岐阜と義父とギフト
妻がニコニコと楽しそうにやって来た。手に箱を持っている。
「どうかしたの?」
「お義父さんから、飛騨牛貰った。岐阜県の名産だね」
「飛騨牛って、岐阜なの?」
「そうだよ」
有名ブランド牛が何県かだなんて、普段食べないからわからないや。
「俺でも名前を知っているような高級肉なんて、どうしたんだろう?」
「結婚式だかなんかのカタログギフトで頼んだら、思っていたより多かったって言ってたよ」
へえ、よほどたくさん御祝儀を包んだのかな?
「岐阜と義父とギフト!」
言ってみたかっただけだろう?と言う台詞を飲み込んだ。絡むと面倒くさい。
「いつ食べんの?」
「息子が今日は夕飯要らないって言ってたから明日かな?」
そう話しながらも、妻は息子にLINEを送ったらしい。
「うわ、肉食べるから帰ってくるって」
「なんて送ったの?」
「飛騨牛のステーキ肉貰ったよ!って送った」
妻は「やっぱり」と言いながら笑い転げていた。
「残ってなかったら怒るだろうけど、いないときに食うわけないのにな」
そもそも残す予定がないなら、有ることを知らせないのが優しさだと思う。
「信用ないの?」
「え?俺?」
「私は、ステーキはたくさん食べないもん」
確かに、妻は脂がきついと言って、ステーキは少ししか食べていないかもしれない。だからといって、俺も子供の分まで食べたりはしないのになぁ。
結局、息子は最速で帰ってきた。
「こんなに早く帰って来られるのねえ」
「ブランド牛凄いな」
普段、残業がなくても帰ってくるのは結構遅いのだが、19時過ぎに帰ってきた。バタバタと騒がしい。
「俺の分ちゃんと残ってる!?」
ただいまの前に開口一番それか?
「一番良さそうなのを残してあるよ」
「息子の分まで食ったりしないぞ?」
ブランド牛は、赤身の身の旨さはもちろん、脂身が甘くてとても美味しかった。普段脂身を残す妻も、全部食べていた。息子も大満足だったようだ。




