら、祟りだとか呪いだとか言う! そんでお祓いしようとする! なんで!? こっちが先! そっちが後!!」


「ははは、人間は怪異の都合で動かないからなあ。酒のおかわりはいるか?」


「いる! 蠱毒の壺で熟成されたやつがいい!」


「はいはい。店員さん、蠱毒酒追加でー」


「あっ、梅水晶といぶりがっこチーズも! でね!? 大体さ、大体さあ! こっちだって人間に配慮してるよ? 人間たちすーぐ増えるし! こっちのこと見えてないから! 自主的にちょっと世界の隅の方行ってるじゃん! 認識の外行ってあげてるじゃん! 頑固な「ここから動かん!」ってやつもいるけど! でもでも、それだって正当な主張だし!」


「江戸辺りの若いもんは、まだまだ融通が効かんからなあ」


「まあねえ、あの頃って一気に増えたけど、そのあと一気に減ったしねえ。生き残った若い子が、「友の分もここは譲れない」ってなるのは分かるのよ。分かるよ、うん。まあ、その堅物たちは一旦置いておいて」


「置いておくのか、同じ怪異の好で入れてやれ」


「別怪異だから! 人間みたいなこと言わないで! 似たような怒り方すると、すーぐ「これはこの怪異だ!」とか言い出すんだからね! 別なのに! っていうか話逸らすな! ……で、えーっと、なんだっけ?」


「怪異側が、人間に住処を譲ってやってるって話」


「そうそれ! よく覚えてた、褒めて遣わす!」


「はいはい、そりゃどうも」


「でねっ、それでね! こっちは譲ってんの! 人間増えたみたいだし、仕方ないなーって。なのに踏み込んでくる! 入らないでねって行動で示しても! 言葉で「帰れ」って言っても! 来る! なんで!? しかもなんか分かんないこと言うし! ばずってなに!? ゆうちうぶってなに!? いんふるえんさーってインフルエンザの親戚!? やめてよね! 怪異だって暇じゃないんだからさー!!」


「中には暇してる怪異もいるだろ、小豆洗いとか」


「あれはただのド変態だからいいの」


「ド変態って、お前な」


「だってあいつ、小豆の音ふぇちってやつじゃん! 最近小豆が擦れる音聞いただけで産地が分かるって言い出したんだからね!」


「ああ……」


「はー……、もうさあ、分かってるんだよ。それが人間だもんね。ちゃんとこっちの話聞いて、それを言い伝えてくれる子もいるし……」


「割と捻じ曲がってたりするけどな」


「大事なとこ守られてりゃいいのよ、そこら辺は怪異の方が人間より大らかなんだから! 入るなってとこに入んなきゃいいの! 生贄とか言って女の子とか投げ込んで来なきゃいいの! っていうかあれ不法投棄ってやつでしょ! 困るんだけどこっちも! 最近はなくなったから良いけどさあ!」


「生贄を不法投棄ってお前な」


「こっちから見ればそうなの! 欲しいって言ってないもの置いていかれたらそうなるでしょ! 可哀想だから村に帰してあげたら、なんか知らない間により惨い死に方してたりするし!」


「あ、このスルメ美味いな」


「スルメを優先するなんて、友達がいのないやつだなー! ……はあ。ほんと、人間って我儘で自分勝手でそそっかしいんだから。少しはのんびり過ごせばいいのにねえ、ほら、三百年くらいさ」


「普通の人間は死んでるぞ」


「あ、そうだった」

最後までお読み頂き、ありがとうございました。

書いている間、怪異の悩みは尽きそうにありませんでした。

今もきっと、どこかで困っているのかもしれません。

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